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「不遇の新キャラに愛を! 役立たずだらけの40人ぶっ殺しサーガ ポロリは多分無い(大嘘!!ww)」(「ファイヤーエムブレム~新・暗黒竜と光の剣~」縛りプレイ) [TRPG・その他]

コチラの記事はコメント保護後、移転いたしました

移転先
・リプレイ部分
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2011-10-17

・二次小説部分
アイル編1
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2011-10-19

同編2
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2011-10-20

ベガ編
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2011-10-23

移転完了時の閲覧数は1434件でした。
移転先でもどうぞご愛顧ください
m(__)m

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コメント 225

コメントの受付は締め切りました
ぽ村

人はなぜ自分を縛ってゲームするのか…それはそのゲームへの愛ゆえ…。

そして、克己心ゆえ…。

多分w

かなり軽い縛りプレイだけど、昔シャイニングフォースの初代で、マスコットキャラの「ヨーグルト(HP1、攻撃力1・魔法や成長も一切無し)」を必ず出撃メンバーに入れてたなぁ。

さすがに後半面では苦しくなったけど、みんな撃破されていく中でヤツはいつも元気だったw
by ぽ村 (2011-05-16 18:30) 

おかのん

ほんとにたててもらっちゃったよ・・・

(後ろで「ほら見ろほら見ろ!」と久遠大騒ぎ)
なんだか悔しい・・・

なんか乗り気ですよあのバカ。
「文章まとめるのはどうせお前の方が上手いから
まかせるわ」
ツボをついてくる。ちくしょう。
「で、出来た分に再度注文つけるからオレ色は
消えない」
なんて勝手な。
あああ早速始めやがった。
投げ出す可能性ありありです。
にもかかわらずホントに連載する気ですよ・・・

えーとじゃあ、まずはルール説明。

書式は久遠のためにマジに小説形式にしたくない
ので、実況+妄想の、ぽむさんと同じ形にします。
面白い展開とかあったら勝手にこっちで
SSいれるかも。

プレイするのはDSFE。{新・暗黒竜と光の剣}
ノーマルモード。マップポイントセーブ有り。
兵種変更有り。武器練成有り。闘技場有り。

ちなみに説明すると、マップポイントとは殆どの
マップにある「魔方陣」に入ることで任意に
セーブが出来るシステム。使い捨てです。

兵種変更とは編成画面でキャラの職業の変更
が出来るシステム。ステータス、成長率も変更に
付随して変わるので、ある程度キャラメイクが可能。

武器練成は元になる武器を鍛えなおし性能を
上げるシステム。スパロボの改造に似ていて、
段階で料金が跳ね上がりますが、鉄の剣を
最強武器にすることも可能? 一回千円の闘技で
稼いで、20万の剣とかにしたくないですけどね。

縛りの方。
『SFC版「紋章の謎」に出演しなかったメンバー
全員最終決戦に出撃させてクリア』
で。
紋章の謎は当初、二部である「英雄戦争」を出す
予定でしたが、前作から随分経っていた上、内容が
あまりに「一見さんお断り」な内容だったので、
前作を丸ごとぶっこむカタチにしたそうです。
そのため、特にサイドストーリーも人気も能力も
無いキャラ、あまりに使いにくいキャラは消える
事になりました。
今回はリメイクということで、その辺のキャラが復活
しているのを受け、強制使用とします。
そして、今回からの新キャラたち。
ノーマルモードで出現するフレイ、序章で一人
戦死させると入隊するノルン。そして、次章の
出撃限度数にメンバーが満たない場合に出現する
救済措置としての「外伝」で仲間になる者達です。

外伝出現条件に順ずると、自動的に、
「マルスを含めて15人以上の仲間を維持不可」
というルールも付いてきます。

以上のルールにより、メンバーは既にマルス含め
13人が決定しています。

ほぼ使えないキャラ13人・・・
打ちひしがれるが良いわ。

by おかのん (2011-05-16 20:22) 

ぽ村

>>おかのん
はいさい
早速投下サンキュ。

>13人
え…それって外伝救済キャラって役立たずばかり…とも聞こえるんだがモシ。

ま、紋章の謎編は確かに一見さんお断りだね(あらすじ見ながら)

おかのん が 久遠 風味にヲレ形式で投下とか胸熱w
by ぽ村 (2011-05-17 01:10) 

おかのん

>役立たず
はい。
実際は見たこともないのでアレですが、攻略サイトの
データを見る限り、たいした方達ではありません。
というか半数が人数あわせ。
最後のマムクートは強いようですが、彼のために
40人が死ぬとなればつりあいません。
とにかく始めます。

どうなっても知らん。

えい。

by おかのん (2011-05-17 01:40) 

ぽ村

>>おかのん
どさ…

いやなにその初心者ヲレでも倒れるドライさww

しかしそのユルさがいいぜ。
所々脱力してる おかのん もな!

>一章
ちがいます。
言うなれば序章は「0章」です…。
つまりは次回こそが真・一章!
wktkして待て!
(ヲレが続けるわけじゃないけどw)


後半がとても楽しみだぁ。。
by ぽ村 (2011-05-17 02:24) 

おかのん&久遠

えー・・・

ケンカになりました。
で、最終的にこちらが折れるカタチで続行は
しますが、久遠にも書かせます。

まず私がまとめて文にする

久遠が自分で修正する

話し合いを兼ねた検閲後、私がツッコミ入れる。
一回につき一箇所だけ問答無用で削除の権利を
おかのんがもつ。

文脈は前回と変わらないままになると思いますが
あのノリを肩代わりし続けるのは耐えられません。

一回投稿ごとにケーキORアイス、
連載が無事終了したら、続編である
{DS紋章の謎}を報酬として約束させました。

以下久遠

はっはっは。やりすぎたか。
しかしぽむさんが「楽しみだ」と言ってくれたので
言質を取れた。
この形式でいく限り「最終的に一箇所削る」以外
大抵の事が通るので、むしろさらにとばすぜ!
いろいろと!

まずはいきなり早くもタイトル変更!
~サーガまでは一緒で、「ポロリもアリアリで☆」
せっかくこっちは多少なりともいるんだから!

(お)
・・・はい。この後の部分検閲に引っかかりました。

例として晒すと、「サジマジの掘った掘られた
なんて書くのも読むのもヤだろ!?リビドー全開
チャックも全開、股間ふくらまかしていこうぜ!!」
でした。

以後、こういう文を一箇所とはいえ強制排除し
また本人の許可を得られた時には変更を
していきます。建前として許可をとりますので
表現の自由は保護されています。

では、当然の権利が施行されたところで、
短い期間となることを願って、皆様存分に
無視するか指差して笑って下さい。

by おかのん&久遠 (2011-05-17 11:46) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
⊂(TД;T⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
 ぽ村 の為にケンカはヤメテー!!
ふぅ、一度言ってみたかった…って、二度目かよww

さぁて、ケンカの模様を脳内リプレイ。
おか「あのプレイ日記、自分で投下しろよ」
久遠「いや、ぽむさんって、そっちが投下すること前提で記事挙げてね?」
おか「ざけんな。久遠色が薄れるから自分で投下しろって書いてるだろ?」
久遠「まんどくせ。っつか、絶対書かんぞぉ。俺が書かなかったら、あの記事過疎って大変だよね?」
おか「ぐぬぬぬ」
久遠「ほら、ケーキとアイス奢るし、終わったら続編も提供すんよ。おかの方が打ち込み早いしさぁ☆」
おか「ぬう…それでも、ちょっとは口出せてもらうぞ。ソレが最低の譲歩ラインだ。」
で、妥結っと。

…ええ、事実はどうか知りませんが、気に障ったらごめんね;

ともあれ、ケンカいくない。

>紹介
後半は超あってるじゃん!
ええと、前半とかオナゴは知らん。
こっちは漢チームばかりなのである。

サジ「女なんて穴ばっかりの生き物、気持ち悪いぞー!!」
すっかりホモポジションだコイツ;

新キャラのフレイは名前が可愛いのにおっさんか。
ポケ戦のミーシャ以来の衝撃だ。

どうにもオナゴ贔屓な展開になりそうで結構結構♪
なんか、リフって聞いたことある名前なんだが…まぁいい。
今度調べとく。

 今 後 と も よ ろ し く ♪
by ぽ村 (2011-05-18 00:54) 

久遠

はっはっは。よろしく。
ところでいい事思いついた。

エロ部分だけ別に俺が投稿すれば検閲ナシだ!!

とはいえ流石に自重も必要?
なので聞こう。どこまでいい?

1・無制限モード。発禁ワードもガンガン行こう。
2・エロノベルモード。文章力は心配ない。エロ本のアオリとかパクるからw Hあり。
3・萌えモード。パンチラ、痴漢、覗き、露出まで。
いわゆる本番ナシw あれば報告のみになる。
4・自重モード。報告のみ。

ぽむさんのドラクエが2と3の間くらい?いや3か。
今の俺のDSFEもそんくらい。

どうよ。
by 久遠 (2011-05-18 09:17) 

ぽ村

>>久遠
「3」!!
1・2も興味はあるんだが、他の住人的にもあのくらいが限界点っぽい。
ええとな、他にも色々理由があるが、一番は妙なのが湧く可能性が増えるってのが…。
スパムコメントとかな。

そんなわけで、「3」で一つw
by ぽ村 (2011-05-18 21:41) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
>チキンハート
や。
ヲレは各板でのアピール通りチキンハートの持ち主よ?
チキンオブハートって書くとシャッフル同盟の一員っぽくてカコイイ!!

>サジマジバーツ
すげぇMOB断末魔wwww
見た目に違わなすぎワロタww

しかしいいなぁ…そっちはオナゴ入りで…。

コッチはメーンばかりなので、妙なエコ贔屓してやる醍醐味が無くて…;
男ばかりだけど、門番に「昨夜はお楽しみでしたね旦那達ぃ!」
「おう、ケツが痛いぜ!」
というほほえま…うわやめろおかのんなにをす
by ぽ村 (2011-05-19 00:43) 

ぽ村

>>おかのん&久遠

>「バーカ」
上のやり取りでヲレに言われたのかと思った;
いや、ま、言われても仕方ないけどww

>仲間
ああそうか、SFC版てFC版から面も仲間も結構削ってるんだっけ。

「紋章の謎部分も考えると、SFC版のほうが適量」って誰かが熱弁していた記憶がある。あと戦場でファックすなw

大将がそんなんだと味方の士気が下がるぞ!
だから女じゃなくて男を…って、味方の士気が下がっても士気下がった連中から処分していくのか…。
まぁ、都会の王子が田舎の娘をかどわかすのは良くある事さね。
源頼朝の死に方なんかそれはもう…;

ともあれ、投下・乙☆
by ぽ村 (2011-05-20 06:12) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
とうか乙ぅ♪
>ボス
そうかそんな手が…他のゲームのクセで、ボスは瞬殺しないとエライ目に合う、とばかりに一気に殺しまくってた;
さすがに後半はボスも強いから無理だそうな;

>レナが男
そうかも知れん…(フタナリスキー狂喜?)
が、牢獄でガリ過ぎて、男女見分けが付かなかったってのはどうだろう?

で、魔性の女と評判のシーダがきょぬーってソースは!!?
ちょっと気になる。
っつか、個人的にはミネルバが一番のきょぬーのほうが(ry
by ぽ村 (2011-05-20 21:46) 

久遠

>ソース
おかのん が持ってた攻略本のイラストで意外と
でかかった。
ちなみにDSの説明書だとリンダが
あからさまにきょぬー。

ミネルバは・・・
画像検索すると、ちょと大きめに描かれる傾向が
あるようだ。
by 久遠 (2011-05-20 23:13) 

ぽ村

>>久遠
とりあえずググって画像さがしたぴょ。

残念ながらその絵にはたどり着けず…:
って、なにこのDSのシーダ、可愛いずるいよ!
なぁんだ絵師の事も考えるようになったじゃん任天堂ww

しかし、士郎正宗版のFEキャラも見たぞ。。。
趣味?仕事?
by ぽ村 (2011-05-21 13:09) 

おかのん

仕事ですよ。
DSFEの基本デザインと説明書の挿絵は
士郎正宗氏です。

女性キャラのいくらかとイケメンには気を
使ってますが、若干リアルよりになったせいで
眼にハイライトが入ってなかったり、眼そのものが
小さすぎたりして私的に微妙なキャラも増えました。
肌も浅黒い人多いし。

実はその筆頭がミネルバ姉さま。
イラストはともかく、前のデザインの方が良かった。
何ゆえ後ろで髪爆発してるですか。
レナも何だか幸薄そうな顔してるし、
ドーガなんかへちゃむくれだし、
ナバールも気難しそうなオッサンが入ってるし!
岸田メルさんで全員描き直しー!
せめてGCの時やGBAの感じにしてー!

by おかのん (2011-05-21 16:05) 

ぽ村

縛り板返信ぬこぉ!
>>おかのん
まさか士郎正宗がFEキャラデをする世の中になっていたとは…。
歳を取ったもんだ;

しかしナバールがオッサンとはな。
はははのは;

アレの褐色率の高さはただの病気だから放置してて良い。
どうせならシーダを褐色にして歴戦のファンで物議醸せば良かったのに(直後銃殺される ぽ村 )。
ヲレは士郎正宗にもFEにも特別贔屓な目は持ってないけど、両方好きなはずの隊長の見解を(ココ見てたら)伺いたい。


>>おかのん&久遠
またケンカしたのかい?(おせっかいなあんちゃん風に)。

DARKARAファック表現すんなっつーw
エロ漫画板を何とか参照の上…って、余計過激になったりして;
シチュエーションは好みだがな。
ええと、住人の正式な削除・修正依頼が来ない限りは一応どっちもしない方向です。
話し合って投下したならなおさらだわ;
ケンカはしないよ~にねw

まぁだめにーちゃんが賭博の失敗で命落とすのはいいねぇ。

>魔力の件
そうか。確かに力のままなら、転職で超強い魔法使いが元超強い歩兵職だった可能性が出るものな。
「マリクって絶対ガチムチのマッチョ魔法使いwwww」
とか言われてた過去を思い出す。
確かに差別化は英断かと。。。


>>エロCM
まぁチミは依頼無くても削除するけどね。
by ぽ村 (2011-05-22 15:59) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙
…おかのん…いいお兄さん(?)じゃないか…。

殺伐は別にいいんでねぇかをい。
程度によるが昇華の対象は必要さね。

>こういう女をXXXXXXXXX
よく
わかる
とてもよく
わかる
レナもなんつーか田舎の女神ってこう(以下、ヲレが自重)


しかしオルレアン組はが超つおいとは…マジで考えられない;
さすが第二部の敵ドモ。

ええと?
大量殺戮が始まると思うんだが、やはり敵奇襲が成功した話の方向にすんかのかえ?
あと、残す連中もかなりドライな選別が必要そうだ。
枠二つなら男は多分全滅。
シーダは仲間増やすんで確定。
あと一人か…。

by ぽ村 (2011-05-23 01:18) 

久遠

>大量殺戮
外伝+SFC消滅組はこの先おっとり刀で出るし、まだ仲間も出きってないのでそこまででもない。
すでにここまでに、サジマジバーツ、カシム、マチス、ロシェ、ビラク、ウェンデルが死んでるので、あと3人。

リカードはその場で死ぬ。
by 久遠 (2011-05-23 08:55) 

ぽ村

>>久遠
しかし以後も仲間増やしてはその場で…ってのがあるのでわ??
(違ったらごめんね)

>リカード
ジュリアンいれば超いらない子だしね☆
by ぽ村 (2011-05-23 18:56) 

おかのん

決めた。
小説書く。
SSじゃなくてまんまノベル化する。
修正してやる!!

だってあんなのマルスじゃないもん!!!
シーダはもともと「まあ王子が好きならいいか」と
思ったけど、天然だとは感じてた。
けどマルスは酷すぎる!!!!

そんなわけで縛りプレイに「ついて」ならこんなのも
どうでしょう。
早速始めます。

SFC消滅組と外伝全部で送るノベライズ
「偽りのアルタイル」
エムブレムIFをどうぞ。

by おかのん (2011-05-23 21:21) 

おかのん

~偽りのアルタイル~ 

・序章その1 出会い

彼には名がなかった。
気が付けば孤児院にいた。
そこではドライツェンと呼ばれていたが、
何のことはない。「13」という意味だ。
自分だけが不幸だなどと思ったことは無い。
だが同情のみで生きている自分は歯痒かった。
それくらいなら勝手にどこかで生きていきたい。
そう思って院を出たのが12。
タリスという島国で、一人で生きていた。
そして2年。
14の春・・・

「うわーっ!!!」
間の抜けた子供の声。
多分どこかのガキが獣用の罠に引っかかったのだろう。無視する訳にもいかず、見に行く。
「あれ・・・?」
彼は固まった。向こうも同様だ。
そこには自分がいた。
着てるものや肌の焼け具合、髪のツヤなどは
違うが、とてもよく似ていた。
彼は警戒したが、捕まってる方は微笑んだ。
そして、マルスと名乗った。

自分の話は5分で終わったが、マルスの話は
尽きなかった。アリティアの王子であること、
もうその国はないこと。守れなかったこと、
いつか取り返したいこと。

自信はない。けど、自分にしか出来ないこと。
そんなものがある彼は眩しかった。

マルスはたびたび会いにきた。
王子としての教養、友達の話や世界情勢。
マルスの口から語られると、面白かった。

こいつは、人を惹きつける。
愛される才能がある。

それは、自分にないもので、妬む気持ちもあった。
だがそのマルスが、会いたくてたまらずに
走ってくる時には、そんな気持ちは溶けている。

共に野山や砂浜を駆け、マルスも日に焼ける。
かろうじて喋れただけのドライツェンは、読み書きを
ほぼマルスと同レベルにしていた。
時々持ってくる花の油で髪のツヤも良くなる。
ドライツェンの食べるものを一緒に食べるうち、
マルスは好き嫌いを言わなくなった。
2人は、さらにお互いに似てきていた。
マルスがドライツェンに近付き、
ドライツェンがマルスに近付いた。

ある日、マルスが言った。
「君に、名を送りたい」
親がつけるものだろうと言うと、
「その親が権利を放棄してるんだ。なら僕が
貰ってもかまわないさ」
君を愛することを放棄したなら僕が貰う。君を愛する証を、君そのものを表す言葉に込める。
恥ずかしいことこの上ないセリフだが、王子様が
言うとさまになるから不思議だ。
『アルタイル』
飛翔する鷲を表す言葉。夏の夜空にひときわ
輝く星の名前。

「・・・長いから、普段は『アイル』な」

そう照れ隠しするのが精一杯だった。
その夜、吼えるように一晩中泣いた。
嬉しくて泣き止めない夜など、

これが最初で、最後だった。

 続く

by おかのん (2011-05-23 22:16) 

ぽ村

>>おかのん
>>久遠
どうするよ…ヲレらの変なプレイで おかのん がむぎゃーってなっちゃったよ…;
ヲレ的は「あああああ、もう!!自分でゲームプレイして憂さを晴らすっ!!!」って反面教師なモチベーションを狙ってんだが…。
別方向に反面教師に;

こんな場末のブログ(爆)で才能の無駄遣いでね?
と、思いつつ。
ここで文章鍛えてラノベ作家 おかのん がデビュー♪ってのも悪くない気がするので放置!

マンガにも似たのあったな。
遮那王ナントカって、そっくりさんが義経に成りすますの。

その展開だと思うが、 久遠 のプレイ通りだと想い人とは似ても似つかぬ男に体を許さないといけないシーダがちと不憫だ…;

続き物を書きまくった&書いてるヲレ的には…
最後まで続くんだろうか…;という不安がw

まぁ両者とも今後ともヨロシクにん☆
by ぽ村 (2011-05-24 00:16) 

おかのん&久遠

私にだけな朗報。
後からエロだけ書き足すなら削除の権利の
意味がないとすねてたら、
く「分かった。最後の1人はおかのんが決めていい」
との言質をゲット。

お「じゃあマリア」
く「即答ぅ!?」
決定な。

まだオグマやナバール、ハーディンだって
いるのにとごねる久遠に
お「じゃあジェイガンとかいってもいいよ?」
く「物理的に不可能じゃん!!!」
お「やり直せばいい」
く「鬼か!?」
お「最初に契約の不備を付いて実質こちらに
義務のみ押し付けたのはそっちが最初」
く「ぐぬぬ・・・」
お「せめてマリアで手を打つってことなら、
追加条件」
く「まだあんの!?」
お「魔法系で使う。エース級に育てる」
く「あのライブ振るしか役に立たないと言われてる
ガキを!?」
お「オームでチキ復活(外伝条件により死亡必須だが外伝プレイ以降ならOK)」
く「お荷物さらに追加!?」
お「大丈夫。20章過ぎてからなら15人以上でも
可だから、メンバーには入れなくていい。
むしろ入れるの禁止」
く「もう勘弁して」
よかろう。

やったー♪
マケドニアに希望が残りますミシェイル様!
後は「重症を負って戦えなくなった」ってことに
すればいい!ミネルバ姉さまを!

このメンバーだと自動的にオーラはマリアのモノ!
エッツェル! 師は君だ!

実は私のプレイ時も、女性魔導士はマリアでした。
理由は、戦闘時グラフィック。
SFCだとそもそも女性魔導士がリンダしかおらず
完全に専用グラフィックでした。
しかし今回兵種変更導入のせいで、本人の
格好と戦闘時グラフィックが大きく違うメンバーも
いるのです。
かなり無理矢理育てました。

さてさてどうなるかな?

by おかのん&久遠 (2011-05-24 19:17) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
小さな突破口から色々通したなをいww

ま、「手強くない手強くないww」と言ってた 久遠 にゃちょうどいい追加ハンデかも。

ぽ村「ちょっと苦しくなったけど、手強くない手g(ry」

そういえば、ヲレのやってSFC版でもなんだか一人生き返らせれるとかいう噂を聞いた。
縛りの都合上、該当者無し。
そこで「シーダ!」とか言ったらジュリアンに刺され、「害王者ナシww」っつったら、オグマに斬られそうだ。
by ぽ村 (2011-05-24 21:50) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙。

そういえばリセットしたって表現が一つも無いなぁ。
FC・SFCに比べてもDS版は難易度低めになってる?
違うならたいしたもんだぁ…;l

ウルフとかなんか馴染み無い名前が活躍してて面白いw

マリアの件は…まぁコッチは即死させてしまって知らんし、どう大変かピンとこないけど頑張れ!
by ぽ村 (2011-05-25 00:39) 

久遠

>どう大変かピンとこない
幸運意外リフとたいして変わらない上初期値がさらに低い。
フツーに育てたら最弱キャラといって過言じゃない。
なにせ おかのん が、「いちいち聞かれるのめんどい」つってよこした攻略本。
ゴードンを「アーチャーとして最適」、ジェイガンをして「ソーサラーも面白い」と、虚偽に近いまでのフォローを入れるこの本にして、
「後方でサポートする分には問題ない」という、
「そんなもん転職できる今回は誰でも出来るわ!!」
的な文が添えてあった。
事実上の役立たず宣言。
ハゲ坊主以下。
くそう。鑑賞用にはいい素材なのに。
このちっちゃいオクチにXXXXXXXXXてみてえ。

馴染み無い名の活躍
そらそうだろう。「そっちに出れなかったキャラ」と「新しいキャラ」を主軸にしてるからなあ。
オグマでさえ殺すプレイ(笑)

リセット
なにせ「ここは危ない」と思ったときに、囮に出せる人材がダブついてるんでな。
どうせ殺すキャラでつってタコなぐり。
または死んでもいい壁。

後、おかのん 的には「確実にヌルい」とのこと。
もちろんハードモードがあるのでそっちは逆にSFC以上らしい。
「タイマン厳禁」「増援はマジでただの脅威」
「一面のザコはノーマルの1面ボスと同じ強さ」
・・・だそうだ。
by 久遠 (2011-05-25 10:13) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

序章その2 別れ

その日、マルスは来なかった。
毎日のように来ていたが毎日というわけではない。
ただ、胸騒ぎがした。
少し、城での様子を見てくるだけ・・・
入れ違うことも無い。気配を探る自信はある。
足はタリス城に向いていた。
離れの砦は城をはさんで反対側だ。

マルスは森のはずれにいた。
「・・・?」
何かと、話している。だが何もいない。
夏だというのに薄ら寒い。というか、不快な寒さだ。
マルスは、虚空に向かって熱弁している。
「待ってくれ。それは・・・
確かに僕しか出来ないことかもしれない。
時間が無いのなら、尚更何とかしたい。
でも、それは僕にもあって・・・!」
思わず叫んでいた。
「おい、マルス!?」
「!?」
マルスは即座に叫んだ。
「逃げろアイルっ!!!!!!!」
「出来るか! どうしたんだ一体!!」
「彼女は危険だ!」
彼女って誰だ。
何も分からないまま、マルスの言葉だけが
森に響く。
「やめろーっ!!!!!」
桃色がかった光が環を描く。紫炎と共に2重3重に
かさなり、紋様が浮かぶ。
魔方陣だ。
{ジャマヲシナイデ!!!!!}
女・・・!?
亡霊!?
アイルを突き飛ばそうとして駆け寄る途中で、
マルスはその陣より湧き出た闇に捕まる。
「ぐぅあっ・・・」
駆け寄る。が、遅い。
「マルスっ!!」
「アイル・・・」
ヴゥンッ・・・・・・・・!

え・・・

「マルス?」

消えた。
霞のように。
人が、1人。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

取り乱したかったが、それも出来なかった。
喚いて解決することは何一つ無い。
親元で育つ人間の中には、自分が解決出来ない
恐怖に遭遇した時幼児退行する者がいるが、
彼の経験からそれが起きることはなかった。

むしろ、頭が回り始めた。どうしたらいい・・・?

まず、これが亡霊と魔法に関係していることは
想像が付いた。
亡霊と関わりの深い魔法の種類は闇魔法だ。
闇魔法は禁呪であり、実在するのは裏の
研究の中と、ドルーアのガーネフが持つ
マフーくらいだとマルスがいっていた。

つまり現状でマルスがどうなったかを探るどころか
予測すら出来ない。
今は本人のことは自分にどうにも出来ないだろう。
城の騎士たちに話すのもムダだろう。
まず信じない。
むしろこっちに容疑がかかるだけだ。
信じたとして騎士たちにどうにか
出来るとも思えない。

打つ手が無い。
だが・・・・

「このままにもしておけない」

それは、当然だった。
マルスは、アイルの「価値」だった。
マルスだけが、自分を、替えのきかない「自身」
たらしめていた。
名をくれた。
自分を表す言葉に、意味を込めてくれた。

自分の価値を失ったのなら、必ず取り戻す。
どれだけかかっても。どんなことをしても。

再びの自問。どうすればいい?

焦点の戻った瞳には、樹のうろにかかる
マルスのレイピアが映った。

 続く

by おかのん (2011-05-25 16:14) 

ぽ村

縛り返信ぬこ
>>久遠
その攻略本、歪んだFE愛が見えるな。
ズバリファミ通系だろ!!?

「あそこはちょっと鬚のせいかFE系がおかしい。」

と、職場の地下通路で見かけた蟹が。

ハードはマジキチだな。
ゲームでストレス抱えたくないヲレにゃー無理だ;


>>おかのん&久遠
ああ、 おかのん もシフト勤務っつか、曜日関係なのね。
お疲れ様~、と、さっき仕事から帰ったヲレが通りますよw

>小説
ダイジョブかよその展開、自発だとフォローしてくれるヤツが居ないからヤヴァイぞ、祭り上げる方向に…ああ、そういうトコに持っていけば良いのか…。

>投下
そのマップはあれか、追加マップかえ?
救済策にも戦わねばならんとは難儀ようのう…。
久遠 はロリ趣味なのか?
ロリはあれだぞ。
未来が無いぞ…。

>カタコト
二次だと悶々するんだが、実際に会うと身構えてしまうんだよな;

by ぽ村 (2011-05-26 00:36) 

久遠

>ファミ通系?
ううん、違う。自前w
任天堂監修公式ガイドって書いてある。

>追加マップ?
YES。ほら外伝てあるでよ。

>ろり
いろいろイケル口なだけ。未来の無い選択するほど人生捨ててないからダイジョブ。


by 久遠 (2011-05-26 08:34) 

ぽ村

>>久遠
公式がソレだと髭の方はもっと凄くなるんじゃないか…;

>外伝
救済なのに、コチラの人数減らす可能性もあるんだよなソレw

>ロリ
そうか。
逃げ道があるのは良いことだ。
そのうちロリスキーのお宅には米の国みたいに当局が乗り込んでくるかも知れん。
70・80年代アニメ文化だったら壊滅だな。

…ヲレはダメージ少ないから良いけど。
by ぽ村 (2011-05-26 12:36) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

序章その3 ノルン

まだ日は落ちていない。十分に間に合う。騎士達が
捜索を始めてしまうと騒ぎになるだろう。
まず、砦に盗みに入った。
マルスの服が、どうしても必要だった。

ここタリスは他国との交流が薄い。
マルスは大した変装もせず、一目で王侯だとわかる格好だった。つまり帰ってくるときもその格好でなければならない。

マルスになる。
それがアイルの選択だった。

世捨て人に近いアイルではやれることの幅が狭すぎるが、マルスとしてなら闇魔法に関することも知れるかもしれない。
世界情勢をもっと知っておかないといけないし、人の手を借りるのも容易な立場だ。
失敗しても失うものは自分の命ですむ。
だがやらねばマルスは失われたままだ。

盗み出した服を着て崖から気をつけつつ落ちる。
怪我をして戻るのが遅れたといえばごまかせる。
後は・・・・・・

少し大げさな演技も必要だろう。
幸いネタはある。
マルスは話相手、特に聞き役に飢えていた。
誰もが王子を好いている。だからみな、話しかけてくる。しかし、「マルスの話に興味のある人間」は少なかったようだ。
自分の話が誰かの心を動かすということに感動したマルスは、この一年あまりの間に知る限りの芝居の話を聞かせてくれた。

僕は・・・マルスだ。

頭を打って、脳に「何かあるかもしれない」。
死にかけて、「命」の儚さを知り、生き急ぐようになってしまった「狂気」の王子。

命がけの、舞台だ。

「マルス様!?」
!?
ばっ・・・
なぜ!?
「・・・マルス様、どうかされ・・・怪我してるじゃないですか!?」
どうして・・・ここに!?
・・・・おちつけ!!
今は問題はそこじゃない。いかに自然にするかだ。
会話の中で状況を探ればいい。
「・・・大したことはないよ。 ノルン 」
「・・・そうおっしゃるなら」
彼女はアリティアの関係者としてここにいる可能性が高い。他にここにいる理由がない。
だって、彼女は、
同じ村にいたんだ。
村長の、4番目の娘。
マルスの様子を見に行ったり、誘われてこっそり遊びに行ったときは見なかった。なら・・・
「で、どうだった?」
「ここでご報告するのですか?」
「もちろん皆をまじえて報告はしてもらうけど、ある程度聞かせてよ」
軍事斥候だろうと買い付けだろうと諜報活動だろうと、この聞き方なら自然のはず。
まず内容より「与えた仕事そのものを知らない」この事実を消さなきゃいけない。
「・・・オレルアンが、苦戦中です。ミネルバ将軍を中心にミシェイル王子率いるマケドニアの勢いは衰えを知りません。もともとマケドニアはアカネイアに恨みがありますし、弱体化したアカネイアはたぶんもう・・・
オルレアンが最後の希望ですが、このままでは盛り返すのは難しいでしょう」
やはり斥候か。
「・・・ありがとう」
「あの・・・そのお怪我は・・・」
・・・そろそろはじめるか。
「・・・崖から落ちてね」
「崖ッ!?」
「大したことはないよ。多少頭も打ったけど、
結構な高さのわりに身体は・・・
少なくともここまで歩けるくらいには」
ノルン姉ちゃん・・・
ごめん。
「ノルン」
「はい」
「僕は愚か者だ」
「マルス様?」
僕はマルスだ。いま狂い始めたのは王子だ。
そして。
マルスが戻れたら、治った事にすればいい。
「父が死に、姉上が攫われ、グラの裏切りを
聞いても、僕には解らなかった」
「何が、ですか」
僕は
「僕は、死ぬのだということを」
「・・・・・・え?」
肩を震わせて捲くし立てた。少しずつ狂うように。
まるで別人になったことにすれば、多少の不自然さもかききえるだろう。
「・・・アンリの子孫である僕は、いずれメディウスを、暗黒竜を倒す希望であるといわれつづけ、それを予定調和のように感じていた。そんなはずは無いのに。崖から落ちただけでも死ぬような只の人間なのに。僕は英雄なんじゃない。英雄にならなければいけないんだ。取り返しが付かなくなる前に、始めなければいけない。やっと気付いた」
「じゃ、じゃあマルス様!」
ぐるんッ!!!
見開け。狂気を瞳に映せ。彼女が怯えるほどに。
けれんを翳せ。まるで舞台のように。
俺こそが魔王だとでも言うように!!!
「雌伏を終えるッ!!!
進撃を始めるぞノルン!!!!!!
不本意だが今我がアリティアには人材はいても
兵はいない。都合せねばならんがまず行動だッ!!
オルレアンが沈まぬうちに合流せねば、
次の機は無い!!!!
・・・・・・ノルン。君には弓兵に関わる殆どを担って
貰うことになるだろう。ゴードンも居らぬ今、
君が頼りだ」
「わ、私が、ですか!?」
厳かに、しかし少し寂しそうに。
「足らぬか?」
不服か?ではだめだ。それ以上の評価をしている
ニュアンスがいる。今は与えられるものは
これだけしかないのだといわんばかりに。
しかしカリスマを損ねない程度に。
ノルンの、弟を気遣うようだった視線が憧憬に
変わり、光を宿し、背筋が伸びる。
「いえッ!!!!!! 身に余る光栄です!!!!!」
眼光はそのままに、微笑んでみせる。
前を見て、振り返らない。
してない怪我を忘れたように見せるのは楽だ。
「期待しているぞ」
「はいっ!!!!!!!!!!!」

彼女に「自分は特別だ」と思わせるのは簡単だ。
理屈ではない。本当に特別だからだ。
初恋の、相手。

 続く

by おかのん (2011-05-26 20:47) 

ぽ村

縛り返信ぬこ
>>おかのん
ヲレの趣味でゴメンナサイだが、アルタイル君、「心の暗さ」が足りないんじゃないか…?

マルスを無二の友人として思いつつ、知識が付いてくると色々考えたり感じたりするようになる。
アルタイルが理不尽で焦燥さえ覚えるマルスの立場。
しかし、マルスはもどかしいほど大人しくしている。

そこに苛立ちに似た何かを覚えないと「かわりに王子になってやろう」って思わないんじゃないだろうか??

同じ容姿なのに、老若男女問わず羨望の目で見つめられるマルス。
そして初恋の娘の瞳まで奪う男…。

友情という理由だけで、仮面をかぶり続けられるか?
心の奥底にある暗さを覆い隠すメッキなら、必死にかぶろうともする思うが…。
その後の血肉と肉欲を貪る 久遠 プレイ的にそこらの暗さは欲しいなぁ…と、ヲレの趣味www

我ながら黒いな;


>>おかのん&久遠
あの面は確かに厳しい。
増援だけでもアウチだったのに…。

飛兵を山に臥しておいて、増援出現と共に、マルスの軍の中腹に特攻すればかなりの高難易度面になっただろうな。
そこで行くと、ミネルバはあの撤退でかなり自軍内の立場を悪くしたように思えるつか、よく断罪されなかったもんだ(降格とかされてたりして;)。

>戦場でのXXX
「あの、王子、女性兵士をXXXするのは結構ですが、お子が出来ると戦列から外さざるを得ないので戦力的にちょっと。あと、後継争いがヤヴァくなるのでお控え下さい;」
とかじいやだったら言いそう。
そしてじいやは居ない。

なに、権力者の子を身ごもった女性に不慮の事故はつきもうわなにをするやめろ
by ぽ村 (2011-05-27 01:12) 

おかのん

>アルタイル
感想どうも。うーんやはり書き手の未熟さもあって
伝わってない部分もありますね。
アイル君はこの時点ではあまりその辺を深く考えて
いません。「マルスを助ける手がかりを得るには
マルスの立場を利用するのが最善」と思ったと
いうだけです。
そしてマルスに対する思いは「友情」の一言では
表せないのがホントのところ。
一人で生きてきた彼の世界では普通の人の親友
以上の意味があり、名付け親でもあるマルスは
正に唯一無二です。

・・・まあ、もちろんあのプレイのノベル化なので
こんなもんではないですよ。
「マルス本人ではない」と位置づけたからには
いろいろ体験して苦悩して矯正されていく・・・
はずです。

・・・まだシーダも出てきてませんし。

お眼鏡にかなうかどうかは判りませんが、
よろしければお付き合いください。

by おかのん (2011-05-27 08:11) 

ぽ村

>>おかのん
安易に「精神を乗っ取られた」ではなく、「行方不明になった人の代打」ってシチュエーションは好みだがな。

ええと…畜生な行為に手を染めながら、本人の成長ないし新規加入メンバーを中心に古参を排除・取りまとめるうちに成長するも、本物のマルス登場で自らの地位喪失を懸念して本物さえも排除を画策…というパターンになるのかしら?

ともあれ、コレからが楽しみだったりする。
by ぽ村 (2011-05-27 13:12) 

おかのん

いやあの・・・
ルートを潰さないで・・・
ストーリー大予想!! とかされると書き手としては
とってもやりにくい。
万が一当たってたりすると気力が一気に萎えます。
ただでさえ「エロシーンを詳細にでなくても
入れざるを得ない」話なだけにノリノリとは
言いがたいんですよじつわ。

書くといったからには書きますけどね。
心が折れない限りは。
あと久遠が投げ出さない限りは。

by おかのん (2011-05-27 14:34) 

ぽ村

>>おかのん
HAHAHAスマンな。
TRPGでシナリオ作ってた時間が長かったせいか、物語鑑賞してるといくつも先の展開を考え続けるのがクセになってしまいうという職業?病がw
っつか、悪い癖が;

ま、没になってrも気に入ったパーツがあったら使ってよ☆
無さそうだけどw
by ぽ村 (2011-05-27 14:50) 

おかのん

最後のメンバーはマリア! の、つづき。(か?)
しばらくして久遠が「どうせ生き返らすならチキ
使いたい」と言ってきた。
縛りルールが「SFC版出演してないメンバー
全員最終決戦に出撃してクリア」なので、
ここは譲れない。
く「マリアを・・・・」
もうそれも縛りの範疇。
く「でもシーダは願い下げだぞ!?」
そうだろうね。
わかった。じゃあ条件付きで、最終決戦以外の
マップでは使用許可。
く「・・・で、条件て?」
マリアとチキをプレイ日記でXXXXXXるの禁止。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・解った」

うッしゃー!
そんなわけでマリアとチキはカワイそうなことに
ならずに済みます。
ちょっとアルタイルのモチベーション上がった。
どんな展開にしようかな、と。

by おかのん (2011-05-28 11:59) 

ぽ村

>>おかのん
某条例を守るような条件が付いたが…ソレはあれだぞ?

ちょっとぬか喜びかもしれないぞ?

ヲレが 久遠 なら、XXXXXでなきゃええべwwとばかりに他の変態プレイをだな(ry

ええと、アルタイル君は年下の…っと、ルート潰しませんよハイ;
by ぽ村 (2011-05-28 15:58) 

おかのん&久遠

~偽りのアルタイル~

序章その4 デネブ

次の日。東の砦・・・ 実質の「マルス城」は
ちょっとした騒ぎであった。
もちろん前日の騒ぎはこんなものではなかった。
何しろ主君が騎士達の目の届かぬところで
死にかけていたというのだから。
そのとき頭を打ったというのも問題だ。
そして、それから様子が変わってしまった事も。
問題はまだある。
そしてそれが静かな騒ぎの原因だ。

元々劣勢の時に加勢を申し出てくれた事もあり、
ノルンの事は気にかけていたようだったが、
斥候から戻ってからは特に重用するようになった。
それどころか・・・・
アリティアの弓騎士として迎えるというのだ。
「どうせこの少人数だ。団結力はいるし、
役職としても必要だ。責任ある立場となってもらう
事で、変わることもある。
この機を逃さぬために、出来る限界までの仕事を
してもらう」
と、お前達にもなと言わんばかりに話されては
反対意見も出ない。
とはいえ、昨日今日でも必要以上に共にいる。
カイン辺りは既に嫉妬のような感情をもっている
ようだし、アベルもノルンが女なだけに、
良くない想像をしていた。
フレイはそんな空気に落ち着かず、ドーガは
何も考えていなかった。

「あの・・・マルス様?」
「ん?」
「よろしいのでしょうか・・・私がアリティアの
騎士だなどと」
アイルにとっては、そばにいて欲しいだけだった。
だから、その立場でなければこまる。
「僕がそうあって欲しいと望んだ。だから
そうしたんだ。君が役不足だと思うなら、
研鑽して欲しい。期待しているよ」
嬉しそうにしながらも、どこか物足りなそうだ。
もっとロマンス的なセリフが欲しいのだろう。
わかってはいるが、どうにもならない。
そばに置くのが精一杯なのだ。
騎士として迎えると言った時の騎士達の空気は
思いの他悪かった。カインなど不満を隠しもしない。

何よりマルスにはシーダという恋人がいる。
彼女を差し置くわけにもいくまい。

適当な用事をつけてノルンを下がらせる。

「マルス様」
「ん?」
何故か、じっと見つめてくる。
ああ、俺はかろうじてだが、彼女を見下ろすような
背になっていたか。
などと考えていたら、心に隙ができてしまった。
吸い込まれそうな空色の瞳に心を鷲づかまれる。
思わず、目を逸らしてしまう。
視界にはいったのは、短めの下衣から覗く
ほっそりとした脚。
一気に頭に血がのぼった。
「・・・・・・・!」
わけもなく弁解したい気分になってまたノルンを
みると、彼女も何だかのぼせたようになり、
明らかに動揺していた。
そのまま何も告げず振り返り、どこか軽い足どりで
どこかへいってしまった。
「まずい・・・」
自分の気楽さ加減に頭が痛い。
この立場をなくすために、
歯を食いしばれるだろうか。
などという悩みは、浮かれすぎの証だ。

「マルス様!」
砦の物見にいると、天馬が飛んできた。
なれた動作でシーダが降りてくる。
「やあ」
恋人である彼女にこの偽りは通用するのか。
正念場だった。
「聞きました。オレルアンに向かわれると・・・」
「・・・うん」
綺麗な人だな。そう思った。
不安に揺れる瞳も、保護欲をかき立てる。
この人は女である前に、姫なのかもしれない。
「大丈夫だよ。きっと戻ってくる」
暗に、いやむしろ直接、連れて行かないと
宣言する。
マルスの手前もあるし、あいつを演じている間は
そばにいて欲しくない。
彼女にしか感づかないぼろもあるかもしれない。
とにかく、これ以上の面倒ごとは遠慮したかった。
唇を噛み締める姿には、流石に罪悪感があるが。
「ここには君がいるんだ。この世界には・・・
君がいるんだ。だから。
救ってみせるよ。全部」
貴方の恋人ごと。
僕の、価値でもあるのだから。
手を伸ばし、抱きしめた。
これは必要だろう。
だが、抱きつき返す彼女は、意外に優雅な
抱擁だった。
死地に向かう恋人にするには、どこか・・・
「これがお前の選択というわけか。アルタイル」
!?

思わず振り払う。
声は耳元でした。
間違いなく・・・
シーダ姫の言葉だった。

そこにいるのは、可憐な姫君ではなかった。
姿形は紛れもなくさっきまでの姫と変わらないが、
見下したようでもなく、
しかし見透かしたようなまなざし。
振りまくようでもないのに、
にじむ妖艶さ。
まるきりの別人であった。

胸を張り、にらみすえながらも、アイルは・・・・・・

恐怖、していた。

それを見透かして、シーダが笑う。

「くふ」
蛇と子猫の間のような笑い。

「・・・何者だ」
情報を持っていないことをばらしてしまうが、
どうせ今更だ。
この場はすでにヤツが仕切っている。
こちらは踊るしかあるまい。

「私は、デネブ」
微笑を崩さずに名乗る。

・・・・・・ふざけているのか。
明らかに偽名だ。
しかも、選択のしかたが皮肉になっている。
夏の大三角の一星。
アルタイルと対になる伝説を東方に持つベガでなくデネブを選んだところが、「貴様の芝居にはそれなりに付き合ってやるが、私には別に相手がいるぞ?」とでもいいたげだ。

とはいえ、額面どおりの皮肉なら、
こちらとしては望むところだった。

「くふ」
唇に指を当てて微笑む仕草だけで妖艶さが増す。
アイルは睨み返しつづけるしかなかった。

 続く
by おかのん&久遠 (2011-05-29 10:23) 

ぽ村

縛り返信二つ
>>おかのん
まさかのシーダ「も」ニセモノw
ちょっと衝撃ね;
これが悪j…いやいや、ルート潰さないようん。

譜代の家臣が騎士称号付与に文句あ出るのは仕方ない。
多分シーダにあげても文句出る。
っつか、シーダなんか世が世なら恋人関係ってだけで始末されるぞ「王子にふさわしくない身分の女」ってから;
騎士よか、ソレに準じた「準騎士・騎士見習い」あたりあげれば、騎士より気軽に小間使い他において置けるので、丸く収まるような。


>>おかのん&久遠
っつか、300ターンも遊んだのかええ?
そっちもヴァカンスを楽しんだようで☆
水着の良さを羞恥違う周知しておきたいので、デッドオアアライブのビーチバレーのアレをオススメしたい。
水着の方がづっとエロいどぉ!!

戦死者の数からも今年のあの地方は豊作だろうw

>カイン・アベル・ハーディン・シーザ
さくっと消えたな。
ラディ派のヲレは「おっ☆」って感じだけど、第二部には続かない展開だ。
え?ヲレが言うなって??ww

>レナ
ウチのプレイといい、あの2人は暗黒面に堕ちる傾向が強いようだ。

>歌
その歌歌うとかなりのFEファンがブチ切れそうだ;

>依頼
直しておいたよん♪
順序は変えられないけど勘弁ね;
なんのかんので気をまわしてるじゃないw
「か、勘違いしないでよねっ///(ry」
という反応を希望。
by ぽ村 (2011-05-29 10:26) 

おかのん

!!!!!!<<<<<<<<ぐはあ
(FE風ダメージ表現)

いやまあ・・・
今回のアルタイルで何にダメージかわかりますよ。
先に出されたネタをかかにゃならん・・・くう。
ちゃんと考えたのにパクリくさくなるくやしいー

>カイン・アベル・ハーディン・シーザ
おぐまー!!?

>レナ
この子どう書こう・・・
ヴヴ、頭痛い。

>歌
ねえ。

>依頼
???
・・・なんか久遠が言ったのかな?
文脈から私が気を使われたような。
一応ありがと。
すみませんねぽむさん。どもです。

by おかのん (2011-05-29 20:56) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

序章 終 2つのオーブ

「くふ」
デネブと名乗るシーダ姫の姿の女が、
マルスを演じるアイルに微笑む。

まるきり道化芝居だ。
アイルにしてみれば笑えない。

「まあまて。戯れが過ぎたが・・・」
全くだな。用件を言え。

「力を借りたいのだ」
「つまり要請の形の脅迫か」
皮肉の一つも出る。

にやりとされる。
「私の内面に関わる話になってしまう。ならば、
こういう慎重さは必要だろう?」
「受けるしかない話だ。マルスを演じる限りな」
逆に言えば従ううちはフォローにも回る気が
あるだろう。懸念が減る意味では・・・・・
悪くないかも、と希望を持ってみる。

「これなのだがな」
腰に下げた袋から2つのオーブが出てくる。
一つは灰色のまだら、ひとつは紫と藍の炎。
「死のオーブと、魂のオーブという」
光・闇・星・命・大地のどれでもない。
「オームの杖は知っているか?」
「人一人生き返らせるという伝説の杖か」
マルスに聞いたことがある。
「魂のオーブは、あれの原版のようなものだ」
「!?」
人を生き返らせると?
「何度でも使えるが、問題がある。人一人を
生き返らすのに数万人の命がいる」
「それは・・・」
くふ、と、また笑う。
こちらが気付いたのに気付いたのだろう。
「そう。どうしても生き返らせたい人間がいるなら
使える道具だ。自分におよそ関係のない人間
なんていくらでもいる」
ゾッとするが、魅力的だった。
マルスが万一死んでいたら、なんとしてでも
欲しいものだ。
「つまり、お前には生き返らせたい人間が
いるわけか」
「正確に何人分要るのかはわからんが、
この蒼い炎が真紅になった時に使える」

いずれ手に入れねばなるまい。

「死のオーブは?」
「これは人を殺せる。ある程度近付いて念じる
だけでいい」
これまた恐ろしい道具だ。反則に近い。
「問題はあるのか?」
「残念ながら、ある。まず、魔力に関係するの
だろうが、普通の人間に使っても失敗する。
魔導士でないものが成功させるにはよほど
弱った人間でないと無理だ」
当然の疑問を口にする。
「魔導士が使えばいいんじゃないのか?」
「確かにそうだが魔導士はオーブの禍々しさを
肌で感じて関わりたがらない」
ろくでもない話だ。
「もうひとつ制約がある。それはいえん。
そしてその制約のせいでわたしはこのオーブを
使えないのだ」
やっと読めてきた。
「・・・・・・代わりにやれというわけか」
「そういうことだ」
恐ろしい話をしているはずだが、二人とも
皮肉気か微笑みか、とにかく笑っている。
闇が、深まる。

「ならば、戦争だ」
「うん?」
デネブが察しの悪い顔をする。
「そのつもりで話を持ちかけたのかと思ったが・・」
「話せ」

ふう。

ため息を一つ。

「弱った人間が必要なんだろう?
戦場ならそういう場面ばかりだ。
あれほど命の安売りをする場もない。
どうせ死ぬヤツがごろごろしているぞ。
どの道オルレアンを今つぶすわけにはいかん。
マルスの帰る場所がなくなってしまう前に
始めなければならんことだ。
そのついでに出来ることだよ。そんなことはな」

デネブは呆けていたが、すぐまた微笑み、
そして、抱きついた。

「・・・! 何を・・・・」
「いやいや、なかなかどうして。おまえ、いいな。
気に入ったぞ」
魔女に気に入られたとてやっかいなだけだ。
「まあそう嫌そうな顔をするな。目的をとげたら
オーブはやってもいいし、戦の手助けもしてやる。
察しのとおり魔女なのでな。博識のつもりだし
私は純粋に強くもある。加えて・・・」
「なんだ」
「変身能力もある」
やはりその姿は借り物か。
「あの弓使いになって筆卸しをしてやろうか?」
頭に血が上る。
「貴様・・・・ッ!!!!!!」
デネブがきょとんとする。
「なんだ。本当に童貞か」
死にたくなった。
「優しくしてやるぞ?」
本気の眼だ。
「やかましいッ!!!!!!」

本当に残念そうに、指を嘗めながら天馬に跨る。
今日のところは勘弁して欲しかった。
「そうだ、あの弓騎士のことだが」
ノルンか。
「何だ」
「いきなり騎士にしては古参の立場がない。
貴族の矜持と嫉妬はお前の想像を超えるぞ。
あの娘にもよくない」
それは感じていた。
だが・・・
「手元におきたいだけなら、準騎士扱いにして
小間使いのようなことをやらせればいい。
そのほうが周りも収まろう」

・・・!

そんな方法があるのか。
しかしなぜわざわざ・・・
「気に入った、と言ったろう?」
また、くふ、と笑う。
貸しのつもりか。
とはいえ、自分では思いつくことも出来ない事だ。
純粋に感謝した。

「とりあえず、近々手並みを拝見させてもらうと
するか」
「?」
羽ばたき始めた天馬の上でそんな言葉が漏れる。
「すぐに解る」
微笑を崩さぬまま、タリス城へと消えていった。

ガルダの海賊がタリスに攻め入るのは、
この5日後となる。

 続く

by おかのん (2011-05-29 22:27) 

ぽ村

>>おかのん
今日は一日文章考えてばっかりだったんではなかろーか?
ともあれ乙です。

>ネタ
いやさー、ホラ、原作が ぽ村 のプレイだったり 久遠 のプレイだったりするし、文章含めて「みんなで作っとります☆」感も悪くないんでないすか~?
コチラも おかのん が思いもよらなかった展開を考えて、ソレが活きてもっと面白くなったらヲレも嬉しいしw

それに、作品は添削して記事部分に挙げる時は予想他も削除して作品部分だけ挙げるわさ。
まぁモチベーションを削ぐ行為は自重するけど、気楽に構えても良いんでわなかろうか。

ええと、お次はベッドsh(ry

>添削
久遠 に尋ねたら「べっ、べつにあんたの為にやったわけじゃ」というツンデレな…おやこんな時間に来客が。
by ぽ村 (2011-05-30 00:21) 

おかのん

>ネタ云々
いや、どしてもイヤなら「口出しすんな」的な抗議を
してますよ?
FE的ダメージ表現とかやってる時点で
私もこのやり取り楽しんでますから。
「みんなで作っとります」感もOK。
ただ・・・・・・

思いも寄らないアイディアは純粋に感心しますが
クリティカルに考えてた展開を当てられると
凹むのもマジ。
お手柔らかに。

by おかのん (2011-05-30 18:07) 

ぽ村

縛り返信ぬこ
>>おかのん
書き手は おかのん なので、そちらのモチベーションは気を配りたいところ。

バーチャロンでライデンを使う ぽ村 は読みレーザーが得意でしてな…いや、独り言ですよw


>>おかのん&久遠
早いのう・・・ヲレなんか一日一面…しかも、気が向いて時間があって…という結構高いハードル。

>生娘
戦場で略奪暴行は世の常だと、さっき殺虫したゴキブリが言ってた。

>姉
「私はどうなっても良いから、妹だけは…」
というのはエロ漫画だと姉妹丼フラグなんだが。
ああ、規則があるんだっけ。。。

ええと?
妹が粗相したら代りに目の前で姉を陵辱ってのh(BANG!…どさり)
by ぽ村 (2011-05-30 23:22) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第1章 アイルの進撃 その1 初陣

実質のマルス城である東の砦。
オルレアンの力になるためにと、小規模ながら
アリティア軍の編成が進められていた。
一小隊あたり十数名。隊長を騎士たちとして、
アベル隊、カイン隊、フレイ隊、ドーガ隊、
そしてマルス近衛隊とノルン弓兵隊。
近衛の一部とノルンの隊は女性で編成。
輸送隊との協力で軍隊生活全般のサポート。
ノルンは編成的にもサポートのとりまとめを行い、
村長の娘だったことからなのか、意外と仕切りが
上手い。準騎士扱いでの叙勲のこともあり、
カインも嫉妬はしなくなり、ノルンの有用性を
認めつつある。
たった数日のことではあるが、既に訓練も始まり、
軍隊らしさが見えてきていた。

体を暖める程度の訓練が終わり、アイルが皆に
一言かけようかとしたときだった。
西の空から、天馬が来る。
(デネブ・・・ いや、シーダ姫か?)
「マルス様・・・・! 今、いきなりガルダの海賊が
タリス城を襲って・・・」
「何だって!?」
ガルダの海賊は、ここら一帯の脅威となっている
賊どもだ。とはいえ例のごとく海運業の片手間の
犯罪組織であって、要するにライバルの商船を
襲うというだけの、一般市民には特に何の害も
無い存在のはずである。
タリス王にしてからが黙認状態であるといって
過言でない。
何故今更タリスを襲わねばならないのか。
「お父様も捕まって・・・お願いマルス様。
どうか助けて・・・」
「大丈夫だシーダ。ここにはアリティアの精鋭が
揃っている。海賊どもなんかに負けはしないさ」
と、にこやかに微笑み慰めながら・・・・・・
引きつりそうな顔を抑えていた。
シーダは皆から見えない角度で舌を出していた。
(やっぱり貴様か!!!!)
話は後で聞く、と小声で告げ、これがいつぞやの
『お手並み拝見』であることを理解した。
地方のとはいえ一勢力を丸ごとか。
初陣から大変だ全く・・・・・・

気を取り直して皆に告げる。

「今、タリス城がガルダの海賊に占拠された!!
我々アリティア軍は即刻奪還に向かう!!!
フレイ、カイン! 小隊を引き連れタリス城に
真っ直ぐ向かえ!!!
一撃離脱を基本に敵の勢いをお前達で止めろ!
ドーガは海上からの伏兵を確認した後進軍!
僕とノルンはフレイとカインの打ちもらした賊を
片付けつつ後を追う!
アベルは全体を見回しつつ好きに動いてくれ!
シーダ! 君はついて来てくれ。詳しい話を
聞きたい。
戦況の変化に伴い命令はおって伝える。
信号弾の音を聞き逃すな!!
・・・・・・進撃を、開始するッ!!!!!!!!!!!」
言うが速いか、カイン隊は駆け出していた。
正に疾風迅雷といったところだ。

ノルン隊を近衛共々先行させ、デネブに上空から
戦況を報告させつつ、
「・・・・・・・・・・で?」
「言っただろう? 手並みを拝見すると」
悪びれもしない。
・・・質問を変える。
「ガルダは残虐でもあるが経済組織だ。ただ
ならず者が寄り集まっただけというわけではない。
にもかかわらず自分達の縄張りを黙認する領主に
牙をむいたのはどういうことだ?
関わってないとはいわせんぞ」
「ふむ」
もっともだといわんばかりだ。
「やつらの貯め込んだ財宝を根こそぎ盗み出して
食料庫に火を放ち全ての井戸に毒を投げ込み
系列の船の船底に穴を開け首領の首を落とし
タリスの紋章入りのレイピアでのどをついて
マストで晒してそのそばに間抜けヅラの海賊の
絵と『ばーか』と書いて、その下に『字が読めないと
可哀想なので絵を付けてみました♪』
・・・・・・と入れておいた。
だけなんだが」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「大丈夫だ。そこまで怒ってはいまい。
実際タリスに襲撃をかけたのはガルダ全勢力の
半分と見たぞ」
たぶん復旧作業が先だとする一派と
今すぐ殴りこむと言い出したもの達とで
分かれたのだろう。
こうなった以上根絶やしにしないことには
タリスに平穏はこない。

ふとおもった。

シーダ姫は?
王と一緒に捕まっているという事はないだろうな。
だがこの騒ぎの中、一体どうしているのだろう。
疑問には思ったが、あまり心配はしていなかった。
デネブもタリスを出るまではシーダとして
行動するメリットは大きいはずだ。
ならば彼女自身を危険に晒しはしまい。

今は前線となる北の砦に入り、フレイの加勢に
入る必要があった。

 続く

by おかのん (2011-05-31 22:20) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙☆
ようやく本編突入おめでとうだにょー。

各ユニットは部隊長にしたわけでござるか。
ゲームの通りには上手くは行かないんだよね。
傭兵システムがあるラングの小説でも厳しそうだった。

プロアマ問わず、軍や戦闘の表現は結構難しいっぽい。
戦火の中での個人ドラマがメインとなるんだろうか?
色々と興味は尽きないが、大きな風呂敷広げてしまったとを後悔しない事を望む;

それにしても…
海賊に占拠された城って、スゴイ阿鼻叫喚の地獄絵図な気がするんじゃがモシ。

by ぽ村 (2011-06-01 12:45) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第1章 アイルの進撃 その2 タリスの攻防

側面をついた弓兵の支援はフレイを休息させる
時間を与えた。
北の砦を守りきったことで、勢力図としては互角に
持ち込んだが、兵力は依然ガルダが上。
ここからだ。
「ノルン! 北の山岳を回りこんでくる賊を
警戒しておけ!」
数分後、引くに引けぬ態勢で的になった賊達が
海の藻屑となった。
「カイン!正面からぶつかるな!すれ違うように
振りぬいて手足を落とせ!」
勢いだけで来る賊達が自らの突進で四肢を
奪われてゆく。
「フレイ! 時間差で来る別働隊に海岸を
踏ませるな! アベル!そこから対岸に7分で
陣を敷いておけ!町に賊をいれるなよ!」
信号弾が矢継ぎ早に上がる。各部隊には
信号弾を読む専門の隊員が2人以上編成され、
命令はほぼ確実に浸透する。
あまりに細かく、敵側には解読さえ不可能に
思えるが、「これから何かが起こる」前兆が
あれだけ撃たれて手を止めずにいられる人間も
少ない。
しかもアイルはそれも計算に入れて次の令を下す。

これはアイル流のケンカのしかたがベースだ。
まず、終止落ち着くこと。
熱くなるメリットははっきりいって0。
情熱と暴走は似ているようで逆の物だ。
常に全体を把握し、そして臨機応変。
一つ一つの状況に答えを出しつつ、流れが変わる
たびに瞬間的に作戦を練り直す。
戦の目的とは最初に立てた目標を達成する事でも
大掛かりな仕掛けを成功させることでもない。
生き残ることと、
最後には勝つことである。
それは、実はケンカでも同じなのだ。

勢い任せの突撃ばかりの賊達とはいえ、
倍以上の兵力が大した被害も与えられないまま、
次々と撃破されていく。
マルスに施された英才教育が、彼の指導力の
フィルターを通して、アイルの場慣れによる
落ち着きと自己流ケンカの方法と化学反応。
この戦に関わる誰もが、その戦才を認めざるを
えなかった。

町では狂喜した民衆に軍資金を寄付され、
旅の僧侶の一団が助力を申し出た。

タリス城は完全に包囲された。

頭の一人だというガザックは、例によって
「王がどうなってもいいのかぁ!!!!!??」
人質をとってきた。
そばに本物のシーダ姫がいないのに胸を
撫で下ろし、一応聞いておく。
「中の様子はどうなんだ。脱出時の状況でいい」
お父様ー。などと白々しい芝居を適当にたたみ、
答えてくる。
「人質なんぞ一人いればよかったのでな。
王族用の緊急の脱出路でほぼ逃がしてある。
私としても戦勝パーティも出来ん雰囲気にはしたく
なかった」
よりにもよって王だけ逃げ損ねたとは・・・
ん?
「その言い草だとお前、わざと王だけ・・・」
「お手並み拝見、と言ったろう?」

・・・・・・・ッこの女・・・

・・・しかたない。やるか。
自信があるわけではないが・・・

「海賊頭ッ!!!! お前の要求は何だ!!!」
青二才のしかし凄みのある声に、しかし言い返す。
「とにかく言う事を聞けぇ!!!! じゃねえと王様が
どうなってもしらねえぞぉ!!!!」
「どうなる!!!!??」
間髪いれず判りきったような質問。しかしこれで
ガザックの調子は崩れ始める。
「どうなる・・・・って、そりゃあ、こ、殺す!
殺すに決まってるだろうがぁ!!!!」
「なるほど、言うことを聞かねばタリス王を殺す・・・
では、殺してどうする?」
「・・・・・・・は?」
その場にいた全員が同じ顔をした。
王を殺す、というのはこの場合あってはならない
最悪の事態で、その回避の為に全てが回る。
にも関わらず、その後とはどういうことか。
「ここはすでに完全に包囲した。貴様が逃げる
事は出来ん。そして貴様は確かにタリス王の
命を握っているが、そちらの要求が通らなかった
とき、報復としてタリス王を殺した場合、貴様を
守るものは何一つない。
人質とは全く無事であって初めて意味がある」
立場が完全に逆転していた。
何なのだコイツは。
「貴様は殺すと言ったな。シーダの父であり、
落ち延びた僕を受け入れてくれた2人目の
父であるタリス王を・・・・・!」
さらさら思ってもいないセリフを激情のままに
吐き捨てる。
「もし殺してみろッ!!!!!!!!!!!!
全軍突撃し刹那に捕らえ、貴様には一ヶ月かけて
ありとあらゆる地獄の責め苦をしてやるッ!!!
海賊の私刑のしかたくらい知っているぞ。
体中の皮を剥いで潮風に晒すのだったか?
ついでに海水もかけ続けてやろうかッ!!!!!!
全ての指を潰した後、ヤスリでけずってやるか。
それとも山賊風に、全ての骨を叩き折った後、
カラス共にでもついばませようか。
ウジを生きたままの身体に湧かせる方法を
知っているか!!!!!!!!????
耳が壊れる寸前の爆音を数時間聞く恐怖を
考えたことがあるか!!!!!!!???????
冥府魔道の力を借りて七代前まで遡り、
貴様の一族郎党女子供まで、そっくり同じ目に
あわせてやるッ!!!!!!!!!!!!!
30秒で答えをだせ。時間が過ぎれば王が
存命でも同じ目にあわすッ!!!!!
30,29,28、ええい面倒だっやはり10からだ!
10,9・・・!」
2秒後ガザックは城門から身を投げ、
首を折って即死した。
マルスはふう、とため息をついたが、まくしたてて
疲れた、以上の感情を表すことはなかった。
フレイは何故か感激していて、アベルは真っ青に
なっていた。カインに至っては涙目だった。
ノルンはこの場にいないが、もしいたらどんな顔を
するのだろうか。
ドーガは海賊の私刑方法あたりで気絶していた。

デネブはいつの間にかいなくなっていた。
今のやり取りのどこがツボに入ったのか、
声を殺して大笑いしていた。
姫として誰かに見せられる姿ではない。

 続く

by おかのん (2011-06-01 23:40) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙でやす!

カインの涙は…ええと…
「我々のふがいなさでこんな汚らしい罵り言葉を王子の頭の中に…」
と、いう涙と理解しておきたいww
デネさんはねー本物のs…あ、イヤなんでもないです;

転職への布石…?
by ぽ村 (2011-06-02 01:45) 

おかのん

ええと・・・

修正してやる予定だったけど、とりあえず
「あれは本人じゃない」事にしたの以外
成功してない気が・・・・・・

だって行動が外道以外の何者でもないもん!!
どうすりゃいいのさ!?
アイル君も「ホントはいい子」の筈だったのに!
(まだ悪い子にはなってないつもりだけど)
デネブなんか私自身予測のつかない方です。
だってこんな人書いた事ない。
とりあえずアイル君とえっちしないといけないから
妖艶なおねえさんって設定したけど、
細かい部分が何にも決まってない・・・というか
決められない!
書いてるうちにだんだんアクティブな策略家に。

マジでこの先どうしよう。

by おかのん (2011-06-02 11:42) 

ぽ村

>>おかのん
一話目分が終わった(?)ばかり。
まだ先は長いですぜ旦那w
海賊話はかぶっているので1・2章を総合でやっても良かったかも。
二章目は別方面ではオグマが指揮を取り、犠牲があったけど撃破・合流。
…みたいに端折るのも手だし。
サジマジバーツの死を描かなくても良くなる…っつか、文章の登場人物は少ない方が良いw

>性格
結構難しいんじゃがしかし、性別にこだわらず、自分が知ってる嫌な策謀・知的悪人キャラ(♂)を女性にコンバートすればそこそこ生きていけるような。
(TRPG経験的に)
もちっと外道なデネさんにシフトせねばならんような。
( 久遠 のプレイ内容的に)
by ぽ村 (2011-06-02 14:44) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第1章 アイルの進撃 その3 宴

突如襲ってきたガルダの海賊を
その日のうちに退治。
マルス自身アリティアの王子となれば
「アンリの再来」と言われるのも致し方ない。

民衆の支持は高く、タリス城では、労いと
感謝の戦勝パーティが開かれていた。

ガルダを黙認していたとはいえ、(そもそも彼らが
牙を剥かなければ問題はなかった上、原因は
デネブなのだが)質実剛健をむねとする王は、
あまり宴を開かないこともあり、久しぶりの
無礼講に皆浮かれていた。

・・・アリティア勢以外は。

騎士達はまっぷたつに分かれた。
マルス支持派と容認派だ。
王子である以上不支持はありえないが、今の
マルスを歓迎する者と、諌めるべきでないかと
考える者とになったわけだ。
「・・・俺は、怖いよ。そりゃあ俺たちがふがいない
ばかりに、コーネリアス陛下も戦死され、
王妃様も・・・ 姉君エリス姫様も守れなかった。
むしろ、守られて逃げ延びた。だからマルス様は
強くならなきゃいけないって、どんなことでも
取り入れてああなられたんだろう。でも・・・・・・
今の王子は変わってしまった。
そう思うだろうアベル!?」
酒が廻って声が大きくなっているのを咎めてから
カインに答える。
「確かに、な。
英雄は強くあらねばならないが、同時に愛され
なければならない。それでいくと今日の
マルス様は、俺でも血の気が引いた。
タリス王を思うあまりの怒りでもあるのだろうが、
あの激情を秘めておられるとなると、
萎縮する者も出てくるだろう」
そうだろう俺のマルス様はもっと守ってあげたくなるようなでもだからこそおれはちからをいかんにゃくひゃっき・・・・
この時点でカインのセリフを聞き続けるものは
いなくなった。
「しかし、理不尽な暴力に対して毅然として
立ち向かったことは民衆の支持を得ています。
王の命さえ取引材料に出来ないというのは
民からみれば正義の象徴です」
フレイは今のマルスに心酔しているようで、
すべて良いようにとっている。
「だが、人は厳しいばかりでは生きていけない。
軍隊とは巨大な家族でもある。
怖いから従う、よりも、この人のために頑張りたい、
の方が長持ちするし柔軟性もある。
フレイ。俺たちは騎士だ。
主君の命は絶対で、戦場での死は誇りだ。
だが軍のほとんどを構成する兵士は、
それぞれの思惑をもつ人間なんだ」
「・・・短慮でありました」
とはいえ、短期間で纏め上げるには規律は重要で
その為には恐怖も必要だ。
フレイもその辺を含めていっただろうし、謝罪を
しながらも変わらず今の王子を支持してるだろう。
「ノルンはどう思う?」
アベルは矛先をかえる。
その場にいなかったこともあり、いまいちピンと
きていない様だが、そういう視点ではどうか。
「・・・結果的に被害がほぼ0に終わったという
事実もあります。それはそれでマルス様の
お優しさの形なのかな、とも。
非情な仮面を被らねばタリス王はどうなった
でしょう。ズルズルと要求を受け入れ取り逃がし、
翌日足手まといになったからと茂みの奥で
死体で発見され、まんまと逃げられる、
というのがありそうです。
ならば論点を『タリス王を助ける』から『お前の
命はこちらが握っている。その上で逆鱗に
触れたいか』に変えてしまわれたのは流石です。
人質に取った側からすれば、重要なのは人質の
命ではなく、それを盾にいかにたちまわるか。
その企みを根本から折り、最良の結果を
出されたのです。
そもそも今マルス王子を不支持するタリス民は
兵たち含めて0に近いという事実も・・・・」
「そうだな」
納得したように見せ、心ではコイツも心酔側か、と
アベルは独りごちる。
「もちろん、結果をみれば、ですが」
ん?
「今回おっしゃられた言葉の残酷さだけが
面白おかしく広がってしまう可能性は憂慮
せざるをえません。その意味で我々がお諌めする
ことは必要かもとは思います」
・・・うまいな。
自分の考えをきっちり表明しながら派閥のどちら
にも悪い印象を与えないまとめをした。
カインなど握手を求めている。
さて、この女。
王子の懐刀になっている可能性もあるのだが。

 ・

マルスが疲れのあるところに慣れない酒で酔い、
シーダ姫が介抱するといって共に客間に消える。
もちろん酔いは大したことはない。
アイルとデネブとしての話があっただけだ。

「くふふ。さっきは笑わせてもらったぞ」
アイルの肩にほっそりとした顎を当てしなだれる。
「どこで笑ったのか聞きたいぞ割りと真剣に」
足を組んでソファにどっかと座る。
胡散臭げな視線を返すと不満そうな顔をする。
「あまり嫌うな。寂しい」
「嫌えるほど俺たちは深くもないだろう」
今度はすこし拗ねたようだ。が、
「なら、もう少し深くなってみないか?」
と、腰のベルトの止め金を一つだけ外す。
一瞬ノルンが浮ぶが、男が操を守ったところで
格好はつかない。
世を捨てて生きようとした時もあったのだ。
こういうのも悪くはないか、と思った。
唇を嘗め、舌を吸ってやる。
嬉しそうに服を脱ぎ始める。
脱ぎ散らかすのかと思えば、意外に丁寧に脱ぐ。
そんな様子が可愛らしく、手伝ってやると、
脱がせてくれ、と甘えてくる。
客間は勿論寝室付きだ。
もてなす意味もあり他の部屋より調度品が良い。

一晩中の宴もかがり火が消えるころ。

「・・・お前、男娼に向いてるぞ」
褒めたつもりかそれは。
姫の姿だけあって、全てが極まっていた。
彼女の教え方もまた丁寧で、もしかするとこの女
意外と育ちがいいのかも知れないと思った。

既に外は夜が明けはじめている。
茶を入れてやりながらなんとなく聞く。
「どうでもいいことだが」
「なんだ」
「まさか孕みはしないだろうな」
されても困る。
デネブはなんの抑揚もなくいった。
「するぞ」
!?
「むしろ今日あたりは危ない。あんな濃いものを
6回も出されたしな」
「おいッ!!!!!!」
「心配するな。ちゃんと育てよう」
何か言い返したかったが、無意味だろう。
・・・仕方あるまい。
「・・・・・・冗談だ」
は!?
「今お前受け入れかけたな? ときめいたぞ。
もっと取り乱すかと思えば。くふ」
また頭痛がする。
しかし枕を抱いてすりつく姿はやはり愛らしい。
「で?」
「昨日お前がさんざんしただろう。あれとおなじだ」

・・・・・・!

「・・・・・死と魂のオーブか」
「そうだ。あれは胎児の命も奪える」
最悪の魔器だ。
「産まれたてが原石で、年とともに磨き、やがて
くすむとする。磨かれるかどうかはソイツしだい
だが、胎児は原石以前・・・魂の光そのものだ。
数百人に匹敵する」
「・・・・・・なるほど。戦という手段を思いつかず
いままでどうしていたのかと思えば・・・・・・」
「くふふ」
こうやって行きずりの男達で孕み、殺させたのか。
「しかし昨日は楽しかったぞ。なにせ肌を
重ねたのは100年振りに近い」
何?
「つい先日まで精神体でな。この娘に憑依して
身体を得たのさえ50年振りだ」
この娘に・憑依・して?
「おいデネブ。お前変身能力があるといって
いなかったか?」
既に答えは出かけていた。
血の気が引き、顔は引きつっていた。
「変化してシーダ姫になっている、ともいってない。
あの魔術はけっこう大変なのだ」
言われてみれば、初めて会った時から、
シーダ姫としてしか会っていない。
ノルンやアベルどころか、メイドや村娘として
会ったこともなかった。

首を傾げる様子は愛らしすぎ、その言動や、
シーツに付いた鮮血に全くあっていなかった。

昨日はどっかと座り込んだソファに、
今朝は力なくへたりこんだ。

親友の恋人の身体を、穢してしまった。
純潔を奪った上、筆下ろしに使って。

絶叫したかったが、本能が邪魔をする。
何一つ解決しない上、いらん動揺が兵に走る。
変な噂もたちかねない。

こんな時にまで変な部分で冷静な
自分の精神が恨めしかった。

 続く

by おかのん (2011-06-02 16:28) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙。

こういう「キャラクターを泳がせてる」って展開は好きだぁねヲレ。
性格もわかるし行動他の説明も伏線も張りやすいし…字数は大きくなるけどw

ところで、憑依がオケィ(つまり、シーダに成りすませている以上、シーダの記憶もコンバートしている=憑依先の記憶や知識に干渉出来る)なら、アイル君がちょっと有能すぎる気がするので、デネさんの知識をある程度アイルに「移植」したことっても出来ないだろうか?
アイル「????!!知らないはずの知識が湧いてくるんですけど!!?」
デネさん「ああ、最初に合体したった後でちょっと知識分けてやったww。アドリブではどうにも出来ない事だってあるだろ?」
代りにアイル君の知識や記憶を持ってかれてると思うけど。
by ぽ村 (2011-06-03 16:32) 

おかのん

んー・・・
前回の「戦術」やずいぶん前の「演技」の下りで
彼の優秀さは「努力」と「生い立ち」による物と
説明してるんですよね・・・

あと「知識や記憶」をわりと簡単にどうこう出来る
となると、逆にいろんな場面で、
「そんなめんどいことせずに記憶読んじゃえば?」
ということになりかねないんですよ。

技術の足らない言い訳にも聞こえるかもですが、
自分の書いた話にセルフツッコミが止まらず
一本丸々崩壊させた経験あるので・・・

ああでもあの程度の説明では「なんで王子と
世間話しててやっと読み書き憶えたガキが
あんな優秀なんだ」ってことになるのか・・・・・・

でも、記憶や知識を交わす事って、とても人間
ぽくって、そのやり取りにお互いが戸惑ったり
感心したりっていうのは好きなんです。
それはFEのSSや今回までのアルタイルでも
書いてきたつもり。
だからそれを一足飛びにできる裏技設定は
入れるの難しいと思います。ごめんなさい。

逆にかなり使いにくく・・・・・・
重い「制約」をくわえれば入れれるかもですが、
そもそもデネブさんのスタンスは、
「享楽的なおせっかい」を基本にと考えてて、
純粋に「アイルの利益」になることをあまり
自分からはしないと思うのでこれもまた
難しいかと。

今後「やはり付け焼刃だけに良く見ると穴
だらけの策で後続全滅」とか、そういうの
使えなくなっても困るのもあります。
ずいぶん殺すの前提だし。
まあ今回は「猪突猛進の海賊どもだったので
うまくはまって優秀さが際立って見えた」
くらいの見方で。

もちろんなんかいい方法思いついたらあっさり
翻して取り入れるかもしれませんが。

by おかのん (2011-06-04 11:54) 

ぽ村

>>おかのん
ううm、確かにいっぺんにコンバートできるなら「お手並み拝見」とかする必要ないものな…。

譜代の連中を殺すのはおそらくアイr…おっとっとw

…じゃあ知識ついた敵さんには結構苦戦するってことか。
まぁ楽しみにしてるんでゆるゆるとな♪

by ぽ村 (2011-06-04 16:21) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
中断期間長くて少し不安だったよ投下乙。
実際にはかなり先に進んでいると思うけど。

おお、一応リセットはしてるんだと、ちょっと安堵。
その成長小技は何度かヲレもトライするも…;

めんどくせえ超めんどくせえ…と、既に放棄してる。
リセットしたくなくなる病もそうだし。

>その前に死
ああ、三姉妹を出さないようにするって事か。
…褐色娘は味わい深そうだからな。
無駄にゃせんように。

ええと、アイル君をどう歪めるかも おかのん の手によってってのが、苦悩の種だなをい;
そのうち、デネさんの外道命令をアイル君が自身の中(良心)への言い訳にし始めたりするんだろうか…?
by ぽ村 (2011-06-04 23:29) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第2章 ガルダの取引 その1 間諜

「おい、起きろ」
ぽんぽん、と、シーツ越しに触れる。
低血圧なのかデネブの寝起きは悪い。
「ん・・・・・・・」
寝ぼけてはいるがその美しさに隙はない。
シーダ姫の身体と言うだけでは説明が
つかないだろう。
まさに魔女。
生あくびをしながら聞いてくる。
「親友の恋人を犯した心の整理はついたのか?」
「やかましい」
むしろ苦悩の真っ最中だが、それを悟られて
メリットはない。
ガルダの殲滅、軍備の拡大、オレルアンへの
計画・・・・・・
やることは山積みだ。
「くふ」
表面上、切り替えが早いのに満足したか、
それともこちらの苦悩もみこしての笑みか。
いまはそれもどうでもよかった。
茶葉をジャンピングさせている間、アイルは
死のオーブを思い出していた。

人の命を奪う。
ほうっておけば死ぬ人間。
全てに手当ては行き渡らない。
無駄になる命。
いらない、いのち。
そう言い聞かせても、軽くなるわけではない。
その人間がそこに存在することそのものを奪う。
あの傷を塞げれば助けられる。
添え木をつければ楽になる。
そう思いながら、念じる。死を。
微量な電流と、夢見の悪い朝のような気分。
まるで快楽抜きで麻薬を嗅いだような。
一瞬の気の緩みが死に繋がる戦場で、これを
使い続けるのは並大抵のことではない。
マルスのために。
その誓いさえいつまで耐える理由になるか
自信がなかった。

王からは愚にもつかない言葉と
オグマ率いる傭兵隊を預けてもらった。
二人とも自分を見る目が殺気立っていた。
どうも昨日の逢瀬はつつぬけだったらしい。
オグマに関してはシーダ姫に特別な思いが
あることは聞いたことがある。
シーダを連れそい城を出るとき、門番にも
ニヤニヤと笑われたのは業腹だった。

ともあれとりあえずは部隊が増えた。
傭兵隊はそれなりの規模だ。
デネブは一言、
「ほう。よかったな。戦力倍増ではないか」
「・・・数の上はな」
「?」
疲れた顔さえ見せたくない。
だが、コイツとの関係は良好でなくても
不快にしてはならない。
「・・・まあ、みていろ。心配事があるだけだ」

数時間後。
オルレアンへの進撃を目指すこと、ドルーアへの
遠征を見越していること、そしてガルダへの
報復が5日後になることと、それまで自由とするが
こちらが決めた日程表にしたがって交代で
城に留まってもらうことを全軍に告げる。
「ノルン」
「はい」
「モロドフから話は来ているな?」
「はい。リストは出来上がっています」
「・・・仕事が速いな。昨日の今日だろう」
「島民の中ではまかり通っている事実も
ありますので」
「それはそうか。としてもありがたい。
よくやってくれた」
「お褒めにあずかりまして」
ノルンを下がらせる。
リストに目を通すと、顔が渋くなる。
ひとつため息をつき、
「・・・やってられんな」
ひとりごちる。

半鐘がなる。出陣だ。
まだ3日目。
あさってじゃないのか?
兵の動揺が治まらぬうちにマルスが顔を見せる。
「急な話になる。北の砦に賊の影が
見えたとのことだ。傭兵隊はたった今から
出陣する!!!!!!!!!!!!!!!!」
どよめきがさらに増す。
「傭兵隊を先行させ構えの形で弓兵を配置。
撃ちもらした兵どもを射てもらう。
弓兵は傭兵隊からも若干出てもらう為、2隊分
編成する。後顧の憂いはない。
弓兵はいつ何時でも撃てといったら撃て!!!
進撃を、開始するッ!!!!!!!」
アリティアの騎士団も後ろに完全装備で
控えていた。
まるでこの場で戦でも始めるようであった。

「おい」
「ん?」
デネブだ。乗馬していると太腿が眩しい。
あいかわらず無駄に妖艶だ。
殿軍とはいえ進軍中なんだが。
「なにやら面白そうなことになっているな」
「何がだ。遠征前に掃除をせにゃならんだけだ」
「私も今アリティア騎士達を見て気付いた」
それで話を聞きに来たか。
「まさかまるごとガルダの手先か」
傭兵隊の出自はほとんど海賊どもだった。
オグマはじめサジマジバーツ、古参はともかく、
タリスで雇い入れて訓練された者のうち殆どが
いざという時のためのガルダの『保険』だった。
「せいぜい同士討ちをしてもらう。後ろに大きく
間をあけて弓兵を置かれては進軍するしか
あるまい。ガルダは5日後の報を受けて
今はこそこそしているだけだ。
戦の準備段階だろう。
そこに一団がくれば戦うしかあるまい。
大混乱の中でな。
くわえて報告に走った間諜には刺客を送った。
情報は断ってある。
やつらは引けばハリネズミ。行けば仲間殺し。
味方だと叫んでも報告はいってないし、向こうは
向こうで情報違いで混乱中。
モロドフに言いつけて傭兵の装いを替えて
おいたから、もうどうしようもないだろう。
サジマジバーツは勿体無い気もするが、
元はただの木こりだしな。
せいぜい華々しく死んでくれ」
デネブは恍惚としていた。
あまつさえ、
「見物に行こう」
と言い出す。
万一でも顔を見られてはというと、
変身は3人までなら一度にかけられるとのこと。
騎士達に指揮を任せて離れることにする。
「フレイ」
「はっ」
「僕が行かないといけない急用が出来た。
北の砦のやつらを殲滅しろ。
傭兵隊に裏切り者が紛れている可能性がある。
その時は対処しろ。
・・・タリス奪還時の君の働きは確かな物だった。
今回も期待している」
「御意!」
フレイはいまのマルスに好感を抱いている。
意に沿わないことはしないようにするだろう。
デネブとアイルは北の砦に向かう。

砦は中も外も地獄絵図であった。
仲間だと張り上げる者もいるが聞く耳がない。
所々で気付いた者が触れ回ろうと動くが、
事情を聞かされているノルンを始めとする弓兵が
次々芽を摘む。
日が暮れるころには、ここの賊どもは壊滅した。
・・・傭兵団共々に。

「俺の部隊に・・・裏切り者が!?」
サジマジバーツを含む、部隊の半数以上が
賊どもと相打ちになった報告と同時にオグマの
耳に入る。
「残念な話です」
こういう報告にもフレイは使える。
淡々としているが礼は尽くすので印象がいい。
「オグマ・・・・・・」
心配そうにシーダが目を潤ませているが、
本性を知ってるこちらとしては微妙だ。
「残念ではあったが、僕としても軍を率いる
難しさをまた一つ教えられた。
オグマ。ぼくに力を貸してくれ。
もうこんなことがないように。
タリス王や、・・・シーダのためにも」
ガルダ本隊に仕掛けるのはあさって。
準備は着々と進む。

「・・・・・・で?」
ぐったりとうなだれた大男を前にデネブとアイルが
言葉をかわす。
「将がたりんだろう?」
確かに1小隊あまっている。
まさか3人とも死ぬとは思わなかった。
バーツと、どちらかくらいは残るかと思ったが。
「で、こいつを使えと?」
「気が向けば、な」
どう見ても元海賊の一人だ。
今は眠らせてあるらしい。
「ひときわ大男で目立ったのでつれてきた」
「ネコじゃあるまいし」
とはいえ見覚えがあった。砦の外だったか。
それなりに強いようでもあった。
「いいだろう。貰ってやる」
「恩に着ろ」
わかった。ありがとう
どういたしまして
「で、まさか下半身目当てじゃあるまいな」
からかってみると、動揺もみせずに、
「お前で満足している。なんだやきもちか?」
失言だった。
罪悪感と共にこちらが疼く。

「コイツの名は?」
「ダロス」
さて・・・・・・

どう使ったものかな。

 続く 

by おかのん (2011-06-05 12:14) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙…と、言いつつ、サジマジバーツの三人の間に「・」が付いてないってどーゆーことよーwwww

王子に物申したいオグマも、自分の部隊から裏切り者が出ては文句も言えないわ、譜代も消えて発言力無くすわ、憧れの年下娘は都会のボンボンにOOOOされるわ悪夢過ぎてかわいそうだ。

あ、ヲレが言っちゃいけないのかww;
by ぽ村 (2011-06-05 22:30) 

おかのん

>サジマジバーツ
あ。
後で調整しようと思ってて、見直したときに
素でスルーしてた・・・・・・(わざとよりヒドイ)

>オグマ
なにせ久遠のプレイでは闘技場でしか剣を
振ってないんじゃないかという放置ぶり。
見せ場がないのに優遇はしようにも出来ません。

・・・別にキライなわけじゃないんです。
むしろシーダとのエピソードは市販の小説にも
出て来るもので、すごい好きです。
他板で書いたSSでフォローもしてるくらい。
ていうかあのSSで彼が不幸なのはそもそも
何でだって意見もあったりなかったり。

「少しでも面白く」と「プレイにそって」と
「つじつまをきちんと」と「この先どうしよう」の
四面楚歌執筆。
たすけてー
                ・・
でも書き続けるモノ書きのさが

by おかのん (2011-06-05 23:13) 

ぽ村

>>おかのん
>サジマジバーツ
当ブログ内のもはや共通語の域だな;

>オグマスキー
ああ、知ってる(きっぱり)。
ホモが嫌いな女の子が居ないように、ゲイツが嫌いな箱○ユーザーは居ないように、オグマが嫌いなFEファンは居ない、と聞き及んでいる。

…前の二つの例のせいで信用度が怪しいな;

>四面楚歌
ううm?
TRPGシナリオ書きまくったヲレには「消去法で出来る事限られた方がやりやすいわww」とか思うポイントなのだが…。
おかのん の場合はあれだ。
自分の心(っつか、FE愛?)をガン無視すれば出来る!
ソレが一番出来ないだろうけど…;
by ぽ村 (2011-06-05 23:45) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
>アレ?
ソレはアレだ。
ちゃんとした経済原理として成り立っている奴隷市場を、権力者の気まぐれで崩壊させるのが問題なんだろ…。
「みんなの話合いで決めましょうw」みたいな。
どちらにしても欺瞞だな。

>だれかさん
だれだよー。
殺した挙句に猟奇表現を要求するとか、人間とは思えない所業だ!(爆)

>寝取る
NTRは最高ですねはい。

>ラディ・ウルフ死
…だんだん苦しくならないかソレ。
新規加入メンバーが活躍してる様子は無いんだが…;
by ぽ村 (2011-06-06 12:37) 

久遠

>新規メンバー云々
うん。
だからシーダとフレイとノルンとアテナが前線。
レナがフォロー、ロジャーやダロスが露払い。
リフが回復。マリアが訓練中(トドメ要員)
少数精鋭で落ち着きつつあるZE?
メンバーも十分使える。
だれだほぼ使えないとかいったのw
失礼じゃないかw
by 久遠 (2011-06-06 19:34) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第2章 ガルダの取引 その2 詐欺師

二日後。
あえて宣言どおりの日。
ガルダの本拠地に向けてアリティア軍が進む。
こちらは鎧を着けた軍隊だけに、水上は
動けない。だがむこうは海賊。平気で渡って
来るし、斧の一撃はなかなか強力だ。
「・・・セオリーどおりの進軍だな」
デネブは退屈そうだ。
「・・・だからといって飛び回るなよ。ハンターも
少なからずいる。用心しろ」
「わかったわかった」
と言いながら、事もあろうに突然飛び立った。
「おいッ!!!!!!!!!!!!!!」
「用心はする」
その声が聞こえたかどうかも解らない。
すでに小さくなっていた。

位置関係からして中ほどの小島の上空。
「しばらくかかりそうだな・・・」
のろのろとした進軍だ。
おやつにすることにした。
持ってきたマドレーヌその他と、果物の汁を混ぜた
茶を取り出す。
凍らせておいたのでちょうどいいころだ。
マドレーヌも茶もアイルの手製だ。
食べることにかなりの執着を持つアイルは、
城の厨房によく行く。
しかも作るほうでもだ。
シーダも上手かったようで記憶の中にはレシピも
あるが、当のデネブが料理に興味がない。
そこへ行くとアイルは上手かった。
きっちり量を測りタイミングを計って単純ながら
集中力の必要な作業を繰り返す。
化学反応としての解釈をしながら舌に快楽を
感じさせる工夫を凝らす。
「あいつは生まれてくる親をそもそも
間違えたのだろうな」
気がついたら孤児であった時点で、
その可能性は高かった。
そんなことを考えながら、手のひらほどもある
菓子を2つもたいらげ、
最後のタルトにかかろうとした時、

ヒュッ!!!!!

「ひゃ!!?」
幸いペガサスの方がよけたが、デネブは自分で
結界を張っていた。
であるからむしろ、
「私のタルト・・・」
菓子を落としたほうが痛恨のようだった。
「・・・真下の小島か」
タルトの恨みは恐ろしいのだ。

数時間後。
デネブが戻ってくる。
「・・・なにをやっていた」
「それなのだがな」
「王子!」
ハンターが一人ついて来ていた。
聞けば母親の薬代が欲しくて海賊に雇って
貰っていたという。
食い物の恨みで追い回したら、どうやらシーダの
記憶にあったので話しかけてみたらしい。
アイルは笑顔を崩さず、
「そうか。心強いよ。さっそくだけどここから
南西の砦に補給物資があるんだが、正確な
量がわからないんだ。明日本隊が着く前に
纏めておいてもらえないだろうか。
いきなり雑用のようなことでごめん。
でも今は手の空いてるものがいなくて・・・」
「お任せください!!!!!!!!」
カシムと名乗ったハンターは足取り軽く
砦へ向かった。

「あいつはこの辺りじゃ有名な詐欺師だ」
「・・・・・・そうなのか!?」
素か。素でか。
「有名すぎて、雇い入れる前に難癖つけて相場の
半値に値切ってから、母の薬代の文句を聞いて
8割で雇うというのがこの辺の常識だ」
ようはアホである。
成功してない時点で詐欺師ですらない。
「で、お前はそのアホにいくら渡した」
「500G・・・」
「小遣い全部か!?」
ちなみに1Gでパンが1個買える位である。
日雇い1週間分くらいか。
「屈辱だ!」
まごう事無くな。
・・・全く・・・
だんだん解ってきた。
コイツは人を陥れるのは上手いし、それを
楽しむ類の女なのは間違いない。
しかし同時に本人も隙だらけで阿呆だ。
「落ち着け。なんとかしてやる」
振り回していた腕が止まる。
「どうするのだ?」
「というか、もう種は蒔いた。ノルン!!!」
「は」
木陰から出てくる。
「『流布』はできるな?」
「勿論です」

「なぁにぃ!?カシムがうらぎったぁ!??」
「へい、で、今は南の砦でこそこそ何かやってる
ようですぜ」
ガルダ本拠地である古城ではすでに
カシムの裏切りが露見していた。
 
日が暮れる前に砦は包囲された。
「な、なんでこんなことに・・・・・・」
軍事物資は質が良い物も多く、ちょろまかせば
さらに一儲け・・・と思って入った途端であった。
しかも裏切りまでばれていた。
冗談抜きで殺される!!!!!!

「クク。ただで囮が雇えるとはな。
戦場というのは面白い」
「左様ですな」
フレイも追いついていた。
「私の500G・・・」
「わかっている」
「焼き菓子も落としたのだ」
「いくらでも作ってやる」
このアホ丸出しの会話をシーダ姫でやるから
始末におえない。

結果、砦の攻防は、カシムをいたぶろうとしていた
背後を突かれて海賊どもの大敗。
ガルダはもう本拠地にいる者たちだけとなった
ようであった。
カシムは重傷を負って腕を切り落とすハメになる。
むなぐらを掴んでアイルが脅す。
「あまり俺を舐めるな。逃げられると思うなよ。
俺がタリス王を人質に取られてどうしたかくらい
知ってるだろう。とてもとても健康な
母親共々、飲み続けなければ死ぬ薬で
働かされるのも嫌だろう?
わかったら後詰めの部隊で寝ていろ。
ああ、あと1000Gを返してもらおう」
なぜ倍!?と思ったのが顔に出たのだろう。
ニヤリと笑われ、
「手間賃と利子だ。安いものだろう?
なんなら貴様を『助けに』出向いた騎士団の
運用費も計算に入れてやろうか?」
カシムは気絶した。
滂沱しながら、呟く。
「母さん・・・・・ごめんよ・・・・」
ハンターとしてのカシムの最後の言葉だった。

閑話休題。
せめて「いくらでも」とは言うのではなかった。
その夜はアイルはずっとスイーツ作りだった。
すでに7枚目。
今日の菓子は例の中ほどの小島に生えていた
野苺とイチジクのタルトだ。
その匂いにつられてきたノルンにも分けた。
疲れきっていたアイルは、女弓兵と輸送隊の
給仕係にも配る約束に至った経緯がどうしても
思い出せなかった。

 続く

by おかのん (2011-06-07 00:59) 

ぽ村

縛り返信二つ
>>久遠
…そういえば、枠二つの話はどうなったんだろう。
仲間できるやつも居なくなったらシーダももちろん候補者に入るとおもわれ。

という事は、「ファック対象ってのと戦力以外の付随価値が無いのに使い続けてる」という事になるので、フレイは確定っぽいな。
コイツで仲間になるヤツは居ないだろう…。


>>おかのん
カシムがりんちすぎる…
素人目からだと可哀想っつうか、ファンからするとこのくらいの評判・評価なの!?w

ええと、たしか…ゴードンより役に立つんで、「ゴードンカワイソスwwww」って重用されていた気がする…。
うん、まぁいいや。
久遠 のあのプレイでまだ命あったんだから恵まれてるだろ…。

その後、カシムはなんとか片手でも扱える石弓使いになったんではないか?
by ぽ村 (2011-06-07 01:50) 

久遠

>枠二つ
あ、確定してるよ。
デネブが出演決定したのは俺が「シーダ確定w」って言ったからだし。
やたら強くなったので。後他の娘と比べても見た目が別物級にイイし。
で、後一つはこないだマリアに決まったばかり。
おかのんに決定権渡すんじゃなかった・・・

後フレイは縛り条件「新規出演組」なのでそもそも使うしかないよ。
by 久遠 (2011-06-07 08:07) 

おかのん

>カシム評価
どうなんでしょう。序盤の弓使いとしては彼のほうが
上のようです。後、私は母親を出汁に金せびる
コイツが大っキライなので、こんな感じですが、
単に使えるからと使う人や、群を抜いた異質さに
面白がる人もいますし、それぞれです。

>恵まれて
そうなんですよね・・・・・・・
こういう話の流れだとキャラが立ち過ぎてて、
アイディアが浮かんじゃった以上殺せなかった。
もっと早く思いついてればサジマジバーツも
生きてたのに。
・・・・・・だとしても詐欺師の手下な人生か。

ちなみにシューターに転職は出来ません。

by おかのん (2011-06-07 08:36) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第2章 ガルダの取引 その3 協定

「くそっ、くそっ、くっそぉぉぉぉおお!!!」
ガルダの副頭領・・・デネブが頭領を殺した以上
事実上のトップの男だ。
見たままに荒れている。
「どうすんです、親分」
「うるせえ!てめえもちったあ考えろ!」
「降伏する際大事なのは印象っす。逆らう気が
ないことをちゃんと証明するには・・・」
「やつらをぶっ殺す方法をだよ!!」
海賊らしいセリフかもしれないが今は薄っぺらい。
兵力はすでに事実上ない。
ここにいるのは幹部クラスだ。
そもそもガルダ海賊は、ガルダ港を牛耳る
ドーン一家が、ライバル商船を邪魔する目的で
作った私設軍のようなもので、
自警団と海運業を兼ねている。
独占によって海産物の値引きがされにくいのが
問題な程度で、住民にはメリットのほうが
多いくらいだ。
前の頭は常にガルダ全体を見ていた。
荒くれ者が娘を襲ったり、酒によって暴れるのは
どこででもある。
ならば纏め上げてある程度でも管理する。
自分達が守ってやってると思わせればムチャは
しなくなるし、血の気は海賊業ではらせる。
なにより幹部の意見を吟味した。
ルタルハが参謀になれたのはそのおかげだ。
だがゴメスはただの鉄砲玉だ。
ごねてその位置にいるに過ぎない。
ルタルハはあの人の作ったガルダが消えるのが
我慢ならなかった。玉砕して何になる。
しかし率いるのがゴメスではどうにもならなかった。

「ノルン」
「はい」
「『自壊』は出来るな?」
「するまでもないでしょう」
「ほう?」
落ち着き払った声に興味がわく。
「参謀のルタルハは実利主義ですが義理堅い。
あの男はガルダを残したいはずです。
城を囲えばたいして待たずに動くかと」
ふむ。
・・・・・・
「モロドフを呼べ」
「はい」

「では、一両日中はヒマだな」
「おまえはな」
こっちは王子としての仕事がいくらでもある。
優先度の高いものからこなさなければならない。
「手伝おう」
・・・・・・・・・
「明日は槍でも降るのかという顔だな」
矢ならわりと降るので笑えない。
「こうみえて慣れている。まあ見ていろ」
言ってみたかったらしい。満足気だ。
実際有能だった。こちらがアドバイスを受ける
場面が頻繁にあったほどだ。
途中からノルンがモロドフの件で入室した際、
彼女も手伝うと言い始め、甘えるが、
村長の仕事も手伝っていたと言う彼女と比べても
随分と速かった。
「なんでまた手伝う気になった?」
くふ、と笑い、
「今夜の相手をして欲しいのでな」
「ばっ・・・・!!」
あわてて止めるがあの夜のことは周知の事実だ。
ノルンも聞きおよんでいるだろう。
彼女のほうをみやると、耳まで真っ赤にしながら
しかしちらちらとこちらを窺っている。
デネブがとんでもないことを言い出す。
「おまえも混ざるか?」
「よろしいのですか!?」
は!?
「二人で可愛がってやろう。なあ?」
抗える道理はなかった。
最高に最悪なことに、すでに仕事は
あらかた片付いている。

「可愛かったなぁ?」
すよすよと眠るノルンの髪を撫でながら
デネブがからかう。
ノルンか、俺か。両方か。
シーダも、ノルンも、犯したのは両方俺なのに、
今回はマルスに寝取られたような気分だった。
ノルンはアリティア勢の中でも、
素に近いアイルを知っているだろう。
それでも認識は、『マルス』としてだ。
どう答えたものかわからず、どれでもない答えを
探してしまい、つい、
「お前がか?」
などと口走った。
流石に驚いたようだったが、まんざらでもない
様子を見せるので、今度は本当に可愛く
見えてしまった。
引っ込みがつかなくなり、初恋の女が寝ている
横で、再び肌を重ねた。

またさらに2日後。
内からの手引きでゴメスはフレイに打ち倒される。
その時点で全面降伏してきた。
「カシム」
「は、はいっ・・・」
「お前は今日から『シュテルン商会』の大旦那だ」
シーダ、ノルン、モロドフはともかく、
海賊含めその場全員のあいた口が塞がらない。
アリティア騎士達を下がらせる。
「貴様はこの界隈じゃ有名な詐欺師だ。
だからこそ『心を入れ替えた』と触れ込み、
行動が伴えば、絶大な信頼を得る。
海賊ども。お前らにすれば頭がすげ変わる
というだけだ。励め。
ルタルハを中心に好きにやれ。
カシムは担ぎ上げておけばいいが乗せる必要は
全くない。精々看板として引っ張りまわせ。
・・・いいなカシム。身を粉にしろよ。
立派な大旦那であることがお前の生命線だ」
真っ青でコクコク頷くカシムを尻目に、
「何かやらかしたら俺に伺いをたてずに
さっさと殺せ。その時はルタルハ。
・・・お前が後釜だ」
と、ルタルハにつげる。
大旦那とは名ばかりで、ガルダの奴隷に等しい。
今はシュテルン商会だったか。

城攻めの最中、町の者から直訴があった。
レナというシスターが攫われたのを助けて
欲しいと言うのだ。
快く引き受けてはおく。
「どうするのだ?」
「・・・まあ、どうせサムスーフは通らねばならん。
大した手間でもあるまい」
ふと意趣返しを思いついた。
「なんだ、やきもちか?」
反応は期待と反対であった。
「可愛いものだろう?」
と、甘えた上目遣いをしてくる。
相手が女である時点でこの手のことはハンデが
ありすぎる。
アイルは沈黙するしかなかった。

 続く

by おかのん (2011-06-07 13:31) 

ぽ村

縛り返信二つ
>>久遠
ああ、なるへろ…
前のはブラフも含めての発言…と、思ってた。。

ヲレは「デネさんを生かすか殺すかも不確定ww」って要素を残してるのかと思った;
ホラ破滅系な展開なら、あの女も死亡フラグぢゃん?


>>おかのん
>カシム
ゲーム部分ではシーダの説得とか数少ない台詞で察するしかないが、小説とか周辺作品はそういう描写だったんだろうか?
仲間になるのも結局金だったみたいだしな。
金くれなかったらシーダも言い訳しながら射殺したろうw
かえって解りやすい人間のような気もする。

>シューター
どろうな…。
一歩も動けないしw
しかし固定兵種ででも仲間に一人くらい居ても良かった気がするヲレ。
by ぽ村 (2011-06-07 13:37) 

おかのん

>カシムの描写
第二部のエンディングでちょっと、ねぇ。

>シューター
DSやFCでは仲間になりますし、Aナイトより
遅いけど移動します。
・・・DS版しかしらないけど意外と使えます。

>生かすも殺すも
ええと・・・
久遠のプレイは終わってるので確定です。
じ、時間が・・・

>返信2つ

あ、重なってる。

by おかのん (2011-06-07 15:16) 

ログインしてないけどぽ村すよ

>>おかのん
あ~一応二部最後で触れられるのね。
その結果が鬼畜カシム…っと。
えなに、カシムが鬼畜ってs(ry

>決定
あぁ、そうなのか。
コチラも早めにリプレイ進めたいが、ご覧の有り様でござる…

携帯だと不便すぎるのぅ;

>時間
を?
兄弟(?)で同じPC使ってるわけでわ無いのか…
by ログインしてないけどぽ村すよ (2011-06-08 02:27) 

おかのん

>時間 を?
ああいや。ぽむさんの投稿とほぼ同じ時刻で、
アルタイルの投稿をよんでないみたいだったので。

>カシム
私がキライなだけで、詐欺意外の描写は
ないんですけどね。


by おかのん (2011-06-08 19:18) 

ぽ村

返信二つ
>>おかのん
>時間
あ、ホントだよこりゃ失礼;
で、拝読。

おお、カシムが出世!
触れ込みは「元詐欺師、親孝行社長に転身!」だろう。
よかったなぁカシム!

>ノルン
憧れの人、権力者に対してビッチすぎワロタwww
ええと、しかしだ。
コレでシーダ喰うのもタガが外れるだろうし、女性不信に陥れば畜生道な生き方もしやすくなr(モガモガ)


>>おかのん&久遠
世紀の一戦ほど戦う前に勝敗は決してるものさ…。

>ミディア
エロゲー乙w
いやーなんつーかヲレのプレイ(あっちはトーマスが死姦…しかんしゃとーます!!?)といい酷いポジションにいるよなぁ;
何でだろう…?
・ヒトのもの(彼女)である
・捕らわれている
・彼氏と揃ってあんま成長しない
・幸薄そうな見た目
以上のあんま目立たないヒト要素から、「じゃ、もっと不幸になれば悲劇のヒロイン的に存在感出るんじゃね?」って加虐的嗜好を刺激されるんだろうかどうだろうか。

まぁ物書きをちょいと目指してる(?) おかのん は、自分の嫌いな(自発的にまず書くことの無い)文章に敢えてチャレンジ・完結させる事もいい経験なんじゃないでしょうか?

>ブーツ
重量級!
重量級に!
…もう遅いっぽいけどw
by ぽ村 (2011-06-09 15:53) 

久遠

>書かない文章をあえて
だよなあ?
あいつの小説いくつか読んだけどものすげえ無難な話で面白くもなんともねえの。
自分では「この作品のここが新しい」「このメッセージは挑戦的」とか、冒険肯定な事言うのに、自分で書くと途端にビビリでさあ。
もう作家目指してるわけじゃないみたいだけど、どっちにしろ自分の書いたもの人目に晒すなら、そういう思い切りって必要じゃん?

アマゾネスプレイ書くとかいってるけど多分毒にも薬にもなんない駄文になるぜ。
逆にアルタイルは俺自身が楽しみなくらい。
さあてどうするかなぁ?w
by 久遠 (2011-06-09 18:50) 

おかのん

うっわムカつく!!!!!!
・・・まあ、散々言われたことなんで今更ですけど。
ちくしょーてめーこのやろー

by おかのん (2011-06-09 21:42) 

ぽ村

縛り返信ぬこ
きゃー!
私の為にケンカはやめてー(もう遅いかもしれないけどw)

>>久遠
いぢわるもホドホドにするのが大人ってヤツだぜ…(加齢臭気にしながら)。
無難…とはいえ、安心を誘う内容の小説も需要は大きい。
競争率も高そうだが。
まぁ、ヲレたちは色々と妙な方向に訓練され過ぎかも知れん…。
それでも先鋭化した話は好きだけどなっ!!


>>おかのん
まぁまぁ。
読んでくれる&感想言ってくれる読者(?)が近くにいるなんて幸せでねぇか…。

作り手にとって、一番きついのは罵声ではないよ。
相手にされないとか、感想が無いとかの無反応系が一番キツいんだ。

自分が好きな色が自分に似合う色とイコールでないように、 おかのん にゃー色々な文章を書いて読んでって欲しいニャー。
ひょっとしたら自分に似合う文章や、自分の好きな文章を再評価…もっと好きになる可能性だってあるし…。
何より、引き出し多くする事は悪い事じゃねぇべさ。
by ぽ村 (2011-06-10 00:09) 

おかのん

・・・まあ、そうですね。
精進するです。
にしてももちっとオブラートに包んでよと思いますが。

by おかのん (2011-06-10 00:52) 

一り(mod)

>相手にされないとか、感想が無いとかの無反応系が一番キツいんだ。

 それって僕のことですか?w僕のことですね!僕のことなんだなコノヤロゥ!!!!(爆)

「………。」

 自虐ネタはこのくらいにして、
 自分の場合はほんっっっっっっっっっっとに
 遅筆なので、
 アルカディアとかのSS掲示板に
 載せる事が出来ないなと判断したので、
 自分でノンベンダラリとブログを
 立ち上げはしましたが

 同じ同志をネットで探して、仲良くなって、
 リンクを貼って観覧者を増やす…という事を
 やらないでほんとに細々と書き続けているのが
 原因なんだろうなと思ったりはしますけど……w

 自分の場合は完全にプロには慣れない、
 技量がないと悟りきっている
 からなんでしょうね。
 学校にいた頃の国語の成績が2でしたもんw

 あと、一つの物語を…ちょっと、自分の書いているもの恥ずかしいですけど説明しますと、

 とある魔術の禁書目録の二次創作を
 書いているわけなんですけど、
 一巻部分で書きたいものがあまりにも多くなりすぎたので、上条 オリキャラ1(魔術と超電磁の話に干渉) オリキャラ2(超電磁のみ干渉) オリキャラ3(mob、上条に干渉)
 と、すべて時系列同時進行で上条の一巻と
 オリキャラの三巻を
 全部タグを区切って書いているせいでもう大変!

 プロットを見てみると、
 自分でも吐き気がしてくるような量なので、
 一年前ほどから絶賛絶望挑戦中です。(デモンズソウルかよ。。。
 それにこの書き方ってノベルゲーみたいな感じでストーリーの枠が完全に分離しているので
 投稿サイトとかでは出来なかったというのも一つの理由だったりします。


 なんか書いていて、久遠さんに完全に何か言われるだろうなと思いますけどw
 まぁ、書きたい物が自分の中に出来たのであれば、それはプロアマ関係なしに時間かかろうが
 本人に根性あれば生暖かいホッカイロのように……。

「………。」

 自分でも何が言いたいのか解らなくなってしまいました。長々と駄文の長文すいません。

 国語通信簿2からお送りしましたw。
by 一り(mod) (2011-06-10 01:40) 

久遠

を?
一りさんブログやってんだ。
URLはってよ。
国語通信簿2とか一りとかで検索したけど、それらしいもんが見つかんねえ。
とあるは嫌いじゃねえから読んでみたい。

>国語の成績2
関係ねえよーw
それいったら おかのん だって大学も行けねえよーな頭って話になるけど、アレが頭悪いとは思わねえし。
その人のやり方とかペースとかはあるもんだとは思うよ。
発表する場所でテイスト違うだろうしさ。

ただ おかのん の場合、あのペースで書けるのに応募作品とかが悪い意味でまとまっててつまんないのよ。
少しでも「コイツは今までの作家と違う」って思わせなきゃなんないのに。
まあもうあきらめたぽいけど。

あ、そういや 一り さん ココは読んでる?
同じ「物書き」の視点で、アレどう思う? アルタイル。
感想よろしくぅ~

by 久遠 (2011-06-10 08:12) 

久遠

またダウト~
今回のアルタイルの、ノルンの超長ゼリフの最初。このとき落ち延びたのはタリスからじゃなくてアリティアからだよな。
直しといてやって。
それからぽむさんのここでの6月4日のコメント。
「ええと、アイル君をどう歪めるかも・・・
の後。
アイルを歪めれるのは俺じゃね?
まあ、もう一週間前のコメだけどね。
by 久遠 (2011-06-10 08:50) 

ぽ村

縛り板返信みっつw
>>おかのん
んんむ…。
なぜ批判するか、されるか…というメカニズムが解れば結構良い線いくと思うんだ。
批判するのがやっかみだとか揚げ足取りならただの悪意・蹴落としたいだけなんだが。そもそも字書きのライバルでもない 久遠 がそういうことをする必要は無いわけで。

言えて妙な批判なら質の向上の為に改善してほしいという表れなので、むしろ好意的に受け入れられるかと。
しかし 久遠 は距離が近いので、つい尖った批判をしちまうんだよきっと…。
まぁ、聞き入れやすい批判の仕方を求める おかのん の考えも解るわ~…。
だって、文字書くのって構成・表現・推敲とか面倒な手順
を踏む作業だし…。
褒め2・けなし8のツンデレ黄金比率な批判が欲しいのよねw

…ええと?
ココって何の板だっけ;

>アルタイル
譜代が不信に思い始めましたww
あと、 おかのん はナバールファンなんだなと思った。
()の中の声はOOOだと思うけど、うん。
無垢だったアイルが保身の為に譜代家臣を排除しまくり、王子と慕うオナゴを毒牙にかけまくり…ええと、それなんてエロg(ry


>>mobたん
だよねー?
反応無いとモチベーション湧かないよねぇ~?
絵はしっかと見てるがな。
(でないとHPの扉絵の依頼なんてしないw)
ヲレはチミのブログほぼ毎日巡回してるけど、あのシリーズは「とある」シリーズを全く知らないのでスルー。
アニメ版でも見れば読み出すと思うが、アニメ版も多すぎて何から見れば良いのか不明なのでスルー中!

しかし幸運にもこの板はラノベスキーが入り浸ってるので、チミのSSを評価してくれる「かも」知れない!
そんなワケで本人に無許可でリンク貼り(なんつーヤツだww)

一りのブログ
「老犬と蓄音機」
http://tikuonkitorouken.blog.shinobi.jp/

あと、ちゃんと勉強すれ。


>>久遠
と、言うわけで、上に貼った。
覗いてやってくりゃれ。

>成績
んなもん上の学校に行く為の方便。
で、学校行かなくなったら無意味。
ヲレの友人も話す英語はスラスラだったけど、書きがダメで高校の英語成績が2だったが、英語が必要な仕事に付いたぞww

>おかのん の応募
おお、やはり。
あの溢れる創作意欲を見ると、絶対プロ志望と思ってたのだよ。
絵も描けるっぽいし、えぇのう・・・。
ヲレが昔欲しくて手に入れられなかった才能ぢゃん・・・。

上でも書いたが、批判も受け入れられなかったらただの火種なので、 久遠 にしかできない効率的な批判すれば、 おかのん の才能も開花するかもしれないのぅ。。。
こんなトコロでよかったら、ガンガン使ってたも♪

ええと、直しの件は了解。
1週間前のコメントも真面目に読むとはなかなか嬉しいなぁ。
いや、小説版のアイル君が 久遠 のプレイと大きく異なる善良さなので、その善良な子がどんどん汚れていく( 久遠 のプレイ準拠の行動を取るようになる)のが楽しみ…という意味だ。
おかのん はアイル君にそこそこ愛着もあるようなので、そこは苦悩するだろうし。
by ぽ村 (2011-06-10 12:37) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第3章 デビルサマナー その1 堕天使

サムスーフ・・・通称『デビルマウンテン』のふもと。
行軍中には会話もある。
「・・・アベル」
「なんだ。カイン」
「俺たちはその・・・アリティア騎士だよな?」
「何を今更」
「この数日の戦いで、あまり前面に出てない気がしてな・・・」
アベルは微妙に顔をゆがめる。
「安心しろ。事実出てない」
「やっぱりか!?ってそれは安心は出来ないぞ!!」
「それだけマルス様の戦略が的確・・・いや」
言葉に詰まる。
「あれはいい意味でも悪い意味でも、王族の戦いではない」
カインが怪訝な顔をする。
フレイが口を挟む。
「ガルダどもをああいう形で収められたのは、器とも取れますが・・・」
「解っているよ。だがそれでも幹部を全員許すのはどうかな」
アベルはマルスの視点が庶民かそれ以下なのに気がついた。カシムを取り立てるなど、貴族ではありえない発想だ。
逆にノルンの件では最初、かなり無理矢理騎士にするとの決定をされた。
最終的には準騎士として小間使いをさせて一応解決したが、そもそも思いついて当然のことだし、カインの嫉妬に考えが至らなかった事もらしくない。
「・・・まあ、タリスにきて暫くしてから、塞ぎがちだった王子が少しずつ変わっていかれた。あれは庶民の友人でも出来ていたのかも知れん」
「その友人の影響だと?」
「ありえん話ではないだろう?」
アベルはその辺は確信に近かった。
海賊の私刑の方法など、騎士団で耳にする機会はない。
アベルでさえ、あそこで『なんなら海水もかけ続けてやろうか!!!!????』というセリフは出て来ない。
行軍中の様子を見るに、その友人がついてきている様子はない。
人員は新兵から傭兵団、輸送隊も調べた。
最初はノルンがたらし込んだかと思ったがどうも違うようだ。
むしろ本人が骨抜きにされている。
なんにせよ・・・
「今のマルス様の下では、死に逝く仲間をあまり見ないですむかも知れん。かわりに、騎士としての戦いはできんかもな」
そんなことを呟いた。

「・・・だそうだ」
ふん、と目を逸らす。
「捨て置くさ。まさかその友人が王子にすりかわっているとまでは思うまい」
遠見のオーブで見せられた会話はアイルとしてはまだ焦ることではなかった。
ただ、自分のやり方は騎士たちを従わせるには向いてない自覚はあった。
だが、正面からではやはりこちらに被害が出る。
マルスもそれは望むまいと思うと、このまま続けようとおもうのだった。
「・・・・・・・ん?」
何か来る。
「・・・どうした?」
「追われているのか・・・? 気配を隠してもいない。 !・・・こっちにくるぞ!!!」
すっと手を上げる。
「止まれ! 弓隊構え!!」
警戒の兵より先に気付く王子というのも違和感だな・・・とデネブは思った。
茂みから出てきたのは一組の男女。
「まってくれ! 俺たちは敵じゃないんだ!」
「・・・どうみても君は盗賊なんだが」
「それについては言い訳はしねえ。けど、見た目で言うなら彼女は助けてくれ!!」
確かに彼の庇う女性は見るからにシスターだ。
「・・・シスターレナ、だな?」
「デネブ。地を隠せ。大根め」
軽口にむっとしたようだが構っていられない。
「解った。とりあえずは僕が君たちを預かる。君をただの盗賊と見るかどうかはここでの態度で決めるとしよう」
「ほ、本当か!?」
「ありがとうございます・・・!!!!」
それはいいが、アイルは気になったことがあった。
「君らは追われていたんじゃないのか?」
ジュリアンと名乗った彼は、はっとなる。
「そうだ!ヤツが来る。
流れ者の剣士、ナバールだ!!!!!!」
振り返った瞬間に近かった。

ギィンッ!!!!!

アイルのファントが無ければジュリアンの喉は穴が開いていた。
「ジュリアン!!!!」
「ひえええ!!!!!?????」
アイルも構えるが、
(・・・速いッ!!!???)
こちらが二度剣を振るう間に三撃目が来る。
「なっ・・・・」
まにあわな・・・

{・・・・・の・・・・・!!!!}
キンッ!

(・・・・・!?)
今のは、なんだ?
夢中ではあった。
しかし今、

手が、勝手に、動いた。

呆けているヒマは無かった。もう一撃。
「ぐぅッ!!!!」
そのまま凪いでくる二撃!!!!!!
「うあっ・・・!!!!!!!」

タタッ・・・

腹をやられた。浅い。が、まずい。体制が悪い!
死ぬのか・・・!!??
「待って!!!!!」
!?
「ナバール。貴方ほどの剣士が何故、盗賊の用心棒なんかやっているの!!!!!!」
デネブ・・・・!?
「何だ貴様は・・・・・・」
「・・・こんな事が、何になるの。貴方が剣を取ったのはこんなことのためなの!?」
「貴様に俺の何がわかるというのだ!!」
「解らなくとも、確信しているわ!!!! 今の貴方は違ってしまっている。貴方がそれだけの力を手にするために志したものは、弱者をいたぶる者達に手を貸すためであるはずが無いもの!!!!!」
それは、そうだろう。
そして、それは忘れていたことなのだろう。
ナバールは、固まっていた。
デネブは、正面から彼を見つめる。
「・・・お願い。剣を引いて。そして、誇りある剣を振るうと誓って」
「どうしろというのだ・・・」
「ドルーアと戦う、私達の力になって欲しい」
「・・・俺の剣に、もう誇りは宿らぬといったら?」
傷ついた表情を浮かべ、目に涙を溜め、震えながら彼女は宣言した。
「あなたのような剣士がそんな剣しか振るえない世なら、ドルーアが支配しなくてもこの世はすでに地獄なのでしょう。
いいわ。それならその誇りの宿らぬ剣で私を好きにして・・・・」
・・・・・・・・・・
長い、沈黙があった。
やがて、ナバールが口を開く。
「俺は、女を斬る剣など持ち合わせていない。
お前が命をかけて俺の力を必要とするというなら・・・
力に、なってやる」
わっ、と、歓声が上がる。
雰囲気が一気に和やかになる。
まるでハッピーエンドの舞台の後のようだった。
その中で。
「マルス様ッ!!!!」
ノルンが駆け寄り、手当てを始める。
他の者達は、今そのことを思い出したようだった。
半泣きで、しかし的確に治療を続ける。
「ノルン・・・君はさっき、どうしていた?」
「ずっと、弓を構えていました。援護たらなかったこと、申し訳ありません」
そうか。
「ふがいないな。名のある剣士の前では、僕はこんなにもたよりのない・・・・・・」
「そんなことありません!!!!!」
彼女の、大声。
初めて聞いたかもしれない。
目に涙をいっぱいにして、むしろあふれさせながら、ノルンはまくしたてた。
「一緒にアリティアから落ち延びる時、失礼千万ですけど、正直頼りないなって思いました。守られてばかりで、弱そうで、コーネリアス殿下と全然違うって。
タリスでもそうでした。世界は未だに大変なのに、自分が傷ついたからって塞ぎこんで。王族なのに。えらい人になるのが決まってるのに。
どうして歯を食いしばらないの、心の何もかもを自分で震わせてでも立ち上がって、不可能と思えることさえやって見せて王族なんじゃないのって。
村長のおじいちゃんだって、村のためにっていろんなこと頑張ってたの見てたから、あのときのマルス様が情けなくて、見てるだけでなんだか悔しかった。
でも、マルス様はちゃんと変わられた。
自分を限界まで使って、使命を果たそうとされてる。
それが解るから、私も命をかけてお傍にいるんです。
私は、今のマルス様だから戦える!!!!!」
顔を真っ赤にして、耳元でささやく。
「いまのあなただから、好きになったんです」
アイルはそのまま、ノルンを抱き寄せた。
「マルスさ・・・」
「ありがとう。嬉しいよ」
マルス、君を取り戻す前に・・・・・・
俺は君から、ノルンを取り戻す。
なんとしても。

{・・・・・・・・・・・ると・・・・・・・がな。・あ・・・・・}

!?
なんだ・・・・?

{・・・・・・ぜ・・・・ ・・・すこ・・・・・・}

心臓の動きが、少し、おかしい。
・・・・・・・・・
おさまるころには、不気味な声も消えた。
不安は、消えるわけもなかった。

 ・

他の追手を騎士達に迎え撃たせている最中、聞いてみた。
「デネブ、あの三文芝居はなんだ」
くふ、と笑って、
「迫真の演技だったろう?」
・・・なるほど。
地を隠せ。大根め。
このセリフが気に食わなくてアレをやったか。
「・・・確かにな」
「? いやに素直だな」
きょとんとするデネブに、アイルはしかし何も答えなかった。
今はノルンの言葉を反芻したかった。
それに・・・・

あの不気味な声のことも、やはり、気になった。

 続く

by おかのん (2011-06-10 12:55) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
御要望通り直しといた&消しといたよん♪

どうぞお気になさらずw
by ぽ村 (2011-06-10 13:00) 

一り

柄にもない事をやってしまったので、嫌な予感がしてたんだ。

さっき自分のブログからとんできましたよ。

アニさんwなにやってんすかw
嫌な予感が的中ですよ
嫌ではなかったですけど
あのような出来でも途中まで精神削って読んでくれたのは嬉しかったですけど。

まぁ、やっちまったもんは仕方ないですからいいですけど。

ちなみに自分は五月の初頭にpcが完全沈黙したので昨日今日と、友人のモバイルからインしています。
よって観覧時間が制限されるのです。

それと、おかのんさん、自分はコノスレ
by 一り (2011-06-11 04:11) 

ひとり

時間がないので短くまとめます。

このスレの存在は昨日知りました。
まだssは未読です。

上記の理由から熟読とレスがいまこんなんです。

機会があれば必ず感想書きたいです。
すいません、。
あと物書き初めての人間の文を読んでくださってありがとうです。
では
by ひとり (2011-06-11 04:17) 

ぽ村

>>一り(と書いて「ひとり」と読む…知ってた?)

んむ。
「感想欲しいニャー」と鳴いてる子猫が居たので、感想を言えそうな方々を誘導したのさ…。
勝手に誘導したのは悪いと思うが、反省はしていないw
書いて公表したからには、他者の感想も貰ってなんぼだろぅ??

>PC
あら、予備…というか最終防衛ラインも壊滅したのか合掌。
アナログ生活に慣れるチャンスかも?
しかし今の時代、仕事も私生活もPCのポジションが大きいからなぁ;
by ぽ村 (2011-06-11 12:24) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
昨夜、居酒屋からの帰宅途中、携帯でチェック…
「お、縛りプレイ投下してるよ…。…今回はプレーンな感じだ珍しい」
『おらしゃぶれや』
「ヴォエホ!!?」
通行人にギョッとされますた;

ミネルバ的にゃOOOしゃぶらせるより、指しゃぶってもらった方がエロいと思う。

このゲーム、結構イケメンが冷遇されてるよな…。
ま、使えるのもイケメンが多いけど。
※ただしちょっとクセのあるイケメン。
by ぽ村 (2011-06-12 14:15) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第3章 デビルサマナー その2 悪魔

「まずは美味しいものを食べてゆっくり眠って。
誰かを救うためには、貴方は満たされていないと
いけないのよ?」
よくもまあそんなセリフが出てくるものだ。
今回の件で部隊内のシーダの評価は
うなぎのぼりである。
それに気を良くしてか、デネブの演技は
少し過剰なほど善人よりだ。

・・・害はないのでほうっておく。

「・・・・・?」
暫く行くと、姉妹と思しき2人の村人が
走ってくるのが見えた。
「何だ・・・?」
「見てこよう」
デネブが先行する。
だがアイルには、見当がついた。
「・・・騎馬隊は準備をしておけ」
「はっ」
「なんでまた?」
「カインッ!!!」
・・・主君の命に聞き返すやつがあるか。
とがめたアベルと答えるのみのフレイは
いいが・・・
「村から煙が上がっている」
「!」
「駆けて来る村人がいるとなれば・・・」
最後まで言う前にカインが先行した。
「おいっ!!!!!!!!!」
・・・こういう素直さには好感を持つのだがな。

 ・

シーダが事情を聞き終わり、
とってかえして報告し、
マルスが村に着くころには
あらかたは片付いていた。

「マルス様。村を襲っていた賊どもは
片付きました」
盗賊風情であれば、
任せられる程度ではあるか。
「よくやってくれた。・・・カイン。気持ちは解るけど
独断専行は・・・」
突然情けない顔になるカインに、アイルは
言おうとした言葉を飲み込み、
「・・・ほどほどにね」
と、繋げる。
「僕はもう少し村の様子を見てくる。
みんな油断はしないでくれ」
そういってアイルは近くの民家に歩いていった。
少し遅れてデネブがついてくる。

「・・・お優しいことだな?」
いつものように、くふ、と笑う。
・・・カインのことか。
「あいつが突っ込むのを躊躇う様にでもなったら
利用価値が無いだろうが」
「まあそうだ」
含むところのある言い方だが、
アイルは探れなかった。
じゃあな、とデネブは別の道に入る。

それから緩い傾きの坂を登ると、
別の民家があった。

・・・!

気配に気付く。
あの家・・・
デネブを呼ぶか・・・?
少し迷って、やめた。
なんとかなる。気配は2つだけだ。

やはり賊だった。
ここの家主だろう老人が人質だ。
「ここ、殺す! 殺すぞコイツ!」
「・・・どうやって?」
アイルは思いきり見下した目で続ける。
怪訝な顔をする山賊にかまわず、続ける。
「斧というのは、叩きつける武器だ。
首に当てた状態からでは殺せない。
この位置からならお前が動いた瞬間、
振りかぶる前にレイピアが喉を貫く」
言い終わると同時に駆け出した。
もう山賊には判断どころか理解も追いつかず
絶命した。

「ほっほう。やりおるのう若いの」
老人はコキコキと肩をならす。
「あいにく礼になりそうなものも無いが・・・
そうじゃ!!」
どうでもよかったが黙っていなくなるのも・・・
と思い、見つかるまで待つ。
「おお、これじゃこれじゃ」
それは、あまりに禍々しい斧だった。
瘴気が漏れ出ているようだ。
「デビルアクスといってな。威力は高いが
ごくたまに自分に刃が向くという恐ろしい斧じゃ。
絶対に使っては・・・・・・」
老人は、最後まで語れなかった。
渡した斧で、脳天から真っ二つにされたからだ。
ぼさ、と間の抜けた音を立てて、横たわる死体。
「・・・クク」
アイルは、何が起こったか解らなかった。
目は見えている。
身体も動く。動いている。
が、

思うようには動かない。

勝手に動いているのだ。
「くはっ、 くははははははっ!
くはははははははははははははははは!
ひゃははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!」
俺は笑ってはいない!
「まさか!
こんなに早いとは!!!!!!
しかも・・・・・・・・・しかも!

俺が主人か!!!!!!!!!

くひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
禍々しい斧は血に染まり、アイル自身も
返り血だらけだった。
狂笑の響く中、アイルは何も出来ずにいた。

  ・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!」
デネブは、感じた。

それ、を。

「まさか・・・ もうだと!!!!????」
愕然としていた。
次の瞬間、走り出した。
「馬鹿な・・・これは、これはッ!!!!」

最悪だ。

 続く

by おかのん (2011-06-14 02:22) 

ぽ村

>>おかのん
まさかあの微妙なポジションのデビルアクスがココに来てキーアイテムになるとか…。

ええと、コレは暴君化フラグなんだろうか…。
3面は久遠のプレイも色々加速始めた頃だしな…。

個人的にはJoJoの石仮面みたく、敵盗賊が民家から奪って凶暴化→何とか倒して手にしたアイルも凶暴化でも良かったかな…と思う(JoJo脳乙)
by ぽ村 (2011-06-14 14:33) 

おかのん

村での会話は取り入れるべきかと思って。
でもその展開のほうが解り易く漫画ぽくて
良かったかもとは思います。

もしくは村の騒ぎ自体斧のせいとかで。

by おかのん (2011-06-15 21:11) 

ぽ村

縛り返信ぬこぬここぬこ♪
>>おかのん
ゲーム的にゃ正解だしね。
村人(斧原因)説もよさそう。
「村の防衛の為に…」と、イワク付き斧を持ち出し、ジェノサイド状態とか。
止めに入ったマルスが(ryみたいな。


>>おかのん&久遠
>単騎突っこみ
他のゲームで、クリア前から裏技で面セレしまくって強力になったユニットで無双しまった友人が居てな…。
アレに比べれば、なんとまっとうな戦いをしてくれている事か…。

>つまらないもの
なにその剣豪w

>パオラ・カチュア
え!?
いや、ヲレのやってるSFC版は攻略サイトでも実プレイでも出てこなかったが…そうなの!?

それにしても…。
知らない名前ばっかりになってきたなマジで;
by ぽ村 (2011-06-16 00:27) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第3章 デビルサマナー その3 天秤

「アイル」
彼は、振り向かなかった。

「マルス」
空をあおいだのは、反応なのだろうか。

「・・・おい」
ニヤリ、と笑うのが解った。
口が、開かれる。

「・・・何の様だ? デネブ」
「馬鹿馬鹿しい。しらを切る気ならアイルで
返事をしろ」
イラついたデネブというのは珍しい。
が、今アイルはそれどころではない。

「名を言え」
「ベガ」
即答するということは考えてあったのだろう。
これまた皮肉が利いている。
アルタイルとの関係は東方では恋人だ。

「アイル。すまない。・・・完全に誤算だ」
「無視かよ」
そう言いながらも不満そうですらない。
自分の存在を無視など出来ないのが
解っているのだ。

「魂のオーブの問題というのがこれだ・・・
魂を吸い込む時、純粋に『力』を吸い込むため、
人格などの不純物を捨てる。その際、不純物と
された人格は使用者に澱んで溜まってゆく」
溜まってゆく?
人格とは人そのものの要素だ。溜めるという事が
まず理解しがたい。
「身体も魂も失った『人格』というのは、言葉の
イメージより軽い。
身体が無いため、何かを『感じる』事も、『思う』
事もないそれは、僅かな方向性を与える程度の
ものだ。
しかし、数万人もそれを繰り返す上、溜まった
『人格』は、統合されていく。そうするとだんだん
溜められていた時間などに応じて、『魂』が
顕現し、使用者の『身体』の感覚を受け始め、
『人格』が確立してしまうのだ」
一つの身体に二つの人格が出来てしまう・・・
という事か。
「やはりな。貴様、同類だろう」

!?

「こいつの中から見てたぜ。それに、さすがに
俺達が異質すぎるんだろう。
はっきりと感じていたぜ。仲間だってな」
デネブが顔を歪める。
つまり、そのとおりなのだろう。
「じゃあわかるか? なぜ俺はこんなに早かった。
あの斧が関係しているのは判るが・・・」

どうやらコイツにとっても本当に予想外のようだ。

ベガを無視して、デネブは転がっている斧を
手に取ろうとする。

{デネブッ!!!!!!}

しかし、声にならない。
「おい、愛しのアイル君が心配してるぜ」
びくり、とデネブが固まる。ちら、とこちらを向き、
ベガのニヤニヤとした笑いに眉をひそめて、
また斧に向き直る。
「問題ない。もう力は残っていないだろう。
万一があっても私は結界をはっている」
ひょい、と持ち上げ、くるくると眺めた後、
そのまま民家に投げる。
「もうただの鉄の斧だ」
たしかに、もう禍々しさは感じられなかった。

話は続く。
「同類・・・というのは否定できん。
だが、私とアルティの時とはやはり時間が違う。
何より、私とベガでは顕現の仕方が別物だ。
わたしはあくまでアルティの影でいた。
最初は毛虫並に嫌われたし、いつも共にいる
他人という恐怖を植えつけた存在として
申し訳なくさえ思っていた。
だがアイル。そいつは違う」
ベガの向こうにいるアイルに告げる。
「そいつは完全にお前を乗っ取っている。
正直、私にも・・・ 予想はつくがはっきり言えん。
今は待て。無理だとは思うが、何もわからんまま
磨り減るのはやめろ」

・・・・・・・・・・・・

どうせ出来る事はなかった。
ならばこんな時にあわててもしかたは無い。
変に落ち着いた。
アルティという名の方が気になった。

「まあまあ、仲良くしようぜ。俺もコイツの立場は
理解してる。悪いようには・・・」
ベガが肩に手を触れようと手を伸ばす。

パァンッ!!!!!!!!!!!!!

「私に手を触れるなっ!!!!」
避けるでも手を払うでもない。
反射的に頬に平手打ちがかまされた。
さすがにベガも呆然とし、怒りに駆られて
睨み付けた。

「てっめえ・・・」
デネブにいつもの余裕が無い。
「こんなことになってすまない。別人格が生まれる
などといえば、容易くは協力関係を築けないと
思った。私が例なだけに、お前が違和感などを
感じ始めてからでも遅くないと思っていた」
「・・・いい加減にしろよコラ」
さらに無視。
「安心しろ。このままにはしない。必ずその
クソ蟲をお前の体から追い出してやるぞアイル!」
ブチィッ!!!
と、血管の切れる音が聞こえそうなほど、
ベガが憤ったのがわかった。
{・・・望みが薄かったとはいえ・・・}
これでベガと『うまくやっていく』選択肢は消えた。
「・・・上等だ」
デネブは足早に去っていった。
振り返りもしない。

翌日。
デネブが見つけて話を聞いた例の姉妹が、
乱暴されたのが判る形で冷たくなっているのが
発見される。場所は老人の住んでいた家。
から竹割の老人の死体もあり、
盗賊も殺されていた。
村人3人が盗賊に殺されたのなら、
盗賊を殺した人物がわからない。
しかも姉妹は昨日の夜生きていた。

何もはっきりしないまま、村を後にすることになる。

 ・

山賊の首領は、根城にアリティア軍が
ついた時には死んでいた。
二人きりの時、デネブが聞く。
「・・・これも、貴様か」
「やったのはベガだ」

!?

「アイルか!?」
首だけで振り向く。
うつろな瞳だが、かろうじて光はある。
「・・・どう言って証になるか・・・とにかく、そうだ」
よく見ると眼は充血し、クマが出来ている。
探ってみても、禍々しさが無い。
「ヤツは?」
「あいつも『寝る』らしい。だが、起きている時は
つつぬけだし、ヤツの方が身体を使いたがると
俺は逆らえない」
これはひとつ情報である。
アイルでいる時間も存在するのだ。

デネブはうなだれ、つぶやくように言う。
「すま・・・ない」
・・・・・・・
黙っていたことか。
「互いに利用しあう関係だろうが。変に殊勝に
なるな。それともなにか。
その態度も何かの前振りか?」
「そんな・・・言い方。
いや・・・すまん」

・・・・・・・・・・・・・・

あまり気に病まずにすむように
突き放したというのに。
・・・勿論いったとおり、ただの布石の場合も
想像せざるを得ない。
どうすればいいか解らなかった。

いたたまれなくなり、部屋を出ようとする。
・・・自分の靴音しかしないのに気付く。
動こうとしない、デネブ。
「・・・行くぞ」
手をとり、引く。
途端にデネブの顔に生気が戻る。
アイルを、見つめる。
今度はアイルが固まった。

ノルンが咳払いするまでどれくらい経っていたか
アイルはわからなかった。
血まみれの山賊が横たわるその部屋から
出る時、二人の手はまだ繋がれていた。

 続く

by おかのん (2011-06-16 19:53) 

ぽ村

>>おかのん
ヲレがアイルなら「はよ言えこの売女ぁ!!」と、ドロップキックしてしまいそうだ…;

ということは、別人格が暴虐の限りを尽くすのね…。

ベガのモデルは 久遠 …と、
スーパーのレジでマダムがつぶやいてた。
by ぽ村 (2011-06-16 22:53) 

おかのん

何者ですかそのマダム。
ああでもだんだん私風の文になりつつ・・・
いや前からか。
だんだんデネブが可愛い子に。

by おかのん (2011-06-17 06:20) 

ぽ村

>>おかのん
>マダム
多分NASAの…って、宇宙かよwww

>デネさん
んむ…。
CCとかホロ見たく野望ある男の隣に居る小悪魔参謀になってるな…。
by ぽ村 (2011-06-17 14:09) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙どす。

やっぱアイツカミュだったのか。
しかしあんなチョイ役だと「なにしてんのコイツ;」って感じになるだろjk。
せめてニーナ様とロマンスよこせ。
と、ハーディン悶死なことを思ってしまう。

>エロ
材料は新規加入のが居るから次回を派手にできうわおかのんなにを
by ぽ村 (2011-06-18 23:45) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第4章 草原の絶望 その1 バカ兄貴

サムスーフの峠を越えて10日。
レナも順調に回復し、ジュリアンも真面目に
働いているようだ。
守るもののある男は違う。それはアイルが
自分自身に感じていることだ。
マルスを救い出すという思いが無ければ、
今ここに自分はいない。
それともあいつが挙兵するとなれば、一兵卒で
あってもここにいただろうか。
ともかく・・・

今はまさに一身同体となっている、
守るものの無い男が問題だった。

ピギィィンンッッ!!!!!
「ちっ」
レイピアが折れた。
突く武器を振り回せば無理がかかる。
しかし細身とはいえ剣を一本折って悪態一つと
いうのもすごい。

オレルアンの入り口と言える砦を落とす最中、
{オレに殺させろ}
といって身体を支配された。
力任せながら、いや力任せだからこそか。
その姿はまるで鬼神だった。

「フレイ。鋼の剣をよこせ」
「はっ」

ベガは強い。
同じ身体を使っているとは思えない。
ほぼ一人で北側の伏兵、
百数十人を片付けてしまった。

かれの機嫌はすこぶる悪い。
これに関してはアイルも少し同情していた。

皆が景気良く買い物に興じる露天街で、自分は
世界に一人きりだと思う時、同じ孤児らしき子供を
見たときには、知り合っても益にならないと
解っていても、声をかけずにいられなかった。
それを考えれば、デネブとベガは魂のオーブから
生まれた兄弟のようなもののはずだ。
それがこともあろうにあの嫌われ方をしては
苛立つのも無理は無い。

ベガとアイルは、力関係は完全にベガが上だ。
二人とも『起きて』いる場合は、身体はどちらも
動かせるが、ベガは一方的に支配権を持つ。
触覚や視覚など五感は共有している。
思考は互いに一切読めないが、心で会話は
できる。
そしてベガは、アイルに一切の情報を与えず
暗闇の中に閉じ込めることも、自らその中に
篭ることも出来るらしい。

ベガは寝る時はたいてい篭る。
その時にデネブに聞いてみた。
「・・・なぜそこまでアイツを嫌う?」
複雑な顔をするデネブ。やがてわずかに頬を染め
目を逸らしながらいう。
「・・・えが、・・・くなっ・・とおもっ・・・」
「は?」
「なんでもない! あいつの持ってる雰囲気は
嫌なのだ! 相性の問題だどうしようもない!」
今度は顔を真っ赤にしてにらみつけて来た。
涙目だ。
「・・・そうか」
・・・じつは最初のセリフはしっかり聞こえていた。

『おまえが、いなくなったとおもったのだ』

デネブは、『私はアルティの影だった』
と言っていた。
ならば、デネブというのはもしかして偽名ではなく、そもそも名を持ったのがあの瞬間だったのではないだろうか。
自分が他の誰でもない自分であると認識させてくれるのは、その自分を知る他人に他ならない。

つまり。

アイルは最初からデネブにとって、アイルにとってのマルスと同じ位置にいた事になる。

軽くめまいがした。

ベガにとってアイルは下僕で、こいつのせいで兄弟が自分を嫌ってると思ってるだろう。
これはうまくいくわけがない。
さて、どうしたものか。

北の伏兵を片付けて間も無く。
城からの騎馬隊が到着し、迎激戦となった。
さっきので殺し飽きたらしく、今度は色香に走る。
デネブも弓兵の補充仕官として参加していた。
ベガはシーダ姫の・・・
デネブの尻ばかり見ている。
そこへレナが走ってきた。
「マルス様・・・! あの赤毛の騎士を孤立させて
下さいませんか!?」
なかなか無茶を言う。
「ああ?」
地が出てしまっている。
「兄かも知れないんです!」
{・・・おい、代われ}
面倒になったようだ。
「・・・わかった。やってみるよ。シスター」
どちらかというと他の敵騎士と比べて逃げ腰だ。
誘い出すのは難しくは無い。

「レナ!? お前どうしてこんなところに!」
「兄さんこそどうして軍隊なんかに!」

{俺らも軍隊なんだが}
「そうだな」

「無理矢理入れられたんだ。逆らったら処刑だし
・・・しょうがないよ」

{にもかかわらず騎士扱いかよ}
「おおらかだな」

「きっとアリティアになら受け入れて貰えるわ」

{おい、役にたたなそうだぞ}
「飼い殺せばいいさ」

シスターレナの話が終わる頃を見計らい話しかけると、王子にトラウマでもあるのかいきなり怯える。
責められるのでないとわかると、ミシェイル王子に対する愚痴の混じった敵の内情をペラペラ喋る。
かの王子は野心家で武闘派らしい。
「あんたは優しそうでいいや」
二人は自分の行状を思い出し、
同じ結論を出した。
(「{コイツは人を見る眼が無い」})
かの王子もただの野心家と思わないほうが
よさそうである。
「腑抜けてると最前線に送られるんだ。
見習うなよ?(笑)」
「こっちは反乱軍なんだが・・・」
どこに行っても最前線だ。
だがひらひらと手を振り行ってしまった後だった。
そもそも聞く耳もなさそうだ。

再びベガに支配された。
「・・・おい。あのバカ型にはめるぞ」
・・・その方がいいかも知れん
{やり過ぎるなよ}
と、釘を刺すと、
「指図するんじゃねえ」
ときた。
{じゃあなんで聞いた}
そこで、ベガ自身も不思議そうにした。
「なんでだ?」
{知るか。とりあえず食事を取るぞ}
何だか知らないが、苛立ちが薄れて
いるようだった。
「おう。どこで食えるんだ?」
{お前が指示を出すんだよ!!
全員で始めて交代で見張りしながら!
俺たちの分はノルンにそう言えばいい。
持ってきてくれる}
いきなり身体の自由が戻る。
{めんどくせえ。代われ}
「全く・・・」
やれやれと肩をすくめ、食事の用意を
皆にさせながら、ふと思った。

会話にならんわけではないな。

とはいえデネブ共々トラブルメーカーには
違いなさそうだった。

 続く

by おかのん (2011-06-22 11:21) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙ですって、ヴァカ兄貴ww

一人で150人も敵兵を殺戮する王子に、譜代の家臣群がそろそろ辛抱たまらなくなってくるのでは…とか妄想してしまう。

あと、アイル君もベガに侵食されていくのだろうか…。

>飼い殺し
二軍ですねわかります。
こんな口の軽い男を前線に連れて行って敵の捕虜になったら…と、思うと背筋が凍る;
by ぽ村 (2011-06-22 11:57) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙。

あら、カチュアは生存していたのか…多分特攻したんだろうにタフな娘…。

>ガーネフ
愛嬌ある黒幕じゃないかぁ…。
その趣味だと「天体戦士サンレッド」のヘンゲル将軍みたいw
コッチの軍がお笑い系で、敵軍がシリアス系ってのはソコソコ聞いたパターンだが、その逆はあんま聞いたこと無いな。

>マリア
まさか無双とは…貧弱キャラを育てた冥利に尽きる話じゃなねぇかよ、くううTT

>いよいよアリティア
おー♪
と、つられて喝采。
by ぽ村 (2011-06-23 23:31) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第4章 草原の絶望 その2 マリク

次の日、立ち寄った町でいきなり声をかけられた。
「お久しぶりです。マルス王子!」

誰だ。

「えっ・・・ あ、マリク? マリクかい?」
「はい! 王子が挙兵されたと聞いて、
カダインよりはせ参じました!」

マルスから何度か聞いたことがあった。
エリス姉君の許婚(いいなずけ)で幼馴染。

「そうか・・・ 君が来てくれたなら心強いよ。
よろしく頼む」
「勿論です。カダインの風の聖剣、エクスカリバー。
今こそその力お見せします!!」
そんな会話をしながら、内心は冷や汗ものだった。
昔の友人となると、二人だけの思い出と
いうものも有るだろう。

(遠ざける事を考えねばならないな)

しかしあまり避けては、かえって不自然だ。
時間をとって会いに来つつ、忙しくて長くは・・・
という印象に出来ればいいが。

・・・遭わせて、やりたい。
マルス。今どうしている?
俺に名をくれた、俺の『意味』。
闇の魔法に囚われた、マルス。
魔法・・・・・・

!?

「マリク!」
「? はい」
「君は・・・ 闇魔法については学んだかい?」
マリクは怪訝な顔をする。
「・・・少しなら。でも僕に素養はありませんでしたし
主流な研究課題でもないので詳しくは・・・」
それでもいい。
「聞かせてくれないか」
手がかりになるかもしれないんだ。
君の、本当の親友の為に。

そのまま町に駐留し、兵に骨休めをさせる傍ら、
思い出話をしたがるマリクをさえぎりながらの
闇魔法談義となった。
テーブルを挟んで、ロウが溶けるさまだけが映る。

「友人が闇の魔方陣に呑まれて・・・?」
流石にマルス王子が、とは言えない。
そこで、自分が捕らえられた形で話した。

「解らないか?」
じっとマリクが見つめてくる。
? ・・・なにか不自然だったろうか。
「それは・・・もしかしたらガーネフの刺客、
もしくは本人の攻撃だったのかも」
それが自然な思考なのだろう。
だが、勘違いしていてくれた方がいい。

「確かにそういう魔術は有ります。しかし、
大賢者ガトー様やガーネフ、そういった高位の
術者しか無理です。
ウェンデル先生やアカネイア騎士団に籍をもつ
ボア司祭でさえ難しいでしょう。
過去の王族関係の大司祭でさえ何人・・・」
「そうか・・・」

だが、また一つ手がかりは増えた。

別格の司祭や術士。これは調べる価値はある。
マリクの言う、ボア、ウェンデルという高司祭に
話が聞ければ、また近づけるかもしれない。

「ありがとう、マリク」
「いえ」

その日はそれで別れた。
ベッドの中でマリクは一人ごちる。
「逞しく・・・なられたな」
戦う顔をされていた、というのが久しぶりの印象。
明日は、ジェイガン様に挨拶にいこう。
この数年、どんな鍛え方をされたのか。

少し頼りない、でも優しいマルス。
この人を守っていこう。そう思わせたマルスは、
共に戦おう、そう心に誓わせる男になっていた。

 ・

アリティア騎士達の話は、どれもマリクにとって
衝撃だった。
「ジェイガン様が・・・亡くなられた!?」
マルスを逃がす際おとりになって、
命を落としたというのだ。
「弓兵のゴードンもな」
「彼まで・・・」
当時新兵で、年が近いこともあり、交流があった。
残念でならなかった。

アベルとカインは、こう言ってはなんだが、
暇そうであった。
事実ヒマらしい。
近衛、殿(しんがり)と言われ、仕事は無い事も
無いが、重用されている気がしないそうだ。
攻め戦の近衛、退却戦でもない時の殿。
同僚のフレイはいくつもの作戦で要と
されているのに。

他にもいろいろな話が出てきた。

崖から落ちたらしい事。
頭を打ったらしい事。
突然の挙兵。
ノルンの待遇と昇進のゴタゴタ。
ガルダにタリス王を人質にされてのネゴシエイト。
裏切り者のあぶり出しの手際のよさ。
シーダ様の様子のおかしさ。
いつの間にか出来る様になっていた、
菓子や料理とその腕前。
ガルダを押さえ、シュテルン商会としたやり方。
あっさりと受け入れた盗賊。

「・・・話だけ聞くと、別人のようですね」
・・・・・・
アベルは沈黙した。
カインは、俺たちが頼りないから云々と
言い出したが、マリクはひとつ心当たりがあった。

魔方陣に連れ去られたと言う友人の話。

二人とも初耳であった。
特にアベルは、秘密の友人の存在を疑って
いただけに、聞き捨てならなかった。

「なるほどな。そんなことが・・・」
すべての謎が解けたわけではないが、
確信があった。
今の王子には、まだ、何かある。
三人の考えは一致していた。

 ・

{・・・何をしている}
遅効性の眠り薬でくずおれているマチスとレナ。
スノーマンのような体系で趣味のわるい中年と、
数名のゴロツキが二人を取り囲む。
「くれてやるのは男の方だ。女は俺が扱う」
{ベガ、答えろ}
(うるセえよ。指図すんなって言ってるだろうが)

すっかり二人が運び出されてから、再度聞く。

{どういうことだ}
「二人とも壊して遊ぶンだよ」
{・・・・・・・・・・・!!!!!!}

うまくやるなどと、甘かったか。
しかし、他に方法がない。
こいつはいよいよとなれば、ずっとアイルを
閉じ込めて放置することも出来るのだ。
止めようにも、説得の方法が浮かばない。

デネブが気付くのを、待つしか、ない。

しかし、ベガとアイルの区別がつく様になった
デネブは、ベガの時は寄り付こうともしまい。
夜が明ける頃にはすぐには駆けつけられない
距離にいるだろう。

アイルに出来ることなど何も無かった。

 続く

by おかのん (2011-06-24 17:15) 

ぽ村

>>おかのん
ぐおおおおおお譜代が、ついに譜代がぁああああ。
どういう行動をして、どういう風に退場させられるかが気になるw

うm、いつも恐怖は過去から来るって、誰かが言ってた。

マリクェ…
プレイどおりだと…うん、まぁそろそろかな。。。
by ぽ村 (2011-06-24 22:24) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
とーか乙。
ドライにヅカヅカ死んでゆくな…。
死ぬのが当たり前のヲレには「あはははコヤツめぇw」って感じだが、古参のFEファンには辛抱たまらなかったりするんだろうか?

ヲレ的16章っつたら、「もうすぐおわりにゃー」とマッタリうっとりしてた頃だぞ…。
折り返しとは。

>ぽち
回数的に、随分作業プレイをこなしたようだな。
PS2のヴァルキリープロファイル2あたりいけるかも知れない。

ところで、 久遠 のプレイでは数多くのキャラが闘技場で死んでいるが…。
アルタイルではどうえがれるんだろう;

>全100話
…うん、まぁ。
すごいな…。
今のうち何章かを統合・あるいは端折っておかないと厳しいかもしれない。
と、思うヲレ。
by ぽ村 (2011-06-25 23:07) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第4章 草原の絶望 その3 闘技場

「うわああああああああっ!!!」
もう何度刃を交えたのか。何人殺したのか。

判らなくなっていた。

自分が騎士だと言っても取り合ってもらえない。
ただ、自分を身のまま売ったヤツがいて、
元を取るまで自由はないということだ。

ああ、こんなことなら、マケドニア軍の方が
マシだっただろうか。
規則が厳しいという事は、こんな事に巻きこま
れることも少ないという事だ。

何故か体力だけは戻ってくれる。
しかし、気力の方は既に限界だった。

 ・

「兄さん・・・!」
レナは必死に兄にライブをかけ続けていた。
「おらよっ」
パァンッ!!
「・・・ひうっ!」
壁にもたれかかり、耐える。
が、腰が砕けそうだった。

この男が何者かは解らない。
口元も隠しているし、ローブの影で瞳も見えない。
だがどうしてか、兄も自分もこの男に
いいようにされている。
抗う力など、持ち合わせていなかった。

「神に仕える者に、こんな仕打ちをッ・・・」
ベガは、ローブの奥で薄ら笑いを浮かべる。
「じゃあ助けてもらえよ。神に」

レナは、犯され続けていた。
兄が死闘を演じている。
その助けになろうと杖を振るたびに、
邪魔をするために腰を振ってくる。
それに反応してしまう自分に嫌悪を抱く。

なぜ、こんな目に。

それでも、兄の命の火を消さぬために、
杖を振るしかなかった。

 ・

{・・・やめてくれ}
頭に響く声に、ベガは鬱陶しそうに答える。
(指図すんなっていってんだろが)
{わかってる。だから懇願している}

アイルも善人のつもりは無い。
だが決定的に違うところがある。

アイルはマルスを救うためなら何でもする。
逆らう者には容赦はしない。

だがベガは、快楽のために何でもする。
目に付いた者を容赦なく弄ぶ。
自分の方がヒエラルキーの上位にいる事を
必要以上に自覚している。

多分どれだけ機嫌をとっても、こちらの
いう事に妥協はしないだろう。
こちらには取引材料が無いのだ。

(そっちにもイイ目ぇ見さしてやってんのに
何が気にいらねえんだ)

{・・・・・・・・・・・・・}

イイ目というのは、感覚の共有だろう。
自由は利かないが、感覚はある。
シスターレナの中の柔らかい温かさ。
手におさまる、しっとりとした質感。
足の付け根に来る弾力。

たしかにこれは快楽だろう。

だが、違う。

あの時。

たどたどしい自分を包み込みながら身体を
重ねてもらう安らぎ。

身をよじるのを見て、自分が彼女に快楽を
与えているのだという高揚感。

一つの何かになって溶け合うような、
互いの心の中に、その瞬間互いしかいないと
感じる幸福感。

それらは、これとは違う。

圧倒的な全能感と征服感。自らの快楽のみを
求めて、相手を無視できる開放感。
そちらの方を好むものはいるだろうし、
ベガはそれしか知るまい。

アイルは、これらを好むことは出来ない。

自分が与えるという快楽の方が、
アイルにとって気持ちがいいのだ。

(ち、ノリの悪いヤツだ)

沈黙が長すぎた。
もっとも、何も言えなかったのだが。

 ・

{・・・このままでは回復が追いつかない}
レナの秘部は攻められ続け、腰は既にベガが
持ち上げている有様だ。
ライブの成功率は3回に1回。
(心配いらねえよ)
ふと、反対の客席に禿頭が目にとまる。
{!}
リフ!?
(あのナマグサも仲間だ)
つくづく酷い軍だ。

「ああっ!?」

レナが叫ぶ。
マチスが倒れていた。
銀の剣を持ち出した剣士に急所を突かれたのだ。

「兄さんっ!!」
ベガを振り払い、半裸で兄の下にかけつけるレナ。
ライブは間に合わない。既に虫の息だ。

「まだ終わってねえよ」
腕をつかみ、覆いかぶさるベガ。
「なにをっ・・・!」
「ここで犯してやるよ」

闘技場の真ん中で、衆人環視の中、
死に行く兄の目の前でか。

「それでも人間なの!?」

またベガが笑みを浮かべる。
悪寒、嫌悪。
闇の波動さえ見えた。
圧倒的に、恐怖が来た。

「いやっ・・・ やめてぇっ・・・・・・・
いやぁっ!!!!!!! いやぁぁぁああああ!!!!!!!!」

のどを水が通っていくような音と共に、
アイルのしずくがレナの壺に注がれる。

「レナ・・・・ 馬鹿な兄ちゃん・・・を・・・
ゆる・・・ せ・・・」

それが、彼の最後の言葉。
それを聞きながら、快感を感じさせられて
いる自分に、レナは絶望した。

 ・

結局デネブは来なかった。
彼女にしてみればベガが何をしようが、
前提として関わりたくないのだろう。
今日の事を話しても眉をひそめただけだ。

「砦の方は片付けておいた。後はまかせる」

「・・・世話を、かけたな」

あの後、関わった者は皆殺しにした。
どこから漏れるかわかったものではない。
しかし、リフには問いただす必要があったし、
レナはどうしても殺せなかった。

まさに犬に咬まれたようなものだ。

今日だけで俺たちは、
彼女に一体どれだけのモノを失わせたのか。

ベガを何とかしないといけない。

しかし、手段は何も無いのだった。

 続く 

by おかのん (2011-06-26 09:41) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙。

…ええと、だいじょぶ?(笑)

随分エロゲ(しかも鬼畜な方)になってるでござるが。


譜代が黙ってないどころか、クーデターの危険さえある展開だな。。。
しかし、譜代もココでアイルを失えば軍が瓦解する事を理解してるはずだし…。
黒いヲレは先が楽しみだが、何とか自分と折り合いつけて続けてちょ♪

レナはその後もしばらく飼われる事になってるがぬうう…。
譜代の件も含めて落としどころが気になる。
by ぽ村 (2011-06-26 09:57) 

おかのん

ううう・・・

だってプレイ日記にはそう書いてあるんだもん!
そこは逆に原作つきを書くときの
ポリシーみたいなものがあって・・・

レナ、ごめんね、ごめんね・・・
いずれ見せ場は作るから・・・

とりあえず顔隠してたからバレてはいないので
いますぐどうこうはなりませんが・・・

でもここは後々転換点になるでしょうね・・・

>落としどころ
ぼんやりとはあるんですが・・・

マジでこの先どうしよう。

というのが実は本音です。
私けっこうプロットとか細かく書く方だったんですが
プレイ日記が完結してないまま始めたから、
めっっちゃライブで書いてるんですよ。
作者にまで今後が読めません。

うにょー

by おかのん (2011-06-26 12:55) 

ぽ村

>>おかのん

返信遅くなってすまそ

>どうなるかわからない
結構致命的な弱点になるかもだな。
結果ありきで展開できるのが理想おハズなんだが…。

ともあれ、他板のSSともどもやりたい範囲を全力でやって欲しい。
by ぽ村 (2011-06-27 23:12) 

ぽ村

>>おかのん&久遠

ジュリアンは特殊能力のおかげで生存を許されていると思うんだ…。

…この回、アレだな。
ベガの出番少なそうだな…。

もやもやもやもや(先読み脳活性化)
ええと、キーマンはマリア。
それかベガを押さえ込む術を何かしらy(これ以上はネタ潰しなので略)

ともあれ、投下乙でごわ☆
by ぽ村 (2011-06-28 02:40) 

おかのん

実はですね。
ここら辺りからベガの出番がないのですよ。
外伝も残り少ないし、仲間になるキャラもそんなに
いないから、人死にがあまりない。

鬼畜禁止だし♪

しかしそこからが勝負でもありますね。
刺激的なキャラがおおっぴらな事をしてない中、
面白くしなくては・・・

それはともかくアルタイル。
どぞ。

~偽りのアルタイル~

第5章 オレルアンの愚者共 その1 敗戦

オルレアンとの合流戦は、
控えめに言って散々だった。
マルスの指揮は行き当たりばったりで、
いつもの周到さどころか、キレさえない。

アリティアは将の被害こそなかったが、
兵達は総崩れ。
オルレアンの部隊に至っては、
連携の取れぬままの進軍が災いし、
ビラク、ロシェといった、
若く有能な将が無駄死にした。

伏兵に抑えられるような部隊の下まで出向くより、
それにつられてのこのこ出てきた、
今まで散々苦しめてくれた王弟の軍を
叩き潰してやろうとするのは当然。
ゲリラ戦を中心に何とか戦ってきた部隊では
ひとたまりも無かった。

小規模の騎兵にいいようにされ、
最終的に勝利を収めたものの、
マルス自身の鬼神のような
レイピア捌きがなければどうだったか。

記述はもう要らないだろう。
指揮を執ったのはベガである。

ベガは強すぎる。
だから『勝つための努力』というものが出来ない。
軍の指揮など論外だ。
そもそも生まれたてというのもあるが、
1対1ならなにもせずに勝ってしまうので、
その為の準備の必要性にピンときていない。

今回も、アイルならまず伏兵に警戒が出来た。
西の砦との連携を完璧に進めた。
突発的な出来事があっても、臨機応変に対処が
できたろう。

さすがにそこはベガも認めざるをえなかった。

何故ベガが指揮を執ったのか。
勿論あの一件が関係していた。

 ・

時は昨日までさかのぼる。

身体の優先権のないアイルにしてみれば、
懐柔するしかなかった。

兵と別に豪勢な食事を用意する。
シュテルン商会との連携で、
定期的にいい女を抱かせるか、
それ用の女を侍らせる。

いろいろ条件を出してみるが、
妥協の条件にならない。
「それは王子の『義務』だろうが。
今までやってなかった方がおかしい」
と来た。

不本意だが、デネブに頼る。
とはいえ・・・・
デネブがベガと友好的になるとも思えない。
知恵を借りれればというだけになる。

ベガが寝たのを見計らい、
シーダの寝室に忍び込む。
デネブは何故か嬉しそうにしていたが、
ベガの事を話すと急に不機嫌になる。

「まあ、いい。私が何とかしてやる」
「いいのか?」
アイルとしてはそれはそれで心配だった。

「見ているがいい。ただ・・・・・・
多少の犠牲は覚悟しておいてもらうからな」
今の状況より悪くはなるまい。
ヤツを野放しには出来ない。

 ・

「おい、そこの童貞男」
「だれが童貞男だっ!!!!!!」

開口早々またケンカ腰かデネブ・・・
アイルはベガの影で頭を抱えた。

「金で買うか強姦しか出来んような
甲斐性なしなど童貞以下だろう。
立場を悟っている分、
自慰一筋の引きこもりの方が上等だ」
「この・・・!!!」

久し振りの、くふ、という笑い。
毒舌も嫌いな相手だとさらに容赦が無い。

「昨日のことは聞いたぞ。
なかなか面白そうな見世物だったようだな。
是・非・見たかったよ。
死に逝く兄の前で犯される聖女も興味深いが、
それを見て悦に入り腰を振る豚の鼻息は
さぞや笑えたろうに、残念だ」
「・・・・・・・・ッ」

完全に本気で喋っている。
とろけるような表情が魅惑的に過ぎる。

「この間の初陣もカイン以上の猪武者振りを
遺憾なく発揮していたな。
戦略のない戦運びというのは、
指をさして笑うには最高だったよ。
お前は醜いことこの上ないが、
私を笑わせる事に限って認めてやらんでもない。
本物の愚者の道化芝居とは甘露に過ぎる」

器で差をつけられては、殴りかかるのも
噛み付くのも愚者の証明だ。
何も出来ずにその場を後にするベガ。

明日の指揮は俺だと言い出したのは
言うまでもない。

 ・

どうなることかと思ったが、
やはりベガにとってデネブは特別なようだ。

みかえさせるつもりで執った指揮で大敗。
あわせる顔がないとでも思っているのだろうか。
レナにあんな仕打ちをした男とは思えない
ナイーブさを見せた。

デネブが視界に入ると、即座に代わらされ、
自分は寝入ってしまう。暫く出てこない。

慰める義理も無い。放っておく。

得られたものは大きかったが、問題の先送りを
しただけで解決はしていない。
それでも、軍の立て直しや、闘技場の一件の為
動き回ることを考えるとありがたかった。

 ・

再びシーダの寝室に出向く。
「・・・なんだ。褒美のつもりか?」
そういう意味合いが生まれることは否定しないが、
「そんなつもりじゃない」
これも本音ではあった。

癒されたい時はノルンを思い出すが、
高ぶりたい時にはデネブがいい。
我ながら勝手なものだと思いながら、
果実のような乳房の先を吸った。

 続く

by おかのん (2011-06-28 08:41) 

ぽ村

>>おかのん
派手なヤツが消えると話が展開しづらくなるから、一長一短なんだよな。
人気のある敵が消えると、先細る作品も多いし…。

ベガはカンフル剤と言うには劇薬過ぎる気もするが。

とうかどうもです。

そうだな…。
人材を失うという戦略的敗戦の責任やら突き上げを食らうだろうから、高ぶらないとやってられないだろうな…。
確か、原作プレイもココではかなり処分されてた。
損害的にまさしく敗北w

みんな一丸となって、強大な敵にあたって、戦う事だけ心配してればイイ。
なんて戦争スポーツだから、なんつーか空気なんだよな…作品的に。
オフィシャル小説が有るかはよく知らないけど、無印プレイ準拠なら読破できる自信が無いぞ;

何事もリアルにして面白いものと面白くないものは選別すべきだと思うが、直接殺しに来る外部の敵より、内部抗争のほうが怖いっていう空気のほうが個人的には良い。
(だから皇国の守護者をはやく読めと)

しかし、戦争スポーツじゃないと任天堂フィルターに引っかかるでござる。
…民族浄化と言う名の大虐殺やレイプに暗殺、拷問描写に死刑描写…T・オウガは良く通ったもんだ;
by ぽ村 (2011-06-28 15:19) 

ぽ村

おおう、そうそう。
連載の記事部分へのうpを考慮に入れて、この記事のタイトル及び主旨をちょろいと変更しました。

今後は「1縛り1記事」スタンスで。
元の内容は気が向いたら挙げます。

「別の縛りプレイの報告がしたいにゃー」って人はゲーム板他、関係有りそうなところで要望を投下してください。
準備後、舞台となる記事をうpいたします☆
多分、ブログ移転関係でこの総本山ブログが記事うp頻度下がるので、その間の肴ということでw
by ぽ村 (2011-06-28 15:43) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
ありがたや×2
今日、多分そう離れてないところで震度5強とかあったらしいが、無事っぽくて何よりだ。


このリプレイも投下少なくなると思うとちと寂しいな。
しかしリアルには代えられん。
一時的なものだと良いんだけど;
暑さと体調には気をつけてくれ。

おかのん 注釈サンキュ。
しかし…手斧無双って、響きがしょぼいぞww
せめてトマホーク無双と…艦艇からミサイル撃ってる姿を妄想するヲレ。

そっちも無双できるキャラで突破口開いて侵食する戦法か。
たぁのしぃよねぇえええええ?
Ψ(`∀´)Ψケケケ

ま、ヲレは補給線切って敵が息切れしたところを安全に駆逐するのが好きだけど。

>「こんな時代」
何様だお前!
と、突っ込んでしまった。
なんかシロッコが吐いてる姿を想像したからかもしれない。

>エスト
わかる…ヲレには 久遠 の考えが手に取るようにわかる…(類友?)。
エストを可能な限り闘技場で使い倒すつもりだ気をつけろ!!

ま、手遅れっぽいけど;
by ぽ村 (2011-07-01 01:07) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下どうもです。
鬼畜に走ると良心が痛むが、ある程度走ってもらわないとアルタイルのイベントに使えない…。
ジレンマですな。
だがしかし、 おかのん がある程度情報を流さない形で誘導してるのが見たた今回。

>エスト
ぬう、ヲレの予想が外れたでござる。
しかし他の姉妹が存命して無い件。

>オグマ
あっさり処分した割には愛着あったんだな 久遠 w

最後に炸裂した氷河期もアルタイルでどう表現されるか…ぶえらば!?
な、殴らなくてもいいぢゃん(つДT)
by ぽ村 (2011-07-04 00:49) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第5章 オレルアンの愚者共 その2 ウェンデル

先の敗戦でハーディンは沈んでいた。

アリティア軍の参戦と聞いて血気に逸ったのは
らしくなかった。しかしそれだけ期待が高かった
というのもあった。

なにせ敗戦らしい敗戦のうわさを聞いていない
軍だったのだ。好機と捉えるのも無理は無い。

しかしそのせいで前途有望な将を失ったのは
痛手であった。

なんとかせねばならない。

このまま合流すればオルレアンは、
アリティアと対等な立場で共に戦うことは
出来ないだろう。

さりとて今出来る事は砦に篭る事だけであった。

 ・

デネブは湯浴みをしていた。

戦場とはいえ、身奇麗にしておきたいというのは
女性の共通の思いである。
その辺を意外と解っているのも、
アイルの長所である。

昨日の事をいろいろ思い出す。

闘技の件はアイルはひとまず先送りにしたが、
レナのケアは必要だった。
言い難そうにしていたので、
「わかった。私が見ておいてやる」
と言ってやった。

確かにアイルがどうこう出来る話ではない。

 ・

彼女も限界だったのだろう。
声をかけ、言葉を選んで話すうち、
ぽつぽつと話し始めた。
闘技場という状況は出て来なかったが、
兄の目の前で犯された事や、その兄がそいつらに
殺されたことを聞いてやる。

しかし聞くだけというのもつまらない。
そこで少し戯れに吹き込んだ。
「許せないわ・・・ レナさん。貴方はもっと
怒っていいのよ? 神の教えは尊い事だけど、
神が完璧ならこの世はもっと平和なはずよ。
貴方が泣き寝入ることなんかない。
ううん。マチスさんを殺されて黙ってる方が
おかしいわ。
私も手伝う。
貴方をこんな目に合わせた人を、
せめてひっぱたいてやりましょうよ」

彼女はたっぷりとうつむいた後、
「・・・ええ」
と、静かにつぶやいた。

 ・

アイルの期待した形とは違うだろうが、
そのすわった目には光が戻っていた。
とりあえずはあれでいいだろう。

実行犯は皆殺しにしたと言っていたし、
ベガの事さえバレなければ・・・

・・・・・・

大変なことに気付いた。

いずれ絶対にばれる。
アイルに言っておかねば・・・と、振り向いた時、
仕切った布に人影が映る。

「だれだ!?」

バッ!!!
布を剥がしてしまうとは思わなかったのだろう。
完全に身を隠し損ねた、間の抜けた姿。

リフとドーガだった。

剥がした布を手早く巻いて睨み付ける。
「貴様ら・・・」
そういえば。
闘技場の件はレナの事を配慮し、偵察の別行動中
敵に見つかった事になっている。

「ドーガ。お前はまた別に話を聞く。行け」
「は、はいぃ」
ドーガはそそくさと逃げる。

「リフ。・・・もしかして、これか?」

あの後、ローブの男になぜ協力していたかを
アイルは問い詰めたという。

リフにとってみれば、あの事件はマルス王子が
現場を押さえ、レナの名誉の為に緘口令が
しかれ、逃げたローブの男・・・
ベガ以外は犯人一味は皆殺しになっている。

その時リフは『仲間の僧侶を人質に取られて
逆らえなかった』と言っていたそうだが、
リフの役目はそこまでして必要だったろうか。

だが、合点がいった。

「女兵士の湯浴みの覗き・・・
ローブの男に脅されたのはこのネタだな?」

確かにナマグサもいいところだ。
リフは真っ青な顔で項垂れる。

「他に仲間はいるのか?」

首を振る。ドーガだけか。
ここで隠し立てもするまい。

(・・・よし)

とりあえずこちらも弱みを握れた。
いずれ使えるだろう。

「とりあえず今後現場を見つけたら
容赦はしない」
それだけ言って、この場はおさめた。

 ・

「ウェンデル先生!?」

先の一戦は、わずかな伏兵にいいようにされ、
総合的には敗戦であったが、
全滅させたのも事実。

その折捕虜の中に、カダインの高司祭がいるとの
報告があり、マリクに面通しをしてみたのだ。

「おお、マリク!」
「よかった。ご無事で・・・
え、ええとマルス王子。こちらはウェンデル先生。
カダインの高司祭にして僕のお師匠様です」

めずらしくマリクがどもる。気にせず、
アイルは歩み寄り膝を折る。

「お初にお目にかかる。アリティアのマルスです。
知らぬこととはいえ失礼いたしました」
「いやいや。こちらも身を守るためとはいえ
雷撃など浴びせたのは申し訳なかった。
争いは好まぬたちですが・・・」
「降りかかる火の粉は払わねばならぬ、と?」
「まさに」

アイルの『闇魔法』に関する下心を抜きにしても
話は弾んだ。
「マリク。先生をお借りしていいか?
例の件もあるし、落ち着いてお話を聞いてみたい」
「そ、それは・・・!」

さきほどから、マリクは様子がおかしい。

「? あ、積もる話もあるよね。
ごめん、気がまわらなかった。
では先生。後ほど・・・」
「い、いえマルス様。その・・・ せ、先生は
よろしいですか? 捕虜の扱いを受けて、
お疲れでは・・・」
「いや、かまわぬよ」
「でしたら、出過ぎた事でした」
一礼してマリクは去る。

どうしたのだろうか。

 ・

「闇魔法、のう」
「はい」
例の、先日マリクに話したのと同じ内容である。

「マリクのいうとおりじゃろうな。
それほどの力を持つ者自体限られようて。
わしもガトー様、その弟子のミロア大司祭、
そしてガーネフ位しか思い当たらぬ」

「・・・ではやはり」
「動機も併せ持つのはガーネフじゃろう」

しかし、あの声は・・・

「力の程はともかく、
他の可能性は無いでしょうか。

声が、したのです。
よく聞き取れなかったのですが、
女のようで・・・」

ウェンデルは眉をひそめる。

「遡れば王族の中には司祭の資格を持つ姫君は
おらぬこともない。

建国の母アルテミス王妃、
永遠の淑女アナスターシア、
天魔の魔女プレアデス=レギーネ・・・

しかし彼女らとてわしにも及ばぬ程度のはず。
そこからずっと位階をさげて、現在めぼしい力の
女司祭となると、失礼ながらニーナ王女と
いった所じゃな」

「そうですか・・・」

しかし、アイルは一つ思いついていた。
たとえばオームの杖のように、強力な導具を
つかえばどうだろうか。

マルスを攫ったのは闇魔法だったが、
杖の中には任意に仲間を引き寄せる
『レスキュー』なる杖があるという。
世に伝わらぬ強力な術がないとは限らない。

カダインに、行くべきだな。

それには足がかりとして、オレルアンの
開放をせねばならなかった。

 ・

そして、二人のあずかり知らぬところで
別の問題が出て来ていた。

天幕の中で、会合が組まれていた。

マリク、アベル、カイン、ドーガ・・・
そして、オグマ。
フレイは今のマルスに心酔している。
ノルンにいたっては骨抜きにされている。
古参であったり信用が出来るのはこれくらいだ。

「先日のマルス様の指揮ぶり・・・
いかがでしたか?」
「最悪だ」
オグマは完全にくさっていた。

裏切り者を自分の部隊から出してしまった
失態もあり、言い訳はきかないにしても、
アベルらでさえ重用されていないと感じる
軍で、いかに仕事がないかは想像はつくだろう。

アイルの管理で待遇は悪くない分、
余計に居心地が悪かった。

ドーガもヒマが過ぎて、リフに声をかけて
しまったばかりに、覗きをやらかす始末。
皆にばれる前にデネブが止めたのが幸運だ。

それはともかく。

「今までの天才的な指揮ぶりが嘘のようでした。
最も僕はあまりそれを目にしてませんが、
あれはあまりにもお粗末です」
「確かにな」
アベルが相づち、皆も頷く。

あの時のマルスは変だった。
フレイやノルンにいたってはいち早く気付き、
独自に指揮を始めたほどだ。

かわりに際立ったのが本人の強さ。
前々回の戦でも見せた鬼神ぶり。

アベルが、
「チェスで例えるなら、今までは、僧も城も
抜いた布陣から、ノーロストでチェックメイトを
宣言するような棋譜だった」
と例えると、
「それなら今回は、駒の動かし方も覚えてない
子供が、中盤から『今から王は女王と同じで
さらに3回動ける』とか言い出したみたいな
勝ち方だったな」
と、カインが珍しく上手いことを言う。

「問題はそこじゃないんです」

「・・・じゃ、どこなんだい?」
もっともな疑問のドーガのセリフ。
マリクは抑えた声で言い放つ。

「魔道の心得のないみなさんには感じられ
なかったかもしれませんが、僕は・・・
解ってしまったんです。
王子が、闇の波動に包まれていると」

ざわっ・・・・・・

デネブがいつの間にかアイルとベガを
見分けていたのはそれが理由だった。

魔道の心得があるものが、闇の波動を
感じられない道理はなかった。

そう。目にさえすれば・・・

レナも。

 続く

by おかのん (2011-07-05 18:36) 

ぽ村

>>おかのん
とうか乙です。

リアルに戦場で味方から弓を向けられそうな展開になりそうだぞをい;

あと見たこと無いけどリフ屑杉。

>ノーロストでチェックメイト
…無印プレイだとそうなるんだよな。
何その軍とても怖い;
小説だと誰一人死なずに常勝無敗不死身の軍で通るんだろうか。
by ぽ村 (2011-07-05 21:46) 

おかのん

どうなるんでしょうドキドキ。(作者らしからぬ発言)

>リフ
本当は敬虔な僧でいいおじいちゃんなんですが・・・
久遠が、
「マチス殺した一味に協力してんだから
相当後ろ暗いことがあって、しかもそれが
性癖とかなんだ絶対。タコ坊主だし」
とかいうので・・・
つい。

ごめんねリフ。見せ場を作る予定はないけど
プレイの都合で生きてるだけ感謝しててね。
だって思い入れが全くないんだもん。
いい意味でも悪い意味でも。

我ながらヒドイ。
ちょ、ちょっと久遠に引っ張られすぎかなー・・・

>ノーロスト
そうしたがる人も多いってだけでデフォルトじゃ
ないんですけどね。
アルタイルみたいに『将は死んでない』くらいの
話なのでは?

by おかのん (2011-07-05 22:09) 

ぽ村

>>おかのん
>どうなるんでしょう
おまいが言うな♪
( ^Д^)つ
ともあれ、結果が解ってるならば、落としどころくらいは付けておかないと大変なことになりそな予感w

>リフおじいちゃん
え?
そうなの?
ヲレてっきりナヨナヨした気の弱い青年(レナの男バージョン)をイメージしてた(ここんとこがにわかwww)。
爺さんなら覗きくらいキャラやポジションで「困ったスケベ爺」程度でいけるだろうに。

>久遠
原作者(?)だからね…引っ張られるのは仕方ない…しかし、上の落としドコロを検討するには良いネタ提供者&相談相手かもよ☆

>デフォルト
暗黙の了解みたいなモンなのかな…。
誰か死んだら即リセットっていうのが、ウィザードリィ以上に浸透してるし。
将は死んで無いってのはその方向だろうな。
しかし、将が死ななくなった戦争は近世以降だから(歴史脳自重)

特に「死んだ人一人だけ生き返らせる」ってゲーム終盤のイベントを小説内で片手間にやられたら引くわー;
「序盤で死んだシーダを生き返らせる」とか、大きな目的の先の話ならアリとは思うけど。
by ぽ村 (2011-07-05 22:35) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
堀江由衣…とか、何もかもにわかなヲレがボソリつぶやいてみる。
ハマーン様は無いかと。
デネブバージョンでは脳内で声が変わる感じだが、まだ「シーダ」が出てないんだよね…。
どうなる事やらひょひょひょ♪

ともあれ投下乙でやす。

>使えない連中
ソレを本来しなくても良い努力でどうにかするのが縛りプレイの醍醐味…。
いや、運も多分に含めれてる…というか、そういうのがキツイ(DQ3のバラモス戦思い出しながら);

>シスタープリンセス
また懐かしい名を…。
「ある日アナタには12人の妹が出来ました」
英訳を間違えたような体当たり設定だっけ?

…FFTはやった事が無いけど、そんな不道徳発言があるの?
やだちょっと興味湧くじゃない(ソコなのかよw)

>カミュ
隠し要素で仲間になればいいのにねぇ。
どっかの町で出たときは仲間になる??
とか思ってた。
あと、その精製した武器はもはや宝具級w


しかし19章でココか…まだ先は遠いな。。。
by ぽ村 (2011-07-10 17:31) 

おかのん

結局器用な人で無いと勤まらないから、
ベテランよりになるんですよね・・・・・・

そもそも私もそんな詳しくないし。

フレイとナタルを演じきった実績で・・・
桑島法子さんとか。

ほっちゃんは・・・ちょっと可愛らしすぎる気が。
ああでも彼女ドSらしいし演ったら出来るかも。

うまいなーと思うのは沢城みゆきさん。
けっこうお姉さん役とか上手い。
ハマーン様はないとしても、
私の中でC.Cといい勝負。
例としては図書館戦争の柴崎。
(主人公の親友の切れ者)

まだ出てきてないけど、マリアは花澤香奈さん、
それこそチキはほっちゃんがいいなあ。
ひぐらしの羽入とかの感じで演じて欲しい。

>カミュ
いや、第二部でなりますし。

>しすたーなんたら
字面のままならエリスもミネルバもマリアも
そうだと思いますけどね。
チキの破壊力は認めますが。

by おかのん (2011-07-10 20:58) 

ぽ村

>>おかのん
>桑島
イカン。
アレはメンヘラキャラ専門ってイメージ(直後、複数の何者かにボコボコされるヲレ)

…血って、鉄の味がするんだな…。

声優はそう詳しくない(というか、そういう話をしてくれる人が昔居たけど、今はもう居ない)ので、ボロが出る前に撤収w
ああ、島本須美とか好きだったよ。
ナウシカは全然知らないけど。

>カミュ
ウッソ!?なんで?
アレか。
ニーナのアマが秘法なりオームなりで復活させたのか。
それとも悪の勢力に復活させられたのをニーナで丸め込んで引き抜いたのか!?
念入りにトドメさしたのに…。
あのイケメン、しぶといながるるるるr

>シスぷり
プリンセスばっかだなそういえば。
戦後の事とか考えて、ドコのどいつに接近するか考えているに違いない。
それが数百年後、「炎の紋章戦争~女達の戦い~」とかいうタイトルで大河ドラマに…。
コホン。
行軍中も女性同士で何らかの賭け引きや国家のパワーバランスを踏まえたやり取りや、嫉妬や友情が…と思うと話に深みが出るな。
by ぽ村 (2011-07-10 23:53) 

おかのん

>メンヘラ
・・・・・・(ググってます)
・・・ひていできない。

>島本さん
もしもし管理人さんですか。
クラリスはGJでした。

>イケメンしぶとい
というかストーリー上いないとクリア出来ません。
あいのちからがせかいをすくいます。

>大河ドラマ
聖戦の系譜の方がそれっぽいかと。
一世代またぐから余計に。

by おかのん (2011-07-11 05:41) 

ぽ村

>>おかのん
だしょだしょでがしょ?

>島本
や。
高橋作品は総スルーだったので、ゲーム「エターナルメロディ」のティナ役で。
病弱なのに主人公に甲斐甲斐しく付いていく姿がヒットだった。
…ま、一番好きなキャラは別に居る上、仲間にしなければ敵になるのでボコボコにすることも多々あったけどw

>あいのちから
わあすごいなぁ。
せかいをすくうのはあいのちからか(棒)
どう復活すんのかちょっと気になってきた;

>大河ドラマ
副題は「妻として、母として、女として」…って、どっかで聞いたなコレ;
+戦士としてが入るかも知れぬ。

by ぽ村 (2011-07-11 22:07) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第5章 オレルアンの愚者共 その3 振り出し

オルレアン軍との合流はつつがなく終わった。
駐留する砦を防護しながらの進軍と、
微に細に入る配慮は、前回の敗戦の印象をかなり
打ち消すことが出来た。

オルレアン側とて逸って出撃した手前もあり、
責任はアリティア側にはないという見方も出来る。
それも織り込んだ上での謝罪と、
至れり尽くせりの合流は人柄を感じさせ、
オレルアン側の心象は概ね良好といえた。

銀の剣をハーディンに渡し、略式の会見の席。

「私に・・・指揮権を!?」
ハーディンは全軍の指揮をマルスに委ねると
申し出てきた。
前回敗戦に巻き込んだ事実を鑑みれば出てくる
話ではない。その事も言う。
だが、ハーディンの決意は固かった。

「こちらの被害はこちらの責任だ。勝つも負けるも
兵家の定め。だがその後の立て直しをみれば、
どちらが指揮するべきかは明らかだ。
私も貴公でなければこんな話はすまいよ」

「・・・わかりました」

気に入られたものだ。
自分ならもっとうまくやれたという思いの反動で、
合流に気合を入れすぎたかもしれない。

ともあれ、悪い話ではない。
そこらの精鋭より経験のある約五百騎。
良い手札だ。

 ・

オレルアン城戦は電撃戦となった。
南の砦の合流に必要以上に慎重だったのと、
前回の敗戦のせいで、マケドニア側はアリティアを
舐めきっていた。あっという間も無く丸裸にされ、
マケドニアは篭城する羽目になった。

援軍の当てはあったのだが、
いつまでたっても来ない。
各個撃破されていたのを知った時には、
すでに手遅れだった。

ムラクは武人の意地を見せようとするが、
希望は薄かった。

 ・

城内の混乱に乗じない手はない。
一気に制圧してしまおうと、突入を誰の部隊に
まかすか思案をしていた。

その折である。

「中央、突破されましたっ!!」

!?

見れば、ナバールの傭兵部隊と、
ドーガの近衛重兵の間隙をぬって、
騎馬が一騎暴れていた。

「突破、だと!?」

ナバールの部隊はタリスの残兵の一部の混じる
いわば寄せ集め。ドーガの部隊は経験の少なく
なりがちな重兵だ。
弱点と言えなくもない。

とはいえ一騎で・・・!?

目を疑うが、事実だった。
どう考えても自殺行為だが、
こちらの方が悪夢を見せられていた。

「ぎゃはははははははははははっ!!!!!」

もう一人ベガがいるかのようだった。
ただの騎馬騎士に見えるが、尋常ではない。
まさに血の雨が降っている。

「弓兵をもどせっ! 取り囲め!
皆一旦ひけぇっ!!!!!!」

アリティア軍は一気に大混乱に陥った。
ただ一騎の騎馬のせいで。

そして。
騎馬がいきなり目標を変えた。

!?

あれは・・・

「ウェンデル司祭!?」

「ヴァアー・・・ くひゃははははははは!!!!!」

ウェンデル自身も迎撃しようとする。が、遅い。
あっさりと槍先が身体を貫く。

「ぬぉお・・・!」

「ウェンデル先生ーッ!!!!!!!」

マリクの叫びはただ響いた。
司祭の身体はくずおれ、喉からは血が吹きだす。

「馬鹿な・・・!」

司祭には他にも聞きたいことが山とあった。
ベガやあの斧のこと、強力な魔導具の風聞、
マルスの行き先の心当たり・・・

「ふんっ!」
駆けつけたフレイが剣を一閃。
あぎゃあ、と変な断末魔をもらし、
騎士は絶命する。

マリクは兵達が駆けつけるまで呆然としていた。
アイルも状況がつかめない。
しかし、戦は続いている。
落ち込む暇はなかった。

 ・

城門のムラクを片付けた頃、

「マルス様!」
ようやくノルンの隊が戻る。

「ノルン・・・」

・・・?

「・・・シーダは?」
デネブもノルンと共に弓兵として
戦に参加していた筈だった。
しかし見当たらない。

「援軍の出所を探る、と。
今現在小隊ごと単独行動をされてますが、
敵増援が途切れたところを見ると・・・
成功されたのかと」

「そうか」

「間も無く戻られると思います」

マルスは苦虫を噛み潰す。

「こちらは大失態だ。ウェンデル司祭を失った」
「・・・残念です」

もちろん見ていただろう。

{おい}

ベガだ。

(何か用か)
{何だ? あれは}



{あの騎士は、デネブとは別の意味で・・・
同族っぽかった}

!?

(・・・俺にだって分からん)
{・・・・・・・・}

それきりまた寝たようだった。

解らない事だらけだ。

「フレイ」
「はっ」
「全軍適当に引いて陣を張ってくれ。
日も落ちるしこれ以上は無理だ。
オレルアン城は包囲し、
中の将や宝物が逃げんようにしろ。

アベル、カインに引継ぎ交代をさせて朝まで保て。
・・・僕は、少し休む・・・」

ウェンデルを失ったことは痛かった。
戦力的にはともかく、やっとまともな手がかりを
手に出来そうだったのに。
苛立ちがおさまらない。

「ノルン」
「はい」
「一緒に天幕に来てくれ」
「・・・・・! ・・・はい」

悟ったようだ。

「すまない。
今日の僕は八つ当たりしかしないと思う」
「・・・お手柔らかに」

 ・

数時間後。

天幕の中にはノルンとアイル。
そして途中から入ってきたデネブがいた。

「う・そ・つ・き。ふふふ。激しかったけど、
八つ当たりだなんて♪」
「うむ。いささか期待はずれだ」
・・・勘弁しろ。

ノルンは満足気だし甘えながらなので、からかって
いるだけだろうが、途中から割り込んだデネブは
言葉どおり不満そうだ。

なのでもう一戦始めようとデネブの唇を吸うと、
「あん、ずるい」と、ノルンも背に胸をあてて
誘ってくる。

・・・明日も指揮を執らねばならないのだが・・・

眠れるだろうか。

 ・

昨日の話し合いは、ウェンデルに相談を
しようという事で終わっていた。

マリクの見間違いや、何か事情があることもある。

例えば何かに乗り移られているとかなら、
逸って始末しては、本物のマルスまで
殺してしまう形になるかもしれない。

だが・・・

「・・・・・・」

マリク、アベル、カイン、ドーガ、オグマ。
例のメンツである。

「・・・振り出しです。せめてもう一人心得の
ある人がいないと、僕も踏み切れません。
ことはマルス様のことですし・・・」

「そもそも、今マルス王子がどういう状態かが
解らなければ、対策の立てようもない」

マリクの沈んだ声に、アベルが答える。
皆無力感に囚われていた。

カインが口を開く。

「とにかく、今は同士を増やそう。いざという時、
・・・たとえばマルス様ご乱心とかの時、
このことを知ってるかどうかは大事だ」

いや、と、オグマが制した。

「中途半端な情報はかえって不安と混乱を招く。
それを制御できる立場の者にの進言なら別だが」

皆一様に頷く。カインも思い直した。
ドーガが挟む。

「つまり、誰に進言するんだい?」

「まあ」
「ハーディン様だろうな」

オグマのセリフをアベルがかぶした。

「失礼」

先日の一戦以外は破竹の勢いで進んでいるのも
確かなことである。この流れを断ち切るかも
知れない行動を軽はずみには出来ない。

しかしウェンデルの一件はどうか。

自分達の事は既にばれていて、中心もしくは
確かな指針を示せる相談役を戦のどさくさに
見せかけて始末した・・・
そんな考えも浮かぶマリクだった。

実際一番痛手だったのはアイルなのだが、
そんな事が解るはずもなく、
しかし不自然であることも確かだった。

 ・

「・・・魔導士に?」

相談があるといって呼び出されたマリク。
ジュリアンの案内で向かった先には、
目のすわったシスターレナがいた。

「私は、戦う力が必要になったの。だから・・・
手を貸して、ください」

魔導書を読めるようにするのは、シスターの土台が
ある分難しくは無いだろう。

が・・・

彼女に戦いを決意させるものはなんだったか。

それを知るすべはない。

 続く 

by おかのん (2011-07-13 18:42) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙☆

なんとなく…なんだが、デネさんの正体がちょこっと…いや、ホントにちょこっと…。

多分敵さんサイドのドラマが無いことにも関係してるんじゃn(ネタ潰し禁止w)

>同志
読みながら「…ハーディンだろ」
と、思ったらハーディンで小さくガッツポーズ。
ま、この連中がどう粛清されるか…。
闘技場死が多いので、そのあたりも変換するのか、そのままでいくのか気になる。。

>レナ
田舎の聖女様、御乱心の件。
by ぽ村 (2011-07-14 02:04) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙です~。

>デネさん
近くでカミュぬっころして、将軍には説得とか…将軍がその強さに恐れをなしたとしか…っつか、将軍即死!?
闘技場で金稼いで即死!?
不憫だなぁ(棒)

>邪槍
なんかデネさんが持つにはふさわしい…とか思った。
SFCでは手槍が中盤以降空気だったのでちょっとうらやましい;

>黒騎士
何とか騎士団ってつく連中ほど戦術にチョンボ多い気がするこのゲーム。
単体では強いんだけども。
by ぽ村 (2011-07-17 01:10) 

久遠

>将軍即死
だって次ユミルだもん。15人以下にするならここで死んでもらわにゃならん。

デネさん出すの超楽しいw
by 久遠 (2011-07-17 12:32) 

ぽ村

>>久遠
単体ではお久しぶり。
元気ですかぁぁぁぁぁ!?(猪木風)

条件満たすためにゃーしょーがないよねー?

悪魔っ娘(?)好きなヲレらがデネさん気に入るのも然り。

お助けキャラが軒並み使えないとはどういう事だ;
by ぽ村 (2011-07-17 19:26) 

ぽ村

>>おかのん&久遠

「都会のモノにゃ騙されねぇだぞオラ!!」とか息巻いてるかっぺほど騙されやすい件。

ともあれ投下乙っしゅ☆(もはや死語の部類)


そうか、ちゃんとお助けになってるキャラも居るんだな。

20章ってSFCだともう終わりの面だぞ…まだこんなもんかよ;
しかしボーナス面ってのはありがたいよな…。
港町ワーレンはボーナス面と見せかけた壁だったと思う今日この頃。

>「おにーちゃんだーいすきー♪」
と、ドラゴン形態でマルスに突進してくる&踏み潰すお茶目な姿を夢想した。
by ぽ村 (2011-07-20 01:19) 

おかのん

>まだこんなもんかよ;
はい。後6ステージあります。

>エイミちゃん
ヴァルキリープロファイルのエインフェリアの一人。
身体に埋め込まれた竜紅玉で巨竜に変身。
姉御肌で酒豪。
なんでチキとお友達なの!?
世界観ムチャクチャ。

by おかのん (2011-07-20 08:31) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第6章 ダークエムブレム その1 突入

夜も開け、オルレアン城攻略の準備のさなか。
互いに話さねばならない事があった。
昨日の事についてと、アイルとベガの見分け方。
リフの行動の真実。

「・・・あのスケベジジイ・・・」

だが、ばれれば破滅という弱みは使える。
放置してもいいだろう。

「闇の波動、か・・・」

これはまずすぎた。

(ベガ、ということだ。どうする)

不機嫌な返答が来る。

{どうってのはなんだ}

(魔導士が感じ取れるのなら、マリクあたりに
まずばれている。昨日の態度はおかしかった。
多分他の連中にも広まっているだろう。

それでも俺が無事なのは普段闇の波動を
出していないから・・・

つまり俺だからだ。

この身体の優先権はお前にある。これはいい。
いや良くはないがこれは前提であり事実だ。

ただし、レナの件はお前のわがままで、
お前の存在がばれたのも前回の敗戦も
お前の責任だ。

貴様は後始末が出来ていない。

レナを殺せないのは俺の甘さだが、
もう一度犯したくて殺さないお前は結局
俺にどうこう言えまい)

ち、と、舌打ちする気配。

(俺は前提として貴様の言いなりだ。
だが俺ならフォロー出来る部分もある。

好き勝手にやれば、互いにリスクも大きい。

従えとは言わない。だが、「ここまでは妥協
してもいい」というラインを示してくれないか)

{・・・・・・・・

考えておく。

次に身体を使うときまでにな}

寝る気配が伝わる。

つまり条件がまとまらなければ
身体を使われることはない。
当分大人しくしてやるとの言質をとったといえる。

「後は、ウェンデルの件か・・・」

ベガは、魂のオーブと謎の闇の波動の
ハイブリッド・・・混血のようなものだ。
ベガが仲間と感じたとなれば、あの騎馬騎士は、
闇の波動の方が何か関係しているのだろう。

「しかし、私の聞いた限り、ただの狂戦士だ。
ベガの時に解らなかった事は解らんよ。
何か変わった事は無かったのか?」

デネブもやはり解らないようだ。

「・・・司祭を狙って来ていたのだと思う。
それ以外は、話したとおりだ。

・・・やはりカダインに行かない事には
始まらないか」

しかし今回の件で感じた事が一つある。

ドルーア、内部の火種、そして・・・
『闇の波動』に関係する、何かしらの勢力の
存在である。

あのSナイトが大量に作れるなら、
戦況は既に手遅れの筈である。

また、ウェンデル司祭はドルーアからみれば、
ただの一司祭だ。司教や大司祭ではない。
アレが刺客なら、ニーナ姫やハーディンを
狙ったはずだ。

こちらの火種どもにとっては、死なれては
困る人間の筈。つまり・・・

小規模で、闇魔法に関わりの深い何者か。
そういう別の勢力がある可能性・・・ 
いや。
マルスが攫われた上、それが政治的に
使われていない時点で、間違いなく勢力はある。

今回は、そいつらが具体的に何かを
し始めたかもしれないという懸念だ。
実際なぜウェンデルだったのかは謎で、
目的が解らない。

こいつらからマルスを取り戻すのがそもそもの
アイルの目的だが、マルスのふりをしての
反乱軍の指揮もそろそろ洒落にならなく
なってきている。

負けるわけにいかない場面が多すぎる。
これ以上の面倒事は御免蒙りたい。

そして懸念が有ろうが無かろうが、
突入の号令をそろそろ下さねばならなかった。

 ・ 

「ふむ・・・」
「どうされたのですか? マルス様」

いつの間にかノルンがそばにいた。
まあこちらも気付かない程鈍くも無いが。

「いや、城内に隠し通路などがあると敵を
おめおめ逃がしてしまいかねない。
どうしたものか・・・とね。

しかし突入部隊を編成すると、取り囲むほどの
部隊は作れない。せめて北西の門にも突入が
できればいいが、戦力を分けてしまうのも
愚かな判断だ。」

「そうですね」

「ならば城内に直接送り込む・・・
というのはどうですかな?」

リフだった。

「・・・なるほど。ワープか」

「かの杖の力なら、可能です」

コイツも使いでが無い。魔力も高くはないし、
体力も見たままである。
技量くらい見せておかないと、
後がないとでも思っているかもしれない。
実は脅しのネタがある分信頼が出来るが・・・

・・・・・・

ノルンに外させる。

「リフ」
「は」
「貴様のいい趣味の話だが」
「お許しを」
「まさかノルンは見ていないだろうな」
「は。あの娘にはスキがありませぬ」
「・・・ならいい」

もし見ていたら眼を潰してやろうかと思ったが。

「・・・もう覗きはやるな。女くらいたまには
都合をつけてやる」
「感謝の極み」

モロドフに遊興費を組んでもらおう。
シュテルン商会の歓楽街ネットワークは
そろそろ脹れてきた頃だろうか。

 ・

「かかれぇっ!!!」

フレイを先陣、ダロスの小隊に破城槌をもたせ、
シーダ、ノルンに外壁の兵を落とさせる。
門が壊れ次第、全軍突っ込む。
セオリーそのままだが、

「どうせ闘志の削がれた部隊だ。
正面から潰して問題あるまい」

「ま、それだけでもなし。とはいえ・・・
・・・退屈な一戦になりそうだな?」

そんなセリフとはうらはらに、
嘲りの混じるデネブの微笑みは、
楽しそうにしか見えない。

デネブ自身も、たまに思いついたように
弓をひきしぼり、矢を放つ。
鏃で頬の肉を削ぎ、狂ったように絶叫する兵士。
それを見てけとけとと笑う魔女を、
アイルはしかし可愛らしいとしか
思えなくなっていた。

 ・

城内。

「い、いそげ!! 持てるだけの宝物と共に
本国にもどるのだああ!!!」
既に逃げ出す事しか頭にない将をかかえて、
士気は底まで落ちていた。

そこへ、

ヴォゥウンッ!!!!!

「な、なんだぁ!?」

空中に回転する3重の魔方陣。
正三角形を重ねた星がひねられ解かれゆく時、
光の霞が消える。

「・・・よう。マケドニアの鼻糞共」

「げぇっ!? せ、閃貫(せんかん)のウルフぅ!?」

オレルアンきっての若き名将である。
馬上でも外れない弓が、狙って外れる道理がない。
フルプレートを纏って出てこられては、
手の出しようがなかった。

「ビラクとロシェの弔い合戦だ!
せめて死に花咲かせやがれッ!!!!!!!
脳漿をブチまける手伝いならしてやるゼぇッ!!!!!」

城内はたった一小隊によって陸の孤島にされ、
一張りの弓によって地獄に変わった。

 ・

「・・・陽動としてもうまくいっているようだ」

ここまで聞こえる阿鼻叫喚。
城壁の兵達も気もそぞろだ。

「ウガアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

ダロスが吼える。

(コイツ自身が攻城兵器のようだ)

グォォオオオオン!!!!

ズゥウウウウウウウウンンン・・・・

城門も破れた。

「さあ・・て」

思えばアイルにとって、こんな戦は久し振りだ。
タリスを出て後、ろくな形で指揮をしていない。

スッ・・・・ と手を上げ、

振り下ろす。

「全軍、突撃ぃいっ!!!」

死と魂の2つのオーブを掌で弄びながら
ゆっくりと進むアイルの浮かべる笑みは、
ベガの愉悦の笑いと大した差はなかった。

 続く

by おかのん (2011-07-20 09:41) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙です。

主役級二人の暗黒面が出てきたな。
デネさんはとにかく、アイルはそのうち同化するんじゃないかをい;
初期と比べてずいぶん黒くなっとる。

リフは…あれだ。
覗きが性癖だから、女あてがわれてもそんなに嬉しくないかも知れないw
しかし歳をとってもポジション確保に苦労するとはやってられんな;
ヲレなら補給とかの後衛に回して…とか言って逃げ出しそうだ。

>エイミ
ああ、どっかで聞いたことある…と思ったらw

by ぽ村 (2011-07-20 15:10) 

久遠

そういえば「縛りプレイ日記」のタグで、この記事のタイトルが地味なので、例のサブタイ、「不遇の新キャラに愛を! 役立たずだらけの40人ぶっ殺しサーガ ポロリは多分無い(大嘘!!ww)」をタイトルにいれると良いと思う。
by 久遠 (2011-07-22 00:06) 

ぽ村

>>久遠
了解☆

よっ…と


コレでどうだい??
by ぽ村 (2011-07-22 00:43) 

久遠

うむいい感じ。サンクス☆
by 久遠 (2011-07-22 06:49) 

しゃと

ポロリ>
うっかり首がいってしまうデュラハン的な
想像をしてしまったではないですか。

まぁエロはともかくグロは無いに越した事はないです。
by しゃと (2011-07-22 20:08) 

ぽ村

「不遇の新キャラに愛を! 役立たずだらけの40人ぶっ殺しサーガ ポロリは多分無い(大嘘!!ww)」板返信みっつ(ここ笑うトコですw)

>>久遠
出来ることはやるんで、今後とも気軽に要望出してちょ。
無理なら無理と言うんでヲレ。


>>しゃと
じゃじゃ丸♪ピッコロ!そ続き!
…や、何でもないです。
ぐろいのイヤけ。
ヲレも画像・動画はマジで勘弁だわ;


>>おかのん&久遠
「オール・ハイル・アリティアーラ!!!」
と慌てて言い直すほうに2000点!
ま、ココで既にマルスじゃないアイルと周知されてるなら問題ないが。

…楽しみだなー…FFNでガーネフがアイル達の軍の前に出てくる頃…(ネタ潰し厳禁)

>正史
なにそれ聞いてないよ!
ヲレはボスとか後腐れないように念入りにトドメ刺すクチよッ!!?
って、 久遠 のプレイでもヲレのプレイでも関係ないのか…。

っつか、奴は二章で生きてるのか。
ああ、なんか気になってしまう;
by ぽ村 (2011-07-22 22:32) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第6章 ダークエムブレム その2 魔方陣

突入してすぐ。盗賊が牢に入っていた。
当たり前なので無視しようとしたが、

「アニキ! やっぱりジュリアンのアニキだ!」

「リカード!?」

どうやら盗賊仲間らしい。
仕方ないので出してやる。

「これも何かの縁さ。役に立って見せるぜ」

足止めを食った時点で勘弁して欲しかったが、
この程度の戦場でならかまわないだろう。

「マルス様。私はウルフさんの支援に。
片付き次第合流します!」

シーダとしての進言だったが、
デネブの意図は顔に書いてあった。

『逃げ惑う兵達に突き刺さる復讐の鏃・・・
さぞかし美麗なる地獄絵図が・・・!!!』

止める気にもならない。

 ・

先行した部隊は既に敵と接触していた。

やはりフレイを中心にノルンがサポート。
リフが回復をするパターンが定着している。
しかし今回マルスは、

「要所は近衛で押さえる。各自で臨機応変に
臨んで貰って構わない」

と命令した。

アイルにとってみれば相手が逃げ腰の戦場を
制するのに、いちいち細かい命令を出しては
機を逸すると思っただけだったが、
例のメンバーは不気味なものを感じて、
なんとなく固まって行動していた。

ドーガは、
「考えすぎだよ。こういうとき活躍したがらないのも
かえって不自然にうつると思う。
僕は先行するよ」

ナバールは、
「・・・馴れ合いは勝手にやれ。
俺も勝手にやらせて貰う」

といって、共に単独行動。





-------そして。

それは、起こった。


正面に、隣に、足元に、背後に。
一点から放射状に広がる、
闇の閃光としか表せないうねり。

バヂュンッ・・・

何かが焼き切れるような不快な音と共に、

キインッ!!!!!!

桃色がかった光が環を描く。
紫炎と共に2重3重にかさなり、紋様が浮かぶ。

「なっ・・・」
「これは!?」

魔方陣だ。

マルス王子を攫った、闇の紋章。

それは、戦場のそこかしこに生まれていた。
まるで地獄そのものが、
顎を開いて喰らいつくように。

 ・

「ぎゃあああああああああっ!!!!!!」
「リカード!?」

瘴気が纏わりつき、魔方陣に人間を
引きずり込んでゆく。

「馬鹿なっ・・・
まずい! ジュリアン!ここを離れるぞ!!」

「待ってくれ! リカードを・・・」

「貴様も取り込まれたいかッ!!!」

「アニキっ!! アニ・・ がッ・・」

ごぷん。

「リカードぉぉぉぉぉおおおっ!!!」

くず折れるジュリアン。
くっ、と、歯噛みするアイル。

(どうなっているッ・・・!!!??)
こうなっては戦どころではない。

ジュリアンを放っておいて駆け出す。

「フレイ! ノルン! 無事かぁっ!!!!!」

「「マルス様!!」」

二人が応える。

場は大混乱に陥っていた。

「マルス様! 一体何が・・・」

「・・・僕にも解らない!」

ただ、マルスを攫った魔方陣と同じだと
いう事は解った。ならば・・・

「とにかく不用意に近付くな!」

そう言うしかなかった。

「・・・触れるわけにいかないなら、
慎重に進むしかない。
先行部隊と合流する!!!」

「「御意!!!!」」

とんだことになった。
楽な戦のはずだったのだが。

 ・

「なんだこれは!?・・・ くっ!!!」

「ひわあああ!!?? 誰かっ・・・
誰か助けてくれえ!!!!」

「ナバール!!?」
「ドーガさんっ!!!」

二人は完全に囚われていた。
助けようにも近付けば巻き込まれるだけだ。

「マリク殿! 何とかならないのか!?」
アベルは聞いてはみるが、

「ダメです・・・!!!
レナさん!」

「マジックシールドッ!!!!!」

数人に魔力障壁をかける。

「・・耐性のない者から取り込まれている事
くらいしか解りません・・・!!
くそぉ・・・こんな時・・・」

・・・・・・こんな時?

ウェンデル先生が、いたら?

「・・・・・・・!」

例えば・・・

何らかの目的でアカネイア同盟軍の皆を、
この魔方陣に取り込ませるために・・・

なにかしら解決策を持つ可能性のある
ウェンデルをあらかじめ殺し、
本隊と離れさせて、好き勝手に行動させる。

「・・・・・・ッ」

確証はない。しかし・・・
もはやマリクの中で、
無いのは確証だけであった。

その想像は、間違っていた。
しかし、辻褄が合ってしまうのも確かだった。

 ・

半刻後。

魔方陣はいつの間にか止んでいた。

皆、合流を果たした。勿論、

牢から出てすぐ、取り込まれたリカード。
アーマーナイトに深手を負った直後、
捕らえられたナバール。
魔導士にやられてへたり込んだまま、
沈んでいったドーガ。
そして、数十名の兵達。

彼らの消息は知れない。

「マリク、あれなんだ! 僕の見た、
友人を攫った魔方陣は!
何か・・・ 何か解らないか!?」

マリクはねめつける様な目で、

「全く解りません」

と答えた。

嘘ではない。

「・・・そう、か・・・。
くそぉっ!!!!!
今ここに、司祭殿がいてくださっていれば・・・!」

それは紛れも無い本心だったが、
今のマリクには白々しい芝居にしか見えなかった。

「マルス様。城内の敵は既に敵将を
残すのみとなっています。
手の空いた者から負傷者を連れて
撤退してもよろしいですか?」

後は貴様が勝手にやれ、とでも
言わんばかりのオグマのセリフ。

「そうしてくれ」
「・・・では」

シーダとノルン、近衛弓隊を残して、
三々五々に撤退が始まる。

「・・・フレイ。例のメンバーだが」
「監視しておきます」
「頼む」

フレイの足音も遠ざかってゆく。

「さて・・・マリオネス、とかいったか」

既に将としての格好ではない。
鎧を外され、簀巻きにされている。

「ぐぬぬぬ・・・」

突入前に浮かべた笑みと全く同じものを
敵将に見せる。

それだけでマリオネスは縮み上がった。

「今日の俺は本当に機嫌が悪い。
運が悪かったと思え」

「たた、助けてくれぇっ・・・!!!」

数十の鏃がすべてマリオネスに向く。

「急・所・を・狙・う・な・よ・?」

ヒュヒュヒュヒュンッ!!!!!
ドドドドッ!!!

「うぐぉあっ!!?」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ!!!!!
ドドドドドドドドッ!!!!!

「げふっ・・ がっ・・ ・・っああ
だ・・・だずけ・・・」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ!!!!!!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!

「う・・ぐぉ・・・」

ドシャア・・・

140本近い矢を全身に受け、
マリオネスは崩れ落ちる。

「くかかかか。くかははははははは。
ははははははははははははははははは。
ふはははははははははははは!!!!!!」

自分に逆らった者の息の根を止める。
さんざんに弄ぶ。

「はははははははっ・・・・」

それが、楽しい。

「はは・・・」

・・・結局俺もベガと同じだ。
女に『これ』をやりたくないと思うだけだ。

最初にデネブを抱かなければ、
俺もあの時、レナの中にぶちまけるのを
ただ楽しめたのだろうか。
そうありたいとは、思わないにしても。

今となっては、無意味な想像だ。


デネブは例によって恍惚としていた。
「くふふ」
指を舐める子供のような仕草が、
何故かなまめかしい。

親友の思い人の身体を間借りする、
俺の、

・・・相手。


 ・

「・・・いかがでしたか?」

「本当に、あれはマルス王子なのか?」

「さあ」

マリクの答えは冷め切っていた。
ハーディンは震えが止まらないというのに。

さっきの敵将の扱い。
ハーディンは物陰から見ていた。
ゲリラ戦を続けていた彼にしてみれば、
この程度のことは造作もない。

「僕の言った『闇の波動』の話も、少しは
信憑性が出てきましたか?」

「・・・疑う余地も無い。
しかも、あのまま前回のような懇親的な
合流戦が出来ると言うなら、
力押しのドルーア何ぞよりよっぽど恐ろしい」

マリクの口の端がつり上がる。

「ここでこんな話をしているのさえまずいかも
知れません。ニーナ様は当分は大丈夫。
利用できるものは最大限利用するでしょう」

恩師を殺されたと思い込んでいるマリクも
歪み始めていた。
ハーディンもそれは感じたが、
あれを見た後で今更マルス側にはつけない。

(私は・・・
どうすればいいのだ・・・)

アイルにとってはどうでもいいことだったが、
ハーディンはオレルアンの行く末を
背負った気になっていた。

あの魔公の手から守らねば、と。

 続く

by おかのん (2011-07-24 20:08) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙でやんす♪

登場人物が全体的に暗黒面に堕ちてきてるな。
猜疑心と誤解と…と、過程は違うが結果(今の王子=ニセモノ)が同じっていうのがまた…;

ヲレが譜代家臣なら、徒党を組んで別方面への異動を志願。

保身を図りつつ、そっちで調査&様子見。
そして嫌疑がかかってないシーダを救出しようとして…あ、ソコで詰むのか;

>矢140本
ああ、ソコはプレイ準拠なのねw
ヲレなら、一本ずつ撃って当たったら回復してやって…を繰り返す…。
というか、そっちの方がプレイ準拠?
いずれにしても恐ろしいわい;
by ぽ村 (2011-07-24 23:53) 

おかのん

>ヲレが譜代家臣なら

OT2 がふう。

        ・・・・・・だからネタつぶしはやめてって
              言ってるのに・・・
             満点の正解ではないけど・・・

感想の欲しい部分はノータッチだし。うううう。

by おかのん (2011-07-25 05:57) 

ぽ村

>>おかのん
Σ(゚□゚;)
ぐあああああすまなんだ…;
先が気になってつい悪い癖が…
m(__)m

>>ヲレ
自重しろw

>魔方陣
あの妙な魔方陣がマルスを攫ったモノそのままなら、マルスは死んでるか、攫われた連中は生きて…おっとっと;
デネさんがノータッチすぎるのも気になる。

アイルがありえないくらい残虐に…。
デネさんの教育の賜物かそれとも融合されてきたのかその両方か…;
って、やっぱり先読みしてしまいそうになるにょー!!!!
ノ△`)

いかん、イカンな…。
ま、先読みしてしまうほど先が気になると思いねぇまじ。
より自重するからw

残虐リーダー見てると、有力家臣は不安になるもんさね。
そりゃもうハーディン見たく。
強い外敵より、非協力的な味方が怖いとはよく言ったものだ。
by ぽ村 (2011-07-25 12:26) 

おかのん

>アイルがありえないくらい残虐に…。

私はアイルはあんまり変わってないつもりで
書いてるですけど・・・

タリス王を人質にとられてのボスの倒し方とか
カシムの扱いとか。
ううむまだまだ未熟な私。

どっかで書きましたが、ベガが「自分が楽しい」
基準で好き勝手やるのに対し、
アイルは逆らうものに容赦しないタイプ。

でも原因が自分だったり、あからさまに敵対行動を
とらない限りはけっこう甘いですね。

カシムをなんだかんだと利用するだけにし、
レナを殺せず、マリク達をほうっておく訳ですしね。

by おかのん (2011-07-25 18:41) 

ぽ村

>>おかのん
うむ、序盤から確かにw

しかしソレは「被害を最小限に留めるor今後の活動に利となる」のが目的だったので、今回のような「自分の憂さを晴らす」モノじゃなかったなぁ…そ、ソコに勝手に異質さを覚えたのさヲレw

>譜代放置
戦力的なものもそうだが、戦争は一応彼らの合意無しでは出来ないからね…。
あえて放置というよりは、放置せざるを得ない状態?

ぐぐぐぐぐ先読み血が騒ぐ…治まれヲレの邪気眼w;
無理なくつづきぷりーづね。
by ぽ村 (2011-07-25 22:48) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙です。

なにその虐殺っつうか、ま、篭城戦での敗北は古今東西虐殺だよねーw

しかしなにそのシューター便利すぎる一つよこせっつうか、キャラの名前くらい使ってやれww

>台詞固定
書き手にはやりくかろうが、ちゃんと各キャラクターを把握した愛読者の印だな…。
多分一番の不満はミシェイルの台詞を固定されことか…?
と思うヲレ。

ここまでくると「ああ、もう終わり近いな!」って感じがする。
スターライト無しでどうやってガーネフ倒す(スルーする?)かヲレは知らないので次回がちょっと楽しみだ。
by ぽ村 (2011-07-27 14:53) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第6章 ダークエムブレム その3 炎の紋章

オレルアン奪還の翌日。

「マルス王子、よく加勢に来てくれました。
アカネイア王家の代表として、大儀を称えます。

この世界を守るべきわがアカネイア王国は、
既にドルーアに滅ぼされ、
世界は荒れ果ててしまっています。

マルス、頼みがあります。
私にかわりドルーア打倒の軍を
率いてほしいのです。

そしてドルーアによって占領された国々を、
アカネイア同盟の名の元、解放するのです」

・・・いちいち偉そうな、とも思わないでもないが、
セリフとはうらはらに、表情は憂いに・・・
いや、不安に満ちていた。

自分は、旗印としての価値しかない。
それがよく解っているのだろう。
さっさとハーディンにでも色目を使えば、
お互いに不安も無くなるだろうに・・・

言うだけ野暮なので言わないが。

「もちろんです、ニーナ様。
我がアリティアは、昔からアカネイアに
忠誠を誓っておりました。
それに、復活したドルーアを倒す事は、
アリティア王家の男子たる私の
運命でもあるのです」

マルスのな。

このまま勝ち進めたとして、
もしマルスを取り戻さぬままなら、ドルーアを・・・
暗黒竜を俺が相手にするはめになるのだろうか。

なかなかゾッとしない。

「ありがとう、マルス。
では、あなたにこのエムブレムを託します。

このエムブレム……
「炎の紋章」ファイアーエムブレムは、
アカネイア王家に代わり、
世界を救う者に与える覇者の証。

この大陸の宝箱は、その宝箱用の物の他に
すべて共通の細工があります。
このエムブレムはその鍵となるもの。

この大陸のすべての富と引き換えに、
この大陸のすべてを守る誓いの紋章です」

・・・・・・

マルスのことが無ければ、
『盗賊になれ』と言われた様なものだ。

「この身のすべてを、アカネイア同盟の為に」

{こーゆーオンナをXXXXXXXしてえ}
(・・・頼むから黙っていてくれ)

こっちだって彼女のたわわな胸元を
無視出来ている訳ではない。

 ・

「まだか?」

「もう少し待て・・・
ほら、膨らんできたろうが」

「おお。これはまたぷっくりと。
先っぽが盛り上がっているところが
また可愛らしい」

「皿くらいだせ」

アイルとデネブはオレルアン城の厨房にいた。

カップケーキを焼いていた。他にもいくつか。

女々しい趣味に思えるかもしれないが、
アイルが孤児院で、
何より楽しみだったのはこれだった。

『ノルン姉ちゃん』の持ってくる、
これでもかとドライフルーツを詰め込んだ、
焼きたてのフルーツケーキ。

いつもは恥ずかしくてあまり傍には寄らないが、
この時だけはお礼が言いたくて、
顔を真っ赤にして「おいしかった!」と叫んだ。

今にして思えば、
現金なガキに見えてたんじゃないかと
恥ずかしいばかりだが、まだ忘れていない。
あの時の笑顔と、
『じゃあ、これ・・・ナイショだからね?』
と、形の悪い端っこの方を手においてくれた事。

持ち帰るつもりだったろう、ほかの子には無い、
2個目のケーキ。

少し焦げた感じだけど、フルーツが偏って
いっそう甘かった。

・・・そんな思い出にひたっていると、
デネブに茶を要求された。

何故か変にデネブの機嫌が良い。

ふと、何かに気付いたのか、手が止まる。

「このフルーツケーキはよく出てくるな」

「・・・ああ」

目ざとい。

「何かあるのか?」

・・・隠しておくようなことでもないと思い、
孤児であった時に、ノルンによく
食わせてもらったと話す。

「・・・そんな頃からの知り合いだったのか」

「そういえば、話していなかったか?」

「ああ。 そうか・・・」

さっきまでのはしゃぎ様がなりを潜め、
デネブはどことなくアンニュイな表情になる。

「どうした?」

「・・・何でもない」

それ以上は、なんとなく聞かなかった。

 ・

割り当てられた部屋で自作の糖分を補給しつつ、
アイルは思案していた。

闇の紋章・・・例の魔方陣についてである。

カダインに着いたらなどと言ってる場合ではない。
しかし有効な手は思いつかない。

なにしろ何を目的にしたものか解らないのだ。
敵なのは間違いないにしても。

(マジックシールドが防ぐ手として使えるようだが、
後は近付かないくらいしかない)

わざわざ引きずり込むということは、
捕らえた者は何かに利用するのだろうか?

そして・・・

デネブだ。

アイルがベガに乗っ取られた時の取り乱しように
比べて、今回は話を聞いても感心がなさそうだ。

自分だけが彼女にとって重要なのではと自惚れて
終わってもいいのだが、
やはり不自然に感じた。

かといっていい方にも悪い方にも裏づけが無い。

正直、信じたかった。

危険な選択とわかっていても。

 ・

{シラナイ}

その言葉に驚愕する。

{スクナクトモワタシジャナイワ}

だというのなら、完全に後手に廻ったということだ。


最悪だ。


そして・・・

ならば、誰だ。

 ・

「カペラ殿」

「あら、カミュ様」

振り向いたのは、女の魔導士。
十を数えて1,2年といったところか。
髪を後ろでまとめた、いわゆるポニーテール。
燃えるような真紅の髪と、
意志の強そうなつりあがった瞳。

カペラ・ヴィーナスキュラート。

何者なのかカミュも知らない。

だが・・・

「『彼』は、お気に召しまして?」

「・・・別格ですね。
彼にはパレスの守りについてもらおうと
思っています」

「あら、つまらない使い方。
まあ、差し上げたのですから、差し出がましい事を
いう気もありませんが」

「恐縮です」

味方である保障が何処にも無い。
が、無視は出来ない。

「ふふ。ふふふふふふふふふ」

「?」

「面白いものを見つけましたの」

「・・・そうですか」

カミュは興味がなかった。

カペラも今はまだ話す気はなかった。

「まずは・・・そうね。プレゼントから先?
お友達を紹介してあげる」

山中にあるグルニア城に、闇の光が降りる。

その日以来しばらく、
城内でカペラを見かけることはなかった。

 続く

by おかのん (2011-07-31 20:22) 

ぽ村

>>おかのんお
…動揺して名前タイプ違い失礼;

新キャラ…っつか、新オリジナルキャラ投下…だよね?
星の名前だし。
つまりはおり…っとと;(絶賛自重中)

最初の建前を内心が混在してるのは面白いな。
最も今の立場や思考が出るところだし。
複雑な背景もかなり短くまとまるのが好印象♫

ニーナはハーディンから王子への疑惑を聞いているんだろうか?
あっち側か、こっち(全く知らない)側かで話の幅を持たせられそうだ。(もやもやもや)

有能な偽物と、無能な(少なくとも実績が全くない)本物の今後に期待したい。(もやもやもや)

ともあれ、毎度投下乙でやんす☆
あ、「もやもやもや」は、先の予想思考を刺激されてる音w
き、気にしないで;
by ぽ村 (2011-08-01 00:14) 

おかのん

はーい新オリキャラです。
しかも・・・

アイル:マルスそっくり
ベガ:アイルの中にいるから見た目まんま
デネブ:シーダのっとってるからまんまシーダ

だったため、デザイン的にもオリジナルな子は
初めてですね。

詳細については作中で。

>ニーナはハーディンから王子への疑惑を・・・
今んとこ聞いてませんね。
ハーディンもこの現状では踏み切れませんです。

・・・このメンツであの三者会談・・・

いや、ハーディンがワーレン以後アレだし実現は
しないけど、もしやったら凄いことになりそう。

by おかのん (2011-08-02 13:34) 

ぽ村

>>おかのん
初の言われてみれば確かにオリジナルデザイン。
(容姿モヤモヤ)
きっと(以下、ネタ潰しにつき自重)

>三者会談
シーダがいるので、四者になるかも。
そこでハーディンは色々と探りを入れる役を…。
ニーナ『こんなガキどもにビビッてんじゃねぇわよ;』
とか内心思われたりw
by ぽ村 (2011-08-02 16:12) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙っす。

名前とかねー、センスとかねー、このゲームは突っ込んだら負け。
負けなのよw
しかし自分を魔王って名乗るってどうよ?
とは思う。

一り「や、ロリはちょっと…なんでw」
というテレパシーを勝手に受信した;

やはり放っておいて占拠が正しい道なのね。
玉座に居れば無敵なのにwwww

>エリス
チキが命を捨てて用意した姉弟再会のシーン…。
ど、どうなるんだろう土器土器;

ラストスパート、がんば☆
by ぽ村 (2011-08-04 14:32) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第6章外伝 闇のはざまで その1 魔導士カペラ

ハーディン達がオレルアンを取り戻し、体制を
元に戻すのには多少の時間が必要だった。

アリティア勢を中心にしたメンバーは、
束の間の休息とあいなった。

ノルンの報告。

「マルス様。例の件ですが・・・」

マリクたちか。

「なんだ?」

「ハーディン殿と接触しているようです」

「まあ、そうだろうな」

「いかがしますか」

「捨て置け」

マルスとしての役割をしっかり果たす事。
それで牽制は十分だとアイルは考えていた。

どうせ俺に頼るしかないのだ。
どいつもこいつもな。

そしてそれは当たっていた。

 ・

「今は身動きが取れん」
「でしょうね」

ハーディンのセリフに、マリクが追従する。

さんざん話し合っても、
結局この結論にしかならない。

「パレスを落とされ、アカネイアが滅亡し、
我らも本城を奪われ、申し訳程度のゲリラ戦を
展開するに留まっていたこのオレルアンの
現状をひっくり返してくれた。

本性がどうの、闇の波動がどうのと騒いでも、
この事実はかわらない。

城にある軍資金、
周辺の町や村からの激励や志願兵。
確かにオレルアンからの物だが、
それもすべてマルス王子とアリティア軍が
取り戻してくれたものだ。

・・・情報が少ない。

『マルス王子』は、この戦の最大の神輿だ。
ニーナ様でさえ『亡国の悲劇の姫君』。
同情は集まるだろうが、命を懸けろと言われて
迷わず頷けるものではない。
『この大陸を暗黒より救う光の王子』とでは、
受ける印象、希望が違う。
兵共は『勝てる戦』、最低限『勝つ希望のある戦』
にしかついてはこない。

今の流れなら、合流前の敗北も、
『相手を油断させる芝居だった』で落ち着く。

常勝無敗の軍としての喧伝が出来る。

それこそが、ここまで追い詰められた、
ドルーアとの戦いを覆す。

・・・今、マルス王子を・・・
いや、この流れを消すわけにはいかん!!

少なくとも、『このまま今の王子に任せていては
ドルーアやこの大陸どころの騒ぎではなくなる』
程の事実を掴まなければ、行動は・・・

起こせない・・・!!!」

マリクも、そこは解っていた。
今は、雌伏の時なのだ。

そして、アイルの目的・・・

その立場を使ってしたいことは
変わっていなかった。

本物のマルスを、救い出す。

その為に理想の王子たろうとしているアイルに、
表面上非の打ち所はなかったのである。

 ・

{オチツキナサイ。アレサエアレバ、
ドウトデモナルコトジャナイノ。
ナニヲアセッテルノ?}

そうだ。だからこそ、まずい。
気付かれてはならない。最悪でも・・・
まだ、こいつには。
ならば・・・

平静を装うしかなかった。
それもそうか。というように。

 ・

軍の立て直しにオレルアン勢が多忙である。
その手伝いをしながらも、
内政にまで口を挟むわけにもいかず、
さりとてオレルアン勢を置いて進軍するわけにも
いかない、そんな日々を過ごすアリティア勢。

オレルアンを奪還してちょうど一週間たった
ある日のこと。

「直訴・・・?」

「はい。戦のどさくさで子供達を攫われた、
取り返してはもらえないか、と」

フレイはそのまま報告に来たらしい。
実直なのはいいが、何の意見も持たず来るのが
欠点である。ノルンなら、差し出がましいとは
思いますがと断って、策を話す事が多い。

「オレルアン国内のことではないのか?」

「そう思ってハーディン殿に先に報告したのですが、
現状、軍は出せる状況ではない。
王子に話してみて欲しい、と。
王子が動かれないのなら、こちらで断ると」

ふう、とため息を漏らす。
どうやら何か試されているようだ。

こんな話を他国の軍に任すのは
はっきり言って恥だ。
にもかかわらず鉢を回したのは、
そういうことだろう。

「・・・その、直訴に来た者は?」

「使者は別室で待たせてあります」

「・・・会おう。案内してくれ」

「はっ」

受けざるを得ないだろう。
何故なら・・・

マルスなら、躊躇いもしないだろうからだ。

 ・

部屋にいたのは、女の魔導士。
十を数えて1,2年といったところか。
少々若すぎるが、魔導士ならこの年での
一人前というのもありえなくは無い。

髪を後ろでまとめた、いわゆるポニーテール。
燃えるような真紅の髪と、
意志の強そうなつりあがった瞳。

即座に立ち、そのまま一礼。
駆け寄るのを留まった様に見えた。

「カペラ、と申します」

「マルスです。詳しいことは道中。
案内をお願いします」

「え?」

鳩が豆鉄砲を食らったような顔、の
見本のような顔をされた。

「事は一刻を争わないとも限らないでしょう。
ご心配なく。精鋭を率います」

実は来るまでに問答が面倒くさくなったのだが。

「・・・・・・
徹底してらっしゃいますのね」

「?
何か・・・?」

「いえ。ご評判どおりの方だな、と」

多少引っかかる言い方だが、
アイルは今は黙殺した。

結局前回も思うような戦にはならなかった。
マリオネスをいたぶって殺しても、
気は晴れていない。

(今日こそ吐き出してやる)

アイルはいろいろと煮詰まっていた。

 ・

カソカヤンの村。

子供達が攫われた、くだんの村である。

「まちなされアテナ殿!
お主は動けるようになったばかりなのじゃぞ!?」

振り向いた少女は年のころ13、4だろうか。
身につけた装飾の類が異国の者だと指し示し、
その黒豹のような雰囲気と、それに見合った
引き締まった体躯、意志の強そうな瞳は、
巫女と戦士を併せたような美しさがあった。

それも、異国の、と思わせるだけあって、
大衆に受け入れられる清廉なものより、
土着の神などによくある、
ある種の凶々しさを持っているそれだ。

「アテナ、もう平気。元気。

子供達攫われた、聞いた。

アテナ、カペラに助けられた。
この村のおかげで、動ける、とりもどした。

受けた恩、返す。
これ、人として当たり前のこと。

子供達取り戻す、村に残る年よりは無理。
だったらアテナ、いく」

「待ちなされというに! 
いま、カペラ殿が助けを呼びに
オルレアン城までいっておる。
せめて、彼女が戻ってからにしなされ!」

「カペラ、助け連れてくるか。
・・・なら、待つ」

アテナにとってカペラは、恩人であり友人だ。
助けが来なくても、カペラがいるといないとでは
全然違う。

船が嵐に襲われた時、アテナを抱えてこの村まで
連れてきたのがカペラだという。

ここ最近姿を見なかったが、看病をしてくれたり
言葉を教えてくれたりと、とてもよくしてもらった。
会えるのなら、嬉しい。

なにより・・・

あの無限とも思える魔力・・・
いや、神の力とも思える炎の魔法。

あれがあれば、助けなどなくても、
賊など物の数ではないのだ。

 ・

{おい}

・・・・・・・

ベガが話すのはしばらく振りである。
オレルアン攻略中は口を挟まなかった。
多分、ベガも観察しているのだろう。
アイルのやり方というものを。

(・・・なんだ)

{指揮は任せる。だが、オレが暴れられる場面も
ちゃんと作れよ}

(・・・それが、『条件』か?)

{勘違いするな。オレは好きなように
出てこれる以上、好きなときに暴れる。
だが、『マルス王子』という立場でしか
出来ないこと、やれることはあるだろうよ。
立場を保つための事は全部お前がやれ。
オレは甘い汁だけ啜らせて貰う}

つまり、『マルス王子』を損ないかねない行動は、
ある程度自重してやる、ということだろう。
適当に飴をくれてやるのは大した事でもない。
むしろかなりいい形におさまったと見ていい。

アイルは声を張り上げる。

「西の砦を攻めるッ!!
村や根城に報を入れられては面倒だ。
残らず叩けッ!!!!」

(いいだろう。手始めに右翼の賊を任せる。
切り刻んでくるといい)

{おおっしゃあ!!}

 ・

「・・・・・・・!!!」

東の空にアテナが急に振り向く。

「・・・どうされたのじゃ?」

「シャーリート!!!!!!!!!!!!」

そのまま両膝をつき、祈りを始める。
見たままに巫女であったのか、
動きによどみが無い。

「この地にあるバハムルの力とは違う闇。
シャーリートの化身!!
アルクラド・アルクラン・ハンバ二ス!
ジャハルマグナ・コトラ!
シャデル・アラフ・クルーアン!」

シャラムの民にとって、最強であり、最凶であり、
最崇の神シャーリート。

セクウィー、バハムルと一対の、蛇竜神である。

アテナは、喜びに打ち震えていた。

 続く
by おかのん (2011-08-07 21:19) 

ぽ村

>>おかのん
外伝だなんてアンタ、本編でもいっぱいいっぱいというのに…と心配したが、内容は本編だった。
…ああ、おまけマップ(外伝)のその1なのね。
FFNの外伝かと思ったびっくらこいた;

投下乙です。

異国の神が(ネタつぶし自重)
アテナちゃんn(ネタつぶし自重)

はー、はー、自重つらいわあああ!

攫われた子供の捜索云々なんて、治安面あんぞ大戦中に出来るわけない…お払い箱的な仕事だァね。
確か、攫われた子供の中には…。

負ける本物より、勝てる偽物ってのが、プロスポーツの世界と通じるな…。

なんとなくコマも結構揃ってきた。
外伝キャラ中心に話が動くのもこのリプレイっぽいかも。
ひょっとして、着地点が見えそうな展開になってきた?

by ぽ村 (2011-08-08 18:21) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
かくして攻略読むのマンドクセしてた 久遠 は 攻略を知り尽くす おかのん に良いように誘導されるのであった。
 
あのナバール好きなんだがななぁ…。

>50ターンに及ぶ増援
どんだけだ;
武器とか足りなくならねぇかソレ。
って、ユニットで塞いで、出現数調節したならこの位もありうるのか。。

>>おかのん
まほろさん乙

あと二つ、あと二つか…長かったぬー?
by ぽ村 (2011-08-10 18:03) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙です。

記事の題名通りな方向になってきたな。

王道プレイで頑張ってるメインメンバーは一層リストラが進みそうな予感…。

ん?
んんんん?

えーと、 久遠 に対して生き残らせるキャラクターをある程度指定したり、誘導したりしたのはこのFFNの進行的なものがあったらなのかしら・・・。
と、今思ったり。

まさかまさかでベガのイニシアチブ握りが炸裂しそうだな。
そういえば、リプレイだとワーレンで(ry

あと、後半に「マルス」君表現が出てるが…。
誤字じゃなかったら読解力なんくてすまん;

by ぽ村 (2011-08-14 15:19) 

おかのん

どもども。

>生き残らせるキャラクターをある程度指定したり、
誘導したり

や、完全に趣味です。
あくまで『久遠のプレイを私なりに修正』するのが
コンセプトですし。

シーダが序盤に調子よく強くなっていったので、
「使う」と宣言していた為、ヒロインの位置ですが、
序章を書き始めた頃はノルンでもいけるように
ぼかしてましたし、この先もわかりません。

アイディア出る度にプロット微妙に練り直し・・・
とか出て来ますし。
それでもプレイ内容から大きく外れる事は
出来ないので、大体のすじは出来ていますが・・・

いろいろもめた下りがなければマリアは
どうなっていてもおかしくないし、
チキの件も、最終章でも使えるようなら
ゲームバランスが悪い気がしたからですし。
他のキャラに愛を!ってタイトルなのに、
スポットが当たらなくなりそうだったというのが
正直なとこ。

エリス様も、その時点から育てるのが一番
大変そうだと思っただけ。
次候補エストしかいなかったけど。
オームが本来の使い方が出来ない状態だったのは
嬉しい誤算。
エリス様がそれなりに使えたのは計算外。ち。

>ベガ
とりあえずアテナのことが嬉しいようなので、
今すぐどうこうでは・・・

>後半に「マルス」君表現

その場で『マルス』である彼の雰囲気が変わる・・・
という意味で・・・
あ。
そっかそう読むと・・・

すいません、じゃあ、


急に、アイルの・・・『マルス』の雰囲気が変わる。


こんな風にしといて下さい。
お手間かけます。

最後に、遠くから眺める人影・・・
ってありますよね。

その人物の視点を挟んだつもりだったんですよ。

by おかのん (2011-08-14 17:07) 

ぽ村

~偽りのアルタイル~

第6章外伝 闇のはざまで その2 剣士アテナ

砦のまわりに布陣。
カイン、アベルに防壁を任せ、
シーダ、ノルン隊による矢の雨。

既に大勢は決していた。

(・・・つまらん)

来る前の煮詰まり具合よりマシだが、
気分爽快とまではいかない。

ベガも、50人も殺したところで飽きたらしい。
{歯ごたえが無さ過ぎる}といって、
出てこなくなった。

今はダロスが中心となって
村の確保に向かうところだ。

「マルス様。村に着いたら、友人を紹介しますわ」

カペラと名乗る魔導士が、そんなことを言ってくる。

「友人?」

「ええ。まずはお会いくださいな」

今回はただの賊退治なのだが、
アイルはこの娘の方に違和感があった。

助けを求めに来たというが、本人が他人事っぽい。

きけばその友人を預けるために訪れた村とか、
その友人自体、知り合って間もないとか。

そもそもどう見ても11,2歳。
一人で旅が出来る年齢ではない。
自分の事は棚に上げているが、
間違ってはいないはずだ。

油断は出来なかった。

 ・

先行部隊がある程度話を伝えていて、
村での補給は滞りなく終わる。

徴発は行わないのがアイルのやり方だ。

この辺にもシュテルン商会のコネクションはあり、
手形も使えた。
ルタルハはいい仕事をする。
この分なら兵站での苦労は、
今後もあまりしなくて済むかもしれない。

アイルは村の者に声をかけていた。

ふと、広場の真ん中で祈りを捧げる少女。

身につけた装飾の類から異国の者だと分かる。
黒豹のような雰囲気、引き締まった体躯。

巫女であり戦士でもある事が矛盾しない美しさ。
ある種の凶々しささえ持つオーラがあった。

「・・・君は、無事だったのか。
子供は皆攫われたと聞いたが・・・」

意志の強そうな瞳が、じとりと睨みつけて来る。

「アテナ、子供違う。剣士。見れば分かる。ばか」

「ばっ・・・」

確かに剣士である。それは見れば分かるし、
アイルも分かっている。
しかしどう見ても子供なのも変わりないし、
馬鹿呼ばわりされる謂れも無い。

「あらマルス様。先にお会いになったのですか」

カペラだ。

「もしや・・・」

「友人ですわ」

やはりか。

「カペラ、この地に・・・
いや、すぐ近くに、シャーリート様、いる。
子供達助ける済んだら、一緒に探す」

カペラはなぜか、ころころと笑うと、

「『解いて』みなさいな。
向こうから見つけていただける・・・
かもしれませんわよ?」

「そうか。やってみる」

印が結ばれる。
祈りが、始まる。

帳でしかない風が膨れ上がる!!

「アルクラド・アルクラン・ハンバ二ス!
ジャハルマグナ・コトラ!
シャデル・アラフ・クルーアン!」

一点から放射状に広がる、
闇の閃光としか表せないうねり。

バヂュンッ・・・

何かが焼き切れるような不快な音と共に、

キインッ!!!!!!

桃色がかった光が環を描く。
紫炎と共に2重3重にかさなり、紋様が浮かぶ。

「な・・・・・!?」

ズズズズズズズズズズズズズズ。
ズズズズズズズズズズズズズズ。

バヂュンッ・・・!!

(・・・・!!?)

魔方陣だった。

先の城内戦において、大混乱を巻き起こしたそれと
とてもよく似た闇の紋章。

「ははははははははははははははは!!!!!
そうかお前・・・

仲 間 だ な !?」

(ベガッ・・・・!!?)

身体を取られた。

「あ、ああ・・・!!
貴方が、ああ・・・!!
シャーリート様!!」

「まあまて。オレはシャーリートなんて神は知らん。
だがそもそもオレはオレが何者なのかも知らん。
聞こうじゃねえか。オレ様がお前にとって
なんなのか、をな」

アテナは興奮を抑えられないまま、喋り始める。

シャラムの民にとって、最強であり、最凶であり、
最崇の神シャーリートの事。

双頭の巨鳥神セクウィー、
三対の足を持つ震獣神バハムルと三体一対の、
世の果てにつづく体躯の蛇竜神である。

「レビヤタンという名でなら、こちらに伝わって
いるかもしれませんわね」

なるほど。リヴァイアサンと重ねられた神か。

それはともかく、その巫女としての力は本物だ。

何より・・・

「お前のその闇魔法。詳しく聞かせろ」

ベガも気になるのだろう。それはアイルも同じだ。
ノルンを南の根城に送り、救出計画を練ると
理由をつけて、アテナの話を聞くことになる。

 ・

先の三人・・・ベガ(アイル)、カペラとアテナ。
そこへデネブを加えての講演会である。

デネブは終止黙っていた。

結局闇魔法については、何も分からなかった。
訓練された巫女かと思いきや、修行を受けたのは
剣舞が中心であったらしい。

嵐の夜、離れ小島の祭壇で
祈祷をする為、船を出したら遭難。

カペラに助けられてこの村に来た時には、
闇の力に目覚めていたという。

「・・・アイル、少しいいか?」

一旦話を切り上げ、デネブがアイルと密談する。

「・・・『実験』の、可能性が高い。
何者かが、戦場を実験場にしている」

「・・・ほう」

言われれば、思い当たる。
ウェンデルが、実は本当に偶然なら?
たまたまアイルにとっての重要人物だったが、
あのSナイトの試験運用だというだけ
だったかもしれない。

城中の闇の魔方陣も、あまりに大量に、そして、
あてずっぽうだった気もする。
あの量の魔方陣で、実際は吸い込まれたのは
2,30人にもならない。

実験。おおいにありえた。

ならば、仕込みはいつからだ?

それは、オレルアン攻略あたり・・・
もしくはもっと前から。
ベガやお前も含めてか。
マルスの件さえ仕組まれていたりするのか。

・・・そう言ってしまいそうだった。
言いはしなかったが。

「あの二人もどこまで見たままなのやら」

人の事が言えるか。

そんな風に思いながらも、アイルは信じてもいた。
無関係とは思えない。
しかし、デネブは俺を騙してはいても
裏切ってはいない。

妄信か。願望か。

それでも・・・

アイルはデネブを、信じていた。

「ひとついいか」

「? なんだ」

「アテナとやらから『闇の波動』は出ているのか」

「これ以上ないくらい出ているな。
巫女であることも関係しているのか、
隠しておくことも出来るようだが」

「・・・まずいだろう」

「何がだ」

急に、アイルの・・・『マルス』の雰囲気が変わる。
闇の波動があふれ、瞳の光が野卑になる。

ベガだ。

「わかんねえのかよ?
オレがテメェに興味がなくなったら、
オレにとって、お前らが協力してる事事体に
遠慮がいらなくなるんだぜ。

オレがお前に・・・
『デネブ』に惚れてたから、お前に協力する
アイルも消さずにおいてやってるんだ。

オレがアテナに乗り換えて上手くいっちまったら、
お前ら揃って破滅なんだよ」

そういうことだ。

しかもアテナにすれば、
自分の信仰する神の化身と思っている男を
袖にする理由がない。

アテナの存在によって、納まりかけていた
三人の関係は崩れ始めていた。

そして・・・

その様子を遠くから見ていた人影があった。

それは、カペラだけが気付いていた。

「・・・ふふ」

続く


by ぽ村 (2011-08-14 23:25) 

ぽ村

>>おかのん
どっこいしょ☆

要望通り直してみました。
こんなんでどうかしらん?

計算づくの生き残りメンバー調整であったが、行き当たりばったり…というか、ヲレの深読みであったか残念。

しかしそのプロットによると、ベガはそのうちOOるんだよね??
はてさて、どうなるやら…。
by ぽ村 (2011-08-14 23:31) 

おかのん

訂正サンクスです。返事送れてすみません。

「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、
ムチャクチャなプレイを辻褄あわせするのって
けっこうたのしいです。

・・・後はこの最低な指定がなければなあ・・・

ミネルバ様レOプなんて書きたくないよう。ううう。

>ベガが・・・
OOOるのは14,5章あたりなので、まだまだ先
ですけどね。
ワーレンは長くなりそうですし・・・

by おかのん (2011-08-18 10:14) 

ぽ村

>>おかのん
望まないことでも書く事でスキルアップしてモノにしていくことを祈ってるよん♪(えらそーにwww)

あ;
今気づいたんだが、直したブツ、ヲレの名義で投下しとるだ。
スマヌぅ…;

>ワーレン
色々な。
保養地でこそ外交は動くもんだし。
(リプレイ見て)

…色々な。。。
by ぽ村 (2011-08-19 00:48) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
投下乙っしゅ♪

なんか身内の総括モードだ…。
そうかついに次回でおしまいか。

アルタイルはまだ続く(よな?)が、なんかさびしい気分がするわいなーそうだわいなー。

最後は重くなる&投稿失敗すると厳しいので、前・後編で分けて投下ってのも手だぞい!?
by ぽ村 (2011-08-21 01:43) 

おかのん

そんなラストの前に、急転直下のアルタイル。


~偽りのアルタイル~

第6章外伝 闇のはざまで その3 レナとカペラ

アテナは剣士としても非常に能力が高かった。
彼女が一人で子供達を取り戻しに行っても
構わなかったのではないかと思えるほどに。

アテナが注意を引き付ける間にノルンが子供達を
救出し、ダロスに殴りこませる。
それでカタはついた。

親玉のバフスとやらも物の数ではなかった。

問題はその後であった。

 ・

「マルス様は?」

子供らを全員無事保護した報告をしようと、
ノルンがシーダに訪ねる。

「村長の家を借りてこの件の整理をしていると
いうことだが、実のところ取り込み中だ。
後にした方がいい」

そうは言われても駐留は短い方がいい。
ならば迅速な報告は必要だ。
ノルンは一礼すると村長の家に向かう。

「・・・忠告はしたぞ」

 ・

「なんなんですかあの女は!?」

「ここにいた旅の女だ。名はアテナ。
剣士としても使えるらしく、雇うことになっている」

涙目のノルン。
ノルンはレナの事も知らないし、シーダは本命だと
思っている。

自分は2番目とはいえ、
愛されていると思っていた。
だが・・・

「英雄色を好むという。あまり思いつめるな」

そもそもアレは別人みたいなものだし、
と言ってやりたいが、そういうわけにもいかない。

「今晩はここに泊まるらしいぞ。袖にされたもの同士
慰めあうか?」

「・・・はい」

ぶすくれていても愛らしい。
ノルンはデネブにとってもお気に入りだ。

(さて・・・どうしたものか)

ベガがこちらの事情に配慮したのは、アイルの事情と
デネブの事情が一致していて、デネブの方に
悪印象を持たれたくない為であった。

ベガがデネブに興味をなくしたこの状態は、
確かに非常にまずい。
アテナ自身も、
ベガと共にいる事しか興味がないので、
このまま二人で逃避行・・・という選択肢さえある。

(少し早いが・・・
ここで終わるのも手かもな)

ノルンの髪を弄びながら、そんなことを考えた。

 ・

{今、ノルンに見られた}

(それで?)

{・・・・・・}

2時間ほどそうしているままの作業が、
カケラも淀まない。
感覚のない自分の性器が、
少女の尻の穴をかき回している。

今は視覚以外は持っていない。
だからどうだと言うわけではない。

ノルンにどう言おうか。
そもそもいう機会が訪れるか。

「マルス、助けくれた。お礼。
子作りは気持ちいい。嬉しい。
でも、剣士が身重、大変。
尻の穴、使える」

よく締まる。

「二人きりの時はベガと呼びな」

「ベガ、女悦ばす上手い。んぅ・・」

ベガは歓喜していた。

自分を手放しで肯定してくれる存在。
それがずっと欲しかったのだ。

いくら重なり合った魂から出来ていて、
それなりの知識を持っているとはいえ、
ベガはこの世に生まれて数ヶ月の存在なのだ。

唯一の『仲間』のはずのデネブに
蛇蝎のごとく嫌われ、
やけを起こしたり引きこもったりしていた
ベガにとって、アテナは天使のようだった。

好意どころか、崇めてさえくる。
しかも好みの美少女ときた。

逆にアイルにとっては悪夢の具現化である。

良い所に収まりかけていた3人のバランスが
物の見事に崩壊した。

レナの時と同じようにデネブに期待するしかないが、
まさにその時何もしにこなかった。
前科があるだけに期待できない。

そして・・・

3人のあずかり知らぬところで、
さらに別の問題が起こって・・・
いや、起こされていた。

 ・

「はあっ・・・ はあっ・・・」

ぐっ・・・!

なんなのだ。
どういう事だ。

「マルス王子が・・・!?」

息を整えるのに苦労する。
レナは木陰にへたり込み、
混乱した頭をがつがつとぶつける。

あのローブの男。
死に逝く兄の前で自分を犯した悪魔。
闇の波動を纏う存在。

あの少女と会話するマルス王子に、
はっきりと重なった。

闇の波動を見た。
見間違える筈も無い、
自らの恥辱を嫌でも思い出させる、
アレをだ。

一緒に怪しげな、これまた少女の魔導士。
そして、

シーダ。

『まずは美味しいものを食べてゆっくり眠って。
誰かを救うためには、貴方は満たされていないと
いけないのよ?』

『許せないわ・・・ レナさん。貴方はもっと
怒っていいのよ? 神の教えは尊い事だけど、
神が完璧ならこの世はもっと平和なはずよ。
貴方が泣き寝入ることなんかない。
ううん。マチスさんを殺されて黙ってる方が
おかしいわ。
私も手伝う。
貴方をこんな目に合わせた人を、
せめてひっぱたいてやりましょうよ』

話している時の雰囲気は、どう見ても・・・
いや、そもそもマルスとシーダは恋人同士。

「あの女ァァアアアアアアッ!!!!!」

許せない。
許せるものか。
兄が、あんな殺され方をされるほどの何をした。
気弱で、怠け者で、
でも、平和が好きで、人を傷つけるのが嫌いで、
妹思いで、優しい兄だった。

私が何をした。
兄を殺され、好きなように犯され、
今、魂まで嘲られていたと思い知った。

「ぅがぁぁああああああああああっ!!!!!!」

神の教えは尊い事だけど、
神が完璧ならこの世はもっと平和なはずよ。
貴方が泣き寝入ることなんかない。

「・・・その通りね、シーダ様」

そうだ。泣き寝入る謂れなど無い。

殺す。
必ず殺してやる。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す!!!!
あの汚らしい棒ッきれを魂ごと踏み潰すッ!!!
あの戯言を吐いた女の口を引き裂いてやるッ!!

力が要る。
力が要るッ!!!!!

一介の魔導士ではダメだ。
もっと・・・もっと!!!
この村程度なら死の大地に出来るほどの!!

「ふふ。ふふふふふふふふふふふふふふ」

!?

振り向くと、女がいた。
例のカペラとかいう、魔導士の少女だった。

奴等の仲間の可能性が高かった。

「実は私、ドルーア側の人間ですの」

!?

「同盟軍を中からグチャグチャにするのが
仕事なのですけどね。
貴方みたいなのがいるとなると
随分簡単にことが運びそう。ふふふ」

「・・・なんであたしの事を・・・」

「笑い話のネタに聞かされましたの。
あの二人に」

嘘であったが、
レナはそれを判断できる精神状態ではない。

疑いもせず憤怒し、
握った拳からは鮮血が流れ出ていた。

「で、貴方は知っちゃったんですわよね?
なら、力が欲しいでしょう」

懐から、拳大の宝石を取り出す。
赤く光る、血の輝きの石。

「『火竜石』と言います。マムクートはご存知?」

「・・・竜の姿をとるという幻の種族・・・」

「幻でもなんでもないですわ。
ドルーア軍の主力ですもの。
で、この石で彼らは竜に
姿を変えるのですけど・・・」

「けど、なに?」

「私の魔法で、人に埋め込むことも出来ますの。
つきましては、実験台になって下さいません?

経過が見たいだけですので、石は差し上げます。
どうせ拾い物ですし。

いかがかしら?
上手くいけば竜の力を手に出来るかも
しれませんわよ」

うさんくさい話ではある。
しかし、貴様は実験台だ、
とまではっきり言われている。

条件としては最悪だが、
得られるかもしれないものは
なかなか悪くない。

手っ取り早いところが気に入った。

「乗るわ」

互いに、ニヤリと笑う。

「ひどい目に遭うかもしれませんわよ?」

「その程度の事で、その石をもらえるんでしょ?」

既に、目を付けられただけで地獄を見たのだ。
交渉があるだけ、破格である。

 ・

目に隈を作ったマルスが、輸送部隊に勝手な
注文をしていた。

「モロドフ。避妊薬を手配しておけ。
かどわかされた娘に配るとかいってハーディンに
都合してもらえ」
「はあ・・・」

レナのことなど忘れているベガは、
既に好き放題をやらかし始めていた。

 続く

by おかのん (2011-08-21 18:49) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙
すごいてんかいになってきたなぁ
地方の女神様が邪神様になりそうだなぁ。。。

そうかベガがよく眠っていたのは、起きていても孤独だからで、戦闘時や強姦時は敵と自分・被害者と自分という孤独ではない場面だからか。
孤独は死に至る病とも言うしな。

>避妊薬
当時っつっか、中世世界の奴はヤヴァイぞ。
非人道薬品つうか、
なんつーか、その…ええっと。

材料が水銀とか…。
むしろ毒薬で…。
受精防止より堕胎促進剤っていうか…。
女性ホルモン激殺しっていうか…(運が良くても避妊どころか不妊になる)。

だから、20世紀初頭までは女性は妊娠したら出産するか、死を覚悟で精度の低い堕胎手術をするしかなかったわけで…。

あー…
魔法的な何かならいいんでね?
研究した司祭は女性から感謝されて、司祭仲間からは蔑まれた…みたいな。。

>ヲレ
歴史脳乙
by ぽ村 (2011-08-22 00:07) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
おお手早くキャラ紹介・手早くクリア。
ついに…。

乙ですた。

…それにしても、なじみのねぇ面子ばっかwww
アルタイルではコイツらが生き残るのね・・・。

>コピペ
あの内容に全面的な賛同が得られたと理解しとこw

>19×2
…うちのSFC版のはマルスで10×2、ゴードンで5×2だったんだぞう;
ゴードンいなかったらキツイ長期戦だったな。。
…いや、まじファルシオンいらねぇ。
しかしメンバー一発づつって、昔の優勝目前の中日ドラゴンズの投手リレーみてぇだw

最後は急にシリアスでどっかにギャグポイントが…?
と探してしまったw;
最後くらい真面目なのもいいやね。

>読む気ない
まぁまぁそう言わず…
ヲレのお姉さん愛とショタ愛が炸裂しそうになったりしてなかったり、と愉快な・・・。
ああああああああ(悶)

パラレル・・・
by ぽ村 (2011-08-25 14:33) 

ぽ村

>>おかのん&久遠
完結本当に乙でした。

機を見てリプレイ部分だけでも記事にうpいたしまする。

>エンディング
あれを書き留めるだけでも大変でしょうがに・・・
これまた乙ですた。

>キャラたち
ほんとアルタイルではどうなるんだろう…。
…多分、ベガはOOOのOOOとなって(たとえ伏字でもネタ潰し禁止)

>次回企画
誰達をチョイスするか申告しなさいw

コチラで検討いたしますw

ちなみにこの記事、FFNも手伝ってかヲレのFEリプレイと閲覧数逆転したわw
とりあえず、「暗黒竜」もまだ見てる人は多いってことでw

>ちせ
可愛いけど怖い娘…と思いつつ思い出すと涙が出るお。。。
by ぽ村 (2011-08-26 17:30) 

おかのん

>誰達をチョイスするか申告しなさい
あい。

えーと・・・
もうプレイは日記関係なく始めてるんで、そこの
兼ね合いもあります。
最終決戦に連れて行くのは今からは決めませんが
使わないキャラは厳密に決めてる感じで。

原則1
「この板で使ったキャラは使わない」
アルタイルなどでも取り上げていく予定なので、
既に救済されているとみなします。
不遇と言われた新キャラとSFC削除キャラ。

原則2
「女性キャラは使わない」
彼女らも別の板でスポットあびてる上、
もともと強いキャラが多く、
最初から優遇されてます。
よって不許可。

原則3
「イケメンは使わない」
基準は・・・私で。
ブサイクとは言いませんが「美形」では無いと
いわれそうな・・・
そんな子達を救済するのもコンセプト。
なので今回はX。

原則4
「1,2,3をふまえた上で、SFC版で明らかに
不遇なクラスは最終決戦行き」
要するに戦士は使いますです。サジマジバーツ。
せっかくクラスチェンジも出来るし。
チェイニーは不遇かもですが、イケメンなので
今回見送り。とかね。

で、とりあえずピックUP。

まず強制出撃のマルス。
コレはしょうがない。主人公ですし。

次にジェイガン。
攻略本では「後々のこと考えるなら使うな」など
なかなか酷い扱い。何とか使ってあげたい。

ドーガ。
DSだとダンゴ鼻で、兵種変更のおかげで序盤しか
使いません。
使わなくてもいけるし。
なので救済。

サジマジバーツ。
目標は私に区切って呼ばれること。
このブログでは3回ともろくな目にあってません。

カシム。
・・・・・・迷ったんですけどねー・・・
アルタイルではちゃっかり活躍してるし。
でもまあゲーム内の扱いと、私に嫌われてる部分を
加味するとメンバー入りかな。

マチス。
ここまで酷い扱いのキャラも珍しい。
文句なく参加です。

ビラク。
クラスが悪い。その上で弱い。だってカインとアベル
ハーディンがいて、ロシェ以下。 ・・・じつは速さの
成長率のいいキャラらしいです。微妙にイケメン?
でもまあ不遇なのは文句なし。

ウェンデル。
序盤は頼れる杖使いらしいですけど、それを補って
余りある低成長率。はい決定。

リカード。
ちょっとカワイイ系ぽいんで微妙ですが、
まあ戦やしないし。ジュリアンの予備とか
言われてるし。

バヌトゥ。
まったく成長しない竜じいちゃん。
チキの成長用に火竜石を取り上げられる事しばし。
資格ありです。

ミシェランとトムス。
SFCでは「ドーガいるし」兵種変更が出来るDSでは
「OOOいるし」と、誰かにカブを奪われてから登場。
不遇です。
ぽむさんのプレイで救われるかとおもいきや、
クラスチェンジし損ねる不幸っぷり。

トーマス。
変態にしてごめんね。存分に暴れて。
使ったことなくてごぬんね。
あ、ごぬんねって打っちゃった。
(直せよ)

ボア。
ウェンデルと同じ能力と顔で二人目。不憫すぎる。

ロレンス。
もうアーマー系はいらないとこに、
登場が終盤過ぎる。
今回のプレイでも優遇が難しいほど不遇。
決定です。


ああ、後二つ追加。

原則5
誰一人死なせません。意味ないし。

原則6
原則って言うか・・・・・・

あんまり久遠がヌルゲーX2うるさいんで、
ハードでやってます。
五段階中では一番下ですが、
加えて縛るとちょっとキツイ。

原則7
・・・・・・・・・・・えーと。
久遠に任せるのはもう懲りました。
忙しさもピークは越えました。

やるとしたら、私が書きます。


・・・・・・こんなとこでしょうか。

ええと・・・

読みたいですかこれ?


by おかのん (2011-08-26 20:15) 

ぽ村

>>おかのん
   【審議中】
       ∧,,∧ ∧,,∧
    ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
   ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   | U (  ´・) (・`  ) と ノ
    u-u (l    ) (   ノu-u
        `u-u'. `u-u'

by ぽ村 (2011-08-27 00:49) 

おかのん

審議の合間にアルタイル。


~偽りのアルタイル~

第7章 ヴィーナスキュラートの罠 
その1 ミネルバ王女

アカネイアを解放すべく中央行路を南下、
首都パレスへ向かう。
オレルアンの状勢が一段落つき、
同盟軍はようやく進軍を開始した。

これより向かう先はレフカンディの谷。
谷に挟まれ大きく軍を展開できない。
攻略はかなり困難と思われた。

レフカンディには強固な砦が
いくつも築かれている上、
オレルアンを失って拠点をここに替えた
マケドニア残党が集まっている。

地形を利用してマケドニア白騎士団が
頭上から襲い掛かってくるとなれば、
苦戦は必至であった。

マケドニア白騎士団。
王女ミネルバが率いる飛行部隊。

ペガサスナイトは勿論、ドラゴンナイト・・・
地形を意に介さず高速で近付いてくる上、
重騎士並の装甲を持つ竜を駆る騎士までいる。

「・・・で、どうするのだ?」

デネブが聞いてくる。

「どうもこうも無い。アテナも経験がある、
お前もそこそこの腕と知っているから、
弓隊を増やしたんだ。
弱点は割れている。誘い込むだけだ」

「まあそうか」

飛兵は総じて弓に弱い。
空中にいる時に攻撃を受けることは
墜落を意味する。
それが可能な弓はかなりの効果を期待できた。

問題は・・・

「で? 疲れはとれたか」

「とれる訳が無い」

『宿主』や『同類』に忌み嫌われていたベガの
アテナの崇拝に対する
はしゃぎぶりは異常であった。

「夜はベガが使い続け、昼間は政務や軍議。
まともに寝てさえいない」

「やれやれだな」

しかし緊張をかいて戦場に立つわけにもいかない。
こんな時にこそノルンに癒して欲しかったが、
アテナとベガの情事を見られた以上、
期待は出来なかった。

 ・

一方、谷向こうの城には
グルニア軍が展開していた。

留守中にオレルアンを奪還されたミネルバ王女は
一時的にここレフカンディに駐留。
本国の要請をここで耳にし、
作戦に協力することとあいなったが・・・

「ハーマイン将軍。こんなやり方・・・
私は賛成できません。
栄光あるマケドニアの騎士として、
堂々と正面から戦わせてください」

「しかし、王女よ。
あなたのマケドニア軍は、
オレルアンで多くの兵を失った。
態勢を立て直すにはこの城で
時間を稼ぐしかないのだ。

私は陛下直々のお声がかりで送りこまれてきた。
その私が決めたことだ。
ここは、おとなしく従っていただきたい。

どうしてもあなたが我等帝国のやり方に
従えないというのなら・・・

人質となっている妹君、マリア殿の身の安全は
保障できないが。それでもいいのか?」

ミネルバ王女は奥歯を強く噛む。
歯に衣着せぬ物言いをすれば、
武人らしいとでも思っているのか。
仲良しこよしで成り立つ連合でもないが、
礼を忘れた武人などただのチンピラだ。

「…わかりました。あなたの指示に従いましょう。
…だが、こんなやり方でアリティアの騎士団が
倒せるとは思えない…
いずれきっと後悔なさる時が来るでしょう」

そう言ってきびすを返す。

彼女は彼女で純粋すぎた。
この現状で正々堂々などと
言ってる場合ではない。

版図を推し戻されたのは初めてなのだ。

信頼の置けたムラクも失い、
ついにはオレルアンごと取り返されてしまった。

(どうでもいいことでもあるが)

ミネルバ王女は既にミシェイルと・・・
マケドニアと袂を分かつ気でいた。
マリアの件がなければ、今すぐにでも。

 ・

「・・・シスターレナが?」

気のつく女であるし、ベガを目にしてもらっても
困るので、輸送部隊にいてもらっていたが、
どうも体調を崩したらしい。

ジュリアンはおろおろしながら報告する。

「すげえ苦しそうで・・・
今は会わせてももらえないんだ。
カペラちゃんが見てて、
今は静かになってるけど・・・」

何故あの少女が。

しかし彼女が入ることで馬車の中からうめき声が
途切れたのなら、周りは従うしかあるまい。

「わかった。輸送隊に病人用の食料を作るように
手配しよう。魔導士にブリザーで氷をいくらか
確保させもしておく。使うといい」

ジュリアンが面食らう。

「・・・どうした?」

「・・・いや、なんでもない。助かるぜ。
王子、俺、最近マジで思うよ。
あんたの国を見てみたいって。
アリティアをってことじゃなくて、
あんたの治める国を」

少し。
顔が歪む。

「・・・僕はリカードを見捨てたよ」

「俺は、助けられた」

真っ直ぐな目だった。

「容態が落ち着いて、誰かと会えるとなれば、
彼女が真っ先に会いたいのは君だろう?
輸送隊の方にいなよ」

「ああ」

ジュリアンは踵を返して走り出した。


・・・・・・


「くふふ」

「何か言いたいことでもあるのか」

「いやいや。嬉しかったのではないか?」

「・・・まあな」

あんたの国を見てみたい。
あんたの治める国を。

王子の代わりを務めている上で、
これ以上の賞賛があるだろうか。

 ・

「ぅがぁぁああああああああああああっ!!!!」

血を吹きだしながら転げまわるレナ。
血管が皮膚に近いところから噴出している。
目から、口から、各種関節、股下からも。

「ぅあがぁぁああああああああああっ!!!!」

カペラはよく冷えた濃い紅茶を飲みながら、
寛いでいる。
たまに思い出したようにメモを取る。

「ぅあがぁぁあああ!!!!おああっ!!!!」

馬車の中は血の雨が降る地獄と化していた。
結界のせいで外に音は洩れない。

「リライブ」

「がっ・・・ かは・・・ ふっ・・う」

呼吸が落ち着いてゆく。

・・・のも、束の間。
びゅしゅっ・・・

「がっ・・・」

「ふふふ。今の貴方は風船。
力という空気の入れすぎで破裂寸前。

貴方の気が緩んでも、私がやらかしても、

ぱぁん♪

せいぜい頑張りなさい。
私にとってはただの実験。

その苦しみの後にある物が重要なのは、
貴方だけなのだから」

「・・・ぅあがぁぁああああああああっ!!!!
ぅあがぁぁあああ!!!!おあああっ!!!!」

ガコン。

馬車が石を踏んだ。

紅茶はこぼれない。

血は吹きだし続けている。

 ・

「パオラ。カチュア。エスト。行くわよ」

「はい。ミネルバ様」

気の進まない戦であった。
気の進んだ戦などないが、
それでも奇襲や騙まし討ちは、
ミネルバの戦術書に記載された例がない。

誰であっても思うはずだ。
こんなところで死んでなるか、と。

しかし、戦だ。

人は死ぬ。
そんな無念が山と重なる。

ならば、
こんな死に方があってたまるか、
とだけは思わぬように・・・

勿論これは偽善とも取れよう。甘いと言えよう。
策を練らぬということは、
味方の損害に直結すらする。
それでも・・・

どこへも逃げることの出来ない戦場を作る事は、
ミネルバの矜持に反していた。

 続く

by おかのん (2011-08-27 12:56) 

ぽ村

>>おかのん
…ジュリアンがウブすぎて眩しい…。
正視できない・・・。

盗賊なのに…。

ともあれ投下乙です。

そのジュリアンが愛するレナが多分あんな感じになると思うが、ソレ思うと心が痛む。
しかしそれも織り込み済みなら…やるな おかのん 。。
by ぽ村 (2011-08-27 19:47) 

ぽ村

>>おかのん
リアルで審議した。

判決!
m9っ^Д^) GO!!
反対意見は無く、複数の住人よりGOサインが出ましたので、またもやお願いします。

月末か来月初めに記事をうp致しますので、その間要望とか有りましたら適当な記事へ投下してください。

by ぽ村 (2011-08-28 16:27) 

おかのん

・・・・・・りょーかいです。

とりあえずタイトルの「書かれて安心・・・」は削除。
惚れても多分低音火傷!! とかに差し替えで。

しかしリアルで・・・
神視点で覗いてみたい。

後コレは直接関係ないですが、
ぽむさんもチラッとふれてるけど、
日記とFFNを記事として分けて欲しいです。
自分のせいとはいえこの記事重い。

政治板も半年に一回記事を別にした方がいいと
密かに思ってました。

by おかのん (2011-08-28 19:39) 

ぽ村

>>おかのん
仕事の勤務表と相談したら9月1日夕方~夜頃に記事うp濃厚と思いねぇ。

>神視点
覗いてみたいのは審議中の様子でw?
んとなーリアルで会った住人やら、メールでROMってる奴らやら、作品は確実に知ってる住人やら。

他の住人の意見は教えず、思うように答えていただきました結果でございまする♪

>分け
ああーそーねー・・・。
リプレイ部分とFFNの分割はブログに記事を移転する際、一緒に行なったほうが効率いいかな?と。
雑談ブログへの移転になると思う。
(将来的には雑談ブログがメインになるし、他のブログはオススメ作品の「データベース」となるため。)
FFNは膨大になりそうなので、FFNだけの記事を早い段階でのうpを検討しましょ。
リプレイ部分だけでも、早めにこの記事部分にうp・コメント部分の消去とかでも効果あるかも。

>政治
…ヲレも思った…しかし思いついたのがブログ移転計画が転がり始めてからだった…;
とりあえず、来年分からは向こうで提案通り年二記事で行きたいね。
by ぽ村 (2011-08-28 22:40) 

ぽ村

よっと…。
リプレイ部分のコメントを保護した上に記事部分にうp。

コレでも劇的に変わることは無いだろーが、移転までの時間稼ぎになってくれればな…と。
by ぽ村 (2011-08-29 00:14) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第7章 ヴィーナスキュラートの罠 
その2 火竜族の老人 

ダロスが海賊の姿を辞めたいと言ってきた。

むしろ何故今までその格好でいたのかと聞くと、
水の中でも動きやすい格好なので、そちらの方が
目にかけてもらえるぞと言われたそうだ。

「君の自慢の腕力はこの軍でも抜きん出ている。
心配しなくても十分役に立ってもらっているよ。
僕から要請が無い限り、好きな格好でいてくれ」

喜んで戻っていくダロス。

「デネブ・・・」

「くふふふ」

こっそり舌を出したのがわかる。
やれやれ。

お気楽な行軍に見えるが、
アイルは落ち着かなかった。

レフカンディの谷は軍が通るには細く険しい。
ここで戦端を開くことになれば、少なくない
犠牲が出るだろう。

しかし、アカネイアに続く道は此処にしかない。
通る事を避けられないのなら、何とかして
突破するしかないのだ。

そして、ここが重要なのは敵とて解っているだろう。

上手く誘い出せればいいのだが・・・

 ・

馬車の中。

「うがぁああああああああああっ!!!」

「リライブ。   ・・・ふわ・・・」

昨日から続くレナの阿鼻叫喚図は、
あまり変わっていない。

さすがに眠らないわけにはいかないので、
カペラは火竜石の力を抑えて一緒に眠ったのだが、
レナの身体・・・胸元に埋め込まれた火竜石が
レナ自身に馴染むにはまだ時間がかかる。

力を押さえ込む事に集中しながらでは
上手く寝られない。
どちらかというとカペラの方が寝不足だった。

「あ。 ・・・うっかりしてましたわ」

レナのような手ごろな実験台を同盟軍で
見つけるとは思っていなかったし、
さらにここまで手間がかかって
同行する事になるとは思わなかった。
ここでの作戦は展開してしまっているはずだ。

「面白い作戦だったのですけど・・・
仕方ありません。中止しなければ」

自分の立てた作戦に巻き込まれるなどという
馬鹿馬鹿しい目には遭いたくない。

「・・・そうですわ。あの子が使えますわね」

ただ中止するより面白い。
これであの王女も動かざるを得なくなるだろう。

「ねえ。だって義兄様・・・
私達が不幸なまま死なねばならないのなら、
世界すべてが不幸に滅びないと。

そうでなければ。

ずるい、ですわ。

ふ。
ふふふ。

ふふふふふふふふふふふ。
うふふふふふふふふふふふふ」

そこには、闇があった。

アイルの苦悩とも、デネブの愉悦とも、
ベガの狂乱とも、レナの怨讐とも、
ガーネフの嫉妬とも、メディウスの憤怒とも違う。

ーーーーーーーーーーー



破滅の闇。

 ・

レナの容態の件もあり、山間の村で宿を取る。

「これ、そこのお若いの」

老人に呼び止められる。

「? はい。何か」

「私はバヌトゥという。見ての通りの旅の者じゃ。
チキという少女を探しておる」

「・・・はあ」

「チキは神竜ナーガ一族の生き残り。
あの娘がいないとメディウスに従うマムクート達を
倒すのは難しい」

「え?ナーガ?」

聞き覚えがある。
マルスに聞かせてもらったこの大陸の神の
一族の名だ。

「あなたは一体…?」

「わしか?わしは、火竜族のはしくれじゃ。
じゃが、ペラティで大事な石をなくしてしまい
戦うことができぬ」

マムクート、そして火竜族。
その大半がドルーアに従う、その名の通り、
火竜に変身する者達。

石にも少女にも心当たりはなかったが、
本当にマムクートであるならば、意見を聞きたい
場面は出てくるかもしれなかった。

「これから我々はアカネイアに向かうこととなります。
人探しなら都市の方が良いかもしれません。

同行されますか?

ただ、見ての通り軍隊ですので、安全の保障が
出来かねるのが心苦しいのですが・・・」

バヌトゥの顔がほころぶ。

「おお。ありがたい。
なに、護衛無しで山道を歩く方が危険じゃしな。

チキのことじゃが、
緑宝石の髪の、10才ばかりの可愛らしい子じゃ」

「わかりました。部隊内に周知させます」

この程度の事は何でもない。
敵の情報が違った形で入る機会はそうそうはない。
拾い物だ。

とはいえ、まさか探し物の一つ、火竜石が、
ここに立ち寄ることになった原因のシスターの胸元に
埋め込まれている最中だなどとは知る由も無い。

 ・

「いかがいたしますかミネルバ様?」

既に配置は終わっていた。

逃げ場のない山間の村に駐留している同盟軍を
完全に包囲している形だ。

「ハーマイン将軍の顔も立てねばならん。
我らの軍で殲滅してしまうわけにもいかんさ。

渓谷を抜けるまで待とう。
こちらもそれくらいの準備はある」

キィィイイイン・・・

キィィイイイン・・・

「ミネルバ様? それは・・・」

腰にあるポーチが鈍く光っている。

「これは、カペラ殿・・・ とある魔導士の
少女から貰ったものだ。
これを持つ者同士が同時に鏡を覗き込むと、
そのお互いが映りあって、
会話も出来るというものだ。

今の音は誰かが鏡を覗き込んでいるという合図だ。
これと同じものを、そのカペラ殿と、
マリアが持っている。

牢の見張りの目を盗んでではあるが、
これでマリアと繋がれるのだ」

「なんと。そのような魔導具が・・・」

映っていたのは、マリアでなく、カペラだった。

「大変ですわ! マリア様の体調が急に・・・」

「なんだとっ!!?」

「私が行ければよいのですけど、今は私、
とても手が離せないのです!
魔導技術でとある方の手術をしている最中で、
数日動けなくて・・・」

「・・・いや、よく知らせて貰えた。
感謝の極みだ。
・・・すぐに行く!!」

手鏡がただのそれに戻る。

「私はディールに向かう!
パオラ、カチュア、エスト!!!
ここは任せる!!!」

「いえ、我らもお供を!」

「しかし・・・」

「ジューコフは頭の固い軍人です。すんなりと
マリア様に会えるとも思えません。

しかし、一刻を争う事態かもしれません。

ならば、荒事覚悟の精鋭は
必要ではありませんか?」

一瞬躊躇したが、言われてみればその通りだ。

「・・・頼む」

三人ともが頷く。

ここがミネルバの良いところである。
他人の意見をきちんと聞くところだ。

謀や奇襲を嫌いながらもなんとかやれるのは、
その御心を理解した上で進言する懐刀のおかげだ。

しかし今回はかなりのムチャだ。

作戦行動中に指揮官が戦場を放り出すのだから。

「全軍、状況13!
敵に一撃を見舞った後、散開してD方面へ帰還!
伝令向かえ! ハーマイン将軍に!
『新兵のミスにより、伏兵見破られ、我ら独自の
判断で奇襲に望む! 敵の抵抗強し、損害大きく、
我らディール方面への撤退を決意!
同盟軍、侮るなかれ!』と!」

パオラは叫ぶと、ミネルバと共に飛び立つ。

「マリア・・・ 待っていろ!
今、行く・・・!!」

その言葉には、もはや微塵も迷いはなかった。

 ・

同盟軍は大混乱に陥っていた。

警戒していたはずなのに、完全に回り込まれ、
包囲されていたのだ。

突如一斉に山壁から現れたマケドニア白騎士団。
飛竜と天馬の混合大隊だ。

「取り乱すなっ!!!
ノルン、シーダ、アテナ!! 迎撃に当たれ!!!
翼を狙えば文字通り堕ちる!!
ダロス!! 手斧を投げまくれ!!
牽制できればかまわんっ!!」

フレイはそこかしこでフォローしてまわり、
リフの回復も早かった。

しかし。

一度の電撃特攻をかけた後、白騎士団は散開。
東の空へ飛び去ってしまった。

「な・・・に?」

(なんだったんだ・・・)

出口の限られた包囲戦。

地形を見た時から予感はあった。
だからこそ準備もしていた。

それでも実際対峙してみて、こちらも多少の
損害を覚悟させられた。

(こうも見事に包囲されていたとは)

ミネルバ王女はあまり策を用いないと聞いていた。

そのためか、アイル自身どこか『楽な相手』と
感じていたことを否めなかった。

冗談ではない。

情報が戦を制すると考えるアイルの警戒網は、
それなりのものをしいた自負があった。

いとも簡単に包囲されていた。

恐ろしいまでの統率力。
これが『カリスマ』というものか。

それに比べて同盟軍の酷さはどうだ。
混合軍といえど、目に余った。
アリティアとオレルアンででならまだしも、
古参でさえ分れていて、火種はそこかしこ。

そもそもリーダーが二重人格である。

格の違いを見せ付けられたような気さえした。

(くっ・・・・!!)

アイルはミネルバの飛び去った空を睨み付けた。

竜が、一度だけ反転した。

 ・

ミネルバ王女が、同盟軍を見やる。

「ミネルバ様?」

「・・・なんでもない。行こう」

・・・見事だ。

自分は良い部下に恵まれているという自覚を
ミネルバ王女は持っていた。

特攻しか出来ない自分が兵を用いれるのは、
たまたま自分の下に集まった者達が
優秀だからだと考えていた。

事実は違う。

その考えを全く隠さず兵と接するミネルバは、
彼らに心地好い緊張感と飽くなき向上心を与える。

美しく、強く、凛とした王女が、
我らを頼りにしている。
そのまなざし、その声音、語られる言葉の端々に
それを感じながら共に戦い、
なおかつ先頭に立つことを躊躇わぬその姿を見て、
奮い立たぬ兵(つわもの)がいるだろうか。

しかし、自分は部下に恵まれただけの
凡将だと考えるミネルバ王女にとって、
アイルの用兵は理想的であった。

完全に囲まれたあの状況、あの混乱。
こちらの被害は0で換算していた。

反撃など出来まいと考えていたのだ。
が、思ったよりも落とされた。
対して向こうはほぼ耐え切ったといっていい。

実際、パオラが仰天していた。
この局地戦での被害は、過去最悪のものであった。

あのまま続けたとして、勝てたと思えなかった。

「・・・マルス王子。憶えておくぞ」

再度反転し、その後振り返ることはなかった。

 ・

ディール要塞最奥。

上階に位置する牢獄。

「うぁ・・・うあああっ・・・・・!!」

レナの苦しみの数十分の一であろう。

しかし、長い牢獄生活で弱っているマリアには、
耐え難い苦しみでもあった。

「いたい・・・ねえさま・・・
ミネルバ姉様・・・っ!!!!」

胸が突然痛み出して既に一時間。

たすけて。

・・・たすけて。

どこにも届かない、思い。声。

自分の身体がどうなっているか、解らぬ不安。

「ねえ・・・さまぁ・・・・
うう、うううぅ・・・・」

痛い・・・・・!!

「うぅーっ!! う、う、う・・・」

宝石のような涙が零れ落ちてゆく。
声が、枯れゆく。

「ねえ・・・さま・・・」

また少し、落ち着く。

しかし、開放感はない。

また来る気がするからである。
そう、さっきのように・・・

その恐怖は痛みに耐える時とは質の違う、
狂ってしまいそうな焦燥。

・・・・・・きた。

「うぁ・・・うあああっ・・・・・!!」

 ・

「ふふ。ふふふふふふ」

これでいい。

マリアには、火竜石のカケラが埋め込んである。

割れた竜石に微量の力がまだ残っているのを見つけ、
再利用してみようとしてみたが失敗だった。

身体の強靭さへは全く反映されなかった。
並みの魔導士よりマシになる程度だろう。

が、今回は辻褄併せの役に立った。

「ふふ。ふふふふふふ」

いくら飛竜でも、ディールまでは丸一日かかろう。

楽しい夜になりそうだ。

 続く

by おかのん (2011-08-30 19:50) 

ぽ村

>>おかのん
めいど!投下乙であります(←洗脳進行中)

リプレイによると、マリアも超絶強化されるんだが、ここでチートが仕込まれてたのか…。

ヲレはてっきりOOOOの魂とフュージョンして(ry

ダロスとじいさんが適当すぎw

ダロスは「王子の海賊じゃ格好つかねぇ…」と、サイズの合わない鎧を付け、ぎこちなく歩いてる…とか、じいさんは「火竜石の気…まったー!!
・・ふう、ふう、またネタを潰すところであった;

見るからにそれっぽい外見なんだが、マリアって公式でも(ミネルバが容態を心配するほど)病弱キャラなん?
by ぽ村 (2011-08-31 02:13) 

ぽ村

>>おかのん
公約通り明日(9月1日)夕方記事ageまする。

忘れてたご希望なんかは今のうちにどぞ♪
by ぽ村 (2011-08-31 15:31) 

おかのん

ぎゃー

明日昼から一泊仕事でする。

無念。

by おかのん (2011-08-31 21:05) 

ぽ村

>>おかのん
をやま。
仕事じゃ仕方ねぇ。

一日ずらして2日夕方以降にあげるわさ。
お仕事頑張って!

って、もう始まってるのか;
台風も近づいてるようだ。
お気を付けて~
by ぽ村 (2011-09-01 15:16) 

おかのん

仕事は終わっても、台風はまだいるッス。

~偽りのアルタイル~

第7章 ヴィーナスキュラートの罠 
その3 パイとケーキ

マリアが苦しみだして一時間半。

「・・・差し入れ?」

病人食と氷の追加のついでに
ジュリアンが差し出したのは、
ミックスベリーのパイだった。

「レナさんは食べれないかと思いますが・・・」

「マルス王子から、アンタにさ。
何も手を貸せないみたいだから、せめて、って」

だとすれば、
なぜカペラの好物を王子が知っているのか。

「アテナちゃんとかシーダ姫さんと一緒に、
食事した時に一緒にいたんだろ?
その時だな。多分」

そういえばそんな機会もあった。あの村で。
パンやフルーツは好きなものを取る形だった。
野苺や苔桃(クランベリー)などを
ついつい手に取っていた。

「・・・お気遣いどうもとお伝えくださいな」

結界内に戻って、パイを齧る。
煮詰めた果実も甘すぎない。一緒に貰った、
飲みやすくしてある山羊のミルクと、とてもあう。

「・・・」

その甘酸っぱさが原因・・・なのだろうか。
カペラは、気まぐれを起こした。

一晩中聞くつもりのアリアに興味がなくなった。

 ・

・・・・・・・・・

痛みが引く。
「・・・・・?」

何故か、今度は本当におさまった様な気がする。

マリアは、ぐったりと脱力した。

怖かった。
このまま死んでしまうのかと思った。

「ねえさま」

今は見張りもいない。
顔を見たかった。

キィィイイイン・・・・

キィィイイイン・・・・

 ・

キィィイイイン・・・・

キィィイイイン・・・・

手鏡を覗き込み、驚く。

「マリア!?」

「ねえさま」

「・・・大丈夫なのか!? カペラ殿から急に
苦しみだしたと聞いて・・・」

「あ、は、はいっ。
ついさっきまでとても苦しくって・・・
でも、今はなんか平気です。ねえさま」

良かった。
本当に良かった。

もしこのまま、こんな寂しい思いをさせたまま、
この子が消えてしまったら。
その先を考えることさえ出来ない。
その事が怖い。それ以上前に進まない。
マリア。マリア。
マリア。マリア。マリア。マリア。

もういやだ。マケドニアが、ミシェイルがどうなろうが
知ったことか。

「必ず、助ける。
そこから出してやるからな、マリア」

「・・・はい、お待ちしてます。ねえさま」

マリアの声音には、
隠しきれていない諦念があった。

それが、ミネルバの焦燥を加速させた。

 ・

「ミネルバ将軍が作戦を放棄しただと!?」

「はっ。報告によれば作戦の失敗とそれに伴う
被害のために、ディールに向かうと」

やりにくい。

勝つも負けるも兵家の常という。
「作戦失敗の為やむを得ず」と言われては
文句も言いにくい。

ハーマインも脛に傷が無い訳でもない分
よけいである。

「くそ・・・我等でやるしかないか」

完全に誘い込んでしまえば
我々だけでも成り立つ。
やりようは無くもない。

 ・

そんなものは無かった。

ミネルバの強さは、
情報を先んずるアイルのやり方を
覆すほどの『統率力』である。
そんなものがハーマインにあるわけもない。

卑賤な戦い方しか出来ない軍の兵は、
やる気も自覚も持ち合わせない。

自分の命を守るのは努力ではない。
適当なところでの逃亡だ。

ハーマインの作戦は、
敵が網にかかるまでじっくりと待ち伏せ、
一斉に襲い掛からねば意味がない。
おとりの女に目がくらんで誘い込まれるなどという
馬鹿丸出しの質の兵では成し得る訳もない。

砦の伏兵は確実に各個撃破されていった。

「ぬごおおおおお!!
馬鹿共がっ、馬鹿共がっ、
馬鹿共がぁあああああ!!!」

ハーマインーー

練る策は意外と的確で、賄賂を欠かさず、
上の覚えも悪くない。忠誠心もある。
が、部下には嫌われ、統率力がなく、
肝心な場面で役に立たない。

策がそもそも練れず、媚びもしない。
人質をとらねばならないほどに忠誠心がない。
が、部下には崇められさえし、
輝かんばかりのカリスマがあり、
ここ一番で役に立つので手放せないミネルバとは
あらゆる意味で正反対の男であった。

レフカンディの戦線は、既に崩壊していた。

止めを刺したのは、戦士となって上機嫌の
ダロスだったらしい。

 ・

その日の、夜。
城の中庭の木の下にいるアイル。

話しかけてくる、人影。

「・・・何か御用でしょうか?」

「ああ、その・・・」

らしくない。

言うべき事や、どう会話の流れを作るかも考えず、
ノルンを呼び出してどうするというのか。

「あの村でのことなんだが」

「申し訳ありません。まさか取り込み中とは
思いませんでしたので」

完全に怒っている。

「いや、その、あれは・・・」

「マルス様はとがめだてされるような事は
しておりません。
マルス様のなされる事を咎めるなどという事は
あってはならないことです」

その通りだが、現実ノルンの気が治まらない以上、
このままには出来ない。

しかしどうすればいいのか。

ベガがアテナとしていたのは事実で、
あれは自分ではないと言えるはずもなければ、
証明も出来ない。

焦りだけが脳をめぐる。

「話がそれだけでしたら、失礼いたします」

だめだ、行くな。

「待ってよ。ノルンねえちゃ・・・!」



ノルンが、振り向いたまま固まっていた。

まずい。

建前と本音が重なって、逆に出た。

「ノルン姉ちゃん・・・?」

聞き返す彼女に、言うべき言葉が何も出てこない。

しかも、彼女はそれだけで答えに至った。

「そういえば・・・ 孤児院で、マルス様に少しだけ
似ている子がいたわ。
髪の色くらいだけど、そういえば顔立ちも
整っていた・・・」

「ノルン? いや、今のは・・・」

「こないだ隊の皆に回ってきたフルーツケーキ。
私が昔よく作って孤児院に
持って行った物に似てた。
シナモンの隠し味が抜けてたけど」

そうかシナモンを少量いれるのか。

「い、今のは村の子供たちのがうつって・・・」

ノルンはカソカヤンで
村の子供たちと遊んでいた。
その時の様子は見ているから、
まだごまかしが・・・

「・・・ホントに?」

「楽しそうで、印象に残ってて・・・」

少し首をかしげて、ノルンが言う。

「ホントにドラちゃんじゃないの?」

「止めてくれそのよび方は!」

・・・・・!!!!

完全にやらかした。

『ドライツェン』を知っている人間など、数えられる。

もう誤魔化せない。

「やっぱりドライツェンなのね!
憶えてるわ。よく憶えてる!

つまらなそうにしてるくせに、
ずーっと私のこと見てた!
二個目をあげたのも憶えてる!!

どういうことなの。影武者なの!?

普段どこに紛れてるの!?」

・・・全部話すしかなさそうだった。

 ・

もう後はイモヅル式だった。

隠そうとすると矛盾が起きる。
そこを聞かれれば答えざるを得ない。

闇の魔方陣、オレルアン合流を目指しての挙兵、
アルタイルという名前、デネブ、ベガ。


「・・・そんな事に・・・

じゃあ、タリスで・・・
『崖から落ちて・・・』のころから、
ずっとドライ・・・
<アイル>だったの・・・?」

「・・・うん」

・・・・・・長い沈黙があった。

「・・・私、
貴方の憧れのお姉さんだった
自覚があるんだけど」

「今でもだよ。・・・初恋だった」

魂が抜けかけているような感覚だった。
思ったままのことが口から出る。

途端にノルンがいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「あ・の・と・き。何考えてた?」

「・・・・・・」

あの時。・・・勿論、あの時だろう。
ガルダ港近くの村での、ノルンとの、初めて。

「村での・・・ 見てるだけだった頃のこととか、
いろいろ」

「ふふ。そっか」

ベガのやらかしたもろもろのことも話した。

信じてもらえるかどうかは賭けだったが、
あまりにあっさり信じたので、
疑わないのかと聞くと、
『むしろ納得した』との事。

「ね」

「・・・なに?」

「ちゅして」

・・・・・・・

やさしく、口付けをする。

されるがままの彼女。

「えへへ」

はにかむ表情が可愛い。

「ね?」

「・・・うん」

彼女はどこからか薬を取り出し、飲んだ。
ベガがモロドフに買わせた避妊薬だろう。
膣内をコーティングする形での避妊薬で、
名をレキフォラム。
同名の司祭の魔法薬だ。

兵役中の妊娠は問題が多い為、
当然するべき事だが、
それが寂しいのは男の我侭だろうか。

既に血は下半身に集中している。
口付けはしたまま、尻を撫でまわす。

「・・・えっち」

「だって」

「ふふ。やぁらし」

お互いが、お互いの事しか
考えない時間が流れる。

幸せな、時間。

 ・

デネブは見ていた。

邪魔をする気はない・・・が、

胸に、痛みが走る。


ため息を、一つついた。


 続く

by おかのん (2011-09-03 20:26) 

ぽ村

>>おかのん
ばーれーたーばーれーたー♪
~('∀`~)(~^ω^)~

投下乙でごわ。

ノルンにゃ一番バレちゃいけない気もしたんだが、かなりあっさり;
しかもデネさんまで…;

ヲレなら…コホン(即席につき乱文失礼;あと、内容的には先を見てませんので、気にせんで;)

偽物と分ったら混乱してアイルにとりあえずビンタかましてその場から逃げ出す。
逃走先で遭難して、動けなくなったところを…

(ここから二択、その1)
探しに来たアイルが救出。
近くの洞穴で雨宿りがてら事情を説明後、
ノルン「沢山死んで、殺して来たのに」
アイル「冥府の果てに、罪人を焼く業火があれば先に飛び込むよ。」
ノルン「王子は初恋だったのに…」
アイル「僕だっておねえちゃんが初恋だった!」
で、そのままちゅっちゅ♥
デネさん、水晶で出歯亀、「ああ、やってらんねー!!(悶)」

(その2)
身動き取れないノルンの前に、カペラが出てきてこんばんわ。
「余計なこと知りすぎたな。取り除かせてもらうぞ?あの男のやる気が殺がれ無い程度に…」
と、魔法で記憶と思考を改竄。
…ちょっと改竄内容が強すぎて、マルスの言うことには絶対服従なだけの、目がうつろで口数が少ないノルンに。
アイルには「ショックで記憶障害?」と説明。
うろたえるアイルに白々しく「カダインでなら魔法での治療で…」とさらに誘導。
そのノルン心配しまくるアイルの姿に
デネさん「ああーやってらんねぇ!!(悶)」

>台風
長いのう…ニュースそればっかだわー;
7月に沖縄に来たやつも同じ感じでなぁ…。
しかし雨がヤヴァすぎだろ今回の・・;
by ぽ村 (2011-09-03 23:10) 

おかのん

>ば~れ~た~

・・・はい。

日記読み返すと分ると思いますが、この章の
お相手は彼女。
しかもアテナとは次の章で仲良くなってます。

めんどくさ。

・・・ばらすか。

というわけで。

いきあたりばったりだぁ・・・
こんな書き方始めてですよホントに。

>偽物と分ったら混乱してアイルにとりあえずビンタ

あー・・・ やっぱそれ王道ですかね?
一度は考えました。
ただ、『ノルンが追求』する形でばらしたので、
その流れでだと不自然かなあ・・・と。

あと、ドルーア連合に与しない人々の考えはほぼ
アカネイア応援ですし、戦争に協力することは
むしろ立派なことという考えも普通に存在しますし、
ノルンがこういう後悔のしかたをするかどうかは
書き手しだいかなあ。

>カペラが出てきてこんばんわ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

えーと・・・

むしろぽむさんの先読みの中でカペラが
どういう位置にいるか分かった気がしまする。

あと、やる気削ぐも何も、アイルにはマルスを
取り戻すという大前提の目標があるので、
必要ないです・・・・し、

カペラは・・・・・・・・

いや、ネタバレはよしましょう。
・・・だから先読みもその・・・・・・

気にせんでと言われても的中したらやっぱ
凹むですよ!!

さーて・・・

次回はワーレン編ですよ。
イベントだらけですよ・・・
多分その5くらいまでの量になるかと。

大量離脱・・・

いや、プロットはもうありますが、描き方は
ライブになるので。

by おかのん (2011-09-04 08:47) 

ぽ村

>>おかのん
無意識に先読むとは…ヲレの先読み能力もぱねぇでございまする。

>お相手はカノジョ
ほら、そこはー・・・ね?
洗脳済なら、
アイル「さがしたにょー;」
ノルン「スミマセン、コノツグナイハカナラズ」
ア「大げさだな・・はは、じゃあ、今夜寝室に来てよ(冗談っぽく)」
ノ「ハイウカガイマス(即答)」
ア「え?(;゚Д゚)!?」
そこで違和感を感じて…みたく。

>ノルンが追求
突発的なものだから、取り乱してもしてもいいのかな…とかw
譜代に混じって疑惑追求してるなら、混乱しないだろうけど…あらやだ、譜代の話が気になるじゃないw
そのタイミング!!?

>大量離脱
ライブ風に書いたら
「あーまずあいつが死んだ。
次にコイツでそん次にアレ…」とかになるのかね;
これじゃリプレイ記事かw;
by ぽ村 (2011-09-04 12:55) 

おかのん

>先読み能力
いや、万一当たると凹むのでお手柔らかにって
話で、正解ではないです。
多分的中したら3日こないかプロット弄り始めます。

>洗脳
あー・・・ うん。王道の一つなんでしょうけど、
私が好みじゃないのが大元にありますねー。

記憶操作とか洗脳とかが。

だから甲殻機動隊はメカデはともかく
好きになれないお話おおいッス。

事実と違うことを話すとすれば、それは脅されてとか
プライドが邪魔してとか悪意あってとか、
あくまでもその人の意思で・・・という形に
したいです。

だからSSのチキはそのアンチテーゼ・・・というほど
カッコいいものでもないけど、「自分の思いさえ
思い通りにならないなんてそれって酷すぎる!!」
・・・という思いを詰め込んだですよ。
だからガーネフはだいっ嫌いです。

>突発的なものだから
デネブあたりとの会話の綻びを偶然聞いたとかなら
その展開の方が自然なんでしょうね。
どうしてウソをついてたのかより騙されていた
衝撃の方が先に来るから。

ただこの場合、気付いた上で追及した流れで
全部聞き出しちゃって、アイルの決心や苦悩も
一緒にわかっちゃったから、
そういう動揺もほぼなかったという感じです。

その辺も描写するべきだったかなー・・・
でもそうするとアイル視点が消えてしまうので
割愛してしまいました。未熟。

>ライブ風
ああいや、下書きはないって意味で。

>譜代の話
次章その4、5あたりで出てくるかなあ・・・

by おかのん (2011-09-04 15:07) 

ぽ村

>>おかのん
あ、あらそう(恥)
外れてほっとしたような、残念なような;

ヲレは洗脳とか記憶操作とか切なくて好きだすよ。
人間は生死と同格に「忘れられる」がきついんだなぁ…。と。

>動揺
視点を変えた回を一つあげて、心情の変遷を描写できればヨカタね。。。
しかしそれだとキリがなくなるでござる;


こっちの歴史脳に真面目に付き合ってくれてサンクス。
避妊薬の名前まで真面目に考えたとエスパー。

きっとその避妊薬はシスターや司祭しか処方法を許されてなくて(同義的に「遊びで」必要な人には処方しない)、闇市で高額で取引され…。
ノルンが持ってたのはこないだの奴隷たちに処方する分の数をごまかして余剰分を懐に…

みたいな事を脳内で描いてウフフフする設定スキーだったりするヲレ。
by ぽ村 (2011-09-05 00:15) 

おかのん

>ヲレは洗脳とか記憶操作とか
切なくて好きだすよ。

・・・・・・そですか。
ちょっと考えてみます。他の形で。
では続きを。

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン その1 第6師団

兵達に休養を取らせるべく、
港町ワーレンへと立ち寄る。
ここはドルーアに多く税金を払うことで
自治を保っている。
貿易港として栄え、様々な品と人が出入りする。

「・・・賑やかな街だ」

「うむ」

「皆楽しそうね」

ノルンとデネブはもうお互い遠慮がない。
デネブが昨日のアレを見ていたと
言ってきたのもあるし、
ノルンもアイルの口から正体を聞いている。

「兵糧の調達、医療品、
質のいい武器も手に入るだろう。
ルタルハはやはり有能だ。
シュテルン商会は既にここにも
支店を持っているそうだ。
こちらは注文だけすれば、
ほぼ原価で揃えてくれる」

「まさにいたれりつくせり、か」

「アイルの人徳あってこそよ♪」

誰もが、このまま一休みできると思っていた。

・・・アイルを除いて。

(ワーレンの税はおいし過ぎる。
だからまず誰もがこの町そのものに手を出さない。
自治会の機嫌を損ねたくないだけの
ネットワークが既に張り巡らされている。

が、ここで敵に休息をとらせ、
装備を充実させてしまうなどという愚行は、

・・・俺なら、やらない。

特に・・・
税などどこからでも取れる、という考えを持てる、
生粋の貴族なら。
マケドニアのミシェイル王子、
グルニアのカミュ将軍、
もちろんメディウスもやってのけそうだ。
・・・ガーネフはメディウスを復活させた経緯から
世界を手にした後のことも視野にあるだろう。
ヤツが来るのは半々だが・・・)

ともかく、アイルの見立てでは、
一戦あるのは確実だった。

レフカンディを抜けるルートは、
向こうもそのつもりでいるだろう。

しかし、その後直接アカネイア・パレスにゆくか、
ワーレンによるか。
ここは分かれ目だ。

ワーレンに閉じ込めたいなら賭けになる。
大部隊をこんなところに配置しておいて、
それでパレスを奪い返されてしまっては
完全に本末転倒だ。
早めの情報が入れば、また別なのだが・・・

今は奴らが優勢だ。賭けに出る意味はない。
しかし・・・

万が一は、供えがなければ防げない。
一度間違えれば終わり。
それが戦争だ。

アイルは、警戒を解かなかった。

 ・

「・・・もう、良さそうですわね」

レナの容態が安定してきていた。
ここまで安定してきたなら、事はつわりの範疇で
おさまるらしい。

レナは不思議な感覚を憶えていた。

まるで自分の中で炎が燃えているような。
そして5倍近くは膨れ上がった魔力。

身体は前より重く感じる。
これは衰弱もあるだろう。
しかしその感覚とは逆に、力は満ち溢れている。

顔が歪むように笑うのを止められない。

「・・・感謝するわ」

・・・思い出していた。
忘れるはずもないが。
誓い。
・・・・・・いや。

ただの、意志。

殺す。
必ず殺してやる。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す!!!!

あの汚らしい棒ッきれを
魂ごと踏み潰すッ!!!

あの戯言を吐いた女の口を
引き裂いてやるッ!!!

そして・・・

「骨も残さず、焼き尽くしてあげるっ!!!!!」

カペラは満足そうに笑うと、

「感謝していただけるなら、やるのは次に私が
来た時にしていただけます?
勿論手も貸しますわ」

レナが無言で頷く。

カペラは闇の魔方陣を作り出し、
吸い込まれるようにその中に消えた。

 ・

ワーレンの北にある、幾つかの盆地。
グルニア軍は、ここに駐留し、
ワーレンを攻める準備をしていた。

後は踏み潰すだけである。カミュは肩の荷を
下ろした気分になっていた。

「お見事ですわ。まさかこんなに早く」

何時の間にいたのか、カペラが笑っていた。
もっとも、もう慣れてきたが。

「早くなければ意味がない、との事でしたので。
常に師団一つくらいは、即座に動かせるように
してあります。
大部隊なればこそ大切なことです」

「成る程。さすが黒騎士様」

わかり易い愉悦を隠そうともしないカペラに、
カミュは不快感を覚える。
勿論顔になど出さないが、和んだ雰囲気が
作れるはずもない。

「ところで、そろそろ本来の場所に戻らないと、
拙いんじゃありませんこと?」

カミュは本来、逆方向の辺境にいるはずであった。

いまや彼一人でもっていると言われるグルニア。

実際はロレンス将軍以下、
そこまで人無しでもないが、
連合内でそれなりの力を持っていられるのは、
カミュの統率力が行き渡っているからだ。

そしてその統率力の一端を担っているのが、
実際にその場にいるという事実。

カペラの瞬間移動で、
幾つもの戦場を掛け持ちできる為、
東西同時進行の版図拡大が可能なことが
ある意味グルニアを支えていた。

勿論、自分がいなくても良い様に指導もしている
つもりだが、忙しすぎる事実もあり、
上手くいってはいない。

部下が皆、命令はよく聞くが、
自分の意見を持とうとはしないのが、
カミュが「優れた将」であるが故の、
グルニア軍の欠点であった。

「お願い出来ますか? カペラ殿」

「わかりましたわ」

二人が、別の戦場へと赴く。

・・・カミュは、ここで指揮を執るべきであった。
グルニアは、ここで手痛い犠牲を出してしまう。

 ・

「グルニア第6師団が北部に展開中だと!?」

「はっ!! 自警団のシーザ殿が
報告に来ております!」

「・・・入らせろ」

・・・早い。早すぎる・・・ 流石だなカミュ殿。

アイルは素直に感嘆していた。
ミネルバのように、自分にないモノを
持っている将も勿論怖い。
だが、その威力を知っていれば、
その力が及ばぬような状況を作り出せばいい。
対処のしようはある。

しかし自分の得意分野でそれを上回るような敵は
実に厄介だ。

アイルの計算では、もう2日遅れるはずだった。

そうすれば外に駐留している部隊が速効で盆地を
おさえて、こちらが展開できた。

陣を張ってしまえば持たせられる。
そこからつなげる作戦も10や20あった。

(まさか袋のネズミにされるとは)

こちらの考えも読んだ上での強行軍だったろう。
だが、タイミングが悪すぎる。
その事実に付けこめるほど彼我の距離は近くない。

(・・・仕方ない。多少は覚悟するか)

「・・・以上が現在我々の掴んでいる情勢だ。
自警団がどうこう言う状況ではないことは
わかっているつもりだが・・・・・・
そちらの意見が聞きたい」

シーザとやらの報告が終わったようだ。
目新しい情報はなかった。

「・・・逆に聞こう。自警団として、町を守る為に
我々にどうして欲しい? 正・直・に」

ざわ・・・

場の空気が一度下がる。

「本当に正直にいいのか?」

「君の今からの言動どうこうで、町に損害が及ぶ
事がないことをアカネイア同盟軍総指揮官にして
アリティアの王太子マルスの名において誓おう」

「奴等の目当てはあんた達だ。ワーレンの為にも
即刻出て行ってくれないか」

「シーザっ!!!?」

相棒らしきラディという若者が肝を冷やす。
しかし、見る眼があるのはシーザの方のようだ。
ここまで正直にくるとは思わなかった。
アイルはむしろ気に入った。

「・・・ノルン。モロドフから聞いているな?」

「雨の降ることはなかろうとの事でしたので、
既に散布は終わっています」

・・・それでギリギリという事実が恐ろしいが、
舞台は整っている。

「シーザ殿、ラディ殿。

グルニアが去った後なら・・・
再びの駐留を許可していただけると
そう考えて良いかな?」

2人は共にめんくらい、そして約束した。
戦争に巻き込まれぬ保証が出来たのなら、
客は誰でも歓迎する。
さらに、今、飛ぶ鳥を落とす勢いの
シュテルン商会のパトロンでもあるというのだ。
こちらからお願いしたいくらいである。

「どうするのだ?」

今の今まで面白そうに、しかし口を挟まず
聞いていたデネブが聞いてくる。

「大兵団でかかってくるのなら、
まとめて屠ればいいだけさ。
さて・・・・・・
黒騎士様はこういう策は思いついたかな?」

作戦名『灼炎の箱庭(ムスペルへイム)』

グルニア第6師団20000。
アカネイア同盟軍2500足らず。

決戦は、明日。

 続く
by おかのん (2011-09-08 20:36) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙っす(^ω^)

>洗脳
や、それはただの個人的な好みなので、話に無理に組み込まなくていいよんw

>ワーレン
なぜかうちのブログ的にはかなちのポジションを占める面になってしまった;
本来は休養に来ただけなのに…。

あれか。
闘技場の存在や無数の敵兵で印象深いからか?

しかしいいねぇ。
未来のことについて楽観視せず、予防線を立てる思考過程。
ヲレはこの予防線思考がリアルでも結構好きでな…。
読みながらワクワクした次第。

>レナ
悪堕ちヒロインだな。
まじ、さじ、ばーち
…あれ?何か間違ったけ?

>箱庭
うちはドーガとウェンデルが過労で倒れるくらい頑張ってました…。
by ぽ村 (2011-09-08 22:42) 

おかのん

え~と・・・

なんだろう。今回はちょっと酷すぎる。

このあたり・・・12章あたりまでって、あのバカが
一番チョーシこいてた時で、いろいろと最低。

・・・我慢だ。書ききるんだ。頑張れ私・・・

>ドーガとウェンデル
こっちは後述の通り、ウルフとザガロが
貫禄の仁王立ちです。

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン その2 童貞ロジャー

「第2、第5中隊整列しました!
第4大隊、待機に入ります!」

「・・・ナルド様、よろしいのですか?
カミュ将軍は、全軍で、と・・・」

ナルドは、壮年の将で、黒騎士団の副将である。
もっとも、形だけ・・・である。

ローエンと呼ばれる男が事実上の副官である。
ナルドが副将であるのは、貴族の力関係と、
ただの年功序列であった。

「カミュがおらぬ今、私がこの場で一番偉いのだ。
その私に何か文句があるのか」

「・・・・・・・・・・・・・・いえ」

馬鹿だ馬鹿だと思っていたがここまで馬鹿か。

命令されたことを命令されたとおりにやることさえ
出来ない輩に戦争が出来るわけがない。

それ以上のことをやってのけて初めて
評価されるということにこの年でやっと
気付いたのかもしれないが、
結果が出せねばただの命令違反ということは
わかっているのだろうか。

「カミュめ。若僧のくせに。見ていろ・・・」

・・・馬鹿すぎる。
二千五百の軍だから四千も出せば倒せる、だと?
兵の質や調子、覚悟、地形や天候、指揮の腕で、
そんなものはひっくり返る。

だからこそ、ぶつけるだけで終わる・・・
「全軍突撃!」と言うだけでいいように、
お膳立てをして貰ったというのに。

馬鹿でも勝てるように、その若僧に世話を焼かれ、
しかもそれをぶち壊すか。

馬鹿以下だ。

 ・

対して、アイルは焦っていた。

「馬鹿な、一連隊だけだと!?」

大軍の運用の優位性はその圧倒的な物量だ。
小出しにしては意味がない。
にもかかわらず、である。

ということは・・・

(こちらの策が読まれているというのか・・・?
しかし、読まれているなら、
一連隊向けてくるのもおかしな話だ。
一連隊捨てる方が意味がわからない。

勿論結果的に一度きりしか使えないこの策を
そこで使わせてしまえば、それで決してしまう。

使えば後がないのはこちらだ。
だが、気付いているのなら・・・

向こうで使ってしまえばいいだけだ。

ならばなぜ・・・!?
それとも奴等にも策があると!?

だというなら、どうすれば一連隊だけで
こちらを攻める流れになる!?)

相手がカミュだと思っているだけに、アイルは、
馬鹿の行動を深読みして、ドツボにはまっていた。
結果的にグルニアは『灼炎の箱庭』作戦を
この時点では回避していたことになる。

ではあるが・・・

「せっかく小出しにしてるのだから、
迎え撃てばいいではないか」

・・・・・・

「・・・・・・やはりそう思うか?」

意見を発したデネブ並びに一同、
そろって首を縦に振る。

天幕の中でのアイルの懊悩は、
その空気でとりあえず先送りになった。

 ・

「ウルフ、ザガロッ!!!!!
貴様らは盾になれッ!!!火竜でさえも通すなよ!!!」

「「イエス、マイロードッ!!!!!!!!」」

・・・ハーディンはマリクらと接触していながら、
部下には何も言っていないのだろうか?

二人の態度には、アイルをいぶかしむ様子はない。

ドーガに変わっての重騎士への配置転換も、
全く不満を見せない。

いや、逆か。

繋がりを悟られぬように、
従順な振りをしているのかもしれない。

ともあれ、今は助かる。

渓谷の狭まっている地点に、
こちらも一連隊配置する。
といっても、4000対200になるが・・・

弓隊の矢の雨とダロス隊の手斧、
さらには一度に戦えないこの地形。

「や~ん、お馬さんに当たっちゃった~」

「ノルンたらひっどw」

「わざとじゃないも~ん(泣)」

「ねえねえこんどアレいこうよ!!!!」

「どれー?」

「あの足の臭そうなヒゲづら」

「うわひどい顔」

「何が楽しくて生きてけるのかしらああいうの」

「サイテー」

「うん、あれでいこうよ。世の中のためにも!!」

この余裕。
互角どころか、ただのカモだ。

(敵も味方も馬鹿すぎる・・・)

ノルンは浮かれすぎだ。
しかし原因は自分だろうし、
すねてもしょげても問題だ。
「マルス」の言うことならけじめもつけるだろうが、
「アイル」の言うことはまた違うだろう。

敵のほうだが・・・
何か仕掛けがあるのかもしれないが、
こちらは篭城の構えだ。

港町をバックに篭城。理想的ではなかろうか。

戦力の補充は出来ないが、
この地形のおかげで消耗そのものがほぼない。
海からの回り込みは、
海軍を持たぬグルニアには不可能。
兵站は我先にと格安で売りつけに来る。


・・・敵の一連隊が7割削がれた。
壊滅といっていいだろう。
逃亡兵はほうっておく。
兵たちは戦場の恐怖と、
指揮官への不満を抱えて戻ってゆく。
それは、いざというときに使える札になる。

ヴァサッ・・・

「・・・どうした?」

デネブのペガサスが舞い上がる。

「ちょっとからかってくる♪」

「・・・・・・」

まあ、弓兵は真っ先に潰したが・・・

 ・

天馬の魔女が舞い降りる。

「こんにちは」

戦場のど真ん中でこんにちはもない。
ノープランで来たのでデネブは適当だ。

「うわっ!」

「わたしはタリスのシーダ。
戦いに来たのではありません」

「な、なんだよ急に。びっくりするじゃねぇか」

「あなたは愛を信じますか?
あなたに愛する人がいますか?」

「なっ、なんだぁ…あんた、大丈夫かい?」

「ふふ…ごめんなさい。
あなたがとても優しそうだったから、
少しお話をしてみたくなったの。

良かったらお名前を教えてくれませんか?」

「えっ、あっおっ…」

ぶっ・・・

ペガサスの上で横に座りなおし、
足を組み替えたその時、ロジャーは見てしまった。
下着らしきものが見え・・・

なかった。

その奥まで見えるアングルで、
それらしき布が見えず、
足と同じ肌地が見えた。

「俺は、あー…グルニアのロジャーです」

かぶりつくロジャー。
ニタリと笑うデネブ。
この笑みを見ていれば、警戒心を抱けたかもしれないが、
あいにくロジャーは童貞であった。

「ね、ロジャーさん。
戦争で泣くのはいつも弱い女や子供達。
私達同盟軍はこんな悲しい戦いを
早く終わらせたいのです。
あなたなら分かってくれるでしょ?」

「ああ。それは…分かるよ。
俺だって、なにも好きで戦ってるわけじゃない」

そういいながら、意識はすべてスカートの中だ。

「じゃあ、私達と一緒に戦ってくれませんか?」

「えっ? うーん…ゴメン。
やっぱり国は裏切れないよ。
そりゃ俺は、親はもう死んじまったし恋人もいねえ。
だけど、俺を育ててくれた祖国を裏切るのは・・・」

「では、ドルーアに付き従う貴方の祖国は、
これからも貴方の愛した国でありつづけて
くれるのかしら?」

「・・・・・・」

取っ掛かりを見つけたデネブはたたみ掛ける。

「同盟軍には、ドルーアのせいで行き場を失った
未亡人やその子供、娘達も多いわ。

男性は多くが兵に志願してくれたし、
ワーレンで新しい生活を見つけた人もいるけど、
子供を持つ人、旅の辛い老人を
優先して世話したから、
何十人という女の子が、
戦争の悲劇と将来の不安を抱えて、
身の置き場もなく軍と共に旅しているの。

そういう人たちの支えになってくれそうな、
優しくて逞しい人に、仲間になって欲しいの」

そんなことを言いながら、二度三度と足を組みかえる。
あくびの噛み殺しで目が潤んでいる。
セリフにも調子が出始めている。

心細い思いをしているギャルがわんさか。
よりどりみどりですぜダンナ。としか聞こえない。

にもかかわらずセリフそのものは清楚っぽい。

そろそろトドメである。

「ドルーアの課す重税で、地方の生活は
成り立たなくなってるとさえ聞くわ。

貴方の故郷は、ちゃんと守られているのか、
私に知るすべはないの。

心配だわ・・・」

そのセリフを最後に、デネブは足を閉じる。
あくまで自然に見える動作だが、
話が途切れかけているのも手伝い、
サービス終了の空気。

「まってくれ!!!」

「・・・・・・?」

なにを? という顔をして、デネブは促す。
ゆるゆると再び開かれ始める脚。

「俺を連れてってくれ!!!」

鼻血まみれの顔で、
股間のプレートを盛り上げながら、
ロジャーはアカネイアの軍門に下った。

 ・

「あなたは愛を信じますか? 
とか言われちゃってさあ。
えへ、えへ」

・・・どいつもこいつも!

ロジャーを下がらせ、デネブに詰め寄る。

「アホか貴様! アホでなければ変態女か!
何をやらかしてきやがるこの淫乱娘ッ!!!」

アイルはかなり本気で怒っていた。
デネブもビビる。涙目だ。

「お、落ち着け」

「これが落ち着いていられるかッ!!
借り物の身体でなんてことを・・・!!

仮に借り物でなくても同じだッ!!!

お前がお前であることの価値に、
どうしてそうもいいかげんなんだッ!!!」

・・・・・・

「アイル。それはお前だけには言われたくない」

なんだか知らないがデネブは耳まで真っ赤である。

「・・・でも、わかった。
もう二度とやらん。魂にかけて誓う」

いきなり物分りがよくなった。
何か変なことを言っただろうか。

「それにな? 私もそこまで馬鹿でもないぞ。
これ、実は肌の色のタイツでな。
大事な所は見せてなどいない」

そう言って、脚をMの字に開く。
今度はアイルが赤面する番だった。
確かにタイツだが、安心もしたが、
そのポーズの淫らさはまた別の話だ。
頬を紅潮させ、瞳を潤ませ、
喜色を映しての上目遣い。

「・・・・・・・・・っ!!!!!!」

何度も抱いた女だというのに、夢に出てきそうだ。


「アイツ絶対童貞だぞ。
モノどころか毛も生えてないのに気付きも・・・」

「もういい黙れ貴様ッ!!!」

前かがみにならざるをえなくなる前に切り上げた。
しかし、本気で怒るほど嬉しそうなのは
いったいどういうわけだ。
アイルは全く分からなかった。

 ・

戦場となった渓谷を望む山脈。

突然の、歪み。

一点から放射状に広がる、
闇の閃光としか表せないうねり。

桃色がかった光が環を描く。
紫炎と共に2重3重にかさなり、紋様が浮かぶ。

カペラの闇の魔方陣だ。


出て来た早々、カペラは、

「ふ、ふふ、ふふふふふ、

ふ!


あははははははははははははははははは!!

あははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははは
ははははははははははははは!!!!!!」

笑い出した。


カミュを送って戻ってくると、
一連隊が渓谷近くで袋叩きにされていた。

何があったかは察しがつく。

ナルドの無能ぶりはグルニア屈指だが、
これはもう才能の領域だ。

・・・他人の、惨めな死。
それこそがカペラの心を癒す唯一のもの。


望むものは、全ての命の、

この世界の、一番惨めな有様での滅び。


「まだまだ・・・
せっかくこういう機会ですもの。
レナ様。いよいよですわ。


存分に。

ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

笑いが、止まらない。

 続く

by おかのん (2011-09-12 08:39) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙にゃ。

あの頃…うん、あの頃ね…(記事部分のリプレイを読み返しながら)

ええっと…「派手な作戦名まで考えた大部隊殲滅包囲網が、地味な各個撃破戦になってしました…。」
というアイルの落胆が目に浮かぶ…。

ノルンのはしゃぎっぷりはあれでね?
戦死フラグでね?
…最後まで生きてるけどw

>ロジャー
…生きててヨカッタネ~(棒)
タイツは…「これが私のご主人様!」で肌色のスパッツ履いてたの思い出した。
M字って…はしたない子…ッ!(「恐ろしい子…ッ!」風に)。
ピラッ♥の方が個人的に…///

次回はついに悪堕ちレナ降臨なのかしら??!
by ぽ村 (2011-09-12 15:13) 

おかのん

>アイルの落胆
包囲網でさえないのですが、
序盤は有利で終われましたアイル君。
はてさて。

>ノルンの戦死フラグ
・・・この話は誰が生き残るか
バレバレなのがなあ・・・

いっそのこと・・・

>肌色のスパッツ
快心のアイデアと思ったのに先駆者が・・・!
ウソです。
某歌合戦の珍事が元ネタ。

>ピラッ♥の方が個人的に…///
ぽむさんのえっち。

>悪堕ちレナ降臨
まあそろそろです。

by おかのん (2011-09-13 19:10) 

おかのん

記事に20外伝がない件。

by おかのん (2011-09-13 21:03) 

ぽ村

>>おかのん
>序盤
リプレイだと、本当の敵は(モガモガ)

>スパッツ
あの生々しすぎるTシャツか。
まぁ長い歴史の中では屈指の珍事だろうな。
今日の歌謡番組で美川憲一を久々に見たが…。
ちょっと妙な方向に…まぁ、良い。

>ピラ♥
や、人間はお行儀悪くノーパンガニ股よりもですね、文化や恥じらいが介在したエロの方が(小一時間続くので割愛)

>20外伝
指摘サンキュ。
うpしたしました;
やは消すコメントもバックアップは必要よな;

それ以外でも至らぬことありますれば指摘してちょ。
こっちも無理なら無理しないからw
by ぽ村 (2011-09-13 22:35) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン その3 ニーナとアイル

隠している、それが探れた。
それが、彼女であること。

「・・・やはり、そうか」

デネブは、一つの結論に達した。

「こんなところで、な。ふ・・・」

何を思い、彼女は向こうにいる?
ぜひとも聞いてみたかった。

 ・

「全滅だと!?」

ナルドは耳を疑った。敵兵力より多く派遣したのに、
何故そんなことになるのだ。

「し、しかし、反乱軍は退治して来たのだろう!?」

ならば全滅という報告がおかしいだろうがと
思いながら伝令は続ける。

「いえ、反乱軍の被害は無いに等しいかと。
渓谷を通る間弓兵の脅威に晒され続ければ、
致し方ない結果です」

同じ事を進言したにもかかわらず、強行した上、
結果を聞いて何故驚く。

そもそも、今回の作戦は、
木馬隊の助力を得るようにと
言われていたはずだ。

兵力の展開を出来るように、中原での戦いに
持ち込むように・・・とも。

「ぐぬぬ・・・
ならば、目の前の盆地に誘い出して取り囲め!」

「どうやって誘い出しましょうか」

「なんとかしろ!」

何の為の指揮官だ。

敵がこちらの有利なようになど動かぬから
策が必要なのではないか。

この時点での兵士達の士気は、
先ごろのオレルアン篭城戦並の酷さであった。

 ・

「・・・カミュが、いない?」

「恐らく」

ノルンは偵察任務中心にした方が
いいかもしれない。
場の空気に合わせようとするので、将として使うと
周りの女共に流され、微妙に頼りない。

目の前の引き締まった瞳での報告を見ていて思う。

それはさておき。

カミュ将軍の不在は考えられた。
というか、いるならばアレはない。

「ただ、数日前にはいたようです。
捕虜の言を信じるなら、ですが・・・

実際の指揮をとっているのがナルドという、
家柄だけの男の可能性が高いことも
あわせての報告となります」

「ふむ・・」

なら、どうするか。

奴ら第6師団を敗走させれば、かなりこちらに
余裕を作れる。

少々無理をしてでも、体勢を整えておきたかった。

 ・

数時間後、それどころではなくなった。

「ニーナ様が行方不明だとっ!!!!?」

冗談ではない。アカネイアに攻め入る大義名分が
なくなってしまう。

御輿は御輿らしく、普段は物置の隅でおとなしく
していて欲しいものだ。

「ハーディン殿ッ!!!! 状況は!!?」

捜索会議に顔を出す。議長は当然のように
ハーディンだった。

「・・・目下捜索中だ」

「心当たりは」

「黒騎士カミュ」

・・・・・・・・・・・

デネブが寝物語に言っていた。

ニーナはアカネイア滅亡のおり、
必死の逃亡もむなしく、黒騎士団に捕らえられた。
しかし、処刑されずに、あまつさえ逃亡した。
それを手引きしたのは、あの『黒騎士』カミュだと。

それが事実だとするならば・・・
やはり男と女。そこに想像がいく。

この愚行に、説明がついてしまう。

「・・・引き続き、捜索を」

「了解した」

それ以上は語らず、部屋を出る。
ハーディンの心情を慮ると、いたたまれなすぎる。

「ちっ・・・・・・」

シュテルン商会経由で買い叩いた、
没落貴族の別荘を現在使用している。

中庭に出たところでデネブがいた。

「ニーナが行方不明らしいな」

「心当たりは黒騎士カミュだそうだ」

苛立ちを隠さず吐き捨てる。

「位置的な心当たりもあるのだが・・・いくか?」

!?

「どういう事だ!?」

「手引きした者にも心当たりがあってな・・・
そいつの位置なら私は『感じられる』のだよ。
これからそいつに話がある。
で、ニーナが同行している可能性が高いので、
まあついでだ」

「たのむっ!!!」

思わぬことだが、今は時間が惜しい。
明日には第6師団を潰しておきたい。

 ・

もう既に日は落ち、薄暗くなり始めていた。

「さ、ニーナ様。お手を・・・」

「はい・・・」

「残念でしたわね。入れ違いだなんて」

カミュは別任務で帰還した後だという。
もちろんカペラは知っていた。送り届けた本人だ。

ニーナの落胆した顔が見たかっただけであった。

ついでに種もいくらか蒔いておいた。
さて、あの無能はどうでるか・・・

キィィイイイン・・・

キィィイイイン・・・

・・・・・・・
誰だ。

「ニーナ様。少々お待ちを」

「・・・・・・」

心ここにあらずだ。
ほうっておいて構わないだろう。

この鏡は・・・レナか。

「どうされましたの?」

「アイツがシーダとグルニア軍の方へ行った。
今から殺しに行くわ」

!?

「ちょ、ちょっと待ってくださいませんこと!?
約束が・・・」

「『次に来た時』でしょう? 
ニーナ様といるって事は
もういいわよね?」

ち。ばれてる。

「こんな機会はもうないかもしれないわ。
やるといったらやるわよ」

「・・・しかたありませんわね。でもそうすると、
手をお貸しできませんわよ?」

「問題ないわ」

フッ・・・

切れた。

「もう・・・」

向こうは義理を通したつもりだろうが、
見物できねば意味はない。

「ニーナを闇魔方陣の瞬間移動で・・・
というわけには行かないし・・・」

そこで気付いた。

マルスは他の誰でもない、
ニーナを探しているのだ、と。

ヴァサッ・・・

「・・・あらあら。もう?すごい早さですわね」

 ・

天馬が舞い降り、二人を見つける。

マルスと、シーダである。

「・・・ニーナ様」

マルスが・・・『アイル』が傅く。

「お戻りください。ニーナ様。
ニーナ様のお心を慮るようなことは私には
出来ませぬゆえ、何故とはお聞きしません。
しかし、パレス奪還のために、皆、命を賭ける
思いを改めて固める中、供一人連れて敵陣へ
などという事は、今後・・・」

「判っています」

「・・・・・・」

判っているのだろう。そんなことは。
アイルも、判ってないとは思っていない。
だが、判っていても判るわけにはいくまい。
だから、あえて言った。
そして、それでも・・・

『判っています』と。

「・・・・・・姫」

もう、この人は、何も言わなくなるだろう。
たった一度きりの我侭のつもりだったのだろう。

だから、
アイルは言ってしまった。

「わからなくていいですよ」

皆が、はっとしてアイルを見た。

ニーナも、デネブも。

カペラも。

「わからなくて・・・いいです」

きっと、カミュには会えてない。様子でわかる。
その一度きりの我侭は、無駄だったはずだ。

なら、今は。

戻ってきてくれれば、いい。

何を背負ってるかなんて、その時まで・・・


忘れていれば、いいですよ。


「~~~~~・・・・・ぅ ひ・・・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・」


殺したままの、声で。
王国の忘れ形見が、泣き崩れた。

ニーナの、マルスへの信頼が
絶大なものとなったのは、

この、瞬間である。

 ・

ニーナとアイルは、先に戻ることになった。
デネブは、供として来ていた
カペラに用があるらしい。

「・・・いいのか?」

「なんとでもする。良いから行け」

ヴァサッ・・・

天馬が南へ飛び立つ。
すぐに小さくなり、やがて、見えなくなる。

デネブは、子供のような魔導士に向き直る。

「さて・・・聞きたい事がある。カペラとやら」

「?」

カペラにしてみれば、
シーダに興味を持たれる言われはなかった。

田舎の王族の娘にしては、なかなかの女傑だとは
思っていたし、マルスが何らかの闇の魔法で、
もう一つの人格を持っていることを
詳しく知っている様子だったので、
要注意人物だったのは確かだが・・・

グゥィンッ!!!!

!?

近すぎる。
口付けでもするのかという距離だが、
見開かれ、狂気さえ映す瞳も吊り上った唇の端も
そんな生易しい色は表していない。

まるでこれから丸飲みにされそうな、
圧倒的な、恐怖。

「ひ・さ・し・ぶ・り・だ・なぁ!?


 ノインッ!!!!!!!!!!!!!!!!」



!!!!!??


「尼のように髪を剃られていた姿しか見たことが
なくて気付かなかったよ。
いや、どこかで見たことのある
小生意気なツリ目だとは
思っていたのだが。
その申し訳のようなバンダナでも、
役には立つらしい。
この・・・」

バンダナが奪い取られる。

カペラの額には、小指の先ほどの真紅の宝玉と、
同じ色のティアドロップ型の石が
その両隣に埋め込まれていた。

「火竜紋が見えないだけで、
気付くのに随分かかった!
あれだけ好き勝手やらかさなければ、まだまだ
気付かずにいたろう・・・まあそもそも、
私がいるなどと思っても見なかったろうがな!!」

カペラは戦慄していた。
ここまで知っているというのなら、
間違いなく『ドゥツェント』の誰かか、
『ツァーレン』の関係者だ。
『ツェンズ』は考えにくい。

「判らないか? 判らないだろう!!
だが、少し考えればわかるはずだ!!!!!
こんな風に出会っても、
絶対に判らない『ドゥツェント』がいた筈だッ!!」

・・・・・・・・・!!!!!!


「『フィア』だというんですの!!?」


音でなら、ニタァ・・・ としか表せない
不気味な笑いが、
それで正解だと如実に語っていた。

 ・

同時刻。

そろそろ山脈を越えようかという時。

ゴガァッ!!!

!!?

轟音とともに、目下から火の玉が投げつけられた。

「・・・エルファイアー!!?」

竜のごとくうねる火の玉が、
天馬の羽を焼きかけた。

(拙いッ!!!)

急降下する。

振り切って逃げるのも手だったが、
ニーナも乗せている事実と、
警告であった可能性を考えると、
とてもムチャは出来ない。

下は森だ。まさかここで火は使えまい。
なんとか降りると、レイピアを構える。

「・・・何者だ!!」

質問には答えはなく、闇から要求だけが来る。

「姫様は先に帰っていただいて。
足も奪えてちょうどいいし」

聞き覚えがあるようで、思い出せない。
押し黙りすぎた暗すぎる、女の声。

「姫が無事に帰される保証は?」

「・・・知ったことか。
あたしはあんたを殺したいだけ。
あんたの大事な人に手を出してない分、
慈悲深いと思っておきなさい」


・・・・・・


「・・・姫、行って下さい」

「マルス王子・・・」

「悪い取引ではありません。早く!!」

手綱をこっちで叩く。天馬が舞い上がり、
ワーレン方面へ向かう。

見届けてから、レイピアを構えなおす。


ぼうっ・・・


正面に、炎がともる。
髪を両端で少しだけ束ね、魔導士らしい軽装で
固めた女。

「・・・? 誰だ」

「レナよ」

!!?

「ええ、ええ。言われなければ分からないかもね。
貴方がまともに見たのは、やつれのとれきらない
可哀想なシスターまでだもの。
それとも一度犯したら女の顔は忘れるの?」

「・・・シ、ス・・・ター・・・」

彼女は、アイルの手に余った。

殺されても文句は言えない。
アイル自身がそう思う。
ベガのやったことだとは言え、
それは彼女が知れるはずもないこと。

まだ、自分は死ぬわけにはいかない。

だが、彼女に対して・・・


自分が惨めに死ぬ以外に、どう償える?


何もかもに、取り返しなどつかないというのに。

(こんな厄介な問題をこんなややこしい時に・・・!)

ベガに対する苛立ちは頂点を迎えた。

 続く

by おかのん (2011-09-15 15:15) 

ぽ村

>>おかのん
そこでb(モガモガ…ぷは!)…てきて、そんでもっか(モガモガ)

先読み脳が活性化されすぎで失礼。
投下乙です。

そこで逢瀬しとったらばハーディングレてしぬ。

その後の正史はここで聞いただけだが、ニーナって超ひどい女…。
いや、かなり嫌いってファンも多いのではないかねマジ?

レナは確かこの後も…。
後々、アレも、そしてここでのアレもどう締めるのか
楽しみにしておりますです♪
by ぽ村 (2011-09-15 21:22) 

おかのん

>ニーナって超ひどい女
ええと私どんな書き方しましたっけ。
語ったのはぽむさんプレイ時のコメントかな?
まあ、王族の自覚が足りないと言われれば、
反論できないんでしょうが、一人の女性としては
同情の余地というか・・・・・・
彼女も苦しい立場ですよ。

ハーディンがぐれたのもむりからぬし、うーん。

嫌いな人がいるのもむりからぬし、うーん。

>そこでb(モガモガ
・・・多分それはVの方。

>レナは確かこの後も…。
ええ、まあ。そですね。


by おかのん (2011-09-16 13:03) 

ぽ村

>>おかのん
ええっと。
では断片的な伝聞によるヲレのニーナ像をば。

戦後
prrrrr
マルス「(がちょん)はい、アリティアテレホン相談センター」
???「20代の人妻です」
マ「はい続けて」
?「実は夫と結婚して3年目なのですが、死んだ元恋人が忘れられないんです」
マ「ほうほう。」
?「でも夫が良くしてくれるんで、黙ってました。しかしそれがケータイの待受画面見られた時にバレて、問いつめられたんです」
マ「で?」
?「それで私、『あなたが愛してくれて、いい生活させてくれるので黙っていたけど、どっちかーてーとあっちの方が好きwww』って言ったんです」
マ「・・・・・・・」
?「そしたら、正直に答えたのに、旦那がグレてしまって、『暗黒皇帝』なんて中二病なことを自称して…。」
マ「奥さん、そりゃーアンタが悪いよ…。私の私見ですけどね奥さん?あなたがちゃんと彼を『愛してる』『昔の恋人なんか忘れる』っちゅうて、ケータイごとバキ!って目の前ですれば、旦那は元通りに戻ると思うよ?そこから夫婦の再出発だよ。ちゃんとアンタも旦那のこと想ってあげてさぁ?」
?「あ、ぶっちゃけそれ無理wってゆーか、それをしなくても今のいい暮らしを続けたいんで電話したんですよ?使えないヤツwww」
…チン。
ジェイガン「どうなさいました?王子」
マ「…ヲレ、ちょっと旦那に加勢してくら…」
ジ『王子がミナゴロシ王子の御顔にっ!!?』

…という感じなんだがどうだろうか?
ちなみにヲレはリアル世界でダイアナがかわいそうと思ったことは無い人間だったりする。

>Vのほう
うむ、そうなんだがワードで入れると「v」は「ヴェ」になってしまうので「べ」になる「b」で;

>レナ
そうなんですよねぇ…ええ。


ここでひとつ提案なんだが、いい加減重いのでリプレイ部分だけでも移転しよか?
このFFNはその後別記事で移転、リプレイ記事へのリンクも貼って…て感じで。
by ぽ村 (2011-09-16 22:44) 

おかのん

ええとですねええとですねええとですね!!!
この場合、「いい暮らしをさせてる」のは、
ニーナの方です。アカネイアの忘れ形見は、
彼女本人ですから。
つまりニーナは、「相応しい人と結婚してね」って、
貴族連中に圧力かけられてんです。
玉の輿に乗っかってその後どうこうの某妃とは
立場反対です。
戦後、思い人を失って悲嘆にくれる彼女に、
「けじめで結婚して」っていわれて、候補は2人。
マルスとハーディンです。
「マルスにはシーダいるし、じゃあハーディン」
とも取れる選び方だったので、酷いように見えて、
彼女なりに空気読んだんですよ。
ばれたから問題なだけで。
好きなのはしょうがないじゃないですか。
選ばないって選択肢はなかったんですし。
だいたいばれたのだって、ガーネフの陰謀だし、
そこにつけこんで闇のオーブ渡したのもそうだし、
「原因」であることは否めないにしても、
悪者にされるほどのことはしてないです!
繰り返しになりますが、
立場が立場だから影響は大きいし、
王族の自覚が足りないと言われれば、
反論できないんでしょうが、一人の女性としては
同情の余地というか・・・・・・
さ、察してあげて欲しいなあ・・・

「夫がいるのに浮気」なら私も庇いませんよ。
「好きな人が死んで、忘れられないにも拘らず
結婚を強要された」んです!!

少なくともそのニーナ像はやめてあげて!!

>いい加減重いので
んー・・・
ちょっと考えがあるので、出来ればあと少し
このままで。
その時になったら提案します。
どっちみち政治板ほどじゃないし。
どしても不都合ならどうぞ。

by おかのん (2011-09-16 23:42) 

ぽ村

>>おかのん
フォローサンクス。

おうおう♪
断片的な情報で繕っていたイメージが何だか修正されてきとるぞ。

たしかに婿養子っぽいわハーディン。
そこで「じゃ、王族だし、マルスで。っつか、お互い我慢同士なんだからちょうどいいでしょ?」
ってことにすれば…。
ああ、うん。
そしたらマルスかニーナが闇のオーブに取り込まれそうだ。。。(闇のオーブの考え方、あってる?)

ならハーディンは我慢しろよ。
形の上でとはいえ想い人と結婚できて、地位もげtなんだし!
と思うヲレ。
地位も愛情もなんて欲張るとダメなのね…。
ガーネフはそれに油差しただけ?
結論:あの夫婦相性悪いわ。


>考え
考えがあるならソッチ優先するわー☆

政治板は…アクセスするたびホワイトアウトなんで、ぼちぼち飛ばしたいぜ;
by ぽ村 (2011-09-17 00:19) 

おかのん

>闇のオーブの考え方
悪感情の増幅と、それに比例しての肉体強化と
無敵化・・・だったかな?

確かにその場合、マルスなら、
「世界を救った褒美が、愛する人と引き裂かれる
ことだというのか・・・!」とか言う権利ありますが。

でも、マルスは我慢しきっちゃう人かと思います。

カミュのことも知ってるから、
「僕が愛そうとしているのは、彼を好く貴方です。
その思いごと、僕は包んでみせる」とか言いそう。

ちなみにハーディンよりは上手くいくかと。
実はニーナはマルスとならやぶさかではなかった
のではないかという説もあるのです。
ただほら、ぽむさんも見たシーダ死亡ENDでも、
「一生忘れられそうにない」とかいっちゃったから
痛いほど気持ちのわかるニーナが遠慮したとか。

>ならハーディンは我慢しろよ
いや、してたんですよ。彼女のことを本気で
愛していたから、彼女がひたかくしにした、
「まだ忘れられない」思いに気付いて、
苦悩してたんですし。
まあそこをつけこまれたんですが。

でも自分だってオレルアンの王弟で、そういう
結婚の形も知ってるはずなのに、あんな風に
なってしまう思いの深さというか不器用さが、
かえって可愛いというか、純というか・・・

ちゃんとみんな、頑張ってたんです・・・
ガーネフのバカー!!



by おかのん (2011-09-17 08:21) 

ぽ村

>>おかのん
みんなベストはつくしてたのね…。
ヲレのプレイならニーナvs(違うw)マルスのカップルはむしろ有力とは思うけど、ニーナが悪の女帝とかになりそうで、それはそれで面白いかも。
色々解説サンクス(←手っ取り早く紋章の謎遊べよwww)

>ガーネフ
TRPGで悪役となることの多いマスターを長くやってたせいか、その手の人の悪意を利用する悪役は好きだったり。
ええっと、ビジュアル変えると人気ものになれるパターンだ。
妖艶なむちぷり美女とか…。
by ぽ村 (2011-09-17 12:52) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン その4 竜石術士

「煉炎よ・・・ 焼きつくせっ!!!
エルファイアーッ!!!!!」

!?

(ばかなっ・・・!!?)

「森の中だぞっ!!?」

燃え移りでもすれば、仲良く火あぶりである。
配慮がないのか、それとも・・・

「いいのよ。私は燃えやしないから。
黒コゲになるのはあんただけよ。
地獄のものでさえ生ぬるく感じるような灼熱で
魂ごと溶かしつくしてあげる!!!」

なんらかの手がうってあるのだろう。

ガアンッ!!

「つっ・・・!!」

盾を貫通した。かなりの威力である。

(畜生・・・そもそもこれは・・・)

・・・・・・

起きているか・・・?

(ベガッ!!!!)

{・・・・・ぁんだよ?}

接続を切ってはいなかったか。

(レナが、復讐に来た)

{はあ!?}

(今、夜の森で、炎の魔法に追い回されてる!!)

{どこでばれたんだ}

(知るか。お前が出てきたときに彼女が見かけさえすれば
バレる可能性はあったんだ。心当たりは山ほど
あるだろうが)

{・・・・・・}

(それを言ったとこで、大人しく引っ込んでるつもりも
なかったんだろうが。しかもなんだか知らないが、
シスター、恐ろしいほどの魔力だぞ!!!!
近づける気がしないっ!!!!)

{・・・ち}

ヴンッ!!

一瞬、自分自身が霧に揺らめくような感覚。
五感の幾つかが奪われる。

ベガが交代した。

{しゃあねえなっ!!}

ウゴォゥ!!!!

まだ熟練していないのか、レナは第三術式である
『エルファイアー』が主な魔法のようだ。
だが、一発一発の威力が洒落にならない。

救いは、その強すぎる火力で、風にゆらめいて
燃え移る前に消し炭になること。
山火事の心配はとりあえずない。

とはいえ・・・

「こっちから手を出せねえんじゃラチがあかねえ!」

発動の隙を見極めて接近する!!

「とったァ!!」

{おいっ!!?}

殺す気か。被害者は彼女だぞ!!?

もちろん自分の命がかかっていて
被害も加害もないが、
アイルはまだそこまで割り切れない。
偽善だろうがなんだろうが、いくらなんでも・・・

しかし、そんな心配は無用だった。

ヂィィンッ!!

「{な・・・・・!?」}

女の腕に剣が当たって出す音ではない。
レイピアが刃こぼれしている。

レナには傷一つ、ない。

「馬鹿なっ・・・ どういう!!!」

{こっちが聞きたい!!}

レナの口元がつり上がり、
邪悪としか表せない笑みが浮かぶ。

「これが・・・ 竜石術士。
悪くない・・・
悪くないわ・・・!!」

「くそっ・・・!!」

とにかく、攻撃が効かないとなれば・・・
逃げるしかないだろう。

しかし、どこへ?

森の中でさえこの状況。
逃走にさえ希望がない。

ォォォォォ・・・・

「・・・・? 何か、音がしねぇか?」

{? ・・・・}

する。
ベガの感覚で無いとわからなかったかもしれない。

これは・・・

軍靴の音。

 ・

「・・・挙句の果てに夜襲とはな。
天下のグルニアも地に落ちたもんだ」

「静かにしろ」

カペラの進言で決行された作戦だ。
実行する方もする方だ。

兵たちの愚痴もまばらにあった。
大軍を打ち破るのに卑怯上等でやるならともかく、
陸の孤島に閉じ込めたはずが攻めあぐねて夜襲。

最低である。

彼等に覇気はない。
勝って当然だからだ。

殺しを楽しめる者は、歓喜していたが。

 ・

{・・・夜襲、か}

「落ちついてんなお前」

{警戒は怠っていないはずだ。夜も昼もない}

・・・そうだ。

{ベガ、頼みがある}

「あぁ?」

{何、ちょっとしたショウの演出だ}

・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・そりゃ面白い」

二人の笑い方は重なっていた。
「{きっとアイツも、大喜びするだろう」}
同じ女を、思う。

 ・

(・・・この辺が、端か)

「・・・・・・

何を考えてるの?
こんな平原に出たら、狙い撃ちじゃないの」


二人は中央平原にいた。

王子の意図が読めない。
ここは隠れるものもない・・・
レナに有利な場所である。

何故ここに誘い出したのか?

罠があるとは思えない。そうならないように、
ニーナを探しに行ったこの時を狙った。

しかし、思い直す。
ハッタリの可能性もあるし、
自分のこの強さは想定外のはずだ。

ならば。

「煉炎よ・・・ 焼きつくせっ!!!
エルファイアーッ!!!!!」

ウゴォウッ!!!!

炎塊の双竜が、ベガに向かう。

フッ・・・・

軽くいなされる。だが、次!!

ゴォウッ!!!! ウゴォウッ!!!!

その時であった。

チリッ・・・

草原の草に燃え移る。

大したことにはならないはずだ。
夏の青々とした草だ。広がるまい。

ドゴァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!
ゴォウッ!!!! ウゴォウッ!!!!

「な・・・・・・・・・・・・・・・・!!」

燃えた。
一瞬で燃え広がった。

平原が、丸ごと。

「ど・・・ 
どういう・・・こと・・・?」

「くひゃひゃはは。ひゃはははははははははは。
今回やるはずだった作戦だ。
作戦名『灼炎の箱庭(ムスペルへイム)』!!
この辺り一面、火薬がばら撒いてあんだよ!!
渓谷で足止めして、
グルニア軍が展開しきったとこで・・・

こんな風に、焼き払ってやる予定だった!!」

ぎゃああああああああああああああっ!!
助けてくれっ・・ たすけっ・・・
あぢいぃいいい!!あづっ・・ ひいいいいいい!!
ぐがああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああ!!!!

レナは、真っ青になっていた。
煉獄が、出現していた。
火をつけたのは、自分。
死にゆく、他人。

大国グルニア式の三連隊。 およそ。


一万二千人。


ぎゃあああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああ・・・・・・・・・・

死。死死。死死死死。死死死死死死死死。
死死死死死死死死死死死死死死死死。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死・・・

絶望は既に知っている。
だから、狂えるはずもない。
だからこそ。

立ちすくむ。

 ・

「ふ」「くふ」
「ふふ」「くふふふ」
「「くふはははははははははははははは!!!!
あはははははははははははははははははははは
ははははははははははははは!!!!!!」」

カペラとデネブは仲よく並んで大笑いしていた。
二人にとって最高の見世物だ。

「ぷくくく。これが『彼』なのですね。
貴方がここにいるのは、
偶然ではないわけですわね」

「ふん。こんなことをベガが考え付くか。
これは本来のアイツなのだ。
逆らうものに容赦などしない」

カペラは耳を疑う。

「これを『マルス王子』が!?」

今度はデネブが聞きとがめる。

「いや、『アイル』だ。・・・そうか、お前・・・
繋がっているわけではないのか。
まあ、今のは昔のよしみでサービスにしてやろう」

流石なもので、今ので気付いたカペラ。
今の『マルス』は、本人でさえないのか。

そして、不敵に笑う。

「じゃあ、私からもサービス。
たぶん、火を放ったのは、レナ様」

!?

「なぜここでシスターの名が出て来る!?」

ふふふ、と、カペラが得意げにする。

「問題は、借りを返す形で教えた事に、
私はウソはつかないということ。
急いだほうがいいんじゃありませんの~?」

「・・・・・・くっ!!!」

デネブが疾風のごとく走り出す。

「・・・あらあら。フィア。貴方、
そんな可愛い人でしたのねぇ。んふふ。
知らなかったですわ。
水につかった石っころの時には、
想像もつきませんでした」

この場はカペラの勝ちと言えたか。
引き分けに近いが、勝ちは勝ちだ。

 ・

(くかか。呆然としてやがる)

{・・・続けろ}

(わぁってるよ)

「そういえばテメェが犯されたのって、
軍の連中はしらねえんだよなー。
オレが手ぇつけた女には話したことあるんだけど、
多分オレが死んだら、犯人探しの中で、
その話出てくるよなー・・・」

「・・・・・・脅してるつもり?」

ニヤニヤと嫌らしい顔で喋るベガを一蹴する。
ベガは気にした様子もない。

「さてさてレナさんよ。マルス王子って、
どんなヤツだった?」

「・・・・・・?」

「お人よしじゃなかったか?
ジュリアンもあっさり受け入れたし、
アンタに対する配慮も細やかだったろ?」

「それはお前が・・・」

「お前らを騙す演技ってか? 馬鹿いうな。
王子ってだけで大抵のムチャは通るんだ。
必要ねえよそんなもん。

オレからパイを焼いて配るような、
女々しい野郎が想像できるか?
辺境の村の揉め事に虎の子部隊を出す
人道主義に見えるか?」

「・・・・・・・・」

レナは耳を傾けていた。
納得できる部分はあったからだ。

「別・人・な・ん・だ・よ!!!!!!!!

オレはベガ。
マルスにとりついてる魔物みたいなモンだ。

マルスは気付いちゃいない。
たまに記憶が途切れてるのを
いぶかしんでる位だろう。

この身体はな。確かにお前の兄を殺させ、
その前でお前を犯した『身体』だ。
だが、お前が殺してえのは計画、実行した・・・
『ベガ』だよなぁ!?

困ったぞこりゃあ!!?

コイツは確かに、暗黒竜の恐怖から世界を救う勇者
マルス王子でもあるわけだ!!!!

今回みてえな戦の仕方はマルスじゃ出来ねえ!
こんなもん見たら一発で壊れるような心まで華奢な
なっさけねえヤツだしな!!!!

さあ復讐鬼さんよ、どおぉするぅ!!?

アンタの復讐はこの大陸の希望も屠るぜッ!!?

コイツがメディウスを倒せなけりゃ、目の前みたいな
地獄がいつまでもいーっつまでも続くんだが、
それでもアンタ、オレを・・・
俺と一緒に『マルス王子』を殺すかぁ!!?」

ぎゃああああああああああああああっ!!
助けてくれっ・・ たすけっ・・・
あぢいぃいいい!!あづっ・・ ひいいいいい!!
ぐがあああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ!!!!

目の前では、今だ地獄が続いている。

「・・・・・ぁ っ  !」

「あ?」

「ベガァァァアアアアアアアアアアッ!!!!!」

「な・ん・だ・よ!?」

「殺すッ!!!!!!!!!!!!!
いつか必ず殺してやるッ!!!!!!!!!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!
ソコにぶら下がってる汚らしい棒ッきれを!!!
魂ごと踏み潰すッ!!!
その戯言を吐いた口を!!
真っ二つに引き裂いてやるッ!!!

そして・・・

骨も残さず、焼き尽くしてあげるっ!!!!!」

{・・・よし。信じた。}

もちろん嘘八百である。
この身体は100%アイルだし、最初から
ファルシオンは振れまい。

アイルは希望でもなんでもない。
それはアイル自身が一番分かっている。

だが、アイルだって、こんなところで死ねなかった。

{・・・すまない。シスター}

レナが収まらぬ怒りを隠そうともせず、
この場を去る。

「・・・ふぅ」

流石にベガも疲れたようだ。へたりこむ。
演技はアドリブだらけだったが真に迫ってはいた。

そして・・・

その様子を木陰から見ている女がいた。

デネブであった。


アイルもベガも気付かなかった。


「・・・ノインめ。面倒なことを・・・
しかしまあ、これなら当分は
レナもどうにも出来まい」

しかし。

ノインが・・・ 『ドゥツェント』が関わり、
実験まがいの事をしてるのなら、『ツァーレン』が
関係している疑いがある。

もしそうなら、アルティの命令を後回しにしてでも、
探っておく必要があった。

必要ではあるが・・・

「さて、どうするか」

クリアしなければならない問題が、一つ。

自分は、シーダでもあるのだ。

 続く

by おかのん (2011-09-18 21:04) 

ぽ村

>>おかのん
「死」がたくさんで画面スクロールでギョッとしたヲレw

投下(゚д゚ )乙 これは乙じゃなくてポニーテールなんたらかんたら

・・・なんかワードソフトも入れ替えたら↑こんなになってしまった・・・;

改めて、乙です。

没になった策のリサイクルしたわけか。
こんな策だったとは・・・。
孔明「やはり火か。。。」

しかし悪堕ちでああなってるとはいえ、レナ冷静よな。
ヲレてっきり気が触れるんでないかと・・・どっちにしても盗賊ジュリアンの瞳よりも濁った瞳になりそうで怖いわー。。。

さらにこのマップ、話がまだ続くって事実も怖いわー
(;´Д`)

by ぽ村 (2011-09-19 16:21) 

おかのん

>没になった策のリサイクル
ええまあ。形として。

>孔明「やはり火か。。。」
察しの通り元ネタは赤壁。やってみたかったですよ。
小学校の頃担任が学級文庫に横山三国志を
おいてくれまして。
もー夢中で読んだですよ。

物語はハッピーエンドしか知らなかった私にとって
衝撃の作品でした。
「こんなに一所懸命に生きても、報われないことっていっぱいあるんだ・・・ 悪も罪だけど馬鹿も罪なんだ・・・ 人が平等だなんて嘘っぱちなんだ・・・」
いろいろと教えてもらいましたよええ。

>レナ冷静
彼女はすでに絶望を知ってしまって
いますからね・・・

量が量だけにショックではあるでしょうが、
狂うことも出来ません。
「いないほうがいい人間がいる」と、
知ってしまったからには、
もともと戦場で躊躇うようなメンタルでは
ないでしょうし・・・

>ジュリアンの瞳
あの人むしろキラキラです。
なまじ後ろ暗い世界にいたから、
シャバの薄汚さを実感できてません。
その意味で乙女に近いかも。

>このマップ、話がまだ続く
なにせ300ターンですし。
バカンスも入れなきゃだし、大量処分もあるし。
・・・多分、その6まである・・・

ふええ。(゚д゚ )乙


by おかのん (2011-09-19 17:58) 

ぽ村

>>おかのん
>三国志
小学校で先生公認の漫画ってだけでも大フィーバーだからなw
だからさ…うちの母校「はだしのゲン」とか置くなよ…(凹)

>ジュリアン
その瞳をレナは正視できるかしらんw

>300ターン
リプレイ的に色々とイベント詰め込みすぎなマップだよな…。
ええっと…特にビーチとか…どうすんだ;
あと平和そうな連中とそうでない連中の差とか・・・。
by ぽ村 (2011-09-20 00:53) 

おかのん

こうなりました。そしてまだ続く。

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン その5 休息

「・・・ナルドが寝込んだ?」

すでに本人の前以外では兵にも
呼び捨てにされている。

「は。『これは悪夢だ。目が覚めれば私は屋敷の
寝台の天蓋を目にする、そうなのだ・・・』などと
繰り返すばかりで」

是非もない。すでに前日から全権を任されている。
ローエン中将の意見としては・・・

やってられるか、だ。

「撤退する。どのみちもう一大隊も残っていない。
こんな大敗北はグルニア史上初めてだ。
もう我々が日の目を見ることもあるまい」

「・・・あの平原は、いかがいたしましょうか」

「捨て置け。仲間の亡骸を打ち捨ててゆく
後ろめたさはわかるが、我々ではどうにも出来ん。
まあ、同盟軍の進軍の邪魔くらいはしてくれる」

血も涙もない言い草だが、事実どうにかする
余力はなかった。

敗軍の将とは惨めなものだ。

 ・

一方アイルは、電撃戦を考えていた
パレス攻略を大幅に・・・ 
というか、180度の方針転換をする。

ワーレンの町での長期駐留を決定した。

この地でグルニアは大敗北をし、
名声は地に落ちた。
当初の予定にはない、
夜襲でのというオマケつき。
卑怯な上に弱いという最悪のレッテルだ。

コレを利用しない手はない。

放って置けば、それこそこの噂はパレスに届く。
厭戦気分を敵に染み付かせるのは
アイルの常套手段だ。

さらにここで、連戦に継ぐ連戦であった兵達に、
長期休暇を出す。
約ひと月を予定し、
希望者には一時帰郷さえ許す。
残る者、交代勤務に就く者には特別手当も出す。

理由の一つとして、平原の鎮魂である。
悲惨な戦場は、兵の士気を一瞬で、
しかも長期的に萎えさせる。

幸い夜襲のせいで、直接見たものは少ない。

これをシュテルン商会を通じて、死体撤去、鎮魂。
かなりの無駄にみえるが、そうでもない。
民衆の人気というのは、おもわぬ効果を持つ。
そもそも兵達は、元が民なのだ。

敵にさえ鎮魂をするのだ。味方にはどれだけの
保障があるだろう。

目の前の平原に死体を置かれて迷惑なのは、
むしろ其処に住む者達だ。
敵が打ち捨てていったものであって、同盟軍には
責はない。それでも予算を割いて、
心地好い生活を取り戻させてくれた。

「こんな政治をしてくれる国に治めて欲しい」

そう思わせたら、勝ちだ。

数万の兵の行き来の結果など、
数億の民の思いには敵わないのだ。
そしてその数万の兵さえ、民寄りの考えだ。

「帝都の防備を固めている間に、
民の噂という毒はどんどん廻る。
盛っていくそばから泥になる土壁に
気付かないまま埋もれるがいい」

正直アイルも心身共に疲れ果てていた。
鋭気を養っておきたいのは本音だった。

 ・

ひと月の間、皆それぞれが思いのまま楽しむ。


夜は一日ごとの交代でノルンとアテナ。
もちろんベガとのシェアだ。

昼間は情事込みでデネブがべったり。
最近のお気に入りは砂浜まで
わざわざ出ての昼寝らしい。
「くふ。太陽に見せつけてやろうではないか」
・・・逆らえるはずもない。

あの件以来、ニーナまで部屋に来る。
素の自分を一度受け入れられているので、
居心地がいいのだろう。
もちろんニーナがいる時に事を始めるほど
デネブも飢えてはいない。

駐留中の仕事や各種申請の
最終判断はどうしてもある。

アイルはヒマではなかった。


が、鋭気は十分養えた。


アテナは弓兵として編成してるからか、
ノルンと仲良くなっていた。
別の人格を好いているからか、アイルをめぐって
ライバルという目線はお互い無くなったらしい。
ノルンはもともと世話好きなのか、
町に不慣れなアテナが可愛いらしく、うまがあう。
アイルの部屋によく出入りする関係で、
ニーナとも馴染んでゆき、休みも半ばを
過ぎる頃には、四人で町に出る姿も見られた。
ニーナ、デネブ、ノルン、アテナでだ。
その時間にアイルが暇になるのは言うまでもない。


アベルとカイン、オグマ、ハーディン。そして
シーザとラディ、マリクは闘技場に通う。

例のメンツなのは気になったが、
監視はつけてあった。


ロジャーとダロスはラディの案内で歓楽街だ。
レキフォラムは高価で規制も厳しいが、
そのあたりは蛇の道はなんとやら。
かの薬の広まりきったこの町では、
女遊びはかなり安全である。


ザガロとウルフはなぜかハーディンと
距離がある。自主訓練か酒が主だ。


レナとジュリアンは公園。
必要なのは互いだけという熱愛ぶり。
ジュリアンは浮かれ、レナは癒されている。
衆環レイプの件は知らないジュリアンは
とても幸せそうで、レナは後ろめたさと疲れで、
顔を隠すようにしなだれる。


フレイとリフは図書館でバヌトゥと歴史談義。
竜と人の視点の違いが面白いようだ。
フレイはこの手の話が好きなようで、夢中である。
リフは途中から発禁本コーナーをうろつき、
最終的にはロジャーのグループに
混じるようになった。
覗き部屋がお気に入りのようである。



文字通りの『夏休み』が過ぎていった。



 ・

コツ、コツ、コ・・・

「ふむ・・・・・・」

ムール貝の様な形の巨大な器が、ずらりと並ぶ。
その一つ一つに、様々な人形・・・
いや、死体だろうか。

それとも・・・

「レナ様がああも安定したとなると、
肉体の強靭さより精神力の方が
肝心なのかもしれませんわね。
かといって魔道を極めたものなら
誰でもというわけでもないようですし・・・

ご老体ではどの道上手くはいかないみたい。
やはり、成功例は指針とするべき・・・ですか」

しかしそうなると、問題があった。

「・・・どうしましょう?
せっかくこんなに集めましたのに。

もう資料は揃いつつあるところで、
邪魔にはなるけど・・・

ドルーアにポーズをとるのは、
今はあれで十分のはず。

エレミヤに売りつけてもいいですけど、
買い叩かれるのもシャクですわ」

多くの戦士や騎士たちがいた。

死にかけの兵士達を治療し、
そのまま生きた実験体とする。

ペラは数年前から、目的のために、これを始めた。

最初は2年以上前。大戦のどさくさにと思ったが、
グラの裏切りを知らなかった為、意外と苦労した。
アリティア落城のおりには拾い物もあったが・・・

その後は2年近くオレルアンが主な
戦場となったが、なかなか良い素材がなかった。
結局最近タリスでおこったガルダの
海賊騒ぎの方が楽で掘り出し物があった。

アリティア軍を監視してみたが、ある日、
レナの陵辱ショーを目にした。

これは、使えるかも。
そして、事実上手くいった。

しかし・・・

状況が変わった。

このままなら、
アカネイア同盟はパレスを取り戻す・・・
かもしれない。

一人でやらねばと思っていたことが、
戦のどさくさで出来てしまうかもしれないのだ。

ならば。

これらの使い道も、変えたっていい。

「・・ふふ」

白髪の老騎士。

緑髪の少年。

鍛えぬかれた3人の戦士。

朴訥そうな騎士。

幼さを残す青年。精悍な騎士。

そこまで眺めたところで、一つ、思いついた。


「なんなら、派手に浪費といきましょうか。

ふ。ふふ。ふふふふ。ふふふふふふふふ」


まずは当初の予定通り。

「・・・そうですわ。なんなら・・・」

やつらも、巻き込むか。

「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」


 ・


こそこそと会えば集まりは密度が濃く、
監視も盗聴もしやすい。
ならば監視と離れる工夫をしながら、
騒がしい場所でランダムに会っては、
雑談のように会議をする。

その舞台に闘技場はうってつけであった。

重要なこと、議題などは暗号やメモでやりとりし、
意見だけ喧騒の中で交わす。

既に監視はザルだった。

「・・・計画は進んでいますか?」

「無論だ。
ニーナ様を密かに連れ出し、影武者をたてる。

この駐留最後の日に、ワーレン側が
ニーナ様を迎えての一大興行をする。

・・・それを、使わせてもらう」

控え室でクローゼットごと入れ替わってもらう。
古典だが、あの程度の警戒という事は、
タカをくくられているのだろう。
ならば奇をてらわない方がやりやすい。

今回の行方不明の件とあわせて、
マルスの密命と言えばニーナも抵抗はするまい。
彼女にも後ろ暗い材料はあるのだ。

どうせロクに気にかけてもいないお飾りの事だ。
マリクはそう思っていた。

事実は違う。

ニーナはアイルの、「わからないままでいい」
という言葉で、全幅の信頼を寄せている。

ハーディンでさえ、
慮っても理解してはくれなかった。
むしろ、彼の気持ちに気付いていたからこそ、
カミュへの気持ち、我侭に
罪悪感を覚えねばならず、重く感じていた。

しかし、ニーナの気持ちがどうあろうと、
計画は成りつつあった。

まずはこの時点でニーナを確保しておく。

パレス奪還のおり必要なのは本人ではない。
ニーナが戻ってきたという事を
宣言することに意味がある。
ならば問題ない。

先んじてニーナを確保しておけば、後で行動する時
スムーズにことが運べるだろう。

決行まであと一週間。

 ・

アイルはこの『夏休み』を終わらす前に、
平行してやらねばならないことがあった。

北東の城の制圧である。

ワーレンの監視だけでドルーアから派遣された
カナリスは、先の一戦に関わらなかったが、
それでも見逃すいわれはない。

マルス率いる先行隊が制圧したタイミングで
ニーナ含めハーディン率いる第二陣が出発。
中央平原で合流する。

そして、パレスに向かうはずであった。

筈で、あったのだ。

 続く

by おかのん (2011-09-24 20:50) 

ぽ村

>>おかのん
こうなりましたか投下乙です。

ようやくクーデター&アレが動き出しましたな。

…ニーナ…ええっと、夜に訪れてるわけではねぇよな…(リプレイと見比べながら)
どっちもハーディン悶死。

死体の数も凄くなり、平原周辺の田畑は史上まれにみる大豊作…って皇国の守護者風なこと考えるヲレ。

順序が違うけど、あのメンツがどう踊ってどう散るのかが結構楽しみ。
特にハーディンは色々と期待できそうだ(性格悪;)

次回もよろしくお願いしますです★
by ぽ村 (2011-09-25 19:51) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第8章 別れの町ワーレン 
その6 巨竜降臨

北東の城の制圧はあっという間だった。
というか、城に着く前に降伏してきた。

その場で調べて毒や短剣が
出て来る時点で終わりだ。
・・・どうしてこうも「他人はマヌケだ」
と決めてかかれるヤツが多いのか。

他人はみな自分より優秀だと思うべきだ。
それがアイルの考え方である。
建前上はであるが。

先行隊が制圧したタイミングで
ニーナ含めハーディン率いる
第二陣が出発し、中央平原で合流する。

そして、パレスに向かうはずであった。

 ・

駐留最後の日に、ワーレン側が
ニーナ様を迎えての一大興行を行う。

それを見物し終えてから、進軍に加わる。
後発部隊の任務はまず、ニーナ姫の護衛。

ニーナ様を密かに連れ出し、
影武者をたてる計画は順調であった。
なにしろマルスをはじめ、
シーダやフレイ、ノルンなど、
鬱陶しいメンバーはすべて東の城だ。
失敗のしようがなかった。

マルスの偽者が、
ウェンデル先生を殺した。

そんな誤解をしたままのマリクは、
アイルに対して恨みを募らせていた。

「貴様が何者かは知らない・・・
だが、思い通りになどさせない!!!

この流れを・・・今のアカネイア同盟での
パレス奪還を容認するとしても。
ドルーアと唯一渡りあえる軍を、
潰すわけにいかないとしても!!

あんなことをする貴様を、
認めるわけには行かない!

せいぜい今は日の下を歩くがいいさ。

本性をあらわそうとした瞬間、
後ろから八つ裂きにしてやる!!!!!」

もう10分もすれば、興行も終わる。

半刻後には、計画は、成る。



それ が 起こるのは。

4分後。

 ・

「ノルンとは・・・ 
うまくいったのだな?」

デネブが、そんなことを言ってくる。

「・・・自分で『覗いていた』
と言っていただろうが」

「それはそうだが、
話まで聞いていたわけではない。
覗きも、口づけ以降は遠慮したさ。
元々・・・」



「元々?」

「・・・いや、なんでもない。で?
これから、どうする気だ」

・・・・・・・・

正直、アイルはこの件に関しては
何も考えていなかった。

先ごろまでの誤解されたままの状態を
なんとかしたかっただけだ。
そしてうまくいった。

だが、ノルンとの未来のビジョンというのが
はっきりと想像できない。

彼女のイメージは『憧れのお姉さん』
であり、いまさらだがアイルは、
それ以上は望んでいないのだ。

「どう・・・ と、言われてもな。
彼女がどこまで求めてくるかに
ゆだねる位のつもりしかない。
もう既にマルスからは取り戻した。
なら・・・

今は、マルスを取り戻す
ことのほうが大切だ」

デネブは、きょとんとしていた。

彼女にしてみれば意外だったのだろうか。

それとも・・・

「なあ。アイル」

デネブの声の調子が変わる。

「私は・・・・・」


その瞬間が、

『4分後』

であった。


ゴッッツツツツツ!!!!!!!!!!

ズ、ズズ、ズズズズズズズズ・・・・・・



シャギャァァアアアアアアアアアア!!!!!!!


「「「な・・・・・・・・!?」」」


内海をはさんで対岸にあるワーレンで。

闘技場のど真ん中に。

真紅の巨竜が、降臨していた。

 ・

「・・・馬鹿なっ!!
何故こんな所にいきなり・・・

この状況で!!!」

ハーディンさえうろたえたこの大混乱で、
マリクのみが、奥歯を噛む。

「読んでいたと・・・いうのか!!
踊らされていたと!?

畜生・・・!
畜生、畜生、畜生、ちくしょぉおおおおおおっ!!」


たった数分前。
それは、場にいた者達すべてに、
突然のことだった。

一点から放射状に広がる、
闇の閃光としか表せないうねり。

バヂュンッ・・・

何かが焼き切れるような不快な音と共に、

キインッ!!!!!!

桃色がかった光が環を描く。
紫炎と共に2重3重にかさなり、
紋様が浮かぶ。


そこに現れたのは。
5つの赤い玉をかかえた、
羽根つきの老人。


脳天が輝いたと見えた刹那、老人は。
地面を這うようにしていてなお、
闘技場から首を出すような
巨竜となっていた。

ルギャォオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

敷き詰められた赤土が、『蒸発』する。
振り回す尾に叩きつけられ、
人がトマトのようにぐしゃりと潰れる。


闘士も客も関係ない。
こんな生き物の前では、
どちらでも変わらない。

例えば人が『邪魔だ』と断じれば、
蝿も蛾も等しく潰す。
竜にとっては、その程度の事。


真っ先に我に返ったのはアベル、カイン。

「落ち着けぇっ!!! 
皆、にげろぉお!!!
北側と南側にゲートがある!!
パニックを起こすな!!!
落ちついて避難しろっ!!!!!!」

アベルのセリフをカインが叫ぶ。

そこで他のメンバーも正気を取り戻す。

今、自分がやるべき事。

オグマは残っている闘士を集め、
石弓を中心に武器を集めさせる。
パフォーマンス用に、低威力の攻城兵器を
扱っているはずだ。それもである。

ハーディンはニーナの確保に向かう。
私情もあるだろうが間違ってはいない。

シーザもラディも
オグマと共に足止めにかかる。

が。

誰もが感じていた。


無理だ。

 ・

「行ってくる!!!」

デネブが、天馬を羽ばたかせる。

「止めろっ!!!!

行ってどうする!? あの竜を
どうにかできるのか!?」

「出来ん!! だが、見ておくべきだし、
ニーナ姫だけでも
確保せねばならんだろう!?

私以外、いないだろうが!!」

確かにそうだった。

今現在航空戦力は、
デネブただ一人なのだ。

しかし・・・・・・

「アレは・・・・・・

どう見たって危険すぎる!!!」

「無茶はせん!!」

そんな無茶な。

その言葉は、届かない。
既に、デネブは飛び去っていた。


デネブにしてみれば、

(間違いない。これもヤツだっ!!)

これにつきた。


カペラの事は、話せていない。

しかし、状況からいって、レナの行状とカペラが
無関係なわけはない。治療をするといって数日
一緒にいて、直後にアレだ。

アイルが感づかない筈も無い。
そして、あの同時刻。
デネブは、カペラといたのだ。


どう話したらいいのか。

デネブは、苦悩していた。

だからこそ。
今、この状況で。
ゆかずにはいられなかった。

 ・

ルギャァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!

ゴォウッ!!!!!!!!

地面を舐めるように繰り出されるブレス。
砂煙の舞う中では避けようもないだろう。

事実・・・・・

客席ごと吹き飛ばされたその闘技場跡は、
一人分カットされたパイを思わせた。

何も残っていない。

「オグマさんッ!!! シーザ、ラディッ!!!」

パイは食い散らかされる。



ルギャァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!
ゴォウッ!!!!!!

何も、残らない。

「アベルさんっ・・・ 
カインさん!!!!」


ルギャォオオオオオオオオオオオオ!!!
ルギャァアアン!!!!!!!!
ゴォオウッ!!!!!!


キャオオオオオオオオン!!!!!!!!



「畜生・・・!
畜生、畜生、畜生、
ちくしょぉおおおおおっ!!

こんな手まで持っていたというのか・・・

なんてことだっ・・・・・・!!!!!」

そのあぎとが。
マリクに向く。

初めて、マリクの顔が恐怖の方で歪む。

逃げられないのが判る。判ってしまう。

「うわぁああああああああああああああああ!!!!」

火竜のブレスが。

人を包む。



デネブは、見ていた。

来ないわけにも行かなかった。が、


どうすることも出来なかった。

 ・


竜はひとしきり暴れ、
そして、力を使い果たすと、老人に戻り、

血を吐いて、死んだ。



・・・そして。

同盟軍は大打撃を受けた。
アベルとカインとオグマとハーディンと
マリクはもちろん行方不明。
骨も残らぬブレスとやりあっての事だ。
戦死扱いにするしかあるまい。

巨竜のブレスは主に南側に向けられた。
そのため、町に被害は少なかった。

だが・・・
同盟軍の後続部隊は、ワーレンの南側で
展開していた。

つまり。

後続に残した全軍の約半分が、
ブレスに飲まれて消えたのである。

しかもこれで、ドルーア側の恐ろしさが
再び広まるだろう。
それは相対的にアカネイア同盟の
勝ち目の薄さにすりかわってしまう。

ワーレンで募った新兵達は
根こそぎ殺された。

このひと月の成果を丸ごと消された。

無力感も脱力感も、
今までの比ではなかった。

 ・

一つだけ、救いがあった。

「ニーナ様が、無事!?」

興行の最中、何者かに気を失わされて、
北の方の空き家で寝ていたという。
かなり都合のいい偶然であるし、
罠とも思える。

が、

「ニーナ様、無礼を承知でお聞きします。

『判っています』か?」

ニーナ姫は、一瞬きょとんとしたが、
すぐに思い至ったようだ。

「『わからなくていい』のでしょう?」

・・・間違いない。本人だ。


あの時・・・

~ 「お戻りください。ニーナ様。
ニーナ様のお心を慮るようなことは私には
出来ませぬゆえ、何故とはお聞きしません。
しかし、パレス奪還のために、皆、命を賭ける
思いを改めて固める中、供一人連れて敵陣へ
などという事は、今後・・・」

『判っています』

もう、この人は、何も言わなくなるだろう。
たった一度きりの我侭のつもりだったのだろう。

だから、
アイルは言ってしまった。

「『わからなくていい』ですよ」 ~ 




首の皮一枚ではあるが、つながった。

「はい。お心のままに」

一応、そう言っておいてやる。


ついでに、あの場にいた者たちの中で、
ラディだけが、見つかった。

無事とは言えなかったが。

後々この時のことを聞いてみるが、
たいしたことはわからなかった。

 ・

「なにを、言いかけていた?」

竜の現れる直前の会話。
なぜか、気になった。

何を、聞きたかった?

「・・・私は、お前の・・・
なんなのか、と思って、な」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


確かに、おかしな関係だ。

互いに互いの距離は
つかめていると思えない。

逢瀬まで重ねておきながら、
繋ぎ止める何かを
持っているわけでもない。

「・・・共犯者、みたいなものか」

アイルは、うまいたとえをしたような
気がしていた。
利用しあっているだけに見えて、
一蓮托生でもある。
言いえて妙だと、そう思えた。

だが。

デネブにとっては、最悪の答えだった。

デネブの、本当の共犯者と。

その女に対して、自分がしようと
思っていたことを
鑑みれば・・・・・・・・・



「そう、か」


この答えは。


尾を引くことになる。

 続く



今日は昼から仕事なので、
ネットカフェから投稿です。

やっとワーレン終わった・・・

by おかのん (2011-09-29 08:07) 

ぽ村

>>おかのん
おおぅ?!

しばらく続きをあきらめていたアルタイルの続編が!

難しい環境のなか、投下ありがとうございます
(ノД`)

かなり悩んだであろう既存キャラ大処分はパレードへのテロってことで決着…。
一応街中で死んでるし…。
リプレイどおりだったらかなりアレな展開だったしねw

しかしアレだ。
戦死とは言え「ゆ…おっとっとっと;


>共犯
うんまぁその。
ヲレの印象から言うと…。
表面的にはそうだろ…。
アイルにとって他の言い方すると
「自分を利用する&制御してくれる、物知りで目的が秘密のセフレ」
って感じだし…。
肉体部分は友人の恋人だから好きになるにゃー壁があるし…。
その友人を救いに行くんだから尚更…(今更すぎるけどw)
邪悪な言い方をすると
「ノルンがダメだったときの安全牌」
かも知れないし(外道だなをい;)。


ともあれ、長かったワーレン編お疲れ様でした☆

続きが楽しみ…だけど、環境が厳しいようなので無理しないでね。
力抜いて相手していただけると嬉しい。


>仕事
ヲレも今日は10時から仕事。
お互い午後の世間様を支えていきましょうぜ
∠( ゚д゚)/
by ぽ村 (2011-09-29 09:13) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第9章 ペラティの悪魔 その1 侵略戦争

グルニアの第6師団との戦いは、勝利したと言えた。
しかし、その後の巨竜の出現で、
ワーレンで雇い入れた新兵のほぼ全てを殺された。

まだ訓練もしていない新兵を戦力として数えて
いたわけではない。むしろ痛いのは契約だ。

ワーレンでのグルニア兵の埋葬や供養で、
補償の確実さを謳って募ったため、
まだ働いてももらっていない新兵の補償に
莫大な金が必要になってしまった。

しかも明らかに狙いがアカネイア同盟の
騒ぎであった為、壊れた町や失われた財産の補償を、
面と向かってでないにしても、アカネイア同盟に
求める空気が漂っているのだ。

そう仕向けたのがアイル自身なのだから、
まさに自業自得。
泣くに泣けないとはこの事だ。

アカネイア・パレスを目の前にして、
アイルはさらに大きな方針転換をせざるを得なかった。

 ・

「ペラティを、侵略する」

これまでは、あくまで、ドルーアに支配された国々を
救う為の奪還戦・・・
『解放戦争』であった。

しかし、ペラティは、王がマムクートであり、
ドルーアと直接のパイプがあると噂されながらも、
タリスなどと同じ、辺境の独立国家だ。
力関係はどうあろうと、聖アカネイアより下賜された
『公国』などの属国とは違う。
公式にアカネイアと同等の位置にある『国家』。

そこを攻めれば、『侵略』だ。
アカネイアの正義の御旗に陰りが出来てしまうのだ。

「・・・とはいえ、背に腹は換えられんよな」

まさに。デネブの言うとおり。

とにかくどこかから資金調達をしないことには、
軍を動かすことも出来ない。
生産活動をしていない人間を千や万の単位で抱える
遠征軍というのは、湯水のように金が出て行く。

今この現状では国家のひとつも奪わねば、
にっちもさっちもいかなくなってしまうのだ。

ハーディンのいない今、この行動がどんな意味を
持つのかをきちんと判っている人間はこの軍に少ない。

デネブとアイル、フレイやウルフ達。
後はニーナといったところだ。

「ともかく、資金援助の話あたりから打診しよう。
最終的にどうするのであろうと、建前は大切だ」

 ・

3日後。
他国との交流の無い、
余所者の侵入を許さないと聞くこの国の王の答えは。

使者の食いちぎられた首と、
遠く響く鬨の声だった。

「こちらは礼を尽くし、謝罪し、助けを求めた。
その答えがこれなら・・・
降りかかる火の粉は掃わねばなるまいよ」

アイルは満足気に笑った。

 ・

「雷鳴と共に消し炭になれッ!!!!!!!!!!!」

閃光が人を刹那に炭素にする。

「血まで凍って爆砕するがいいッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

絶対零度は全てを粉にする。


「巨竜に負けず劣らずの戦略兵器だな」


デネブのセリフは的を得ていた。
海賊やハンターの装いのペラティ軍は、
既に総崩れの体だ。

レナのもろもろはばらさないのが条件の為、
彼女自身はシーダ、ノルンなどと組んで別行動。
仇の役にたってしまうのは業腹だろうが、
苛立ちをぶつける相手が欲しいのか、
割りと何も言わない。

前回の焼き討ちで吹っ切れたか、
兵ならば殺すのに否はないようだ。

増援の砦は、傭兵に身をやつしたロジャーや
ダロスにまかせる。

「アテナ、天馬に乗って先行しろ。
僕は迂回ルートをとる」

「わかった」

「・・・弓兵には気をつけろ」

「うん。ところで、向こうに村、ある」

「先に行って、僕が来ると喧伝しておいてくれ」

「うん」

多少あぶなっかしかったが、臆せず天馬に乗っていた。
戦士は習熟に迷いがなくて助かる。

 ・

「失礼、アリティアのマルス王子とお見受けする」

村に入った時から気配は感じていた。
消していたので訝しかったが、
殺気がないので今まで無視していた。

「貴方は?」

「私はアカネイアの弓騎士、ジョルジュ。
パレスの戦いに敗れドルーア軍に捕まっていましたが、
逃げ出してきました。ニーナ様があなたと共にあると
聞き、ここでお待ちしていたのです」

「・・・元アカネイアの軍人の方か。
ニーナ様は後方の部隊に。
先ごろ、頼りにしていたハーディン殿が
行方不明になられ、ふさいでおられる。
まずはご報告を」

「御意。この銀の弓に誓い、祖国解放の戦いに
力を尽くしましょう。どうかよろしく」

正直なところ、ニーナ姫のふさぎ方は宜しくない。
オルレアン騎士をつけているが、そこまで交流もなく、
あまり安らがないのだろう。

なかなか心得たデネブや、裏が無くはないとはいえ、
基本天真爛漫なノルン。まるっきり裏表の無いアテナ。
つまり同性連中とは仲が良いのだが、
戦闘中は欠かせないメンバーの為、つけてやれない。

後はアイル本人くらいだが、勿論言語道断だ。

そういう意味でありがたい援軍だった。

 ・

「ジョルジュ!?」

弓騎士との再会は、ニーナ姫を慰めた。

「お久しゅう御座います。ニーナ様」

「よく・・・ よく無事でいてくれました。
他の者達は・・・?」

「私は別に捉えられた為か、ボアさまや
ミディア達とは接触できませんでした。
しかし、彼らも音に聞こえた騎士達です。
そうやすやすと殺されますまい」

「そうですね・・・そこに期待するしかないでしょう。
ごめんなさいね。私には、本当になんの力も無い・・・」

「いえ、ニーナ様が存命であるという事は、
この世の希望そのものです。
どうか、ご自愛を」

「ええ・・・」

判っています。
思ってしまいながらも、飲み込む。

わからなくていい、そう言ってくれた王子。
彼は、特別になっていた。

カミュとはまた違う、特別。
追いすがってでも、身を滅ぼしても会いたい
黒騎士殿とは違う。

彼が、誇りを持って仕える様な王たりたい。
そう、思うのだ。

 ・

ペラティの王であるマムクート、
マヌーは正直拍子抜けであった。

闘技場を、ワーレンを滅ぼしかけたあの竜の、
三分の一も無いのだ。

ブレスの届く範囲も短く、まるで大したことが無い。

「馬鹿な・・・こんな連中に・・・ワシが・・・
おご・・ぉ・・・」

(烏合の衆ならともかく、騎士が構成する
中隊でかかれば、倒せなくもない。いや・・・)

ワーレンで見た竜の方が、異常なのだとすれば?

それに・・・

(レナの事といい、グルニア第6師団といい、
ニーナの行方不明騒ぎといい・・・
カペラ・・・ 彼女の関わった事は
なにかしら事件ばかりだ)

しかもいま、姿が見えない。

(彼女に対する警戒を強めておかねばならないな)

とにかく、ペラティは制した。

財宝や国庫を根こそぎにする傍ら、
偽造してでも、ドルーアとの繋がりを示しておかねば。
この侵略を、正当化する為に。

(・・・まるっきり詐欺師で強盗団だな)

まあ、戦争など、そんなものなのだろうが。

 ・

「・・・マルス王子?」

カペラが話すアリティアの王子の話には、
正直、ミネルバ皇女はすこし懐疑的だった。

いろいろな事が限界に来ていたとはいえ、
その人柄に全てをかけて、もし・・・

マリアだけは失えない。
全てなのだ。

彼女は世界と等価値なのだ。

だが、だからこそ・・・

僅かな希望に、その誘惑に逆らえない。


敵の司令官の人質を救出?
こんな勝手な申し出があるか。

しかも出来高払いの裏切りが報酬だなどと。

しかし、しかし・・・


レフカンディでの用兵は見事の一言であった。
先読みや判断に優れているのだろう。
ならば、洞察にも長けているはず。

こちらの思いがきちんと伝われば、あるいは・・・
マケドニア白騎士団一個大隊。益もある。

もしかすれば。 いや、きっと・・・

ミネルバ王女は、揺れに揺れていた。


「私が辺境の村を救って欲しいと直談判を
しにいって、開口一番、時間が惜しいから
案内しろと言い放った王子様ですのよ?

大丈夫! 私が保証いたしますわ♪」


ミネルバにとって、カペラは信頼に足る相手。


彼女は、堕ちた。


もしもこの話が上手くいくなら、
マリア以外の私の全てがどんな形で汚されようと
私は捧げよう。


そう、決意して。
 
 続く

by おかのん (2011-10-04 20:06) 

ぽ村

>>おかのん
早いのうw
投下乙です。

お?
今回は…MAP一つが一話で終いなん?
(いつもより比較的長めだけど)
不必要なのは端折るってのは賛成なだけに、完走できる体力を温存してて欲しいところ。

>侵略
臆することなし。
孔明だって荊州奪還できなかったから、「背後の憂いを絶つ」とか言って南蛮を侵略したんだしw
勝てば官軍よww

>( ゚∀゚)o彡°
「ジョルジュ」って打ったら上のAAが出たぞ;
成長率悪くて使わなかったけど、結構良いポジションのキャラだったんだな。

>ミネルバ
次回以降が魂を磨り減らす投下になりそうだな…。
まぁ無理すんな;
by ぽ村 (2011-10-04 22:10) 

おかのん

>MAP一つが一話で終い
MAPは、ですけどね。
むしろ増えるな・・・多分。
完走はして見せますよ。

>臆することなし
まあアイルも気にしてるのは「マルスとしての評判」
の方でしょうけど。

by おかのん (2011-10-04 22:44) 

ぽ村

>>おかのん
>MAP一つ
そうか、、戦後処理や次の話のプロローグとかになるのかな。

>評判
どうするんだろうか…。
悪評ごとバトンタッチするのはさすがに…ということは…

HAHAHAHA…今、心のサイドブレーキが発動した。
「先を読むな、潰すな」と。

>完走宣言
素直に嬉しいし楽しみじゃわい。
変にプレッシャー背負わず、笑顔での完走希望。
by ぽ村 (2011-10-04 22:57) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第9章 ペラティの悪魔 
その2 過去と反乱

ペラティを制した翌日。

辺境とはいえ一国家。国庫をあさりつくすと、
アカネイア同盟軍の進軍に
憂いを感じなくても良い目算がついた。

ワーレンにも根を張りがたい今、ここは拠点たる。
地盤固めをある程度せねばならなかった。

というわけで、また書類仕事の山である。

デネブも手伝ってはくれるが、
それでもキリがつくのは明日になりそうだった。

闘技場の竜騒ぎ以来、どことなく
遠慮がちなデネブ。
水を向けるのがアイルの役割になっていた。

今日はノルンがいない。
弓兵の訓練に出てもらっている。

「・・・カペラ嬢の事だが」

僅かに身を硬くするデネブ。触れて欲しくない話題なのは察しがつくが、あの竜や、ニーナのお忍び、レナの件にも噛んでいるっぽいこの現状では、ふせていて良い話題ではない。

デネブもそれを分かっているのか、
ぽつぽつと話し始めた。

「ある所で・・・ 捕らえられていた時期があってな。
その時、一緒に捕らえられていた少女なのだ」

「・・・ほう」

「ちょうど十年になるか。アイツは伸びた髪以外、
何も変わっていない。少女のままだ。
何かの実験の後遺症だろう。
行状を見るとドルーア側に籍をおいているのは
間違いないが・・・

腑に落ちない」

「?」

「自分を実験動物扱いし、ドルーアの侵略で
姉と義兄を失ったあいつは、ドルーアを憎んで
いたはずなのだ。なぜ向こうにいるのか・・・

よくわからん」

「ふむ・・・」

「私は最初、彼女だとは思い至らなかったのだ。
怪しいと思って調べてはいたが、そこは魔導士。
そちら側から簡単に・・・とはいかなかった」

「なるほど、な」

キチッ・・・

デネブが親指の爪を噛む音が響く。

アイルの見立てでは、この話はウソではない。

辻褄もあっているし、逆に余計に見える情報が
いくらか混ざっている。

「私達は、『共犯者』なのだよな?」

「・・・そんな話もしたな」

「ならば基本は、ギブ&テイクでいこうじゃないか。
お前の過去の話も、何か聞かせて欲しいな」

妙な流れだ・・・

まあいいか。

「とはいってもな。オレは6歳より前の記憶はないし、
孤児院を出たのが12、マルスにあって、
ドライツェンからアルタイルになったのが14・・・

どの辺の話が聞きたい?」

目を向けると。
デネブが驚愕していた。

「・・・ど、どうした?」

「お前の昔の名は・・・『ドライツェン』
というのか?」

・・・あまり、食いついて欲しくない話題だ。

「・・・ああ。知っていて唖然としてるんだろうが、
『13』というだけだ。

他の奴らも、ジブツェン、アハツェン、
ノインツェンと、そんなのばかりだ。

まあでも、今思えば、ツェン神父は優しかったし、
自分の名に続く形の呼び方という意味では、
彼なりの愛情のこもった名だったかもしれん。

そもそも本当の親がつけた名も知らないしな・・・」

自嘲の混じる懐かしい感情が広がる。

が。

デネブは、違うようだった。

「・・・名とは、付けられた方に意味が在るのではない。
呼んでいるほうにこそ在るんだ。

お前は、今、アルタイルを名乗り、
いつもはアイルを呼び名にしている。
アルタイルという響きにどんな意味が込められていようと、お前をアイルとしてしか知らぬ者にとっては、
お前はアイルだ。

・・・きっと、孤児院の者達にとって、お前は・・・
どうあってもドライツェンであるようにだ・・・!」

声がうわずっている。
僅かに瞳が潤んでいる。

これは・・・

そこに気付かない振りをしながら、促す。

「まあ、そうかもな。じゃあ、孤児院の頃の話で
いいのか?」

「・・・出来れば、孤児院の位置や神父たちの
その頃の話をしてくれ・・・!!」

・・・なんてあからさまな。

しかし、わかったことがある。

あの孤児院は、何らかの形で、コイツ自身が
探していたものなのだろう。

・・・もしかすると、アイルも含めて。

 ・

孤児院のあった場所は、アリティアの辺境だ。

ツェン神父は、そのいかにもな風貌と異なり、
子供のような人だった。

村の人は、逃げ出した前の神父の変わりに派遣されてきていたのだろうといっていたが、よく考えると誰も詳しい話を知らなかったように思う。

神父自身、「たまたまあいていたので」
などと言っていた。
普段から子供っぽいだけに、
どこまで本気かも掴みにくい。

人柄がこのとおりなので、邪険にされはしなかったが、ある日ゼクが気付く。
この人は神父の心得がない。

毎日のミサ。教会の管理・運営、懺悔聴聞。
聖書の研究はともかく、布教活動、冠婚葬祭の儀式と、何一つ出来なかった。

字の読めるゼクとジブは、教会に残っていた本を読み漁り、神父に勉強させた。

ノイとアハが家事をやっていれば生活そのものは何とかなる。フュンとフィーが寄付を募り、一番年下で味噌っかすのドライは、フュン達について行くか、掃除など雑事をしていた。

「12になるまで、いろいろやったが、ハンパに器用だったんで、やる事が多くて、読み書きを習い損ねてた。
末っ子扱いだったが、それが嫌で、自分から出た。
ゼクとノイなんか、内縁の妻状態で子供までいたよ。
ツヴァンツィッヒとかいったな」

「そうか・・・・・」

デネブは、噛み締めるように聞いていた。

それが、お前にどんな関係かあるんだ?

そう聞く前に、ドアがノックされた。

「・・・なんだ?」

フレイだった。

「・・・ミネルバ王女の密使であると、
天馬騎士が訪れました」

「天馬騎士?」

白騎士団の使いであれば、不自然ではない。

しかし、敵の将軍王女が何用であろうか。

 ・

密使であるなら、謁見というわけにもいくまい。
空き部屋を使い、会うことにする。

綺麗に切りそろえた、マルスやシーダと同じ青髪。
レフカンディで見かけた天馬騎士の一人だ。
気持ちが入りすぎなのが判る眼差しだ。

「お目通りをお許しいただき、
ありがとうございます。マルス王子。
私は、マケドニア白騎士団のカチュアと申します。
実は王子にお願いがあり密かに参りました」

「願い?」

「はい、敵として一度まみえたにも拘らず、
こうしてやってきましたのも・・・・・・
我が主ミネルバ王女の願いを聞き届けて
頂きたいからです」

「聞くだけは聞く・・・
というわけにはいかなそうな話だね」

聞くだけは聞く。
もちろん聞かねば話は始まらないが、聞くだけであれば、そこから想像できる敵軍の内情や、弱味を握るきっかけになる。
罠なら罠で、逆に利用したり、そんな罠を仕掛けるに至った理由から見えてくるものもある。

そして、使者を後で拘束すれば、それは出来る。
しかし、出来ない。
なぜかといえば・・・

それは、マルスの選ばない選択肢であるだろうからだ。

「ミネルバ王女率いる我らマケドニア白騎士団は、
ドルーアに対して、ただ今反乱を計画しています」

げっほっ・・・

・・・危うく茶を吹きだしかけた。

「反・・・乱・・・!?」

「・・・はい」

・・・話が大きすぎる。

「しかし・・・
妹君マリア王女が敵の手中にある為、身動きが取れないのです。どうかマリア王女を助ける為、お力をお貸ししてほしいのです」

確かマリア王女は、連合の約定の印として、
ドルーアの人質となっているという。

・・・成る程。

マケドニアの忠誠の証であると共に、ミネルバ王女の手綱でもあったというわけか。
ならばミネルバ王女自身、ドルーアとの連合自体、
否定的であったのかもしれない。
その対処法にそうしたというなら、
ミシェイル王子・・・
野心だけの男などととんでもない。
権謀術数にまで長けている。

辻褄は合う。

もちろん罠の可能性もぬぐいきれない。

あの統率力は、純然たるカリスマの物だとアイルは
考えていたし、伝え聞くところによれば、
ミネルバ王女はあまり策を用いるタイプの将ではない。
しかしだからこそ、副将あたりが弄する事もあろう。

こうなると、判断材料は、原点に戻る。

すなわち、マルスならどうするか。

「マリア王女は・・・どこに?」

「!?」

カチュアが驚く。

「・・・どうかしたのかな?」

「いえ・・・あの。
助力を願い出ておいて、このようなもの言いは、
不躾である事を承知しておりますが・・・

本当にご協力いただけるのですか?」

「話そのものにはとても驚いたけど・・・
君が真剣なのはここに来た時点で判るよ。

こんなこちらに都合のいい、しかし危険を伴う話を
持ってきた事実だけで正に決死の覚悟だろう。

君の目は透き通っている。人を落とし入れるような嘘を言う目じゃない。自慢になるけど、僕にはわかる」

俺も、嘘つきなだけにな。

「僕も身内を囚われている気持ちがわかるんだ・・・
なんとしても助けだしてみせる」

マルスは、姉君を。俺は、親友で、名付け親を。

ぽろっ・・・

「・・・・・・」

感動している。馬鹿かこの女。

「ありがとうございますっ!!!!
これで・・・ これでやっと・・・
やっと・・・・・・・!!!!!!!」

ぽろぽろ、ぽろぽろと大粒の涙がこぼれる。

アイルはカチュアにハンカチを渡し、天使の様に微笑んでみせる。
救世主と恋人をいっぺんに見るような眼差しで見つめられた。
今すぐ掻き毟りたいほどむず痒い。

 ・

「はい・・・はい!
カペラ殿の言われていた事は本当でした!

・・・洞察力も並ではありません。
まるで、こちらの事情を察しているような・・・
多分、ミシェイル王子のなさり様も知っての事かと。

・・・はい。王子も人質をとられ、お気持ちを
共にしておられる様で・・・

もちろんです。その時には、我ら三姉妹、
いえ、誇りあるマケドニア白騎士団の、
総力をもって、必ずや・・・!!」

カペラの手鏡での通信である。
ミネルバとの会話は、いつも以上に熱を帯びた。
これで、白騎士団は、やっとあの頃に戻る。
蹂躙の為の蹄でなく、守る為の翼に・・・!!!

通信が切れる。
ミネルバの安堵の表情が遠ざかり、余韻のままに
手鏡を抱く。あんな顔をされたのはいつ以来か。
もう一瞬たりとも、お辛い顔をさせてなるか。
こんどこそ、取り返し。
守って、みせるッ・・・・・・・・!!!!!!



・・・・!!?



身体が、

動かない?


ひざが、崩れ落ちる。


ドッ・・・

(痛みが全くない!!??)


真っ白な手袋をした、細い指。
それがカチュアの顔を撫で回す。


意識が、途切れる。





「くふ」



 ・

廊下を、カチュアが歩いていた。

(・・・・?)

一刻も早く戻ると、屋上にいったのでは・・・?

「どうしたのかな? 忘れ物?」

「いえ。では・・・」

!?

表情が、変わっていた。
真面目の見本のようだった、
先程までの彼女に似合わない・・・

蛇と子猫の間のような笑い。

「いずれ、また」

なんだ・・・?

「ああ・・・」

もの凄い違和感を感じた。

が、その時には、アイルは気付けなかった。

 ・

部屋に戻ると、デネブは飽きたのか、いなくなっていた。
仕事は、まだ少し残っている。

「・・・やれやれ」

何とか終わらせた頃には、日も暮れていた。

食事をとらなければ。

「・・・デネブも呼んでこないとな」

王子のやることでもないが、かまわないだろう。

と。

ちょうど向こうから、歩いてきた。

「・・・?」

奥歯を噛み締めたような顔をしている。
機嫌でも悪くしたのだろうか。

「・・・デネブ?」

その顔のまま、目の前で歩みを止め、


ッパァンッ!!!!!!


いきなり平手打ちをされた。


「・・・・!?」


彼女の瞳は、とても純粋に、怒っていた。

肩で息をし、全力で振りぬいた為にか、関節や
手のひらをさする。

大粒の涙をぽろぽろとこぼし、
顔を真っ赤にして怒っている。

誰だ。

こんな怒り方を、デネブはしない。
いや、するにしても、そうされる覚えはない。


まさか。

いや、しかし、それなら。

デネブは・・・


「あなたは・・・ あなた達はっ!!!!!」


間違いない。彼女は・・・


「いったい、私をどうするつもりなんですか!!」





真っ白な思考が、元に戻らない。
気付いた事実だけが脳裏に浮かぶ。


彼女は・・・











 ・・・・・・シーダ姫。

  
 続く


by おかのん (2011-10-09 09:16) 

ぽ村

>>おかのん

…モノホンが出たww

投下乙です。

記憶もあるようだけどどうなるんだろうなぁ…。
ヲレが昔やったエロゲーだと、女が洗脳解いたとたんに嘔吐して口汚く罵ってきたが。

本物はアイルの中のベガみたいにデネさんに対して脳内発言権があったんだろうか?
物事もある程度は相談したり意見聞いたりしてたんだろうか?(ビンタされてたから本物には不本意な方向だと思うが)
同衾するときに「…今夜は中のアレ(本物)が五月蝿いのでパス」な日があったりしたんだろうか。
それも含めてマルス救出の為に体のレンタルを(嫌々ながら)おkしたんだろうか。

本物のまr…これ以上やるとネタ潰しだ;
ともかく色々と考えちまうぞね。

>感動しているバカかこの女
デネさんの感想?
スゴイ加虐欲を匂わせる感想よな。
カチュアにしたことの理由ではないと思うけど。

過去もちょっとづつ明らかに。
アイルが関わったのは偶然では無いような方向に?

悶々としながら続きを待つヲレ。
by ぽ村 (2011-10-09 15:06) 

おかのん

>色々と考えちまう
まるで次回予告が書いてあるかのような記述・・・
まあ、当然出てくる話なわけですが。

>関わったのは偶然では無いような方向?
偶然だけど因縁はあったみたいな方向性で考えてます。

>感動しているバカかこの女(これ、アイルっす)
アイルは実は割と激情家なのですが、
感情に任せた行動のデメリットも理解してるので、
何かと客観的過ぎる見方をする思考の癖が
ついてるんですね。

ほんとはちゃんと共感してるんだけど、マルスを
救い出すために、彼女を利用したり、
見捨てたりすることがあるかもしれない。
そんなときのために、彼女自身に入れ込まないよう、「自分のこの態度はあくまで演技」「それに騙されてるこいつは馬鹿」という論法を展開しているわけです。
まるで自分に言い聞かせるように。

自分で作ったキャラですが・・・
なんて面倒くさい二面性を持つやつだ。

by おかのん (2011-10-10 16:40) 

ぽ村

>>おかのん
ぬ…ネタ潰しではなく予告レベルなら…いや、わが身に換えるとソレもなんかちょっとイヤン。
ほら、意表が突きにくくなるじゃん;

なのでより自重ぐぬぬぬぬ

>これアイル
もしアイルなら本当は素直に微笑みたいのを、
「いやいやコレはマルスの為だし」
「なんつーか妙な感情入れてしまうのも後々不味いかも」
とか無意識にブレーキ踏んで結果、どこか冷めた目で
「バカかコイツ」
なのかなぁ。
とか返信見る前まで考えてたw

…ヲレの方は反抗期の思考っぽいな;
by ぽ村 (2011-10-11 02:13) 

おかのん

~偽りのアルタイル~

第9章 ペラティの悪魔 その3 真実と絶望

一言も交わさない食事の後。
マルスの・・・ アイルの寝室にシーダが訪れる。

シーダ姫の身体を借りたデネブではない。
心もシーダ姫本人である。

先程より落ち着いているとはいえ、
全力で怒っているのは変わっていない。

アイルはアイルで、落ち込んでいた。
そして、動揺していた。


デネブが、いない。


それだけで、落ち込み、動揺していることに、
驚いてもいた。

それはともかく。

今は、シーダ姫と話し合いをせねばならなかった。


「ええと・・・
まず、お互い、情報交換といきましょう」

シーダ姫が座ると同時に、そんな提案をしてみる。

しかし・・・

同じ身体だというのに、はっきり別人である。
この、座っている姿にしても・・・

デネブは、そもそも人の話を聞くとき、座って
聞くとは限らない。
立てば軽く足を開き、腕組みをして見下すように。
座ればソファの後ろに腕を投げ出して足を組む。
何より、ほぼ寝そべるのだ。
どこのビーチだというような身体の投げ出し方で。

対してシーダ姫。
手を太ももの上に重ねて置き、足をぴったり閉じる。多分立ってもこのまま立っただけのような姿勢だろう。
寝そべるなどと、想像できない。
同じ身体で寝そべっているのを飽きるほど
見ていてなお、だ。

「情報交換?」

「まず、僕は貴方が、デネブが身体を乗っ取っている時に
どういう状態だったのか知りません。

時々は身体を返してもらえたのか、
感覚の共有・・・
特に、デネブが感じたことや、その時の様子は
見せて貰っていたのか、それとも後から
聞くだけだったのか・・・

そもそもずっと暗闇の、音もないようなところで
放置されていたかもしれない。

身体を乗っ取られて、今までどうしていたのかで、
僕が話すべきことは違ってきます」

これには得心がいったのか、素直に話してくれた。

「五感は全て共有していました。私の思ったことも
聞こえるようでしたし、彼女から私にだけ
通じることも。

身体は・・・
返してもらったことはありません。でも、感覚を
共有していたからか、身体を動かすのになれない
感覚とかはないかしら。

マルス様が攫われた事とか、
貴方がなぜマルス様を演じているのかとか、
その辺のこともわかってます」

ふむ。
ならば・・・

「じゃあ、僕から改めて話すことはないですね。
なにか、質問があれば聞きますよ。
答えられる範囲で答えましょう」

途端に、シーダ姫の顔が険しくなる。

「・・・改めて話すことがないですって?」

・・・?

「はい」

「・・・・・・本気で言ってるんですか?」

・・・・・・・・・・・・・

「・・・失礼。触れるべきではないことかと
思っていましたので」

本当は今思い出したが、正直にいっても
誰も得をしないのでそういうことにする。

椅子から立ち上がり、隣に身を置いて、傅く。

「姫の純潔を、知らぬこととはいえ奪ったこと。
猛省いたしております。
いかなる処罰も謹んでお受けする覚悟ですが、
王子の復帰を望んでの手を尽くしている最中。
なにとぞ寛大な・・・」

「・・・もういいです」

・・・やれやれ。納得してくれたか・・・

と思うのは甘かった。


「貴方の言葉はウソばっかり。猛省してる?
それがホントなら次の日にまた同じことが
出来るはずがないのよ」

・・・・・・拙い・・・
思ったより鋭い。
当初は罪悪感もあったが、どうせデネブが求めてこれば逆らえないし、後で所詮膜一枚のことと思い直してしまっていた。

2回も100回も変わるまいと思ったし、
そもそも睦言を交わすのがデネブのせいで、
ピンときていなかった。

見抜かれた以上、誤魔化すのは逆効果だろう。

「そうですね。貴方が怒っているのを見て、ようやく
自分のしたことを噛み締め始めたというのが、
正直なところです」

「・・・最初からそう言えばいいんです」

「見抜かれていれば怒りを買うのは分かってますが、正直に言って上手く納まることばかりではないのでね。
誤魔化すのが癖になってしまっている。
申し訳ない」

ふん と、鼻を鳴らされた。
成る程、可愛い。し・・・
この状況でこの態度。なかなかの女傑といえる。
デネブと共にいるうちに、可愛いだけの女でも
なくなっているのかもしれない。

そして・・・

この話は、ここで終わりにした方がいいし、
もちろん、万が一もないだろうが彼女から誘いでも
してこない限り、抱くわけにもいくまい。

デネブの場合は、向こうからの誘いの上、
正体を知られている弱みと言えなくもないが、
今の彼女を抱いてしまえば、
こんどこそマルスに対する完全な裏切りだ。

「では、廊下で叩かれた時の質問に答えましょう。
『いったい、私をどうするつもり』という。

正直、僕からは特にない。
デネブにでも聞いて下さい。

逆に、貴方は、身体を取り戻した今、
僕との事を含めて、どうするつもりです?」

椅子に戻ったアイルを、
目線だけで追いながら言う。

「まあ、私には隠す理由も遠慮する理由もないので、こちらも正直に言います。
どうもしません」

「は?」

拍子抜けである。

「マルス様が攫われているのよ。
なんとしてでも取り返さなきゃならないわ。

でも、世界情勢が切迫してるのも確か。

多分、あの時点で旗揚げしてなければ、
オレルアンは敗北していた。

その意味では、アイルさん。
貴方には感謝してるの。

ずっと見てきたわ。貴方の事は。

身を切るような思いをしながらの戦争も、
自分の全てを懸けたような指揮も。

デネブやベガとの、戦いも」

おもはゆい。

さっき痛いところを突かれたばかりで、
悪印象が強いのかと思えば、
それなりに評価してくれているようである。

ん?

「デネブとの?」

互いに利用する間柄とはいえ、戦いとは・・・
そんな歪みの様な疑問が、つい、出る。

「・・・ああ。そうね。
貴方は知らないのよね。
その意味では戦ってさえいないのね・・・

といっても、私も閉じ込められていただけ。
貴方のことをどうこう言う資格もないけど」

イラッときた。


「・・・分かる様に話してくれ」

「マルス様をあの闇魔方陣の中に取り込み、
さらったのは、デネブなのよ」


!?


「いや、この言い方は正確じゃないか。
正しくは、デネブ一味・・・ これも違う。
デネブはあくまで、パートナーって感じだった。

デネブが考えたことやデネブの記憶は私側は
共有してなかったから・・・

そうね。例えば・・・

カペラ嬢に関することは、デネブが直接喋った断片的なワードしか分からない。

『ひ・さ・し・ぶ・り・だ・なぁ!?
 ノインッ!!!!!!!!!!!!!!』

『火竜紋が見えないだけで、
気付くのに随分かかった!』

『判らないか? 判らないだろう!!
だが、少し考えればわかるはずだ!!!!!
こんな風に出会っても、
絶対に判らない『ドゥツェント』がいた筈だッ!!』

・・・とか」

確かに、興味深いワードだ。

カペラとの会話なのはピンと来た。
その上で、『ノイン』・・・
これは、カペラがそう呼ばれていたということ。
『9』と。

まるで、かつてのアイルと・・・
『ドライツェン(13)』と同じように。

『ドゥツェント』が集団を表すなら、
意味はそのまま『12人』。

関連付ければ、まだ出てきそうだ。
しかし、それよりも。

「死と魂のオーブは、もっと昔から持ってたみたい。誰を生き返らせたいのかは分からなかったけど・・・

私は、貴方がマルス様の代わりになる少し前・・・
いきなり身体を乗っ取られた。
もちろん、デネブに。

パートナーであり、主人である『アルティ』
彼女は、マルス様に、貴方にデネブが持ちかけたのと同じことを言ったの。

死と魂のオーブの、アレね。

・・・同じじゃ、ないか。
単に、協力しろって言ってただけだし。
それをマルス様が拒絶していた場面で、貴方が現れた。

そして、邪魔者を・・・
あなたを消し去ろうとしたあの闇魔方陣で、
こともあろうに、マルス様が飛ばされた。

大失態、よね。

本当は、マルス様は断れなかった。
だって、私が人質だったんだもの。
その為に、私は乗っ取られたんだから。

で、この失態を取り戻すのにてこずってる間に、
貴方が話をややこしくしてた。

でも今度は、彼女らにとって好都合な形だった。

案の定。貴方は死と魂のオーブの話に
自分から食いついたし、効率のいい使い方を
その場で思いついて、実行する約束をしてくれた」

・・・

考えてない話ではなかった。

デネブこそが、真の敵である可能性。

「・・・独り言とかの端々から、アルティという
パートナーとは関係が複雑そう。
基本、服従のようで、微妙に友人っぽくもあったわ。

貴方に向ける思いも・・・
全部ウソでも、なさそうだった」


その言葉は慰めになるはずだった。が・・・

もう、聞こえてはいなかった。
アイルは、絶望の渕にいた。


デネブには勝てる気がしない。


あの、隙だらけで、奔放で、趣味の悪い、
以外に博学で、有能で、
甘いものの好きな、気分屋。
淫らで、少しだけ泣き虫な、阿呆。


今、気付いた。
自分は・・・


彼女に死ねと言われたら、死ねる自信がある。




そんな相手から、一体どうやってマルスを
取り戻せるというのだ。

「・・・・!?



・・・・・・・・・・・・・・・!!!
・・・・・・!!」

音がする。

声?


同じに聞こえる。

認識できない。


ただの、



意味の無い・・・・・・・・・・・・





僕は









どうして、たたかっていたんだっけ















































「ねえ!どうしたの!?
アイルさん!       ちょっと!

ねえってば!?」

「ははっ・・・」


声を聞いて、シーダは安堵した。

・・・よかった。

まるで、糸の切れた人形みたいになってしまっていた。
でも、笑った。

おかしなことにでもなってしまったかと思った。


「あーあ」

む・・・

心配させといて、うってかわって不遜だ。
足を組み、ねめつけるように見据えられた。

なんだろう。
生理的にムカつくこの感じ。

「ひゃひゃひゃひゃひゃ。
と・ど・め・さ・し・ちゃっ・たー。
言わなくてもいいことベラベラ喋って、
なーにやってんだか。あーカワイソウ。けけけ」

「な・・・」

「まあ、アテナがいる今、デネブはもう邪魔な
だけだったしなあ。ちょうどよかった。
出てこざるをえなくなるとは思わなかったが」

まさか・・・ まさか!



「ベ・・・・ガ・・・」

「鈍いねェ。やっと気付いたか」


「なぜ・・・出てきたの」


はっ。と、鼻で笑うベガ。

「出てこさせられたんだよ。
もう一人が引きこもっちまったから。

ありゃあもうだめだな。
文字通り『自失』してるぜ。
真っ白になっちまってる。

もう戻ってこねえよ」



・・・・・・・・!!



「・・・見損ないました」

「ああん?」


「アイルさん。貴方にとって、
マルス様を取り戻すって・・・

そんなに簡単に諦められることだったんですね」

ベガは、ち、と、舌打ちをする。

「魂換わってもスタンスは無視かよ。
いい加減にしてくれ」


無言のまま立ち去ろうとするシーダ。

「おい」

呼び止めるベガに、一言。

「ベガ、少しだけ慰めてあげる。デネブが貴方を
嫌ってたのは、私が貴方のこと大っ嫌いなのが
うつってたのかもしれないわ」

「・・・・・・・・・・・・・」


ベガは絶句し、その間にドアは閉まる。

「・・・やってらんねえ」




「しかしまあ、こうなった以上、好きにやるか。
まずは・・・ん?」


・・・・・・・・・・・・!?




「へえ・・・」

{ベガ!?}

「気がついたのかよ。アイル。しぶといな」

{俺は・・・}

「軽く絶望して放心してたんだよ。でもまあアレだ。
せっかくだからそのまま消えろよ」

{!?}

「デネブっつーうるせえのもいなくなったしな。
アテナと逃げるにしても、あいつに追っかけて
来られるとめんどくせえと思ってたら、
向こうから消えやがった。

こうなりゃあやりたい放題だ。
行儀のいい部分をお前にやらせる必要もない。

いざとなりゃ適当にやるさ。
だ・か・ら」

{・・・・・・・・・・・・ッ!!!!!!}

「お前は、消えろ」

{まてッ!!!!! べ・・}

ブツッ・・・・・・

アイルは、閉じ込められた。

五感を全て奪われ、感覚共有もない、

ただの・・・


闇に。


「くひゃひゃひゃひゃひゃははははははは。
ひひははははははははははは!!!!」





そして・・・


ベガは、宣言どおり、好き勝手を始める。
夜も昼も関係なく、アテナを呼びつけ、犯す。
美食にふけり、美酒にふけり、女色にふけった。

手近な村から娘を攫い、かどわかしまでした。


「くひゃひゃひゃひゃひゃははははは!!!」


そして。

分かり合えなかった姉のことも。
闇にしずめた兄のことも。


数日で、忘れた。






~偽りのアルタイル~

第一部 完

by おかのん (2011-10-15 00:45) 

ぽ村

>>おかのん

わ・・・
衝撃の展開がs…



ほい?
ふん?

は?

第一部完ですとー!!?
我々の世代には好きなマンガの打ち切り口上として忌まわしき記憶が濃い文言ですが…。

「姉」とか「兄」とか、ははぁひょっとすると…と思わせる展開の先が知りたいところなんじゃがマジで続くか否かも含めてどうなるんでしょ…。
:(;゙゚'ω゚'):

あ、と、投下乙ですw;
by ぽ村 (2011-10-15 13:02) 

おかのん

>第一部完ですとー!!?
あ、はい。大丈夫です。
幕間をちょいはさんで、すぐ第二部はじめますから。
ほら前、あんまりにも重いっていってたから、
この辺でくぎっとこっかなーって。

今回までを『アイル編』とするなら、
次回からは『ベガ編』ですかね。
元々ベガは久遠の書いてた外道パートを
肩代わりしてもらうために出てきたキャラなので、
14章前後まで、ベガがメインになって、
ドルーアとの戦争を進めてゆくことに
なると思います。

で、デネブがいなくなるのも、『彼女がいると
抑え気味になる』キャラにしたため、
かえってデネさん邪魔なんです。
レOプシーンを書きたいわけじゃないんですが、
彼女がいるのにそれをやると不自然な感じになるので苦肉の策。
なるべく自然な感じになるようにはしたつもりですけど、どうでしょう?

>「姉」とか「兄」とか
うううううう・・・・・・・・・・・・

いやこれ、「デネブ」と「アイル」の比喩です。
一番近しくて、家族の中では近いものにしたつもりだったんですが・・・

伝わらなかったか。


そんなわけでここのタイトル後のプレイ日記まとめも9章までにして、『アイル編』とかつけてくぎって、新記事を立てて9章以降は移転してくれるとうれしいなーとか。

お手数ですがよろしくです。
もうしばらく(当分?)お付き合いを。

by おかのん (2011-10-15 17:22) 

ぽ村

>>おかのん
ほうほう。
…ふぅ…と、ひとまず安堵。

そうですな。
移転記事は大きく分けると
・「リプレイ部分」
・「アイル編」
・「ベガ編」
・「14章以降」
になると思われまする。
記事の字数制限もあるので、それらがいくつかに分かれることも考えられるので、タグの名前は統一した方がいいかも知れない。

タグは一つの記事にいくつかつけることができるので、何かしっくりくる名前の希望があったら教えてくださいまし。

リプレイのタグ名は「FEリプレイ40人ぶっ殺しサーガ」
FFNは共通タグ名「FE/FFN」で記事ごとのタグ名に「偽りのアルタイル編」と「ベガ編(仮)」みたいな感じで。

決定次第、記事の移転と新規記事うpに着手しますです。


…リプレイ部分だけならすぐにできそうだぁねw

>伝わらなかった
…読解力のトホホっぷりに焦るヲレ…w;
by ぽ村 (2011-10-16 17:56) 

おかのん

ハイそんなわけです。

リプレイはそのままでしょうがない・・・というか
変えるのも変な話。

FFN共通タグは、むしろ「FE二次小説」とかの方が良いかもしれないですね。FFN(ファンフィクションノベル)って、あんまり知られてない呼び方みたいです。

記事ごとのは、「偽りのアルタイル ~アイル編~」「偽りのアルタイル ~ベガ編~」みたいに、表題は共通にして欲しいかも。一応一続きの話ですし。

もしくは共通タグを「FE二次小説」「偽りのアルタイル」の二つにして、アイル編、ベガ編で分けるとか。

それではよろしくです。

by おかのん (2011-10-16 20:33) 

ぽ村

>>おかのん
ふむふむ。
では
・FE二次小説
を共通タグに。

んで
・偽りのアルタイル ~アイル編~

・偽りのアルタイル ~ベガ編~
を各記事で行ってみましょう。
不都合出ればタグは変更できるし★

では編集作業後明日(17日)にでも「リプレイ」を。
勤務と記事の関係で19日に「アイル編」を卓袱台に移転いたしますです。
そして早ければ21日に「ベガ編」記事を。

それまでもFFNが挙がりましたらば、コチラに投下してください。

移転先で分ければダイジョブなので、調整します。

ちなみにコピペ貼って改行とか調整するだけなので楽な作業ですw
なので他に要望あったらお気軽に♪
by ぽ村 (2011-10-16 21:22) 

ぽ村

と言うわけで、リプレイ部分だけ移転した。
よって記事部分のリプレイを消去。

…やだ結構軽くなったわ☆
by ぽ村 (2011-10-17 23:46) 

ぽ村

アルタイルのアイル編を第6章外伝まで移転しただ。

やはり字数制限で1記事に全て入らず、「分けるなら行数的に同じくらいが良いか…」と、7~9章は別記事に。

コチラの記事のコメント部分は、「アイル編その2」と「ベガ編(その1?)」のうpまで残しておくので、色々と活用してくださいまし♪
by ぽ村 (2011-10-19 22:50) 

ぽ村

FFN移転先の記事の閲覧数が手堅いので、本日うp予定だった「アルタイルその2」を21日に。

「ベガ編」を22日か23日に変更いたしますです。
by ぽ村 (2011-10-20 23:39) 

おかのん

つづきですー

今回は『幕間』ということで。


~偽りのアルタイル~

 幕間 その1 シルエ

闇の中に、閉じこめられる。
この恐怖を知る人間は、どれくらいいるだろう。

人は、密閉された空間に、独りで数十時間いると、
それだけで発狂するという。
2日を超えるあたりからは、重大な精神疾患を抱える可能性が濃厚になる。
ならば。

五感を封じられているというのが、
どれだけ過酷か判るだろうか。


アイルは今、その状況にいた。


目が見えない。

そこにあるはずのものが見えない。
自分の手足さえも見えない。

ある種のリハビリで、片手の麻痺した人に、
鏡に映した自分の手を見てもらい、両手を同時に
あげるつもりになって、動く方の手を動かす。
すると、麻痺している方は動いてなくても、
鏡の方は動いている(ように見える)ので、
「自分の両手は動くのだ」と、神経が勘違いし、
回復をみせるという方法がある。

逆に、自分の手足が見えないという状況、
自分の手足が動いていることを確認できない事が、
どれだけ不安かという事を感じてもらえるだろうか。

耳が聞こえない。

周りの音だけではない。
自分の指がならない。
息遣いが聞こえない。舌打ちも、口笛も。
自分が出したはずの音が、自分の耳に届かない。

鼻が利かない。

自分の体臭、口臭さえもない。
命ある限りあるはずのものが感じ取れない。

味覚がない。

自分の汗や涙や皮脂にさえ反応がない。

触覚がない。

手足を触っているはずなのに、その感覚がない。
自分を壊すつもりで殴っても、痛みさえない。




その中で。

まるで、自分が闇に溶けていく感覚。

果てのない闇しか感じられないその瞬間に。
自分を感じるものがないのに、意識だけが、

無限に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・







・・・・・
















・・・












































「あら。別の子ね」

!!?

「・・・・・・・誰だ」

「ふふ。じゃあ今回は、シルエさんで」

「今回は・・・って」

なんだこいつは・・・

口調からすると、女。
いきなり俺を『子』呼ばわりということは、
成人している・・・

いや、雰囲気から、年下の兄弟を持っているのかも。

シルエ・・・ 『影』である、シルエットの
もじりか・・・?

安易なセンスだ。そういう言動も含めて、
警戒心を抱かせない為の手かもしれないが・・・

「頭の回る子ねえ。退屈しなさそう」

!?
心を、読まれた!?

「んふふー。まだここでの感覚には慣れてないのね。
考えることと喋ることが区別しにくいここでは、
貴方の考えてることは駄々洩れてるわ。
まあ、すぐに慣れるでしょ。努力家のようだし」

・・・・・・

なんというか・・・

お茶目なお姉さん、といった感じか。
・・・なんにせよあり難い。

自分の身体さえ全く感じ取れないこの空間で、
他人とコンタクトが取れるというのは最大級の幸運だ。『自分』を自分に認識させるのに、これ以上の方法はないのだから。

「さて、貴方は何が出来るの?」

「・・・・・・は?」

「は? じゃないわ。歌える? 踊れる? 
何か面白いお話を知ってる?

ここは見ての通り、何もない真っ暗な世界。
外からの情報は一切入ってこないし、
やる事、できる事は本当にないの。
でもね・・・
今私達は、おしゃべりしてるわよね?」

「はあ・・・」

「五感を奪われたのに、どうして?」

「・・・いや、そういわれても、意思疎通は
会話でするものだし・・・」

[  いや               ]
[       筆談というのも     ]
[     意思疎通の         ]
[               手段か ]

!?

目の前に、文字が浮かぶ。
今思い描いたままの文字が、だ。

「そう。別に意思の伝達は、会話でなくてもいい。
共通の認識を持って意思疎通を図れば、
音だけでなく、映像や触覚、味や匂いさえ伝えられる。
ここは、そういう世界」

・・・・・・成る程。
思い描くものが思い描いた形で伝わるのなら、
どんな事でも伝えられる可能性がある。

ならば熟知している場所なら、旅行さえ
エスコート出来るかも知れない。

多少のずれはあっても、時間経過もつかめる。

チェス、リバーシ、バックギャモン、
各種盤上遊戯も簡単に再現可能だろう。

「あ、すごい! 出来る?
チェスやろうチェス!
前の子はルールも覚えようとしなかったのよ?」

「誰ですか前の子って」

「さあて誰かしら。それはともかく一戦始めましょう。
ちょっと自信あるのよ」

「根拠は?」

「弟としかやったことないけど、負けたことはないわ!」


思いっきり手加減しよう。

「手加減なんていらないわ!!
こっそりやるつもりでも分かるんだから」

・・・そうだった。心が読まれるんだった・・・
待てよ。そうすると手加減どころではないか?
こっちの考えが駄々洩れのチェスなど
ハンデのレベルではない・・・

「ふっふっふ気付いたみたいね」

「・・・ずるい・・・」


 ・

結果は、端的に言えばアイルの圧勝だった。
千手先までとは言わなくても、
4,50手先までなら読んでしまうアイル。
しかも臨機応変にそれぞれの局面の作戦を
変えていく為、シルエは心が読めてなお勝てずに
十戦全部惨敗した。

「ううううううううううう」

これは・・・

早めにこちらも思考を隠す方法を見つけないと、
せっかくコミュニケーションをとれる相手との
関係を壊してしまいかねない。

予想しないでもなかったが、思ったことの隠せないと
いう事実がここまで不便とは・・・

「・・・ふふ。でもあなた、優しい子ね」

「は・・・?」

心を読まれてなおそう評されるとは思わなかった。

上辺ならいくらでも取り繕えるから、そう言われることは
ないでもなかった。
今は『あいつ』の代わりをしているのだからなおさら。

だからこそ隠せない心をさらけ出してなお、
そう言われたのが信じられなかった。

「あなたは、さっきから『私とうまくやっていく』ことを
ずっと考えているわ。

ココにくる子は何人かいるけど、大抵夢だと
思って終わったり、すぐに自分の身体に戻ってしまう。

そういう子たち以外でも、最初は取り乱して、
私を悪者にしたり、怖がったりで大変なの。

そばにいる他人が嫌な思いをしないようにしようと
自分から動くことを面倒に思わず、躊躇わない。
そういう子はあなたが初めて。

あなたは、優しい子よ」

勘違いだ。
俺は戦争をしてきた。
逆らう者は容赦なく殺した。
なぶり殺したこともあった。
利用して捨てたこともあった。
一万人以上を焼き殺してきたばかりだ。

優しいなんて言葉は。
『あいつ』にこそ似合う。

俺にじゃない。

「そんなことはないわ。あなたは、優しい。
あなたは、守りたい人の概念が狭いわ。
でもそれは、悪いことじゃない。

自分の大切な人を守るためなら、どんなことでも
する覚悟がある子。
自分が罪にまみれても、大切な人のために
自らの心まで削ることを躊躇わない子。

そうじゃなきゃ、救えない。それがわかってる。
もう絶対に、その手を話したりしない。その決意。

だからこそ、そうでないものは切り捨てる。
そういう決断ができる。


大切なものを間違えないために。


あなたは、優しいわ。
近しくなった人は、みんな気づいているはずよ」


・・・・・・・・・


・・・駄目だ。
完全に格上だ。

会って数時間で俺の魂がこれまでにないくらい
安らいでしまっている。

俺が自分の中だけで抱えていたはずの自責の念や
自己嫌悪を、全て知られた上で俺自身を肯定された。

何も感じることのできないはずのこの場所で。
俺は・・・・・・

包み込まれて、眠っているみたいに・・・


あ、

ああ、


ああああ、

あ、



あ・・・・・・・・・・・・・・


「寝る?」

そう言われて、恐怖した。

こんな世界で、心を動かすのを止めてしまって
大丈夫なのか・・・?

「・・・あなたには、少しそういうことが必要かもね。
大丈夫。ちゃんと起こしてあげる。
おやすみ」

そう言われた後、自分が本当に何かに包まれた
感覚があった。

さっきよりも、鮮明に。

言葉通りに、微睡む。
不安は、カケラもなかった。

問題は、山積みのはずなのに。
ただ、眠った。


まるで、母親の胎内にでもいるような・・・


その中で、二つ。気付いた。

この人は、誰かに似ているような気がしていた。

包まれた時に、いっそう強く感じた。


マルスに、似ている。
俺の全てを肯定する所まで。


もうひとつは・・・シルエという名。

SIRUE・・・いや。


SILE?



「ふふ。正解」

そこで、完全に眠りに落ちた。


次に意識を取り戻した時には、その二つの閃きは、
アイルの記憶になかった。



 続く

by おかのん (2011-10-21 20:29) 

ぽ村

>>おかのん

投下乙です。
…怖い世界だ…。
コンタクトできた相手はこっちの心を読めるとか拷問だ…。

>チェス
たくさんの物事を一度に考えて、相手がそれを理解する間も無く次の思考に入った…って感じかしらん?

次に起こされたとき、待ってるのはリアルか、その続きのこの世界か。
そこで何が起こってるのか…ってのが楽しみだね。


この幕間は、近日移転(?)
予定の「ベガ編(その1?)」の記事部分にうpいたしますです。
アイル編記事が終わり、次のベガ編記事用の続きが欲しかったので助かりました★
by ぽ村 (2011-10-21 23:04) 

おかのん

どもでーす。

>コンタクた相手はこっちの心読めるとか拷問

そうですね。考えちゃいけない! と思えば思うほど意識しちゃうでしょうし。

>理解する間も無く次の思考?

パソコンの演算表示を見てるみたいなもんでしょうか。
読めない人はわけが分からない。

>次に起こされたとき、待ってるのはリアルか、その続きのこの世界か。そこで何が起こってるのか。

・・・どうなるのかは決まってるんですが・・・えーと・・・久遠が『こういう展開どお?』っていってきたまんま・・・
最初は『フザケンナ』って感じだったんですけど、そうすることによるこっち側のメリットに気付いちゃって展開自体はそのままに・・・むうう。

まあ、読んでみてください。多分そのまま書くし。



by おかのん (2011-10-21 23:44) 

ぽ村

>>おかのん
あるあるw

ふと思いついたり、出てきたアイディアの方が上手く行きそうな事ってよくあるw

ある程度の数投下後で構わないから、没った話の方もあらすじ教えてね♪

…あ。
行方不明だったSSのファイル見つけた…
ちょっと手直しして、卓袱台の「ウホッ!?」記事に投下するわー。
by ぽ村 (2011-10-22 00:42) 

おかのん

・・・うわあ。
こんなところで文章力の未熟さを再度・・・
ええとですね、まだ「この先どうしよーかなー」の時点で久遠が「こういうのDO?」と言ってきた・・・ という形で、没った話は存在しないのです。
その展開をこえる面白さ+こちらのメリット を、超える話が思いつかない・・・

ちくしょー

by おかのん (2011-10-23 06:03) 

ぽ村

>>おかのん
あ…なるへろーw

元の案が無いところに提案されて、採用な形なのね。
作:おかのん
原作:久遠
タッグが!?

そうそう今日明日にでもこの記事引越すでござるよ。

by ぽ村 (2011-10-23 11:11) 

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